星星組公演『BIG FISH』@東急シアターオーブ。


 

6月5日(水)午前11時公演の1幕に続いて…2幕。

水仙の花畑が美しいタイトル幕キラキラ素敵キラキラ


茉莉那ふみちゃん演じる少年ウィルが、こっちゃん(礼真琴)演じる父親、エドワードの話にうんざりし始めた頃からスタート。
ボーイスカウトに入っているので、そろそろ「盛ってね?てか、嘘じゃね?」疑惑を抱いてもおかしくない年頃ですうんうん
そして、一緒に夢を見ていたウィルが成長して、だんだん今のウィル…極美慎が演じるウィルに近づいてきているというのがいいですね。

で、一瞬、これって本当にエドワードの話を周囲は楽しんでいて人気者だったのかな?と疑ってしまいますが、周りの少年たちはみんなエドワードの話に魅了されているので、そこは事実みたい。なんか良かった。。。

戦争での活躍のお話は、煌えりせくん演じるパターソン将官を毒矢の攻撃から守ったというエピソード矢
映画『ビッグ・フィッシュ』にいた双子の歌手ではなくて。
私は原作を読んでいないので、双子が原作にいるのか、それともティム・バートンの創作なのかはわかりません。。。
個人的には双子の方がインパクトが強い上に、体は一つではないけれど双子の歌手はいたというラストが好きです。
でも、この毒矢から守るエピソード…
「お前はもう死んでいる」なんてセリフが出てきたり、
「俺は昔毒蛇に噛まれているから、毒に耐性があった」なんて中二な理由でエドワードが無事だったり、、、
いかにも設定盛り盛りで、少年マンガ感全開手で面白かったわにかっ
さすがにもう、そんないかにも盛りましたなエピソード、ウィルにはキツイけどニコ

さて…
現代では、エドワードが浮気をしていたのではないか、二重生活をしていたのではないかという疑惑で、ウィルの頭はいっぱい。
家を空けがちだったのも、帰宅した時に後ろめたいのか黄色い水仙を買ってきたのも、全部裏切っていたからなのかと、全部疑えてしまう。これはツラいうっ・・

でも眉間にシワの極美慎。良きですにこっ
なんで彼はこうも悩めるお顔が似合うんでしょうね。笑顔が可愛らしいのに。
物思いにふける憂いの顔とか、とても素敵よね。
あと、妊娠中のジョセフィーン(星咲希)がホルモン乱れてるって話をした時のやれやれやれやれって顔も好きにこっ

そしていざ、なっちゃん(白妙なつ)演じるジェニーの家へ。
ここでアシュトンに起きた物語、

エドワードが本当にヒーローだったのに語られなかった物語が語られます。
アシュトンは貯水池を作る都合で水の中へ沈むことになっていた。
それに反対した住民は、自分たちの体を鎖でつないで、広場で抵抗活動をしていた。
でも…ちゃんと広まることのない抵抗活動なので、うっかりすると一緒に水の底に沈んでしまう。
アシュトンが沈むと知って、ようやく街に帰ったエドワード。
みんなに「遅い」と言われながら…
確かに、そこには何しろ町長としてドン(蒼舞咲歩)がいるわけだし、ちゃんとドンのスネ夫なザッキー(夕陽真輝)もいるわけだから、

「必ず帰る」と言ったエドワードの帰りはどう考えても遅かったよね。
ドンとザッキーは大学で学び、街へ帰って、街のために働いているから余計にね。。。


で、ここでさ…
エドワードはサーカスの団長(碧海さりお)を頼って土地を得て、今やウォール街で働いているカール(大希颯)を頼ってお金札束を得て、街ごと別の土地に引っ越そうと提案。
この街、この土地が大切なのではなくて、みんなと一緒に過ごすことが大切なはずだと語るエドワード。
これ…完全に

星『眩耀の谷』同じ発想で、なんだか『BIG FISH』をこっちゃんが演る意味を感じました。
映画だと、買収されるスペクターを守るために、そこをそのままエドワードが買い取って修復するんだけど、それは確かに理解できる発想と流れなんだけど、、、
舞台では、街ごと引っ越しってのがすごく胸に来ました。
ああ、やっぱりこっちゃんは「問題は場所ではない!仲間だろ!」と、そういうタイプなんだと何故か紐づけて考えてしまうわけですが、、、
トップさんの作品群に、同じ行動原理を持つキャラクターが出てくるとなんだか気持ちがいいです。
そして、そこに理由を勝手に見出してしまいました。

で、この本当に本当のヒーロー譚一切語らなかったエドワード。
シンプルに照れ屋さん!なのかな。
それとも、故郷に帰るのが遅くなったことや、コミュニティを守ったけれど場所を守れなかったことに後ろめたさがあったのかな。
もしくは、団長やカールに大きな力を借りているから、自分がヒーローと言うのが憚られたのかな。
結局、本当になんで語らなかったのかという理由が明確にはされなかったけれど、、、複合的かもだけど、、、

そこにエドワードという人の本質があるように思いました。
そして、そこをサンドラ(小桜ほのか)も愛したんだろうなぁ。
だからこそ
♪屋根がなくても…そばにあなたがいれば

そこが私の家 大切なのはあなた
と思っていたんじゃないかな。
サンドラも、土地を捨てて愛する人たちと別の場所で、新たなコミュニティを作ることを選ぶ人なんだと思いました。
もしエドワードが、アシュトンの人たちにその決断をさせてしまったことに罪悪感を持っていたとしても。。。
サンドラは同じ気持ちを抱いている、絶対の味方。。。


そしてついにエドワードの最期。
ウィルとエドワード、二人で病室病院を抜け出し、車を飛ばして車(セダン)ダッシュ(走り出す様)川へ向かい、川岸には今までエドワードが出会った人たちが集まっている…そんな物語…
今まで「真実」を求め、きっと仕事でも「真実」を語ってきたウィルが聞かせる「大きなお話」
映画のようにエドワードが大きな魚になるのかなと思ったけれど、それはなくて…
BIG FISHとは…と思いながら、頭の中にはちょっと前に歌われた「倒せドラゴン」の歌のドラゴン恐竜くんが浮かびました。
あれは「倒せ」だったから「敵」なんだけど、エドワードはドラゴン=巨大な魚だったということなのかな…とか。
でも「倒せ」だから、さすがに違うか。。。
なんて思いつつ…なんか最後にわかったような気がしたんだけどね。BIG FISHってなんなのか。

それにしてもね…やっぱり父親が亡くなる話って、もう本当に涙腺が崩壊してしまうんよ泣き3
勘弁してくれってくらい泣けるんよ泣き3泣き3泣き3
私の心の引き出しにリアルがあるから、それをついつい引っ張り出してしまうのよね。
涙で前が見えなくなると困るんだけどなぁ。

この病院の場面で、心に残ったセリフ。
エドワードの親友で主治医のベネット(ひろ香祐)の言葉。
「他人に何が聞こえているかなんてわからないよ。

そもそも耳を傾けているかなんて、わからん」
これは染みたなぁ。
あれだけ話し続けているエドワードの話を、人がどう聞いているのか、そもそも聞いているのか…わからないけれど、エドワードは届けと思って話し続けていたんだろうし、そしてウィルはいいようには聞けず、ジョセフィーンは「ちゃんと聞いてる?」と問いかけた。
 

人と人とのコミュニケーションって、特に自分発信の場合の

「なんでわかってくれないの!?」的なモヤモヤの理由は、この言葉に詰まってる気がするわ。
この言葉を心に留めておいたら、少し楽になれそう…というか、ある程度普段から思っているのに、いいタイミングで心から引っ張り出せてないのかな。
がんばろ。


そしてエドワードのお葬式。
今までお付き合いのあった方々が登場する感動的な場面。
こんな風にお付き合いが続いているお友達が大勢いることこそが、エドワードの人生が充実していた証。
自分のお葬式…こんな風になってくれるだろうかと思うと不安になるわ苦笑

ウィルにとって一番ファンタジーな存在だった魔女(都優奈)とカール…
団長が狼男であるかどうかを知ることは叶わないけれど、魔女も魔女であるかどうかはわからないけれど、、、
でも見た瞬間に「魔女!」とウィルが言ってしまうほど、ちゃんと魔女だし、
カールは…
見上げるほど!…ではないにしても、とても大きい人あんぐりピスケ
低めとはいえ高足を履いての登場でした…が!

極美くん…デカいなぁ汗
もう少し小さい方だったらインパクトあったけど、極美くんが大きい方なので、ちょっとインパクトが欠けてしまった印象も…汗
でも、他の人と立つとやっぱり確実に頭が出るほど大きいです。
カーテンコールでは、一応高足なのに軽やかにステップを踏む大希颯くんにビックリしました
あんなの履いて…しかも低めだからこそ、もう安全帯とかも付けていないのに、みんなと一緒にステップ踏んでクルッと回って…凄いなぁ。


ラストはウィルの息子登場。
咲園りさちゃん…159cm。
150cm台だとこんなに小柄なのが宝塚の凄いところだわ。
初めて釣った魚うお座の話を

息子に大きく話すウィル魚しっぽ魚からだ魚あたま…うぅ…大きな大人になったねぇ。。。
父親って、息子にとって最高のエンターテイナーなのね。

そんなウィルと…そしてそれを静かに見守るエドワードおばけくん
父から息子へ、そして父になった息子からそのまた息子へ伝える言葉。
♪物語のヒーローに
戦ってチャンピオンになれ
自分の物語をその手で描け
物語がお前の道しるべ
戦えさあドラゴンと
世界はお前のものだ!


わーん!幸せすぎて泣けるんだー感激。感激。感激。
私も子供ほしいーーー!!!(違)
なんて心がホカホカするんだろう。

自分の人生を自分で舵取って、もしかしたらエドワードが外の世界に出て言われたように井の中の蛙かもしれないけれど、それでも誰かにきちんと影響を与えて、幸せを届けて、、、

そしてそれが集まって…
小さな川でピチピチと跳ね上がっていたキラキラの魚たちは、集まって大きな魚になったんだろうねぇ。

エドワードが最期に歌ったように
♪俺の人生は完璧じゃない
ちっぽけなことわかっていた


でも
♪敵か友達かわからずに出会い
今はここにいてくれる


そして気がつくと大きな魚になっているんじゃないかな…なんて思いました。
アラバマストンプ バンザイ!
足踏み鳴らして魚を跳ね上げさせようぜ!!


 

あ、ラスト。
客席に向かって石投げをするシーンは、ついつい星『霧深きエルベのほとり』のトビアスを思い出しちゃう私ですにこにこ
客席にフラッシュのように照明がポンドンッポンドンッポンドンッとついて、それで石が飛んでいく様子を表現してたのがすごく面白かった!
トビアスの時は、センターブロックに座っていた時、自分のところに石が来た!って勝手に思っていたものねぇニコ

カーテンコールのご挨拶で、生演奏だったことを知りました。実は。
御崎先生が指揮をとられていたとか。
そして終演。
終演後にも、劇場内にはテーマソングが楽しく流れ、そして客席にはキラキラキラキラと照明がプリズムのようにまたたき、思わず見惚れてしまいました。
ああ、本当に見に来れて良かった!