東京バレエ団 創立60周年記念シリーズ6
ジョン・クランコ振付
「ロミオとジュリエット」 全3幕
(前半の舞台)
5月25日(土)14:00
【キャピュレット家】
ジュリエット:秋山 瑛
ティボルト:安村 圭太
パリス:生方 隆之介
ロザリンド:三雲 友里加
【モンタギュー家】
ロミオ:大塚 卓
マキューシオ:宮川 新大
ベンヴォーリオ:樋口 祐輝
5月26日(日)14:00
【キャピュレット家】
ジュリエット:足立 真里亜
ティボルト:鳥海 創
パリス:樋口 祐輝
ロザリンド:加藤 くるみ
【モンタギュー家】
ロミオ:池本 祥真
マキューシオ:生方 隆之介
ベンヴォーリオ:山下 湧吾
指揮:ウルフギャング・ハインツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東バのロミジュリ、まず前半の公演。
初日の沖香菜子さんのジュリエットは観られなかったけれど、秋山瑛さんと足立真里亜さんのジュリエットを堪能。
クランコ版ロミジュリ。
良いバージョンだなぁ〜
重厚かつ繊細に作られた舞台。
物語を語りかけるバレエ。
踊りと演技を通してセリフが聞こえて来る。
秋山瑛さんは、可憐で清らかで1つ1つの踊り、1つ1つの演技が細部まで磨かれて、そこに思いがぎっしり詰まったジュリエット。
まず踊りが美しい。
自然ですうっと惹き込まれる演技。
セリフが聞こえて来る。
まさにジュリエットを生きる瑛さんの物語。
前回とはパートナーが変わって、前回の情熱的な池本祥真さんに対して大塚卓さんは少しシャイなロミオだったこともあり、その分、瑛さんの情熱的な熱量が増して、二人の愛が激しく燃え上がっていく・・・
大塚卓さんのロミオデビューも、燃え上がる愛を抑えきれなくなる若さとエネルギー、ダイナミックな踊りが素晴らしい。
足立真里亜さんは、明るく無邪気な女の子が急激に愛に目覚め、熱く燃え上がるジュリエット。
その情熱に圧倒される。
可憐な少女があっという間に一人の女性になっていく凄まじいスピード感。
踊りも美しく、濃厚な演技もますます磨きがかかって心に響く。
特に後半の演技に凄みが増して、迫真の舞台から伝わるジュリエットの感情の動きに心を奪われる。一途な思いから、迷いを吹っ切り大きな決断を即決するジュリエット。
池本祥真さんは今回も熱いロミオ。
情熱があふれ、踊りもダイナミック。
マキューシオの宮川新大さん、生方隆之介さんも、それぞれに個性を活かして、踊りも演技もとても良かった。
そのほか印象的なのは、物語の中で唯一明るく陽気な雰囲気のタランテラとカーニバル。
ダンサーの方々が明るく弾ける舞台が、この悲劇の物語を一層印象的なものにしてくれる。
応援している富田翔子さん、栗芝みなみさんを含め、生き生きと輝く踊りがみんな素敵。
(舞台の話ではないけれど、2日目、ご自身のデザインによるトートバッグをロビーで売っていた翔子さん。コレオ公演への寄付金が入っているから高いけれど、後半の公演でもたくさん売れます様に〜)
ジプシーの3人も、ダンサーの方々のいつもとは違った個性が見られて楽しい。
先日、素晴らしい白鳥で主役デビューした榊優美枝さんの変身振り。とても楽しそうで、ジプシーも似合ってる。何でも踊れるんだなぁ〜
チャーミングで美しい中沢恵理子さんの弾けたジプシーも素敵。
ヴェローナの貴族達は、体を反るポーズが印象的で大変そう。
重厚な舞台を印象づける重要なシーン。
先日白鳥が素敵なだった中島映理子さんはティボルトのパートナー役。
貴族達の中でも目を惹かれる華のある美しい踊り。
応援している米澤一葉さんも素敵。目で追ってしまう。
ロミジュリは音楽も実に素晴らしい。
なんと甘美でエレガントでお洒落な音楽だろう。なんと深く心に響く音楽だろう。
ウクライナ生まれの天才作曲家プロコフィエフ。
オーケストレーションの魔術師。
ただただブラボー。
この作品の感動は、音楽によるところも大きい。
オケピはピンチヒッターのウルフギャング・ハインツさん指揮の東京シティフィル。
プロコフィエフの大作、大編成の管楽器に対して10-8-6-5-4の弦だとやっぱりもう少し厚みが欲しい感じ。
ハープや弦はPAを使っていたけれど、拡声してスピーカーから音を出しても弦の厚みが増すわけではないから。
せっかくの生オケなのだから、PA無しでも良かったのではないだろうか。
木管はさらに歌って、金管はさらに重厚にバリバリやって欲しかった。
全体にはまとまった演奏で素敵な響きだったけれど、もっと・・・と思ってしまう。
東京シティフィルさんなら、もっと出来る筈だから。
少し間が空くけれど、後半の舞台も楽しみ。
きっと舞台もオケもさらにブラッシュアップされるに違いない。