コロナ禍でも地球は公転しているから、春はやって来る。春の到来を告げる復活祭(イースター)は、“春分の日以降で最初の満月の直後の日曜”なので、今年2021年は4/4(日)になる。イースターの日本での認知度はまだ低いが、クリスマス、バレンタイン、ハロウィンに続いていずれ日本でもイベントとして定着するだろう。
冒頭の定義で分かるようにイースターは季節的には春を祝う行事、キリスト教的にはイエスの復活のお祝いでもある。名称の由来は太陽が昇る東(East)から来ていて、卵やウサギがフィーチャーされるのは繁栄の象徴とのこと。でも日本において人々が関心を示すのはHow toであって、WhatやWhyは殆ど重視されない。
だからイースターが何の祭りで何故お祝いするかはどうでもよく「何をすればいいか?」が分かり易く提示され、それが楽しくて誰でも出来れば人々は受入れるし定着していくことだろう。クリスマスでケーキを食べ、バレンタインでチョコレートを贈り、ハロウィンで仮装をする様に。てことはイースターの定着は卵業界次第か。
最近では恵方巻がそうだ。「節分の日に(今年は)〇〇の方角を向いて無言で食べると福が来る」というHow toが受入れられ普及し食物廃棄問題まで起こした。こんな訳の分からない風習がなんで急に普及したのかと不思議に思っていたら、カミさんが「主婦はこれで一食分の献立を考える手間が省けるからよ」成程ね…。
ジャズスタンダードとして知られる「イースターパレード(Easter Parade)」は、あのライザ・ミネリの母親、ジュディ・ガーランドと踊りの達人、フレッド・アステアが主演する同名ミュージカル映画(1948年)の主題歌でアービング・バーリン作。いかにも古き時代が薫るオールドソング。私は笈田敏夫さんのバージョンが好きだ。
原詞は例によって専門の歌詞Webに譲るが、ナンチャッテ意訳を試みるとこんな感じだ。
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目一杯フリルが付いているイースター帽を被る君は
イースターパレードのなかで“最高のレディ”になるだろう
私は何不自由ない暮らしをしているが、皆が君を眺めると
もうイースターパレード中で“最も誇らしい仲間”になれる
(ニューヨークの)五番街ではカメラマン達が僕らを撮る
そして君は朝刊のグラビアに自分を見付けることだろう
ああ、私はイースター帽と、私がこのパレードに連れて
った女の子について、定型詩だって書くことができるさ
(Translated by Saigottimo)
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イースター・パレードに連れて行った女の子が派手な帽子を被ってパレードで一番目立つレディとなり、新聞のグラビアに載ったことが誇らしくて仕方ない、というオジサン心理が描写されている。だから同じ女性を「レディ(lady)」と「女の子(girl)」として書き分けているのだろう。公開当時アステアは49歳でガーランドは26歳だった。
bonnetは婦人用の飾り帽子なのでeaster bonnetを“イースター帽”とし、the grandest ladyを“最高のレディ”、the proudest fellowを“最も誇らしい仲間”としてみた。また、[be] in cloverは贅沢(安楽)に暮らす(*1)という意味があるらしい。sonnetは14行構成のヨーロッパの定型詩、さしずめ日本なら短歌か?爺臭い感じだね。
♪Easter Parade…2003年8月30日・大塚「GRECO」のヴォーカルセッションにて♪
※間奏の頭で「珍しい選曲ね。ジュディ・ガーランドとフレッド・アステアの映画の主題歌よ」と囁いているのはベテラン・女性ヴォーカリストの志保澤さんの声だ、懐かしい…。
(*1)研究社新英和中辞典より
Saigottimo

