原点回帰:小さなお店の店主の苦悩 | 肩書職人のひとりごと

肩書職人のひとりごと

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自分らしく生きていきたい人に向けて
仕事やビジネス、人生観など、
肩書職人から見た話を綴っています。

今日のブログは、ほぼ常体で書いています。

 

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最近、ずっと考えてたこと。

6年前、自分の意思で初めて
ビジネスについて学び始めようと思ったきっかけは
店舗運営の失敗の答え合わせをするためだった。

会社員時代も含め
独立してからもビジネスについて学んだことはない。

厳密に言えば、店舗運営については店長研修や
会社の命令でセミナー参加したことはあったので
まるっきり無いわけではないが
店長研修はまだしも
セミナーには自主的に積極参加していない。

自己啓発みたいなものが多かったので
正直うんざりしていた。

店舗管理であるマネジメントの面も大事だが
売上を作り、利益を残す、
ビジネスを学ぶことの重要さを知ったのは
お店を畳んでから2年後のこと。

なぜ、うまくいかなかったのか
答え合わせすればするほどよくわかる。

今、当時の自分を見たら
それじゃうまくいかないよってすぐわかる。

知らないって怖いことだ。

最初は答え合わせのために学んでいたはずが
ある出逢いをきっかけに
伝える側にシフトしていく。

それはまったく予想だにしなかったこと。

「薄井さんの経験は今悩んでいる人の力になる」

そんなことを考えたことなかった。
この一言がなければ、今の僕はいない。

別のタイミングで、心無い人から
「店を潰してる人間に何が出来るの?」
と言われたこともある。

ちなみに
これを言った本人は覚えてないだろうけど
言われたこっちは未だに鮮明に覚えている。

言われた時、かなり頭にきたから。

とはいえ、一般的には
それが普通の考え方だろうなとも思いつつ
何とも言えない悔しさもあった。

お店の経営が傾いてからしばらくした頃
一人では限界を感じていたところに
とあるラーメン屋専門のコンサルタントと出会った。

それまでコンサルなんてよくわからず
「胡散臭いわりに高い金をとる」
そんなイメージしかなかったけど
初めて会ったその人は物腰も柔らかく
料金も今思えばかなり破格値で
いろんなお店のコンサルを請け負っていた。

自身もラーメン屋を経営しながらの
2足のわらじだったけど
教えてくれた内容は店舗で使える事ばかり。

より実践的で効果の高いものだった。

数字に特化した人ではなかったけど
経営の弱点や難点も教えてくれて
そのうえで打てる施策・対策を一緒に考えてくれた。

誰にも頼ることが出来なかった当時の僕にとっては
これ以上ない安心感を覚えた記憶が今でも残っている。

相談できる人がいるって
こんなに心強いものなのか。

僕が知る限り一般的に経営者は孤独だ。

同業者との繋がりや
スタッフとの関係性がいいお店の店主は
そうではないという人もいるけれど
そんな人は稀である。

お店の規模に関わらず
常日頃から経営者は決断を迫られるし
大事な局面ほど相談できる人も限られる。

僕は独り者だったので夫婦経営ではないし
経営者の集まりみたいなのも所属してなかった。

仮にそういうところに所属してたとしても
お店の内情はおいそれと相談できる話ではない。

年末調整と確定申告などの絡みで
税理士さんは契約していたけど
数字的なことを多少相談できるだけで
毎月、毎日のアクションについては別物。

施策や集客の面は、コンサルを依頼するまで
頼る人はいなかった。

独立当初は、フランチャイズだったこともあり
スーパーバイザーがいたけれど
言われたのは、人件費削減と在庫調整のみ。

削減は大事だけど、攻めの施策については
何一つなかった。

ビジネスを学ぶ上で響いたことの一つに
人件費を安直に削るのは
一番やってはいけないことだという話がある。

もちろん、過剰な人件費はNG。

そんな中、今でも覚えている衝撃の出来事がある。

お客さんの少ないアイドルタイムと言われる時間。

当初スタッフと2人で回していたが
人件費を削れというアドバイス?をされたので
自分一人のワンオペで対応。

しかし、それでも使いすぎと言う謎の指摘。

ピークタイムも含めもうこれ以上は人を削れない
というところまできている状態で
さすがにここからは売上を上げて
利益を確保していくための施策が欲しいという時に
それを言われた。

ワンオペでも人件費使いすぎとか言われたら
もう削ることはできない。

この人何言ってんの?状態。

肝心の施策についても基本的な案すら出てこず
立地や客層など条件の違う他店舗の成功例を
いくつか並べてきて、それをやってみろと言う。

トライしたこともあるけど
そもそも規模も条件も違いすぎる。

結果は案の定。

そんなこんなで、半年後、コンサルを依頼。

具体的な施策はもちろんのことだったが
こちらの状況をしっかり聞いてくれて
そのうえで出来る事を提案してくれる。

何よりも、寄り添ってくれる感じが
安心したし、すごく嬉しかった。

売上も利益も少しずつ回復したものの
店を畳む少し前に相談に行った
弁護士さんの見立てでは
「3ヶ月遅かった」と言われてしまった。

ラーメン屋は、チラシを入れたり
メディアに取り上げられるなど
何か外的要因がない限り
爆発的な売り上げを望むことは難しい。

居酒屋や焼き肉店に比べると
平均客単価の低さもあって
毎日の売上の地道な積み重ねがすごく大事。

しかも、暑さも相まって夏は客足も遠退きがち。

そういういろいろな背景から
このまま行ってもお店の体力的には
3ヶ月持てばいい方というジャッジが下る。

弁護士さんは債務整理のプロ。

その目を疑うことは意味をなさない。

決断を迫られ、結果、店を閉めた。

ラーメン店に限らず
個人店を経営している店主さんは
日々相当なプレッシャーと戦っている。

夫婦経営なら、まだ、奥さん、
あるいは旦那さんと相談しながら
乗り越えられることもあるかもしれない。

もし、そうじゃない店主さんは
精神がおかしくなっても不思議じゃないくらい
追い詰められているかもしれない。

ビジネスを学んで、ここまで紆余曲折あって
今は主に起業家さんの裏方として動いてますが
あの頃の僕と同じとまではいかなくても
一人で不安を抱えながら
毎日、店を開けてる人が少なからずいて
その不安を見せないように
お客さんやスタッフさんの前では
元気に笑顔を作ってるだろうなと思うと
今の自分だからこそ出来ることをしたいと
強く思うようになってきた。

今はこのご時世もあって
10年前とは比べ物にならないくらい
厳しい毎日を過ごしていると思う。

お店の厳しい現実を身を持って経験し
答え合わせするように学んだ数々のことと
この4年で培ってきたものも併せて
何か役に立てたいなと考え中。

お店の悩みや不安を一人で思い詰める前に
相談できる機会を何かしら常設してみます。