2021年11月19日(金)、小松正直さんがご逝去された。享年65歳。長年にわたって渋谷SEABIRD第一金曜(通称:一金)ライブのレギュラーメンバーとして、ダイナミックかつ繊細なプレイで多くの聴衆を魅了した名ピアニストだった。私は初代一金バンマスの和田バンド時代から下手っクソな歌を達者な伴奏で助けて戴いた。

 

SEABIRDのママはこれまでのライブ出演者を分厚い閻魔帳に全て記録しているので調べてもらったところ、小松さんの初登場は一金ライブがスタートしたばかりの1996年9月6日、その後、他のピアニストとの出入りはあったものの、最後の出演は2021年4月2日、なんと25年の長きにわたって一金ライブを支えてこられたのだ。

 

【小松正直さん(pf)の近影】

【追悼ライブではこの組写真をフレームに入れピアノの上に】

 

私自身ここ1年半ほどコロナ禍で自粛していたが、小松さんも最近は欠場気味の印象があり、私は勝手に「ご両親の介護かな」と思っていた。実は2月に検診でガンが見つかり入院加療されていたというが、どうやら病状は思いのほか深刻だったようだ。病気は年齢とは関係ないとはいえ、それにしても若過ぎるではないか!

 

私は現役時代に人事部長をしていたこともあり、企業の定年制度が法改正の影響を受けた際、小松さんが勤めていた大手飲料メーカーは数少ない定年延長(60歳⇒65歳)を採用した企業だと知っていた。これは一般的には従業員に有難いが、もし60歳定年のまま小松さんがそこから音楽生活されてたら・・・と思ってしまう。

 

12月28日(火)SEABIRD、本多現バンマスと和田初代バンマスの呼び掛けで「小松正直氏追悼セッション」が行われた。急でありコロナ禍でもあり参加できない人も多い中、店は立見が出るほど人が集まった。奥様や息子さん等ご遺族も来て下さり、まさに25年にわたって小松さんが築いた無形資産の凄さを目の当たりにした。

 

【和田、本多の旧新バンマス共演も実現】

 

演奏の合間にエピソードの数々が披露された。曰く「いつもミルクを飲んでいた」「実はウイスキーのミルク割だった(ママ)」「最初はトランぺッター志望だった」でも大学の軽音学部の凄い演奏に気圧され入部時に「君は何を演るんだ?」「あ、ピアノを少々」でアッという間にピアノを習得し、さらに様々な管楽器もこなした…等々

 

普通は「折角だから小松さんが好きだった曲を演ろう」となるが、誰もそれが分からない。SEABIRDのママも「小松さんは何でも弾いちゃうから何が好きなのか全く分からないのよ」と言う。皆が口を揃えて言った事は「嫌な顔したのを見た事が無い」「知らない曲も譜面を十数秒黙って眺めたら直ぐにイントロを弾いた」等だ。

 

 

「出来るだけ明るい曲で」という和田さんのコンセプトで「On The Sunny Side Of The Street」などの演奏に続き、我々ヴォーカリストも小松さんに初めて伴奏してもらった曲など所縁ある曲を歌う。私は、定年まで勤め上げこれから音楽三昧という矢先の旅立ちへの「若過ぎる!」の思いを込めて「Too Young」を歌った。

 

【左上:Saigottimo、右上:益田伸子】

【左下:牧かおる、右下:柳田勝史】

 

追悼ライブの最後には「Now Is The Hour(今し別れの時)」という曲を全員で合唱して小松さんとお別れをした。この曲はラグビーワールドカップ2011ニュージーランド大会閉会式でも歌われたポリネシアの惜別の歌だ。以前、日本語の歌詞が見つけられなかったので邦題を頼りに私がナンチャッテ訳詞をした曲でもある。

Now is the hour when we must say goodbye.
今こそ 別れの時
Soon you'll be sailing far across the sea.
楽しかった ひと時も
While you're away, oh, please, remember me.
今では 心の糧(かて)
When you return, you'll find me waiting here.
またいつか 逢う日まで

(Tranlated by Saigottimo)

【英語で1コーラス、日本語で2コーラスを合唱】

 
私は毎月「見てくれないだろうな~」と思いつつ事前に歌いたい曲の情報等を全メンバーにメールするが、小松さんだけは律儀に「あの音源がエラーで聴けなかった」等と仰った。また私の唯一のオリジナル曲を褒めてくれたのも小松さんだけ。しかも「こんな美しい曲はないですね」と最高の賛辞を下さった事は一生忘れない。
 

小松正直さん、余りにも突然で早過ぎる旅立ちに我々は驚き、そして残念で残念でなりません。でも、長い間、本当にお世話になりました。いずれ我々も順次そちらに参りますので、その時はまた一緒に音楽を演りましょう!それまでは天国から我々の演奏を見て聴いて笑って泣いて楽しんで下さいね。合掌!

 

Saigottimo