しばりやトーマスの斜陽産業・続 -15ページ目

ファンサが重要!『キミとアイドルプリキュア♪』

 今朝からプリキュアシリーズ22作目にして20代目のプリキュア『キミとアイドルプリキュア♪』が放送開始。

 20代目にして初のアイドル要素を取り入れた本作。気になるのは視聴者がプリキュアを推しとして応援することで強くなるスタイルかと思ったがタイトルは「キミとアイドル」なのでキミ=視聴者と言うことが強調されてる。

 

 ABCアニメのプロデューサーは

「いつも応援してくれる“キミ”がいるから、隣で一緒にステージに立ってくれる“キミ”がいるから、私は輝くことができる。そしてその輝きは一方通行ではありません。もらった輝きを“キミ”に返すことで、“キミ”と“私”で照らし合っていく……。全ての“キミ”そして“私”が『キラッキランラン~♪』になれるような、そんな作品をお届けします」

 と語っているので、これまで以上にプリキュアを応援するキミ=ファン(視聴者の代弁者)の存在が強調されることになるだろう。

 なにしろキャッチコピーが「「歌って踊ってファンサして♡キミと一緒に!キラッキランラン〜♪」だ。ファンサが重要な要素のようなので、プリキュアと数秒の握手会のために大金をつぎ込まされたりくしゃくしゃの札を握りしめながら集まってくるオタクとか愛が激しすぎて暴走してプリキュアを追い込んだりするヤバ目のファンとかが出てくるのか、気になってしょうがないぜ!

 

 シリーズ構成は『アイカツ!』の加藤陽一というのだから、アイドルとファンの関係について書き続けてきた加藤氏によるプリキュアとキミ=ファンの関係をしっかりと描写してくれることだろう。

 

 今回の怪物マックランダーを倒す際の必殺技はステージだ。ステージで一曲ぶちかました後に必殺技を叩きこむと浄化されるので、毎回いろんなステージングが期待できそう。

 

 

 初回から巨大な桃がドンブラこと流れてきたり、関脇をプリキュアと勘違いして運ばれたりと中々飛ばしまくってた第一回だったので、『アイカツ!』ファンは大満足でしたね。2025年もみんなでキラッキランランだ!

 

 

 

 

ダメ人間こそ光り輝く『このままモブじゃ終われない!』第一巻

 まんがタイムきららキャラット連載中の優しい内臓(というPN)先生の『このままモブじゃ終われない!』がついに第一巻発売。

 前作『死神ドットコム』はどす黒いカバーが読者をドン引かせていたことを反省したのか、明るくポップさを強調したカバー表紙だ。こっちの方が正解!あっちなみに一番でかく映ってる方でなく、脇のメカクレが主人公です。

※前作のカバー

 

『モブおわ』の主人公は元サキュバスのエリート、佐藤ピコ26歳(26歳のヒロインて・・・ここきららっすよ)。彼女はあらゆるものをフェロモンで堕とすエリートだったが夢は漫画家。しかし絵がドヘタすぎるので読み切り掲載すら勝ち取れない落ちこぼれ

 元クラスメイトで劣等サキュバスだった田中コモナからのDMを受け取ったが、コモナは一軒家に住む売れっ子漫画家になっていた。プライドをかなぐり捨ててコモナからおこぼれの仕事をもらおうとするピコだが、コモナの依頼は漫画の資料のためにエロメイドになることだった。元々ピコに欲情していたストーカー気質のコモナはこれをきっかけに彼女をピコレクションのひとつとして言いなりにしようとしていたのだった!

 どん底生活のピコは憧れの漫画家を目指し這い上がれるのか?それともコモナの奴隷として一生を終えるのか!?

 

 冴えないどん底人生を送っているダメ人間たちを愛を持って描いている優しい内臓先生の作風は心に響くなあ。

 コモナを敵視し、出す漫画すべてが即打ち切りを食らう漫画家・暴風そよかぜはバイト先のゲーセンで遊びまくってクビになるようなダメ人間だが、初期の作品「初恋バニラアイス」はピコの大好きな漫画。推しの前で欲情するピコに絶望するコモナ。

「わたしのピコがNTRた!」

いままでは打ち切りに絶望するそよかぜを酒の肴にしていた(ヤな趣味だな)コモナ、絶望して酒に溺れる!

 

 絶望のどん底に落ちぶれれば、落ちぶれるほど輝くキャラクターたちを描かせると天下一品な優しい内臓先生の性癖が炸裂しまくっている『モブおわ』は僕の漫画読み人生のフェイバリットに入れてもいい。同人誌が一冊も売れないと地元に帰らなくてはならないピコが救済される展開もクズ人間が跳梁跋扈する漫画に相応しいオチで、2025年はこの漫画に期待するしかない。

 もっと売れろ!

 

 

 

 

だがそれでもやってしまう!奇跡のご当地映画第三弾『サイボーグ一心太助』

 今、世間を騒がせているのは口にするのも憚れるような気持ちの落ち込むニュースばかりである。新年が始まったばかりだというのに!暗い話なんか聞きたくない、心の底から笑いたい!

 そんなあなたにおススメするのがバカ映画の伝道師、昭和の奇才こと河崎実監督愛知県幸田町がガッチリタッグを組んだご当地映画の第三弾『サイボーグ一心太助』だ。

 

 一心太助とは講談、時代劇などに登場する架空の人物。江戸時代の武将、大久保彦左衛門(愛知県幸田町が誇る偉人)に奉公した魚屋で、義理人情に篤い「てやんでぇ、べらぼうめい!」な江戸っ子。その一心太助を現代によみがえらせたのが本作だ。サイボーグとして!

 

 

 江戸から数えて二十五代目の一心太助(演じるは『仮面ライダーリバイス』の門田ヒロミ、小松準弥)は超伝工業に勤めるサラリーマンだが実家が江戸時代から続く鮮魚店なので早朝から魚河岸で仕入れを済ませたのに、出社。モーレツサラリーマンの太助は全く苦ではなく、出社の途中にはAIバスに乗り遅れた婆ちゃんを送り届けてあげる。

「まったくAIってのは融通が利かないねえ。やっぱり人間、人情、心意気が大事ってもんよ!」

 

 七代目社長の葵家光(ぶっちゃあ)と生え抜き社員の大久保彦造専務(堀内正美)はAIプロジェクトの一環として会社に最新のAI機器を導入するが、太助はいい顔をしない。しかし外部からAI部門に派遣されてきた宮田仲子(中川知香)に一目ぼれした太助はウッキウキ。

 一方、ライバル会社の大鷲工業との妨害に悩まされる超伝工業。開発途中のAI機器をフェイク動画に利用されたりする。なぜか浮かない顔をする仲子。彼女は大鷲工業の社長、岩山新次郎(『手裏剣戦隊ニンニンジャー』の西川俊介)の指示を受けて潜入した企業スパイなのだった。

 岩山の命令で太助をバス停に呼び出した仲子。彼女の目の前で太助は岩山の放った銃弾に倒れる。仲子は気を失った太助に謎の液体が入った注射を打ちこむ。

 

 意識が戻らぬ太助を診察する院長(大川豊)は正体不明のナノマシンによって太助が生かされていることを大久保専務に告げる。それを聞いた大久保は科学者である自身の技術を活用した手術により太助を超高速で移動し、すさまじいパワーを秘めた福祉サイボーグ・1ハート(一心)としてよみがえらせる。

 

 サイボーグでありながら人間の姿にもなれる太助は特に思い悩んだりすることもなく、これで明日からバリバリ働けるぞと以前にもましてモーレツに働き、人助けをするようになるのだった。

 

 この辺が新しいところで、仮面ライダーみたいな改造人間は普通の暮らしができなくなることに思い悩むものだが、サイボーグ一心太助はまったく悩まない!河崎実映画だから(笑

 これを見た大鷲コンツェルンの総帥、大鷲巌(加山徹。若大将加山雄三の息子)が仲子を使い入手したナノマシンのデータを流用したサイボーグ・ロック1として岩山を改造する。戦闘用サイボーグであるロック1のパワーの前になすすべもない1ハート。

 

 

 そう、これは河崎実監督による『エイトマン』の翻案である。河崎監督は一時、『エイトマン』の実写をつくろうとして桑田次郎先生の元を伺ったが、当時精神世界に解脱していた先生からは許可が下りず、あきらめたという。その後に公開されたのが『8マン・すべての寂しい夜のために』でそれを見た河崎監督は「昔惚れた女が目の前で〇〇〇されている気分だ」と言ったという・・・

嗚呼、もし河崎監督の『エイトマン』が当時実現していれば、リム出版も倒産しなくて済んだのに!そんな勝手なことを思いながら見ると数倍楽しめる映画です『サイボーグ一心太助』。

 

 河崎監督の映画は予算も規模も、ハリウッドの超大作や東宝系の全国公開映画とはくらべものにならない小規模だ。ただし観客を楽しませよう、笑わせようという心意気はそれらにまったく負けていない。1ハートとロック1が超高速でまるで『ザ・フラッシュ』のように駆け巡り戦う!普通ならこの予算で『ザ・フラッシュ』をオマージュしようなんて誰も思わない!だがそれでもやってしまうのが河崎監督だ。

 

 加山徹が幸田町の人々を洗脳する場面では幸田町の「幸」の字を出してきて「幸の字から一本線を引くとどうなる?」とどっかの有名特撮映画で聞いたセリフをひけらかす!オチも全く同じだが加山徹の役がすげえバカだから「辛」の字がなかなかつくれない、という底抜けのギャグ!(しかもこれが衝撃の正体が判明するクライマックスにきちんとつながっているのだから驚く)

 普通やろうと思ってもやらない、だがそれでもやってしまうのが河崎監督!こんなことされたら、どうしたって笑ってしまうじゃないか!

 

 とにかく客を笑わさせずにいられない河崎映画。ご当地映画として協力している幸田町の人たちも一体どうして河崎監督に3本も任せてしまうのがわからない。ご当地映画、町おこし映画なんて大抵青春映画とか泣ける感動作だったりするのに。幸田町の人々もなんだかわからないけど笑わずにはいられないのだろう。

 なんだかわからないが笑ってしまう。そんな力が今の日本映画に最も必要なものかもしれない。

 

 

 

 

2025年2月予定

2月予定告知

 

2月8日(土)

『アイドル十戒 キングダムその10』

会場:アワーズルーム

開演:19:00

料金:1500円+1D

出演:竹内義和 しばりやトーマス

 

サイキックをやってた人と聞いてた人のアイドル談義。いよいよ最終回です。

 

2月12日(水)

『旧シネマパラダイス』

会場:アワーズルーム

開演:20:00

料金:500円+1D

解説:しばりやトーマス

 

カルトを研究する若人の会。アカデミー賞非ノミネート映画。

 

 

2月14日(金)

『地下ニュースグランプリ』

会場:キイロイエイ

開演:19:00

料金:1000円+1d

出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ

 

新会場第一弾企画。いつもの話題にならなかった話題の話です。

 

 

2月19日(水)

『キネマサロン肥後橋』

会場:アワーズルーム

開演:19:30

料金:500円+1D

解説:しばりやトーマス

※終了後YouTuber配信アリ

 

深夜の映画番組みたいな研究会。今にみておれでございますよ。

 

 

2月24日(月)

会場:なんばソルナシエンテ

開演:19:30

料金:1500円

出演:にしね・ザ・タイガー  ソエジマ隊員 しばりやトーマス

 

流浪のヒーロートークイベント。今回はなんば開催。

 

機械に操られるな『サラリーマン一心太助』

 河崎実監督の最新作『サイボーグ一心太助』を観た。講談、時代劇映画などの登場人物である「一心太助」を題材にしたSFアクションだ。恥ずかしながら一心太助のことはよく知らない僕でも楽しめた(なにしろ客を楽しませることに命を懸けてる河崎作品なので)。

 そうなると元ネタが気になったのでVODの東映オンデマンドを確認するといっぱいあったので、一心太助を現代劇に置き換えた『サラリーマン一心太助』を見てみることに。

江戸時代の魚屋、一心太助から数えて23代目の青年石井太助を演じるのは中村嘉葎雄。上の兄・初代中村錦之助は時代劇版の一心太助を持ち役にしていた。兄が時代劇太助、弟が現代劇太助というキャスティングの妙である。

 

 太助は葵食品に勤めるサラリーマンだが、元は鮮魚屋稼業なので朝早く出勤前に魚河岸に行ってイキのいい魚を母親のために買ってくる親孝行で気風のいい江戸っ子である(この辺を『サイボーグ一心太助』は完全にオマージュしている)

 会社には太助の面倒を見てくれている大久保彦造課長(進藤栄太郎)がいる。大久保家は三代にわたって葵食品のために尽くしてきた忠義の人だが、彼が幼少のころから可愛がってきた三代目社長の光男(渥美清)は新しいものに目がなく、社員の多くがそろばんを弾いている中、そんなものはもう古い、とばかりに海外製の電子計算機を大金はたいて購入する。

 

 彦造が「機械なんか・・・」と苦々しい顔をする中、オペレーターとしてやってきた宮川仲子女史(三田佳子)はこの機械があればどんな計算も可能で、素早く答えますよというので、社員たちの「いつ結婚できるか」といった質問を計算機はあっという間に答えていく(それって計算できるものなの?)。

 

 こうして導入された計算機によって「1日50万円」と言う営業ノルマを課せられた社員たちは靴をすり減らして駆けずり回るが土台達成不可能な数字である。

 下っ端だった太助も営業課に配属され、へとへとになった帰り、助けを求めてきた美女を車に乗せることに。それは光男社長が囲っていた芸者だったが諍いを起こして逃げてきたのだった。彼女の愚痴に付き合わされるうちに義憤にかられた太助は「そんなやつは僕がぶん殴ってやりますよ」(相手が光男社長だということを知らずに)と腕を振りまわすと、臥間を開けて入ってきた光男の顔面にヒット!

 クビを覚悟した太助、最後に一言モノ申してやると光男社長に「あんないい人を悲しませるなんて、あんたは人非人だ」と糾弾。だが威勢の良さを光男社長はかってくれ「最近の社員は小さくまとまって頼りない、君は大きく膨らみたまえ!」と太助を激励する。

 

 一方、仲子は上司の田中に自宅で言い寄られ、押し倒されてしまう。その場に窓ガラスを突き破って飛び込んでくる太助!(ここマンションの上の階なんだけど)窮地を救った太助に「電子計算機であなたは会社の一番の成長株という結果が出た」ということで2人は付き合うことに。彼女は最新の計算機がすべてを決定し、効率によって幸せが決定すると考える現実派なのだ。

 社員の注目の的である仲子と交際することで俄然やる気を出した太助、たちまち営業成績トップの記録を叩き出すのだった。それもそのはず、太助は仲子から電子計算機のデータを横流ししてもらい、契約を取れそうな相手を立ちどころに見つけ出していたのだ。

 例えば愛人とホテルに籠って出てこない社長の現場を押さえてなし崩しに契約してしまう。ちなみにその社長は由利徹。「キミぃ!プライベートの場にやってくるなんて失礼じゃないか!でていきたまえ!」と飛び出した後で「奥さんには内緒にしといてね?ほら、契約するから!」とやる場面は爆笑必至。由利徹が出てくるだけで笑える。

 

 他の社員がまったく契約が取れない中、ずば抜けて成績を残していく太助は得意満面ぶりが鼻につくようになり、恩人の彦造課長の意見も聞かなくなる。増長する一方の太助を何とか諫めようとする彦造は光男と太助が取引先を接待する高級クラブで酔った勢いで大騒ぎを起こし、左遷されてしまう。

 課長代理と言う形で出世した太助はそんな彦造のことを気に留めることもなく、さらに増加したノルマを達成させるため社員の尻を叩く。田中が電子計算機を弄って狂わせたことも知らず・・・

 

 太助の言われるがままに取引する大口商社によって魚河岸から運ばれる物流トラックが大渋滞を起こし、交通マヒを引き起こす。捌ききれない貨物があふれかえり、人々はこの騒動を引き起こした葵食品に抗議するため大挙して会社に押し寄せ、逃げる光男社長と太助に追いすがるのだった。

 凄まじい数のエキストラを動員したクライマックスシーンは一見の価値がある。現代でもこんなシーン、中々見られないだろう。

 

 どうしてこうなった?途方に暮れる太助の前に初代一心太助(一人二役)が現れ「お前は機械に支配され、本当に大切なものを見失っている」と諭される。

現代社会でも通じるようなテーマがすでに1962年の頃に見いだされていたというべきか、2025年の社会は60年前からまったく進歩していないと受け取るべきか・・・

 サラリーマンのモーレツぶりは今見るとほとんど狂気に近いかもしれないが、昔はこんなの当たり前だったんだろうなあ。機械だけでは計算できない人の心というものがあることを教えてくれる『サラリーマン一心太助』。続けて『サイボーグ一心太助』を観るのがおススメです。