特許明細書で「箱入り娘」を検索すると・・・ | 特許翻訳 A to Z

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1992年5月から、フリーランスで特許翻訳者をしています。

「箱入り娘」という言い回しは、ある意味で日本語に特有のものらしく、インターネット上には「どう訳すか」「どう表現するか」について様々な意見が出ています。

 

文脈によってニュアンスが違うこともありますし、たしかに難しいですね。

でも今回は、特許明細書に登場する「箱入り娘」について。

そんなものが明細書に出てくるのかと思いきや、少ないながら出ています。
通常の意味での箱入り娘と、ゲームの名称としての箱入り娘です。

 

「Klotski」(または「箱入り娘」)という名称で知られているゲームは、15パズルの一変形形態と見なすことができる。このゲームは、長方形フレームからなり、そのフレーム内に、摺動させて動かすことができる正方形または長方形のタイルが配置されており、さらに、1つの空所がある。これらのタイルうち最大のものは正方形状であり、赤く塗られている(または何らかの他の方法で識別される)。
(特許第5389908号 3次元ブロックパズルタイプの論理ゲーム)


こちらはゲームのほうで、フランスを優先権主張国とした国際出願の翻訳文です。
そこで、いくつかあるファミリのうち、国際出願(仏語)と米国出願から該当部分を抜粋します。

 

Le jeu connu sous le nom de « âne rouge » peut être considéré comme une variante du taquin. Il est constitué par un cadre rectangulaire dans lequel sont placées des tesselles carrées ou rectangulaires pouvant se déplacer par glissement, ainsi qu'un emplacement vide. La plus grande de ces tesselles a une forme carrée et est peinte en rouge (ou identifiée d'une autre manière). 
(WO2009150542)

The game known by the name of "Klotski" can be considered to be a variant of the 15 puzzle. It consists of a rectangular frame in which square or rectangular tiles are placed, these tiles being able to be displaced by sliding, as well as an empty location. The largest of these tiles has a square shape and is painted red (or identified in some other way). 
(US8382112)
 

 

箱入り娘の部分については、フランス語が「âne rouge (赤いロバ)」、英語では「Klotski」ですね。

Wikipediaの「箱入り娘 (パズル)」に簡単な歴史が説明されていて、特許出願について言及されています。
左サイドバーの言語選択欄から「English」を選択して英語ページに飛ぶと、特許番号もいくつか出ていました。

ゲーム以外の「箱入り娘」には、たとえば次のようなものがあります。
 
例えば、家族構成が、男1人、女3人であり、平均年齢が”高”であり、最高年齢と最少年齢との差が”中”の場合には、娘は永遠の箱入り娘達であるような4人家族(名付けて、不行姉妹)であると考えられ、それに該当する家族パターンに分類される。
(特開2002-259656  コンサルティング支援方法及び支援装置 (株式会社トリプルエス))

また、ユーザが操作部12を操作して図14(b)に示すような文字(箱入り娘が)を撮像画像F1に対応して入力することで、端末10は撮像画像F1に対応付けた文字21を取得する。
(特許4203494 コンテンツ提供方法、コンテンツ提供システム、コンテンツ提供装置、及びコンピュータプログラム (個人の出願))
 
下は単なる画面表示文字ですから、訳すならローマ字で「Hakoiri Musume」で良いでしょう。
翻訳に悩むのは上ですね。人を対象とした話ですので。それも、永遠の箱入り娘達(笑)。
こんなの、どうする・・・・。

余談ですが、特許4203494号に添付された図面には、箱に入った猫の図が描かれています。
図14(a)です。
 
たしかに猫って、なぜか箱が好き。我が家でも、箱を見つけると、すぐ入ります。
どうしてこんなに箱が好きなのでしょうね。
 
(我が家の箱入り娘 11歳メス)