「酸付加塩」はフランス生まれ?との関連です。
先日、WIPO Pearlで遊んでいたところ、意外なものを見つけました。
(WIPO Pearlというのは、特許明細書から抽出した技術用語の関連性等を表示できるキーワードツールです。)
何気なく、「酸付加塩」を検索してみた結果です。
以上のとおり、酸付加塩に対応しているとされる言い回しが、フランス語だけ複数あります。
そしてこの中には、前回『Dictionnaire chimique et technologique des sciences biologiques』で見つけたsel d'addition d'acideも、含まれます。
加えて、前回までの検索で使った sel d'addition acideには、「AVOID」と付されています。
(※推奨語にRECOMMENDED、避けるほうがよい語にはAVOIDの表示が付きます。)
仏語ファミリが存在する公報を調べたとき、たまたますべてsel d'addition acideだったため、検索はこれで試しました。
「製薬分野」と「フランス」という背景にあるものが浮き彫りになりましたし、目的は果たせています。
ただ、実は4とおりもあって、使ったのはAVOID語だったとは・・・。
参考までに、そのまま単語だけ置き換える形で強引に英語にすると、おおむね次のようになります。
sel d'addition d'acide → salt of addition of acid sel d'addition à un acide → salt of addition to an acid sel d'addition acide → salt of acidic addition sel d'addition avec un acide → salt of addition with an acid |
AVOIDとなっているsel d'addition acide以外、表現そのものに不自然さはありません。
そして、なぜ製薬の明細書でacid addition salt という奇妙な英語になったのかは、わからないままです。
ただ、acid addition saltが仏語からの誤訳由来という仮説は、おそらく正しいのではないかなと。
日本語の「酸付加塩」をはじめ、他の言語では、たぶん英語からの誤訳の直訳でしょう。
WIPO Pearlから、意外な掘り出し物(笑)でした。
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