―幸せ者―
自分は幸せ者だと思う。
埼玉大学史上初の入れ替え戦の場にいれたこと。
自分は幸せ者だと思う。
これから変わりゆく埼大を見れること。
自分は幸せ者だと思う。
優しい先輩方、言うことを聞かない少し生意気な後輩達に恵まれたこと。
互いを理解しあえる大毅がいること。
埼大内外で自分のことを応援してくれる人や、埼大を応援してくれる人が沢山いること。
そして、なに不自由なくラクロスをやらせてもらえたこと。
どれも当たり前のことではない。
そのことは身をもって痛いほど体験してきた。
1個上の代は0人、同期は大毅と2人だけになり、
自分が主将を務めたときはプレーヤー7人からのスタート。もちろんリーグ戦出場も危うかった。
グランドすら使えない日が数ヵ月続いたこともあった。
精神的に参ってしまい、まともにラクロスが出来ないときもあった。
そのような環境の中でのラクロスを通して、色々なことを経験し、感じ、沢山のことを教えてもらった。
クロスの扱い方がぎこちなくて、うまくいかないことも多々あった、喜怒哀楽、様々な感情をぶつけたラクロスから。
だからこそ、どんなときでも自分を、そして埼大のことを見守ってくれた人達に恩返しをしたい。
―2部昇格―
「2部昇格」
それが俺の学生ラクロスにおける1つの目標であった。
2015年11月8日、あの大雨の中での入れ替え戦に敗れた先輩方が果たすことのできなかった2部昇格を果たしたくて、
まだ見たことのない景色を見たくて、
埼大を2部に昇格させることが先輩方への、そして今までお世話になった人たちへの最高の恩返しだと思っていた。
だから、2部昇格することに対して貪欲だった。
あらゆるところから情報をかき集めては、「これだ」と思うものを、ただひたすら自分の中に取り込んでいき、自分の持てる時間の殆どをラクロスに注ぎ込んだ。レポートに追われ、実験室で明け方までやって、そのまま練習したことも少なくなかったし、時間さえあればクロスを握ってたし、とにかく必死だった。自分が他のことに時間をとられている間に他大は練習して、上手くなっていたから。
必死にはなっていたけど、それ自体は苦じゃなかった。自分の練習や行動が2部昇格に繋がっていると考えたら、わくわくした。だからこそ必死になれたと思う。
ただ、そのせいで孤独感も感じていた。周りとのモチベーションの差から1年の時の、2部昇格を目指していたチームはどこに行ったんだろうと思うことが多かった。
それでも、みんなと2部昇格したくて、勝つために、みんなともっと上のレベルで楽しみたいと何度も思った。そのための行動はしてきたつもりだ。
だけど、今振り返ると″つもり″だけだったかもしれない。みんなに想いを上手く伝えることが出来ずに、自分だけがその事を考えて行動して、他の人を引っ張ることが出来なかったと思う。
それどころか、出来ないことでますます自分を責め続けて、勝手に孤独感を更に感じて、自分を追い込み、色んなものを犠牲にして、周りの人たちを振り回してしまった。
そこは俺の今までの中で至らなかった所。本当に迷惑をかけた。申し訳なく思っている。
ただ、みんなもみんなで
目先のことに囚われがちだし、
すぐ諦めるし、
楽な方に逃げたがるし、
少しでも無理だと思ったら気持ちがすぐ折れるし、
誰かがやってくれるだろうと思って、自分では動かないし、
失敗を他人のせいにしたがる。笑
完全に行動や考えが″やらされている人(敗者)″のそれと一緒。
だから、みんなが″やらされてる側の人″であることに気づかせ、いかに″やる人(勝者)″の行動や考えに近づけるか、意識していた。
そのせいもあって、反省やミーティングの時に言うことも技術よりも考え方や行動に関することの方が断然多かったと思う。
ラクロスに対する技術や知識を身につけるには乏しい環境にある埼大で、やらされてばかりでは何も身に付かないし、上手くなるための、楽しむための努力が出来ないと思ったからだ。
自分が1年生の時に比べると、ラクロスに関する情報は手に入れやすくなった。ラクロスが上手くなるための、ラクロスを楽しむためのヒントはいくらでも転がっている。それを拾おうとするのか、与えられるのを待つのか、最終的に行動をおこすのはみんなだ。
どれだけの人に自分の想いを伝えられただろうか。少なくとも、一緒にトレーニングや自主練をする機会が多かった大生と拓実には伝えられたと信じたい。笑
それもこれも、このチームが好きで、勝ちたくて、このチームでラクロスを楽しみたくて、2部昇格したくてやってきたこと。
しかし、いくらその想いが強くても、想いだけではどうにもならないことが沢山ある。
俺が1年の時の、入れ替え戦に出た先輩方を越すことが出来るチームかと言われれば、そうとは言い難いし、
入れ替え戦にも行けずに最後の年は終わるし、
俺の想い描いていた最高の恩返しも出来なかった。
本当にごめんなさい。

―感謝、そして最終戦へ―
入れ替え戦にいけないことが決まって、リーグ戦も残すところ1試合となった。
最初にも書いたけど、本当にリーグ戦出られるかどうか分からなかった時のことを考えれば、こうして最後の年も目標に向かってラクロス出来た俺は幸せ者だなって思う。
たった一度しかない大学生活で、沢山の選択肢の中から、ラクロス部を、ラクロスをやることを選んでくれた大毅、3年生、2年生、1年生、MG、本当にありがとう。それぞれに言いたいこと沢山あるけど、書くと長くなるからまた今度の機会に。
あと、楊介さん。一緒にやれるのは2年間だと思ってたのに、なんだかんだ4年間一緒にラクロス出来たの本当に嬉しかったです。笑
楊介さんには沢山のことを教えてもらい、沢山の意見を交わし合い、沢山練習に付き合ってもらいました。本当にありがとうございます。最後の試合もボックスでよろしくお願いします。
埼大内外にいる川越高校ラクロス部のみんな(笑)、みんなの頑張りを見聞きすると、俺も負けてられないし、頑張らなきゃって思えた。″奮え友よ″ってやつかな笑笑
4年間なに不自由なくラクロスをさせてくれた両親、両親には感謝してもしきれない。本当にありがとう。
みんなのお陰で今、こうして一緒にラクロスが出来る。
俺の想い描いていた最高の恩返しは出来なくなってしまったけど、残り1戦を残して出来ることは、全力でラクロスを楽しむことだけ。
泣いても笑ってもみんなとラクロス出来るのもあと1試合、この試合、本気で楽しもう。
最終戦、
正直言って俺の力でこのチームを勝たせることは出来ない。
それは俺の力不足のところが大きい。最高学年でありながら、力不足であることを本当に申し訳なく思っている。
だけどこれだけは約束します。
ベンチにいようが、フィールドにいようが、4Q最後の笛が鳴り響くまで、誰よりも試合を楽しみ、誰よりも貪欲に勝利を追駆していく。
今までの想いを胸に、
チームの勝利を、チームの″飛躍″を追い求める限り。
#7 中泉裕貴