東京ミッドタウンのデザインハブで開催中のグッドデザイン企画展・ベスト100を見てきました。
例年、この時期には、グッドデザイン受賞対象全てを展示する「グッドデザイン受賞展」というのが開催されていますが、今年はコロナ渦で、ベスト100対象のみの展示となりました。
本年度の開催概要が記されたパネルです。4769件の応募があり、1395件の受賞ということが分かります。
平日の夕刻に観に行ったのですが、ガラガラです。毎年の受賞展は大変な混雑なので、個人的にはこの方が見やすくて良いと思いました。
例年、ベスト100は東京ミッドタウンの地下展示場で開催されますが、今回は商業棟にあるデザインハブでやっていました。こちらの方が明るくて、良いと思います。
ベスト100ですので、大変良い商品ばかりです。こちらはウォーキングポールAYURI というものです。杖ではなくて、健康な方が使用して、歩行姿勢を補正し、運動効率を上げてエイジングケアにつながるというものです。構造特許も取得と説明がありました。健康産業は今後の成長産業でもあるので、販売に期待がかかる商品だと思います。
こちらは、イトーキ社のイスです。複雑な折畳み機能は排除。シェル部そのものを持ち上げて畳むというユニークなデザインです。因みにこの商品のデザインには、お世話になっている千葉工業大学の松崎先生が手掛けられているようです。
こちらは、JINS社の鼻パッドのない眼鏡です。鼻パッドは、ファンデーションがとれてしまったり、重く気になる、等々の問題があったようです。今回は耳部にシーソ状のパーツを設けることで上手く解決していました。かけ心地も良いです。これ、買おうかなと思っています!
これは素晴らしいと思った1品です。YKKマグネットファスナー。
左右のファスナー開具を近づけるだけで、吸い付くように「ピタっ」と重なります。磁石の力によるものなのですが、よく中々上手に重ならずイライラすることありませんか? そんな心配がないのです。。これは素晴らしく、超ユニバーサルデザインだと思いました。
子供、シニア、障害のある方、みんなが気持ちよく使える商品です。さすがですね!
これは、タニタ社のカード型 活動量計です。通常の各種カードと同じサイズにすることで、携帯性を高め、社員証や会員証、診察券など様々なカードインフラと連携が可能なようです。
通信システムや、充電の仕組み、各連動アプリとの連携など、システムそのものの優秀さも素晴らしいのですが、活動量計をカードにするという発想、商品企画力が大変優れていると思いました。
これは、オーダーメイドインソールというものです。足の写真を送ると、3Dプリントされたインソールが自宅へ届くというサービスです。実際に触ってみましたが、場所によって硬さが異なり、多分、靴に入れて使用すると良いのだろうなと想像することができました。
こちらは、重量物の運搬に使われる台車用の車輪です。ニンジャホイールという名称で、全方向への移動ができるようです。自動運搬台車への装着が期待されているとのことで、今後こうした技術へのニーズは高まると思います。
これは、皆さんも日々使用することになったと思いますが、ビデオ会議システムZOOMです。ユーザの要望を受けて、定期的に修正、改善が行われているところも評価されていました。これは、大賞候補かも知れません。。
こちらは、横浜ゴムの大型トラック用スタッドレスタイヤです。通常、トラックの後輪はダブルタイヤとなっているのですが、この商品は超ワイドシングルとしています。軽量化やメンテナンス性の向上が目的とのこと。実際に普及させるには、ホイールも含めて換装しなくてはならないので、少し時間がかかると思っています。
こちらは近畿日本鉄道の特急「ひのとり」です。車両全体のリニューアルなので、いろんな訴求ポイントがあるのですが、私は下記に注目しました。「全座席へのバックシェル採用により、後ろの方への気兼ねないリクライニングを実現し、体験価値を向上した。」つまり予めリクライニングした状態のシートシェルになっているので、気兼ねなくシートバックを倒せるようです。これはいいですね!
これは、家庭用ロボットLAVOT です。抱き上げた時の心地よさ、愛くるしさなどを追及した癒しロボットで、道具としての機能は特にありません。
しばらく近くに居て、見たり触ったりしたのですが、ちゃんとこちらを見て、自然な瞬きをして、しかも身体が暖かいんですよ。。声のような音も聞こえるし、もう本当に生きているのかと思いました。
しかも、他の商品をみようと離れると、名残惜しい感じで、こちらを見るんです。これはちょっと驚きました。30万円とのことですが、こういう商品は、これから必要になってきそうな予感がしました。
こちらはカシオ計算機の医療用デジタルカメラです。皮膚がんの早期発見をするためのカメラで、医療機器ということになります。
ボディーは、継ぎ目のないもので、汚れ、汚染物の堆積が少なくて済みそうです。
患者さんの皮膚に近づけて撮影する必要があり、持ちやすさや操作性も十分に検討されていると思わせるものです。さらに患者さん視点では「威圧感」や「恐怖心」がないことも大切でしょう。そのような配慮も感じました。
こちらは、ニコン社の教育用顕微鏡です。「実習教育では、初学者に顕微鏡の操作を教える教員の負担が大きいことや、学生が授業のたびに顕微鏡を棚から運搬し設置、撤収する負担が課題でした。」という説明がありました。なるほど、持ち手があり、ACコードの収納部も工夫され、顕微鏡本来の機能と、ユーザビリティを上手く両立させたデザインとなっています。
今回、ご紹介できたのは、1部だけでしたが、さすがにグッドデザインベスト100ですので、全てよく考えられた商品ばかりで、来場者も少ない為か、例年よりもしっかりと視察ができたと思います。
今年は、コロナ渦で色々なことが変わりました。今後もすぐには戻らないと思います。しかし、この展示会のように例年とは違った展示会場、会期の延長、展示数の削減、オンラインとの組み合わせ等により、良い効果もあるということが分かりました。
皆がマスクをしているので、季節性インフルエンザも例年よりも大幅に少ないそうです。
これからしばらく続きそうな withコロナ ですが、皆で工夫しながら上手に生活していけるのではと、考えさせられた企画展でした。
グッドデザイン対象は10月30日に決まります。楽しみにしております。
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