青年劇場公演『深い森のほとりで』感想 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

2024年は、再生の年です。

不正にまみれた政治を刷新し、コロナ禍で疲弊した医療・介護現場を立て直し、社会保障削減や負担増を撤回させ、防衛費倍増ではなく国民生活を豊かにするために税金を使わせ、憲法改悪を阻止し、安心して働き続けられる職場をつくるため、行動し、声を上げることを提起します。そして、戦争・紛争が一日も早く終結し、避難している人々の生活が立て直されることを願います。

そして、能登半島大地震で被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、一日も早く生活が立て直されるよう祈ります。

 

 

5月19日、青年劇場の公演『深い森のほとりで』を観に行ってきました。

コロナ禍でずっと観劇は自粛していたので、久しぶりの生の演劇鑑賞です。

今回の公演には、埼玉県内にある理化学研究所の解雇問題も盛り込まれていると聞いたのが観に行くことにしたきっかけだったのですが、解雇問題は冒頭に主人公の女性教授の下で研究をしていたポストドクターの青年が9年で雇い止めになるので民間企業に就職してしまうというとことに反映されていましたが、中心テーマではありませんでした。でも、いろいろな点で女性研究者が差別を受けているのは労働問題の一つと言えますし、研究費用得ることの大変さは、国民の命を守るために重要な分野にお金を使いたがらない日本という国において、いろいろな人が感じている共通の問題なのではないかと思いました。そういう意味合いもあってか、NPO法人医療制度研究所の本田宏理事長がパンフレットに寄稿されていますし、公演中に本田先生のアフタートークがある日もあったそうです。仕事が休めていたらその日に行きたかったですね。

 

ストーリーの中心は、新興ウイルスと研究者との闘いです。

舞台は全て主人公の女性研究者の研究室の中で展開し、外部にいる人は電話でのやり取りといった形でしか登場しません。それでありながら、ウイルスとの闘いは世界中とのつながりで展開していきます。

ストーリーが展開していく中で、リベロとしてバレーに没頭していたために卒論が書けず、教授にお荷物扱いされて研究室を追い出されてしまった女子学生の指導を頼まれたり、バングラディシュで学校支援をしたいと希望する姪とその母の確執に巻き込まれたり、いろいろな厄介ごとに主人公は見舞われます。女性が抱えている様々な生きづらさや日本社会の矛盾が描かれる中で、主人公が研究に対する情念を曲げずに困難を乗り越えていく姿に力づけられました。主人公の周囲の女性たちもどんどん強くなっていくのも痛快です。男性の登場人物たちの変化も見どころです。

時間経過は研究室のホワイトボードに書かれる西暦と月で示されます。それを見ると、いずれ主人公たちがコロナ・パンデミックに直面することになるだろうと予想がつき、これまでの困難に立ち向かってきた努力も無に帰してしまうのではないかと危ぶまれるのですが……物語は希望を残して終わります。

 

今回、日程の都合がそこ以外つかずに千秋楽の公演を観たため、ぜひ観てほしいとお薦めしたくも次の公演はないという現状なのですが、青年劇場の作品は再演されることもありますし、地方公演もあるかもしれませんので、そういった機会がありましたらぜひ観ていただきたいと思います。