昨日付けで、特許庁から『特許・実用新案審査ハンドブック』の改訂に関する通知が出ています。
今回は、翻訳者には、本体より附属書のほうが重要かもしれません。
(本体がどうでもよい、という意味ではないです。念のため。)
付属書には、ソフトウェア発明で請求項の末尾が「プログラム」以外の語でも「プログラム」として扱われる例が示されたり、プロダクト・バイ・プロセス(PBP)の裁判例が追加されたりしています。
特にPBPは、翻訳の仕方ひとつで物がPBPになるということも有り得るので、大事です。
余談ですが、以前に「組み合わせてなる」という文言をめぐる判例を引いて、該当する文言が今後は判例を念頭に解釈されるのか否か、特許庁に問い合わせたことがあります。
そのときの回答は、一言でいえば「法令や審査基準が改正されない限り、特定の判決がその解釈に影響を与えることはない」でした。
特定の事件で特定の表現に何らかの解釈がなされても、同じ表現が別のケースで同じように判断されるとは限らないという、当然といえば当然の内容も丁寧に説明してくださって、そのときは終わっています。
・・・・が、特許庁がOKだということと、裁判等でどうなのかというのは全く別問題。
審査ハンドブックをはじめ、特許庁が資料に例としてあげてくる判例は、庁自体が何らかの理由で着目しているのは間違いないですから、気にしておいて損はないと思います。
一昔前は、こういう改訂・改正等の情報も翻訳者が在宅で手に入れるのは意外と難儀でしたが、最近は公示当日、時差があっても翌日からせいぜい数日で普通に知ることができます。
本当にありがたい時代ですね。