12/19(日)、高齢者施設「ボンセジュール武蔵新城」で昨年に続いてクリスマス・コンサートに「Swing Bells」の一員として参加した。


このユニット(Swing Bells)は、山本晋平(ts,cl)、足立ゆみ(tp)ご夫妻に、広瀬俊行(p)、馬部祐三(b)、Saigottimo(vo)の5名編成のjazzバンドで、もともと昨年12月に足立さんのお母様が入っていらした施設など2箇所でのクリスマスコンサートに参加するために結成され、今年に入って杉並の施設での敬老の日コンサート、そしてこの日で4回目の公演となった。

この日の曲目は下記の通りで(○数字の5曲がヴォーカル曲で他の3曲が演奏のみの曲)、山本さんの選曲のコンセプトは「高齢者の方々が昔ラジオなどで聴いていた懐かしい曲を揃えた」というものである。


1.Hello, Dolly!
2.Sentimental Journey
③.On the Sunny Side of the Street(明るい表通りで)
④.Dream
5.It's Only a Paper Moon
⑥.White Christmas
⑦.聖夜(きよしこの夜)
⑧.リンゴの木の下で


山本さんご夫妻とは渋谷のSEABIRDでお会いすることはあるものの、このメンバーで顔を合わせて演奏するのはいつも本番当日だけなので4回目、しかもjazzのスタンダードと定番クリスマスソングなので、事前のリハーサルも当日の音合わせもないまま、いきなり本番に突入するのだからjazzバンドは凄い。


現地に到着すると、確か昨年もバンドメンバーにお茶の差し入れをしてくださった往年のお姉様に今年も熱烈歓迎を受ける。

「なによ、今聴いたらアンコールで準備しているのは『Stardust』1曲だけだっていうじゃない。もっと『虹の彼方に』とかもやってよ。私『アンコール!』って騒いじゃうからね」と嬉しい激励のお言葉とおひねりまで頂戴した。


控え室で「じゃあ、アンコールの予備曲としてこれも準備しますね」とバンマスの山本さんが皆に「虹の彼方に」の譜面を配るではないか。

そういえば確か昨年12月にはアンコールでこの曲を歌ったが、よく考えてみると私はそのとき初めてこの曲を歌い、その後は一度も歌っていないので、歌詞はすっかり記憶の彼方に飛んでいる。

慌てた私は「え、ちょちょ、それはその、急ですね、あの、歌詞が怪しくてですね...」とあたふたしていると、「あ、譜面があるので譜面の歌詞を見ながらでもいいじゃないですか」と山本さん。

しかし、今の私の視力では譜面の歌詞では小さくてとても見て歌えないので、急遽、別の譜面の裏に歌詞を大きく手書きで書き写して準備することにした。


コンサートは時間通り14時にスタート。

やっぱり生のウッドベースやクラリネット、トランペット、テナーサックスの響きは素晴らしい。

ヴォーカル曲も事前打ち合わせしかしていないが、リズムやテンポ、エンディングもバッチリ決めてくれる。

今回ソロでは初めて歌う「Dream」は少々不安だったが、ボサノヴァのリズムに乗って軽快に歌うことが出来た。

私がお願いした「繰り返しもブレークもなくフェルマータのみ」というエンディング指示はやや無理があったが、そこは臨機応変に自然なリタルダンドで処理してくれたので、聴いているお客さんは、まさかこのバンドで初めて演奏した(歌った)曲だとは思わなかったことだろう。

バンドがここまでしっかりしていると歌う方はラクチンだ。


後半の「聖夜(きよしこの夜)」と「リンゴの木の下で」はお客さん達と一緒に楽しく歌って終演、最後のメンバー紹介をしていると、あのお姉様が客席後方から「アンコール!」の強烈コール、そして聴衆の皆さんの拍手が湧き起こる。

まずは準備していた「Stardust」、バースの最初の音をポロンと弾いてもらおうと目配せすると、広瀬さんは電子ピアノをオルガンのトーンに変えて、なんと、あのナット・キング・コール盤の有名なイントロのフレーズをそのまま弾きはじめたではないか。

「おおーっ、すげー!」と、内心のけぞりながらナット・コール気分でバースから歌い始め、なんとか無事にランディングすると再びアンコールの拍手があって「ジングルベルを!」というアンコールリクエストも頂戴した。

バンドの面々は譜面もないのに、広瀬さんの「じゃFで」の合図で「あらよっ」とばかりにアンコールに応えて「ジングルベル」を演奏し、首尾よく終演予定時刻の15時とあいなった。

「虹の彼方に」は、きっとお姉様の記憶の彼方に行ってくれたのだろう(フーッ、私としては助かった)。


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