【書籍】欧州特許-要点解説 欧州特許入門 | 特許翻訳 A to Z

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1992年5月から、フリーランスで特許翻訳者をしています。

欧州特許に関する日本語の書籍は、たとえば米国特許に比べると、圧倒的に少数です。

私が翻訳者になったばかりの90年代前半には、片手で数えるほどしか刊行されていませんでしたし、25年を経た現在でも、難なく「すべてを」読破できる程度の冊数です。
こうした書籍を、翻訳者の立場から、少しずつ順番にとりあげます。

 

 

■要点解説 欧州特許入門―出願から審査・異義・審判まで
初版が2002年、現在の第2版が2008年です。
著者は、大阪大学を卒業後に特許庁に入庁し、審査官を経たあとに弁理士資格を取得しています。
USPTOでの弁護士登録もあり、特許関係の著書が何冊か出ています。
(→著者プロフィール

本書は、見開き2ページまたは4ページを1単位として、青と黒の2色刷で構成されています。
(→目次
すべての見出し項目に英語が併記されているため、インターネットで条文や審査基準を調べるときの手がかりにもなります。
現行法と照らすと情報が古い部分もありますが、法制度に初めて触れる人がEPCの概要を大ざっぱに俯瞰するには、ちょうどよい内容と量でしょう。

【索引】
第2版で233ページから239ページが五十音順、241ページから243ページがABC順(116項目)

 

 

 

■ヨーロッパ特許要点ガイド

初版が上記と同じ2002年で、2007年、2010年、2012年に改訂されて版が変わっています。

日本の弁理士が書籍全体の構成、枠組みを設計し、欧州の弁理士・ドイツ弁理士が英文で原稿を作成した後、日本の弁理士が検討して日本語化するという3段階で執筆されています。
2010年の改訂2版でAmazonの目次閲覧が可能になっています。

この書籍も、見出し項目に英語が併記され、見開き単位で構成されています。
赤と黒の2色刷。

【索引】
2010年改訂2版で、274/275ページがABC順(95項目)、276から278ページが五十音順

 

 


両者とも、概要書のような書籍で、細かいことまでは書かれていません
ただ、各論を扱う書籍では「どこが重要で、どこがそうでもないか」が分かりにくいのに対し、総論寄りだと「ここだけは押さえておきたい」ポイントが明確です。
両者には重複する内容も結構ありますが、両方に目を通すと、視野は確実に広がります。

私は以前、この2冊を使ってEPCの制度と対応条文をA4版のノートにまとめたことがあり、そのノートは「いまでも」時々使います。
この制度、何条だったっけ?というようなときにインデックス感覚ですぐに調べられるので、かなり重宝しています。

■関連記事

【書籍】欧州特許(2)-欧州特許実務ガイド

【書籍】欧州特許(3)-実務家のための欧州特許条約
 


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