【LOVE or LIKE】(前半)
【LOVE or LIKE】:様々な形の『愛の物語』を集めた恋愛アンソロジー。
【リアルラブ】:石田衣良著
この作品では『肉体関係』だけが強調されているように思えた。
それが恋や愛とは無関係に描かれているように感じ、自分は受け入れられなかった。
そういった観点から、自分はこの話は好きになれなかった。
【なみうちぎわ】:中田永一著
失って初めて気づく大切さ、愛おしさ。それらが明瞭に伝わってくる作品。
少年から青年へと成長するとき、少年の中で育まれる『愛』
消したくても消えない想い。大切な、大切な想い。
自分を変える強さをくれるモノは、きっとその中にあるんだ、と感じた。
自分はこの話はとても良かったと思う。
【ハミングライフ】:中村 航著
素敵な出会いから別れまで、美しく淀みなく流れていく二人の物語。
美しい出会い。美しい別れ。
人は誰しも出会い、そして別れるものだと思う。
その防ぎようもない大きな流れの中で、誰もが願うこと。
「美しく出会い、美しく別れたい。」
その願いを実現させた作品。
キレイでかわいらしい、そんな話だと思う。
【天使の囀り】
【天使の囀り】:貴志祐介著
精神科医である北島の恋人、高梨がアマゾン調査隊に参加。
異常なまでに死を怖れるタナトフォビアだった高梨が、
帰国後、死への希望を口に出し始める。
帰国後しばらくして、高梨が自殺。
その後アマゾン調査隊参加者が謎めいた自殺を遂げる。
高梨が死の直前に口にした言葉『天使の囀り』とは一体・・・。
この本は(他の貴志祐介作品も同様だが、本作は特に)グロさが目立つ作品だ。
とにかく描写が生々しい。モノ(生き物)の質感、躍動感がリアルに描写されている。
よく言えば、こちらの想像力を刺激する表現力豊かな文章、なのだろう。
だが、やはりグロい。物語を進める上で必要だったのかどうか・・・。
この本はあらすじを読んで一目惚れし、購入したのだが、
『天使の囀り』の正体には何となくガッカリした。
物語中盤でほぼ全てに予想がついてしまうのも
失望感を増幅させているのかもしれない。
本作は他の貴志祐介作品に比べ、終わり方も素直で意外性は薄かった。
リアリティの追求。ホラーにとってそれは重要だと思われるのだが、
どこまで追求するか、その程度が更に重要なのだと感じた。
本作にはそれを求めるあまり、学識的な著書に近しいモノを感じた。
一部、内容が内容なだけに怖さよりは圧倒的なグロさが目だつ。
が、やはり読み出すと止まらない。最後まで一気に読みたくなる。
そういったことを考えると、やはり良作なのだろう。
次は【青の炎】を読もうと思う。
【星々の舟】
【星々の舟】:村山由佳著
どうも恋愛小説といったものは感想が書きづらい。
恋愛小説というジャンルに求められるもの、がよくわからないせいかもしれない。
一つの家族に起こった様々な出来事。
どこにでも起こり得るが「平凡」の一言で片付けてはいけない出来事。
そんな出来事を体験しながら成長する家族たち。
それぞれが同じ時間を共有しながら、違った世界を生き、成長する。
その中で一人一人がそれぞれの目線で体験し、考え、答えを出す。
それぞれが背負った重み・・・それに対して各々が答えを見つけていく。
次男と長女の禁断の恋であったり、
長男の「生きる場所」であったり、
次女の性癖であったり、
自分を出すことへの恐れを抱く孫であったり、
戦争にとらわれ続けている父親であったり・・・
総合的にはとてもよい本だったと思う。何かの賞を取ったのも納得。
だが、途中どうも読む気にならない、中だるみの部分もあった。
最後は読みきってよかったと思う内容だったし、
最後の二つの章(孫と祖父の章)には感じるものが多かった。
読みきってしまうとそれまでの章は「家族に起こった出来事」を理解するための
プロローグのようなものに、自分には感じられた。
村山由佳著【天使の卵】よりもよかったと個人的には思う。

