2022年(令和4年)がスタートした。「感染力が強い」と恐れられるオミクロン株だが、感染しても無症状や重症化リスクが低ければ医療崩壊は防げるそもそもワクチンは「感染予防」より「発症予防」「重症化予防」が主目的である。まだまだ油断はできないが、今年は“人類がコロナに勝った年”にしたいものである。

 

さて、このブログではスタンダードやクラシック等の“名曲”に言及してきた。これまで“名曲”世に数あれど、2001年に「20世紀の名曲(Songs of the Century)」をランキングする試みが全米レコード協会(RIAA)等の主催で行われ、No.1には「虹の彼方に(Over The Rainbow)」が選出された(因みに2位は「ホワイト・クリスマス」)。

 

「虹の彼方に」は「ペーパー・ムーン」や「ストーミー・ウェザー」等の名曲を作ったハロルド・アーレンが作曲し、そこにエドガー・イップ・ハーバーグが詞を付けたという。この曲は1939年のミュージカル映画「オズの魔法使」で主演のドロシー役だった当時17歳のジュディ・ガーランドが歌ってアカデミー歌曲賞を受賞している。

 

 

そしてこの「オズの魔法使い(The Wonderful Wizard of Oz)」は、ライマン・フランク・ボームが1900年に出版した“アメリカ初のお伽噺”と称される児童文学であるが、同時に当時のアメリカが抱える政治的経済的問題を比喩的に表しているとも言われている(wikipedia参照)。

 

主人公の少女ドロシーは竜巻で遥か遠い土地に飛ばされる。そこで出会う案山子(かかし)とブリキ人形とライオンは、農民と工場労働者と政治家の暗喩で、それぞれ頭脳と心と勇気を欲している。ドロシーは知恵と真心と勇気を駆使して彼らを救って冒険を続け、最後には我が家に辿り着いて大団円、というお話である。

 

 

私の歌仲間の大津晃子さん曰く「私達の(jazzヴォーカリストの)仲間うちでは『星に願いを(When You Wish Upon A Star)』と『虹の彼方に(Over The Rainbow)』、この2曲は“お浄めの曲”と呼んでいるんです」とのこと。なるほど、確かにこの2曲はどことなく“神聖で穢れのない美しい曲”という印象がある。その共通点を探ってみると…

 

前者は、ゼペット爺さんが作った人形ピノキオの「人間になりたい」という純粋な願いが、そして後者はドロシーという少女の「あの虹を越え(て家に帰り)たい」という幼気な思いが綴られている。だからヴォーカリストとしてこれらの曲に感情移入して歌うには、たとえ自らは穢れ多きオトナでも純粋無垢な童心に戻る必要がある。

 

この曲が20世紀No.1の“名曲”であるかどうかはともかく、21世紀の現代に生きる我々にとっての教訓は、「純粋な願い(wish)」を抱き、その実現に向けて「知恵(Brain)」を絞り、「真心(Heart)」を尽くし「勇気(Brave)」を持って行動する、という事が時代や民族を越えた“人間の原点”ということなのかも知れない。

 

我々はともすると、欲にまみれた「邪な願い」を抱き、その実現に向けても「ろくに考えもせず」、他人のことなど忘れて「真心を尽くさず」、失敗や叱責を恐れて「勇気ある行動をしない」。そしてそれが“賢い小市民の生き方”だと信じている。だからこうした物語に触れると、自らの魂がハッと目覚めて感動するのではないか。

 

新しい年の初めに神社仏閣を訪れ神仏に願を掛けたり「今年の目標」を掲げた人も多いと思うが、その内容は「邪な願いではないか?」「自分の頭でよく考えたか?」「真心を尽くす覚悟はあるか?」「勇気を持って行動するか?」という4点に照らし“全て神仏任せ”になってないか、今一度見直してみるのも良いだろう。

 

「星に願いを」については以前に記事化したこともあり、私もレパートリーにしているが、「虹の彼方に」については以前に歌うことになりそうな機会はあったがレパートリーにはなってない。そこで新年早々、手元にあるウクレレを爪弾いて歌ってみたところ、確かに大津さんが仰る様に心が洗われるような気持ちになった。

 

♪虹の彼方に(Over The Rainbow)・・・新年早々ウクレレ弾き語り♪  ※サビのコードがムズいのでサビ前までで勘弁!

 

Saigottimo