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前回、特許明細書に登場する「箱入り娘」の話をしました。

訳し方の話でもないのに、なぜいきなり箱入り娘?と思った方もいるでしょう。

実は、公報検索システムを比較するのに都合がよい語だったので、前振りとして利用しました。
なくてもよいといえばよい、余談みたいなものですね。

今回が本題です。
 

 

業界の方ならご存知かと思いますが、Google Patentには種類があります。
 

http://www.google.com/patents

http://www.google.co.jp/patents

https://patents.google.com/

 

上の2つで"箱入り娘"と検索しても何もヒットしないのに対し、3つ目で検索すれば、8件ヒット。

かたやJPlatPatの特許・実用新案テキスト検索で「公報全文」を検索すると、公開だけで4件、特許まで入れると7件ヒットします。

特許を入れると数が増えるのは、「同じ出願」で公開公報と特許公報の重複があるからですね。
実質、4件です。

一方、Googleのほうはヒットしている8件に、重複がありません。

特許庁のJPlatPatより、多くの公報を取得しています。

なぜ?
よく見ると、JPlatPatには出てこない番号には、Uのマークがついています。
そう。実用新案です。

JPlatPatのデフォルトでは「公開特許公報 (特開・特表(A)、再公表(A1))」だけを検索するようになっていますが、意図的に実用新案にチェックをつければ、同じように8件ヒットします。

かたやPatentscopeはどうかというと、Field Combinationで「Any field」を指定して箱入り娘を検索すると、4件ヒット。
こちらは実用新案が入ってきません。

翻訳者が実用新案を検索したいことはほとんどないでしょうから、入って「こない」ほうは特に問題ないと思います。
 

重要なのは、Googleだと「自動的に」実用新案が入ることのほう。
 

以前、「Googleの検索結果と「実在しない」コンテンツ」で、検索結果にはGoogle Translateの機械翻訳による特許明細書が混じっていることを示しました。
この機械翻訳は、実用新案にもかかっているようです。

 

実際、Google Patentでキーワードを "箱入り娘" ではなくローマ字で "Hakoiri musume" として、特許庁をJPだけに限定して検索すると、上の8件の機械翻訳バージョンが出てきました。

 

 

 

 


特許庁の限定を解除して、庁の指定なしでも結果は8件で同じです。
なんでもあり・・・ですね(笑)。




 

さて。
前回示したように、「箱入り娘」という語を含む出願には、国際出願があります。
そして英語のパテントファミリが存在します。

英語で列挙された8件の検索結果で、この国際出願には英語のパテントファミリの内容が表示されているかと思いきや、違いました。

昨日抜粋していた部分を比較したのが、下記です。

どうやらファミリとは関係なく、独自に日本語から機械翻訳しているようですね。

 

英語のパテントファミリ
The game known by the name of "Klotski" can be considered to be a variant of the 15 puzzle. It consists of a rectangular frame in which square or rectangular tiles are placed, these tiles being able to be displaced by sliding, as well as an empty location. The largest of these tiles has a square shape and is painted red (or identified in some other way). 
(US8382112)

GooglePatentの検索結果
The game can be regarded as a variant of the 15 puzzles that are known under the name "Klotski" (or "Hakoiri Musume"). The game consists of a rectangular frame, in the frame, square or rectangular tiles can be moved by sliding are arranged, furthermore, there is one cavity.  These tiles among largest of which are square-shaped, (identified by or some other method) that is painted red.

 

それでは、半角「Klotski」で検索すると、どうなるでしょうか。

Google Patentは、特許庁の指定をかけない状態で8件ヒット。
内訳は、以下のとおりです。

 

Grant CN202954598U
Grant CN202483371U
Grant CN201929544U
Grant CN204093012U
Grant US8382112B2
Application US20150367229A1
Application CN104739009A
Application CN103316484A

ここに、上記の日本公報機械翻訳バージョンは含まれません。和文公報も、なし。
代わりに国際出願のファミリになっているUS8382112が入ってきました。

そして他に米国の公開公報が1件、残りは中国です。

つまり和文公報の全角「Klotski」は、検索対象に「ならなかった」ということですね。
 

「Klotski」(または「箱入り娘」)という名称で知られているゲームは、15パズルの一変形形態と見なすことができる。このゲームは、長方形フレームからなり、そのフレーム内に、摺動させて動かすことができる正方形または長方形のタイルが配置されており、さらに、1つの空所がある。これらのタイルうち最大のものは正方形状であり、赤く塗られている(または何らかの他の方法で識別される)。
(特許第5389908号 3次元ブロックパズルタイプの論理ゲーム)

 

同じことを、Patentscopeで試しました。
半角「Klotski」のヒット数は6件で、内訳は以下のとおりです。

US20150367229A1
CN104739009A
US20110084445
JP2011522653
KR1020110008275
 CA2763449

 

上の2件はGoogleと一致し、3件目のUS20110084445はUS8382112B2の公開ですので、実質同じ。
JP、KR、CAは、いずれもWO2009150542のファミリです。

こちらは、半角検索でも、和文公報にある全角「Klotski」を拾ってきました。

件数だけでいえば、GoogleのほうがPatentscopeよりも多く取得しています。
でも、全角半角は区別されているように見えますね。

 

それならGoogleで全角検索したら、どうなるか? ・・・試しました。

"Klotski"

これでヒット「なし」となります。

以上、「箱入り娘」は、公報検索システムを比較する上で意外と便利なキーワードでした。

 

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