ツアーから帰ってきたらアルバムがほぼ完成していた!?ってどうなのよ でも名盤!! | 音楽でよろこびの風を

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世間を騒がす夫婦音楽ユニット 相模の風THEめをと風雲録

よろこび製造所へようこそ。
相模の風THEめをとのダンナ
いしはらとしひろです。

今日の妄想レコードは
ビーチボーイズの大名盤
「ペットサウンズ」を語る2回目。



1966年 日本を含むアジアツアーから
帰国したビーチボーイズ。

一人カリフォルニアに残って
レコーディングをしていたリーダーの
ブライアン・ウィルソンから
「もうアルバムはほとんどできあがってるから」
と告げられたメンバーは愕然とします。

「すっげーいい出来。
後はみんなのコーラスと、
あと、この曲とあの曲に
カールとマイクのリードヴォーカル
入れてくれれば完成だから」
と告げられたビーチボーイズのメンバーは
面食らったと思います。

しかも完成間近の音源を聴いて
さらにびっくり。
今までのビーチボーイズの売りだった
海もサーフィンもドライブも出てきません。

確かに綺麗な曲が多いけど
なんか、内省的で
今までのはじけるような
明るさや元気さはどこに行った?

これを聴いた
リード・ヴォーカルのマイク・ラヴは
あまりのショックに、ブライアンに対して
「こんな音楽誰が聴く?
犬にでも聴かせるつもりか??」
と言い垂れます。
後年大傑作として評価されることなど
知らずに。

でも、このマイク・ラブの
気持ちも分かります。

自分たちがツアーに行っている間に
ほぼ完成している、
というのにもカチンときたでしょうが、
それ以上に、
今までの自分たちの売りだった要素が
ほとんど入っていない、というのにも
びっくりしたと同時に
不安に思ったに違いありません。

素晴らしい大傑作を作ったにもかかわらず、 
このあたりから、ビーチボーイズのメンバーと
リーダーのブライアンの間に
亀裂が入り始めます。

また、これを聴いた
レコード会社の首脳陣も
びっくりしたのでしょう。

ペットサウンズを出した二ヶ月後に
ビーチボーイズのベスト盤を出すという
暴挙にでます。

ペットサウンズを
売るためのプロモーションを
まだまだ頑張らなきゃいけない時期に
早々と放棄してしまい。
確実に売れそうな夏の代名詞、
過去の大ヒット曲を網羅した
ベスト盤を出したのですから
これもレコード会社の慌てぶりが
目に見えるようです。

そしてこのアルバムの次に作る
「スマイル」のレコーディングが
迷走したあげくにお蔵入り。

でも、それはそれとして。

このアルバムの価値は揺るがない。
時間をかけて、たくさんの人に認められ、
愛され、「名作」のポジションを
確立していきます。

本物の強さ。

そして今でも、
この素晴らしい音楽の果実を享受できる幸せ。

じっくり聴きましょうよ。
ペットサウンズ。

きっと滲みるはず。