7月7日は七夕。日本では月例ライブ等で「7月は星に因んだ曲」として、よく演奏されるスタンダードに「星影のステラ(Stella By Starlight)」や「星に願いを(When You Wish Upon A Star)」などがあるが、なかでも星に因んだ定番曲といえば、やはり「スターダスト(Stardust)にとどめを刺すのではないだろうか。

 

1930年に「我が心のジョージア」を作曲したホーギー・カーマイケルがその3年前に作曲し、その2年後にミッチェル・パリッシュが詞を付けたこの曲は、「枯葉」にその座を奪われるまでは“年間を通じて最も多くのジャズ・ミュージシャンが演奏した曲”だったというから、やはりスタンダード中のスタンダードということだろう。

【Photo by ざわさん from写真ac

 

年配の方なら洋楽に明るくなくても「シャボン玉ホリデー」のエンディングでクレイジー・キャッツに絡まれながらザ・ピーナッツが歌っていた曲といえば、すぐにお分かりだと思う。ま、今やそんな昔のTV番組を知っている世代の方が少ないかもしれないが…。因みに同番組のエンドロールはロス・インディオス・タバハラスとの事。

 

そして、この曲ほどヴァース(前歌:別記事で詳述)が有名な曲はない。なんとシナトラには、この曲のヴァースだけを歌っているバージョンがある。開始約1分のところからヴァースを歌い始め、コーラス(主旋律)に入らずに3分弱で終わっている。さすがにこんなバージョンが存在するのは「スターダスト」だけだろう。

 

しかし、ここでハタと疑問が沸いた。ヴァースとは、通常ミュージカル等で楽曲に入る前の導入部分の台詞に主旋律とは別のメロディを付けたものだと理解している。でもこの曲はミュージカルの曲ではないし、カーマイケルが先に曲(メロディ)を書き、後からパリッシュが歌詞を書いたのに何故、ヴァースがあるのか?

 

そこでジャズスタンダードのバイブル「ジャズ詩大全」(村尾陸男・著)を紐解いてみた。すると「~ヴァースはパリッシュの作詞の時点で追加された~」と明記されていた。なるほど!これで謎は解けた。歌詞が出来る前(1929年以前)にはヴァースは無かったらしい。さすがバイブル、やはりこういう事は先人に訊ねるものだ。

 

スタンダード中のスタンダードだから、男性ヴォーカル、女性ヴォーカル、そしてインストゥルメンタル(楽器演奏)まで、それこそ数多くのアーティストがカバーしているのだが「この曲のテッパンを1曲挙げろ」と言われれば、やはりナット・キング・コール盤だろう

 

でも、私のイチオシは、ジョージ・ベンソン盤なのである。彼はギタリストとしては知らない人がいないくらい有名だが、実はヴォーカルも素晴らしいのだ。何となく野太そうな感じの見かけによらず、繊細で高い声(ナット・コールのB♭に対して半音で2つ高いC)で、バースからコーラスまでギターソロを挟んで美しく歌い上げている。

 

♪Stardust…2010年7月11日、渋谷・SEABIRD第二金曜ライブにて♪

 

Saigottimo