新幹線に防犯カメラ 車内トラブルに対応
新幹線車両に、防犯カメラの設置が始まった。昨年8月に特急列車内での婦女暴行事件が発生するなど車内トラブルが頻発しており、暴力事件や爆弾を仕掛けるといったテロ行為を未然に防ぐのが目的だ。ただ、乗客のプライバシー侵害やコストの問題もあり、今のところ、鉄道会社は車両全体にカメラを設置することには及び腰だ。
防犯カメラを設置したのは、東海道・山陽新幹線に1日から登場したN700系(16両編成)の新型車両。防犯カメラは乗降口の上部など計60カ所に埋め込まれ、車両デッキを撮影。映像は録画される。リアルタイムで乗務員室でみることもできる。JR西日本によると「ドアを開く非常用コックや配電盤へのいたずら、車掌への暴行などを防ぐのが目的」という。
JR東日本も、来年12月から山形新幹線に導入するE3系(7両編成)の出入り口上部に防犯カメラ計14台を取り付ける。こちらも映像を録画し1週間ほど保存。テロ行為や暴力事件などを防ぐことが狙いだ。
JR各社が防犯カメラ設置に踏み切った背景には、車内トラブルが頻発していることがある。今年3月には、静岡県内を走行中の新幹線から、男性が非常用コックでドアを開けて飛び降り死亡。昨年8月には、JR北陸線の特急車両で、女性が乱暴されるという凶悪事件も起きた。こうした事件、事故を未然に防ぐためにもカメラ設置が必要と判断した。
乗客からも防犯カメラ設置を求める声が高まっているというが、鉄道車両全体にカメラを設置するには解決しなければならない課題もある。乗客のプライバシー保護と設置コストだ。
今年6月に開かれた西武ホールディングスの株主総会では、株主から痴漢や痴漢冤罪(えんざい)などを防ぐために、車両に防犯カメラ設置を求める提案があった。しかし、経営側は「プライバシーへの配慮などの検討が不十分で(改修や設置に)コストもかかる」として反対、設置案は否決された。
他の鉄道各社も基本的に西武ホールディングスと同じ考え。「デッキは常に乗客がいる場所ではなく、プライバシー侵害の問題はない」として新幹線には設置したJRも、在来線に広げる予定はないという。