2021年(令和3年)に起きた米連邦議会襲撃事件に影響を与えた『Qアノン』や、ドイツの ライヒスビュルガー [Reichsbürger] によるクーデター未遂事件。

それらの極右に共有されている、DS(※ディープステート)による世界支配といった『陰謀論』のなかで、
何故か、トランプ氏だけではなくロシアのプーチンまでもが英雄視されており、ライヒスビュルガーのハインリッヒ13世も協力者のロシア人女性を通じてクレムリンとの接触を試みていました。

しかし、米国や西欧の極右民族主義者や日本の呆守(※保守のなかでも頑迷固陋で、呆けたイデオロギーに固執し、それを守るグループ)にとって、
本来ならばロシアは、イデオロギーや地政学の観点からも歴史的に敵対関係にあった筈です。

ですが、コロナ禍以降に急速に伸長した極右隠謀論者にとって、プーチンやその支配下にあるロシア連邦は、DSに対抗する『ヒーロー』なのです。
 



 ウクライナには、米国が支援する生物兵器の研究所がある――。こんなロシアのプロパガンダ情報が、陰謀論集団「Qアノン」から広がっている。

匿名掲示板から始まったQアノン

 《世界は小児性愛者の集団によって支配されており、悪魔の儀式として、性的虐待や人食い、人身売買に手を染めている》。Qアノンは、そんな主張を柱とする陰謀論、またはそれを信じる人たちを指す。影の政府たる「ディープステート」には、民主党の政治家やハリウッドスター、マスコミや金融エリートらが所属していると考えている。

 Qアノンは2017年秋、日本人がオーナー兼管理人を務める匿名掲示板「4chan(ちゃん)」から始まった。米政府の機密情報に触れられると自称する謎の人物「Q」が、20年末まで5千件近い投稿を続けた。その内容は「名無しの」(アノン=Anonymous)掲示板ユーザーによって「リサーチ」や「解読」が進められ、根拠のない主張が数多くうまれた。

 それがいま、ウクライナ危機をめぐる陰謀論とつながっている。

 米誌フォーリン・ポリシー(FP)によると、ロシア政府は今年に入り、「生物学研究所(バイオラボ)の本格的なネットワークが展開されている」「カザフスタンでは米国の助成を受け、致死性のウイルスの研究が進み、すでに人びとが病気になっている」といった陰謀論を広め始めた。


「プーチンは米国のバイオラボを標的にしている」投稿するアカウント

 FP誌によると、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日の直後には、あるツイッターの利用者が英語で「プーチンは米国のバイオラボがある都市や場所を標的にしている」「彼は100%、生物兵器の疑惑を追っている」などと投稿。このアカウントは過去2年間、Qアノン関連の陰謀論を度々シェアしていたという。

 日本のQアノンコミュニティーでも2月末、ソーシャルメディア「テレグラム」のチャットグループにこんな書き込みがなされた。

 《アメリカの政府機関がDNAレベルで人間を変えようとしており、そのための研究所がウクライナおよび世界各地にたくさんある(あった?)らしい》

 ウクライナに米国が支援する研究施設はある。ただ、米国の説明によると、これはソ連崩壊時、旧ソ連の国々に残された核兵器ミサイルを破壊するための取り組みの一環で、「生物兵器を開発する施設」ではない。

 東京大大学院工学系研究科の鳥海(とりうみ)不二夫教授は、1月1日から3月5日の期間を対象に、ツイッターの日本語空間で、どのような層が「ウクライナ政府はネオナチ」というロシア側の主張を拡散しているのかを分析した。その結果、1万以上のアカウントが、計3万回ほど拡散していることが確認できたという。さらにそのアカウントを詳しく調べてみると、46.9%がQアノン独特の言葉を含む投稿を拡散していた。


 鳥海教授は「慎重に見る必要があるが、データが示す限り、ロシア側の主張、Qアノンの主張をそれぞれ拡散しているアカウントは多く重なっている。親和性がある可能性は高い」と話す。(ニューヨーク=藤原学思



何度みても『荒唐無稽』!!

ライヒスビュルガーは、様々な極右勢力が関わっていることから、イデオロギー的にも排外主義や分離独立主義など統一性がなく、
今回のクーデター未遂事件に関わった集団を、仮に『ハインリッヒⅩⅢ・グルッペ』として、それがライヒスビュルガーの全国的な指導者と断定することはできません。

(※ロイス候国の紋章)

ライヒスビュルガーの主張とされる『帝政ドイツの復古』ですが、ドイツ語の ライヒ[Reich] には君主制や共和制といった統治機構の在り方を区別するものではありません。

ヴァイマル共和制のドイツも『ライヒ[Reich]』でしたし、
ヒトラーも、位置付けとしては『国家社会主義ドイツ労働者党指導者』『共和国に全権委任された大統領と首相を兼任する総統』であり、形骸化した共和国が求めた独裁者でした。

一領主(※帝政時代の諸侯)に過ぎないロイス侯爵家(※ロイス・ツー・ケストリッツ)出身のハインリッヒ13世を『君主』として推戴する方法にしても、

彼を『ライヒ[Reich]』の『王[König]』とするのか、

あくまで『領主』として臣従する立場から、そこからプロイセン王家を『皇帝[Kaiser]』に担ぎ出すのか、

それとも、君主としてではなく、アドルフ・ヒトラーのような『総統[Führer]』を目指すのか、

いずれにせよ、ライヒスビュルガー全体を代表しているかどうかに関する詳しい情報が上がってこない以上、連中が何を目指しているのかが不明であります。

それでも、ロマノフ朝最後の皇帝ニコライ2世の皇后アレクサンドラはドイツ人(※ヘッセン大公ルートヴィヒ4世の娘)でしたが、ロシア革命によって革命軍に殺されていますし、
その後のソ連とドイツは第二次世界大戦でベルリンを陥落させられた際のソ連兵による蛮行(※露助のお家芸)の被害に遇うなど、
同胞であるドイツ人をいためつけ、屈辱を与えてきたロシアに対しては、耐えがたいほどの歴史的遺恨があるはずです。


しかも、かつてのロイス家の所領が点在し、ハインリッヒ13世が逮捕された邸宅のあるテューリンゲン地方は、東西統一までは『旧東ドイツ』に組み込まれていました。

ドイツ貴族にとって、ロシアは不倶戴天の敵の筈ですが、
それでも、ロシアと接近する理由があるとすれば、、、



東西統一後も社会的・経済的に不安定な状態が続き、連邦共和国に対して不満を抱えている旧東側住民も多く加入しているネオナチ等の極右が、
ロシアから何かしらの便宜を受けて、ドイツで内乱を起こすよう唆されていたとすれば、
「昨日の敵は、今日の友」
「敵の敵は味方」
ということになるのか!?


つまり『内乱』ではなく、ロシアによる『外患』とも考えられます。

プーチンはロシア正教会と結託しており、正教を優遇して特権的なお墨付きを与え、ウクライナとの戦争のなかで自らも『主席エクソシスト』に受戒されるなど、
旧ソ連の指導者と異なる「教会を庇護する信心深い大統領」としてのパフォーマンスを繰り返し行っています。

日本のプーチン擁護派のなかでも「ロシアはソ連じゃない!」という意見が出たこともありますが、
かつてロシアに君臨した『ツァーリ』のように振る舞い、同国における市民宗教である正教会を保護する姿勢は、落伍者、社会経験の乏しい主婦や学生、学術的なデータやエビデンスの有用性を理解できない底辺層が相手なら、このような猿芝居でも、カルトに入信するみたいにアッサリ騙されてしまいそうです。



【保守と呆守】


私は、天皇陛下や皇族方の人格や権利を蔑ろにし、男系男子による皇位継承に固執したいがために、結論ありきで非現実的な提案を政府に提案する頑迷な保守に対し、

本来あるべき『保守』から『亻(※にんべん。つまり人間性)』が欠落した『呆守(※呆けたイデオロギーを守るもの)として、保守と明確に差別化を図ってきました。


本来、保守とは『速度』と『方向』について示す立場にあるわけで、
伝統を守る上でも、そのための改良を否定すべきではない筈ですが。

どうやら、これも日本だけの問題でもなさそうですね。

保守が、特定のイデオロギーを指すものでない以上、
劣化した『呆守』や『極右』の介入をゆるしてしまう余地はあります。

ライヒスビュルガーは、皇族や貴族、軍人の名誉や地位を低いまま放置し続けてきたドイツ連邦共和国[Bundesrepublik Deutschland] の政府が思っている以上に、深刻な問題だと思います。

なぜ、国民大衆のなかから、与えられた自由から逃避する者が出るのか!?

底辺層に留まらず、現職の裁判官や議員、軍のエリートなど要職が極右思想に染まってしまう現状は、
[Bundesrepublik] が、少なくないドイツ人にとって魅力的でなくなっている証拠でもあり、民主主義を防衛する上でも、単なる『手法』を賛美するだけではなく、ドイツの現状に即した民主主義に改良することに迫られていると思います。

そのためには、ドイツも西ドイツ時代の『基本法』の修正ではなく、そろそろちゃんとした『憲法』を制定した方が良いと思います。


 


 




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