こどもの日に考える・子どもの医療費助成制度 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、お知らせから。
派遣村マニュアルが下記URLからダウンロードできます。


東京 春の派遣村アクション
派遣村実行委員会パンフレット「あたたかい春を迎えるためのマニュアル」

http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/hakenmura/hakenmura.pamphlet09haru.html



元BP@闘争中様からの情報提供で、次のような相談活動もあります。


http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=158697

新潟プチ派遣村 5/2~5/6 労働相談、宿泊提供

(事務局:にいがた青年ユニオン)


http://mainichi.jp/life/edu/child/news/20090430dde041100053000c.html

働く女性のためのホットライン 5/7 (0120・787・956)

働く女性の全国センター(伊藤みどり代表)開設


http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=200905015

女性のホットライン・ふくしま 5/7から毎月一回電話相談




さて。今日は5月5日、こどもの日ですね。ですが今は、この日に身近な子どもの成長を祝うだけではすまないような状況になってしまっています。

経済情勢の悪化、貧困の広がりにより、十分な教育を受けられなかったり、病気や怪我の際に必要な医療を受けられない子どもが増えてきています。医療を受けられなくなる大きな原因の一つであった健康保険証の取り上げは、法改正によって改められました。(周知徹底が不十分だということで、こちらのエントリー のような呼びかけが行われている訳ですが) ですがもう一つ、高い窓口負担の問題があります。

日本では健康保険料を払っていても、医療機関を利用した際の窓口での自己負担は一般で医療費の3割です。つまり、保険料は応能負担で徴収されていますが、実際に利用する際は応益負担の考え方で費用負担が求められているということです。経済状況に関わらず人は病気になりますし怪我もしますが、経済的な困難を抱えている人は窓口負担を支払えないために必要な医療を受けられないという事態が生じます。

そのような、経済状況によって医療が受けられないという事態を、せめて子どもに関してはなくそうと、各自治体が子どもの医療費を助成する制度を設けています。これは、長年の市民団体の運動によって実現し、今もより拡充していく運動が続けられています。

しかし、これは自治体ごとの制度ですので、自治体の財政状況によって制度の対象年齢が大きく違います。

「しんぶん赤旗」2009年5月5日の1面記事によりますと、下の表のように格差は最大13歳となっています。



子どもの医療費助成制度の対象年齢 (2009年4月1日現在)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-05-05/2009050501_01_1.html


  対象年齢     通院       入院

3歳未満まで    5府県       1県

4歳未満まで    4県        1県

5歳未満まで    1県

6歳未満まで    2県        2県

就学前まで     31道府県    33府県

            15政令市    7政令市

7歳未満まで    1県        1県

小学校3年まで   2県        2県

            2政令市

小学校卒業まで  1政令市     3道府県

                      5政令市

中学卒業まで   1都        4都権

                      6政令市



ちなみに、埼玉県で労働組合や市民団体が共同して定期的に行なっている自治体との交渉においても、子どもの医療費助成制度は重要な課題の一つとなっています。2008年11月の対県交渉では中学校卒業までの医療費助成を要求しましたが、県の回答は各市町村や県の財政上難しいというものでした。また、居住する市町村以外の医療機関を受診すると窓口で一旦自己負担金を支払い、後日還付手続きをとる必要がある問題については、窓口負担を無料化すると国からの補助金が3割削られてしまう(!)のでできないという回答でした。


詳しくはこちらで。

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10161211422.html  


 

この大きな対象年齢の格差をなくすには、やはり国の制度として子どもの医療費補助制度が確立されなければならないでしょう。


上記の「しんぶん赤旗」の記事の中で、新婦人会長の高田公子さんは次のように述べています。引用部分は青で表記します。



国の制度の創設求める

新婦人会長  高田公子さん


 国が制度としていないため自治体で大きな格差があります。“どの子も最善の利益”が保障されている子どもの権利条約にも反します。子どものアレルギー性疾患が増え、貧困化がすすむなか治療がうけられず、病状を悪化させる子どもが多くなっています。EUや北欧などは二十歳未満の医療費は無料です。日本で就学前までの医療費を無料にするには千五百億円もあればできます。自治体任せにせず、政府の責任による国の制度の創設を求めて力を尽くしています。


子どもを守り育てていくためには、やはり必要な医療が必要なときに受けられるという制度があることが望ましいと思います。経済情勢が厳しい今こそ、子どもは平等に医療を受けられるようにするべきだという国の姿勢が示されるべきだと思います。