先週(5/21)、メディア界驚愕のニュースが流れた。英・BBCが故ダイアナ妃を欺いて取材したことを認めて英王室に謝罪し、1995年の衝撃のインタビュー番組が獲得した賞を全て返上する意向を示したのだ。BBC(英国放送協会)といえば英国の公共放送であり、日本ならNHKが皇室を欺いて取材するような大不祥事だ。

 

ジャーナリズムは民主主義の根幹かつ必須機能だ。国民に選出された代議員が政治を行う“間接民主主義”では「国家を取り巻く情勢はどうか」「自らの意に沿った政治が行われているか」といった情報を国民はメディアを通して知るしかないからだ。そのメディアが国家の中枢にある王室と国民を欺くとは・・・。

 

とはいえ資本主義社会ではメディアといえどもコマーシャリズム(商業主義)は無視できず、さりとて非資本主義(社会主義や共産主義)社会では政府を監視することが難しい。父親が新聞社勤務だったからかジャーナリズムに対する関心が高い私にとって、メディアの在り方を改めて考えさせられるニュースだった。

 

【右端は瞳さんのブログから】

 

「ダイアナ」と聞くと私は3人の女性を思い浮かべる。ダイアナ妃、そしてポール・アンカの大ヒット曲「ダイアナ」で歌われた彼の憧れの女性、もう1人は1976年の米映画「ネットワーク」フェイ・ダナウェイ演じる主人公の凄腕TVウーマンだ。メディアの本質を鋭く抉ったシドニー・ポラックのこの映画には個人的な思い出もある。

 

今でもこの映画のラストシーンの衝撃は忘れられない。私は口を半開きのまま呆然自失、エンドロールが終わって場内が明るくなっても金縛り状態で動けなかった。「いかん、立たなきゃ」と思い隣の連れを見ると、なんと全く同じくフリーズ状態だった。因みにこの時の連れは「うる星やつら」でラムちゃん役の声優、平野文さん。


文さんと私は同じ大学の同級生で共通の友人を介して知った。まだラムちゃんになる前だったが、既にラジオDJ等メディアの仕事をしていた彼女は身につまされたのだろう。この時は私の従弟が鹿児島から上京していて文さんのファンだというので彼女に声をかけ、お互い気になっていたこの映画を3人で観たのだった。

 

終演後も固まったままの我々二人を見て従弟が戸惑っていたので私が「フミさん!」と声を掛けると「いやぁ...業界の人が『観終わって動けなかった』と言ってたけど本当だぁ…」と呟きながらヨロヨロと立ち上がった彼女の姿をまだ覚えている。観終わったまま動けなくなるなんて経験は、私は後にも先にもこの映画だけだ。

 

今ではネットワーク≒インターネットなのでタイトルを見てもTVの話だと思わないかも知れないが、この映画が制作された当時まだインターネットは存在せずネットワークと言えばTV局の全国ネットの事だった。ただし、時代が変わっても、この映画と筒井康隆の短編「マス・コミュニケーション」はメディアの本質だろう。

 

そして1957年に全米No.1の大ヒットとなったポール・アンカの「ダイアナ」。例によって原詞は専門サイトを見て戴くとして、ナンチャッテ和訳するとこんな感じ。まあ、とてもじゃないが、この直訳の日本語では私を含めて日本人は恥ずかしくて歌えない内容だ。

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ダイアナ (words&music by Paul Anka)

僕はまだ幼くて、君は年上のひと
でも誰がなんて言おうと気にしない
僕は永遠に祈るからね、愛しい人
君と僕は自由になるんだ
木々の鳥たちが空に舞うように
ああ、僕のそばにいて欲しいよ、ダイアナ

君が僕を抱きよせる度に感じるスリル
ああ、愛しい人、君が一番さ
僕は君を愛してる、君は僕を愛してる?
ああ、ダイアナ、分からないよ
僕は君を心から愛してるよ
そして僕達は決して別れないよね
ああ、僕と一緒にいて欲しいよ、ダイアナ

愛しい人、ああ、僕の恋人
誰にも言わないことを僕だけに言って
心から君を愛してるから
ああ、君だけが僕の心をつかむ
君だけが僕の心を引き裂く
君がその愛しい腕に僕を抱くとき
僕は君の魅力の全てを感じとるのさ

僕をしっかり抱きしめて、愛しい人

力の限りに僕をすくい取って!

ああ、僕のそばにいて欲しいよ、ダイアナ
ああ、どうかお願い、ダイアナ
(Tlansrated by Saigottimo)

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ポール・アンカの心をここまで悩ませたダイアナという人は一体どんな女性だったのだろうと調べたら、どうやら3歳年上で弟のベビーシッターだったらしい。10代の男は年上の女性に憧れるもの。当時15歳で思春期の彼にとって、甘えられるベビー・シッターが18歳の女性なら、それこそ光輝く女神のような存在だったろう。

 

「ダイアナ」は、往時のロックンロールというか昭和30年代の日本のロカビリーブームの頂点に立つ曲。ジャズではないので歌う機会は余り多くないが被災地や高齢者施設等で歌うと間違いなく女性(お姉さま方)に大ウケして驚いたが、なるほど、こうした背景がお姉さま方の母性本能をキュンキュンさせるのかも知れない

 

最後に、故ダイアナ妃の名言を紹介したい。この一言は、私がこれまでこのブログを通じて模索してきた「自由に振る舞うにはどうしたらよいか」という問いの一つの答えではないかとも思われる。

"Only Do What Your Heart Tells You." by Princess Diana

「あなたの心があなたに語ることだけをしなさい」(ダイアナ妃)

 

♪Diana…2019年6月7日、渋谷・SEABIRD第一金曜ライブにて♪

※ テナーサックスの御子柴さんが、ママさん命名の“鶯谷サウンド(サム・テイラーばりのコテコテのキャバレー風サウンド)”をイントロから炸裂させてくれて(ロカビリーファンの私は)ゴキゲンでした!

 

Saigottimo