ツリー・オブ・ライフ
70点。これは難し過ぎる!1950年代半ばの中央テキサスの小さい田舎街。幸せな結婚生活を送るオブライエン夫妻と彼らの子供である3人の兄弟。父は、成功するためには「力」が必要だと考えている厳格な男。母は、自然を愛で慈愛に満ちた心で子どもたちを包み込む優しい女。11歳に成長した長男ジャックの心は、そんな両親の狭間で常に葛藤していた。大人になって成功したジャックは深い喪失感の中、自分の人生や生き方の根源となった、テキサスの小さな街で家族とともに過ごした少年時代に想いを馳せ、自らの生き方を振り返る。(Amaz〇nより)父:ブラッド・ピット。息子:ショーン・ペン。――が謳い文句の本作。確かに、異色のキャスティングですね。とは言え・・・本作は「父子の確執の物語」ではありません。本作を正しく観賞するためには、旧約聖書の「ヨブ記」について知っていた方が良いです。本作の根幹にはこの価値観が存在します。ざっくり説明すると「ヨブ記」とは、「どんなに辛い境遇に遭っても、『主』を決して疑ってはならない」というような話です。父は「力」に強さを求めていた。運命を掴み取るためには、時に「善」を捨てることも必要だと思っていた。母は信仰に生きる人だった。世俗に生きず、身に降りかかる境遇を総て受け入れていた。長男はそんな母に憧れを抱きながらも、父のような生き方を選び、実業家として成功を収めた。父の挫折。思い出の詰まった家からの退去を余儀なくされる一家。そして月日は流れ、その知らせは突然に届けられた。――最愛の息子が死んだ。19歳。それはあまりにも若く。次男を失った母は、思わず問いかけずにはいられなくなる。「あなたはどこにいるの?」「本当に私たちを見ているの?」――最愛の弟が死んだ。もう幾度訪れたか分からない命日。灯されたキャンドル。彼は少年時代を回想する。当時の父の年齢を超えてしまった今になっても、忘れたことは無かった。紡がれる物語。思い起こされる葛藤と確執の日々。そして、その背後にある大いなる存在。脈々と受け継がれてきた流れ。そのことに気付いたとき、彼は母と同じ信仰の境地に達する。「息子をあなたに返します。」どんなに大きな悲しみが我々を襲おうとも、それは大いなる流れの一片でしかないということ。我々はその存在を全身で受け入れねばならないということ。私の解釈では「あなた」とは「ツリー・オブ・ライフ(生命の樹)」だと思っています。ここで言っている「生命の樹」とは旧約の創生記に出てくるものではなく、「宇宙誕生から継がれてきた生命の奔流」だと思っています。その大いなる流れに、最愛の人を委ねる、のだと。