理系の読書入門。 -7ページ目

【LOVE or LIKE】(前半)


【LOVE or LIKE】:様々な形の『愛の物語』を集めた恋愛アンソロジー。



【リアルラブ】:石田衣良著


この作品では『肉体関係』だけが強調されているように思えた。



それが恋や愛とは無関係に描かれているように感じ、自分は受け入れられなかった。



そういった観点から、自分はこの話は好きになれなかった。



【なみうちぎわ】:中田永一著


失って初めて気づく大切さ、愛おしさ。それらが明瞭に伝わってくる作品。



少年から青年へと成長するとき、少年の中で育まれる『愛』



消したくても消えない想い。大切な、大切な想い。



自分を変える強さをくれるモノは、きっとその中にあるんだ、と感じた。



自分はこの話はとても良かったと思う。



【ハミングライフ】:中村 航著


素敵な出会いから別れまで、美しく淀みなく流れていく二人の物語。



美しい出会い。美しい別れ。



人は誰しも出会い、そして別れるものだと思う。



その防ぎようもない大きな流れの中で、誰もが願うこと。



「美しく出会い、美しく別れたい。」



その願いを実現させた作品。



キレイでかわいらしい、そんな話だと思う。


【天使の囀り】

【天使の囀り】:貴志祐介著



精神科医である北島の恋人、高梨がアマゾン調査隊に参加。



異常なまでに死を怖れるタナトフォビアだった高梨が、



帰国後、死への希望を口に出し始める。



帰国後しばらくして、高梨が自殺。



その後アマゾン調査隊参加者が謎めいた自殺を遂げる。



高梨が死の直前に口にした言葉『天使の囀り』とは一体・・・。




この本は(他の貴志祐介作品も同様だが、本作は特に)グロさが目立つ作品だ。



とにかく描写が生々しい。モノ(生き物)の質感、躍動感がリアルに描写されている。



よく言えば、こちらの想像力を刺激する表現力豊かな文章、なのだろう。



だが、やはりグロい。物語を進める上で必要だったのかどうか・・・。




この本はあらすじを読んで一目惚れし、購入したのだが、



『天使の囀り』の正体には何となくガッカリした。



物語中盤でほぼ全てに予想がついてしまうのも



失望感を増幅させているのかもしれない。



本作は他の貴志祐介作品に比べ、終わり方も素直で意外性は薄かった。



リアリティの追求。ホラーにとってそれは重要だと思われるのだが、



どこまで追求するか、その程度が更に重要なのだと感じた。



本作にはそれを求めるあまり、学識的な著書に近しいモノを感じた。



一部、内容が内容なだけに怖さよりは圧倒的なグロさが目だつ。




が、やはり読み出すと止まらない。最後まで一気に読みたくなる。



そういったことを考えると、やはり良作なのだろう。



次は【青の炎】を読もうと思う。




【星々の舟】


【星々の舟】:村山由佳著



どうも恋愛小説といったものは感想が書きづらい。


恋愛小説というジャンルに求められるもの、がよくわからないせいかもしれない。



一つの家族に起こった様々な出来事。


どこにでも起こり得るが「平凡」の一言で片付けてはいけない出来事。


そんな出来事を体験しながら成長する家族たち。


それぞれが同じ時間を共有しながら、違った世界を生き、成長する。


その中で一人一人がそれぞれの目線で体験し、考え、答えを出す。


それぞれが背負った重み・・・それに対して各々が答えを見つけていく。


次男と長女の禁断の恋であったり、

長男の「生きる場所」であったり、

次女の性癖であったり、

自分を出すことへの恐れを抱く孫であったり、

戦争にとらわれ続けている父親であったり・・・


総合的にはとてもよい本だったと思う。何かの賞を取ったのも納得。


だが、途中どうも読む気にならない、中だるみの部分もあった。


最後は読みきってよかったと思う内容だったし、


最後の二つの章(孫と祖父の章)には感じるものが多かった。


読みきってしまうとそれまでの章は「家族に起こった出来事」を理解するための


プロローグのようなものに、自分には感じられた。


村山由佳著【天使の卵】よりもよかったと個人的には思う。