教科書も変わる?遺伝学の用語変更、翻訳への影響は… | 特許翻訳 A to Z

特許翻訳 A to Z

1992年5月から、フリーランスで特許翻訳者をしています。

遺伝の法則の「優性」「劣性」は使いません――。誤解や偏見につながりかねなかったり、分かりにくかったりする用語を、日本遺伝学会が改訂した。用語集としてまとめ、今月中旬、一般向けに発売する。

 

上記は、本日9月7日付け朝日新聞(東京版)朝刊34面に掲載された記事の冒頭です。

デジタル版でも、全文を読むことができます。
(→「優性」「劣性」遺伝、使いません 学会が用語改訂:朝日新聞デジタル)

 

記事には、「優性」「劣性」が「顕性」「潜性」と言い換えられる理由が説明されています。

「変異」が「多様性」、「色覚異常」「色盲」が「色覚多様性」になるなど、他にも変更があるようです。

 

 


何年か前にも、日本遺伝学会が頻出用語を大きく変更して、結果的に市販の辞書に訳語のばらつきが生じたことがありました。

 

今回は、教科書の用語も変更するよう、学会が文科省に要望を出すとのこと。

 

こうなると、専門辞書も紙版は改訂を強いられることになる可能性がありますが、インターネット上には、古い(?)表現が山のように残っています。

学会が用語を変更し、教科書にも反映させたからといって、そう簡単に世の中が塗り替えられるとは思えません。


検索エンジン、論文データベース、書籍・雑誌の記事検索、新聞検索・・・・・

変更の事実すら知らないまま、デジタル手段での検索によって翻訳文に古い表現を使う人も絶対に出てくるでしょう。
それ以前の問題として、学会と教科書で使う言葉が変更になるとして、翻訳文にそれをどこまでどう反映させる必要があるのかないのか・・・・。

「翻訳者として」考えなければならないことは、山積みです。

この用語変更が今後どうなっていくのか、目を離せませんね。