矢田部過労死事件行政訴訟第2回口頭弁論 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

本日は東京地裁にて、矢田部過労死事件行政訴訟第2回口頭弁論を傍聴してきました。

第1回口頭弁論の報告はこちらです。

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10173497485.html



第2回口頭弁論に先立ちまして、被告側から2月3日に準備書面1が提出されました。

この裁判は、矢田部暁則さんのくも膜下出血による死亡の労災申請を却下したことに対して、暁則さんのご両親が原告となって行なわれているものです。被告は足立労働基準監督署となります。被告側は34ページに渡る準備書面のうちの31ページ分は過労死の認定基準についての一般論に費やし、被災者についての記述は32ページからのみだということです。結論としては、くも膜下出血発症時に勤務していたトミナガでの勤務は過重ではなく、株式会社クォークでの勤務は発症よりも6ヶ月以上前であるために、業務起因性とすることはできないというものでした。

原告側は、過労死の認定では6ヶ月以上前の勤務についても付加要件として考慮するという基準になっていることを指摘し、クォークでの業務についての事情聴取は行なわないのかと被告側に質問しました。被告側の回答は、次回に補充として主張するというものでした。

更に原告側は、民事訴訟においてクォークが暁則さんの各店舗への配属日時やそれぞれの店舗の同僚の人数が不明であるとしていることや、就業規則を届け出ていないことなどを指摘しました。

また、次回に原告側からは、業務起因性の医学的な根拠について明らかにすることを表明しました。

次回口頭弁論は4月16日の午後4時30分から行なうことを確認し、第2回口頭弁論は終了しました。


終了後、控え室での支援者集会では、まず弁護団の斉田弁護士が裁判についての補足説明を行ないました。

今後、被告側はクォーク退職後の三カ月で疲労は回復したと主張することが予想されますが、原告側としては疲労が回復したとしても脳動脈瘤の病変が回復することはなく、また、蓄積した疲労は容易に回復するものではないということを医学的に反論する予定であるということでした。

また、多くの傍聴者が集まっていることが裁判所の態度にもよい影響を与えているということをおっしゃっていました。


会議に出かける時間になってしまいましたので、集会での発言についてはまた改めて追記します。



2009.2.5 22:20


帰宅して夕食も済ませましたので追記です。

支援者集会では、弁護団の次に国民救援会の方が発言されました。たくさんの人が傍聴に来ていることが大きな力になり、裁判所も被告側も態度が違ってきている、他の過労死裁判を闘っている人たちにも励みになるような判決を勝ち取れるようこれからも頑張りましょうとおっしゃっていました。

次に、首都圏なかまユニオンの方が発言されました。まず、松下プラズマディスプレイとの訴訟への協力にお礼を述べられていました。首都圏なかまユニオンでは8件の訴訟を行なっていて、そのうちの一つは病院のボイラー技士をしている派遣社員の方のパワハラによる精神疾患の労災事件で、矢田部さんと同様に業務外の認定についての再審査請求と損害賠償請求を行なっているそうです。共に頑張っていきましょうとおっしゃっていました。

次に、過労死被害者家族の会の方が発言され、3ヶ月の休養で疲労が回復するとは実感として考えられず、被告は過労死という結果を見てものを言うべきだとおっしゃっていました。

いの健センターの方が最後に発言され、民事訴訟では企業は認定基準を楯に口をつぐんでいるが、国は6ヶ月以上前のことも検討するとしていることから展望が見えてきたとおっしゃっていました。また、血管病変は原因となることがあった数年後に発症することもあるとわかっているのだから、他の疾患とは区別して考えるべきであり、クォークでの20ヶ月間の働かせ方を問題にすべきだともおっしゃっていました。そして、このような働かせ方があることは国民全体の健康の侵害だと捉えるべきだということを訴えていらっしゃいました。

最後に原告の方から、行政訴訟への支援署名は第1回口頭弁論で1905筆、今回は1324筆、計3239筆を東京地裁に提出し、民事訴訟の方はこれまでに2万2322筆をさいたま地裁に提出しているということが報告されました。


今回の報告は以上です。

民事訴訟については以下のエントリーをご確認ください。


矢田部過労死裁判・さいたま地裁第3回口頭弁論

http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10196255393.html