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端っこから主役に

 ホストコンピュータというと、それに接続されているのは「端末」でした。訳が悪いのか「端っこ」と「末(スエ)です。中心はコンピュータだぞという横柄さがあるように思いませんか。端末を操作する人は、さらに外側ですから、最下層というイメージです。

 このモデルは、コンピュータを開発する立場に立てば正当だと思いますし、また、とてつもなく便利だけれど、十分なパワーもなく、十分な容量もない時代には、人間が合わさざるを得ないため、このホスト/端末という考え方にしておくことが正しいと思います。

 クライアント/サーバという表現は、少し進歩ですね。人間軽視に見える『(ホストに対する)端末』という表現から抜け出し、端末はクライアントという顧客や依頼主となっています。サーバは、CPUサーバとかストレージサーバとかアプリケーションサーバとかがあり、何らかのサービス、奉仕をしてくれます。

 SaaSのサービスは、さらに一歩進め、人間を中心に置くことが大事だと思います。人間が望むサービス、人間が必要とするサービスを提供することが大事です。だからメールサービスはSaaSですが、DNSサービスはSaaSではないと考えています。

 我々がインタネットに望むサービス、必要とするサービスを提供するのがSaaSで、開発の立場にたった仕様や、実装方式からくる制限を出来るだけ排除したものであって欲しいと考えています。

大将!サービスにしといてや

 サービスも幅広い意味を持ちます。

 関西では、「これ、サービスで付けといて!」と、お客さんが言うと、それは、タダにして、無料やで、チョーダイとかを意味しています。また、マクドナルドの笑顔のサービスもタダです。サービスには対価を要求できない雰囲気があります。

 ベンダーやメーカは、サービスでソリューションという言葉を使いますが、これに当て嵌めると、タダで問題解決をしますと解釈することもできます。まあ、カスミを食って生きているわけではないので、そういう意味ではないでしょうが。


 SaaSでもサービスという言葉を使っています。無料としてのソフトウエアという意味ではないですね。しかし、インターネットでは、無料で、情報や機能を提供することも多いので、無料もしくは無料に近いことは大切だと思います。

 SaaSの特徴のひとつとしてマルチテナントがあげられます。複数の顧客がSaaSのサービスを利用することからきていますが、運用コストを低減するには、マルチテナントで運用することは、必須です。

 SaaSをシングルテナントで運用することがあってもいいのですが、当然運用コストは高額になり、その分利用料に跳ね返りますから、SaaSには似合わないと思います。


 SaaSでは、無料や無料に近い、もしくは、過去の同等のサービスと比較して低額であること、価格破壊されていることがSaaSの条件ではないでしょうか。


SaaSの"a"って?

 SaaSは、Software as a Serviceの略です。ネット上にSaaSが概説されていますが、この二つ目の"a"の説明が見当たりません。この"a"はなんでしょう?「Software as the Service」や「Software as Services」でもなく、「Software as a Service」です。しかも、この冠詞は省略形にも残っています。「SaS」ではなく「SaaS」です。結構、冠詞"a"が堂々としています。


 冠詞で思い出すのは「美女と野獣」です。1991年に公開されたデズニーアニメでは、その英語のタイトルが「Beauty and the Beast」 です。"Beauty"には冠詞が付かないのですが"Beast"には冠詞が付きます。


 冠詞を付けるのと付けないのとでは、微妙にニュアンスが違うのでしょう。それは美女の条件と野獣の条件が違うということだと想像しています。野獣に冠詞"the"が付いますので、野獣は誰であっても良いと言うことではなく、特定のあの「野獣」でないといけないのでしょう。そう。呪いがかけられてしまい野獣の姿になっている王子でないといけないのでしょう。それに対し「美女」には冠詞が付きません。美女であれば誰でもいいのではないでしょうか。あなたかもしれませんし、別の人かもしれません。観客が美女に感情を移入しやすいタイトルです。観客の女性すべてに、王子様に会えるかもしれないというメッセージを、与えているような気がします。でも、野獣はあたなではありません。王子さまでないといけないのです。美女の相手ができるのは、ただの野獣では駄目なんです。って、考えすぎか。。。


 さて、本題です。SaaSの冠詞"a"が付いている(付けている)のは、どうしてなんでしょう?答えを持っているわけではありませんが、とりあえず次のような解釈をしています。SaaSで言うサービスは、特定のサービスをさしているのではなく、また、概念的や抽象的なサービスを意味しているのではなく、具体的で任意のサービスを意味していると。


 ソフトウエアでサービス全てを実現するとか、抽象的なサービスを実現するのではなく、SaaSは、クライアントの期待する具体的なサービスを実現するソフトウエアだと、そのように考えるのがいいのではないでしょうか。