無国籍・無秩序な大阪ロケの珍アクション大作『マンハント』
※この記事は前ブログの過去記事(2018年02月16日)の再録です

西村寿行の小説を原作にした76年の松竹映画『君よ憤怒の川を渡れ』のリメイク。長年、同作のリメイクを願っていたジョン・ウーにより日中合作映画として制作。大阪フィルム・カウンシルの協力で大阪をはじめ兵庫、奈良などで大規模なロケーションが敢行されたことも話題に。
リメイク元の76年の映画は 『ゴルゴ13』(73)『新幹線大爆破』(75)などで邦画のスケールに収まりきらない規模のスペクタクル作品を評価されていた佐藤純彌監督が東京・北海道・仙台などを縦断する一大ロケを敢行、セスナ機を強引に着水させたり、深夜の歌舞伎町をサラブレッド群が爆走するという無茶な撮影にも挑んでいるとにかくスケールのでかい映画であった。
またこの作品は文化大革命後の中国で初めて公開された外国の映画で、劇中無実の罪を着せられ逃亡の度を続ける主人公・高倉健の姿に文化大革命で理不尽な扱いを受け数十万人が殺されたという中国人たちは涙し、当時8億人の国民が映画館にかけつけたそう。
子供の頃に観たというジョン・ウーは本作をどのようにリメイクしたのか?
日本の製薬会社・天神製薬の顧問弁護士であるドゥ・チウ(チャン・ハンユー)は大阪にある本社で行われたパーティの翌日、自宅のベッドで目を覚ますと社長秘書の死体が横たわっていた。身に覚えのないドゥはすぐに警察に電話。警察の調べでドゥの指紋のついたナイフが押収され、彼は殺人犯にされてしまう。
連行されようとしたその時、現場で捜査の指揮を執っていた大阪府警捜査一課係長の浅野(トクナガクニハル)がドゥの手を強引に部下の拳銃に触れさせ「お前は逃亡を図ろうとした」と射殺されそうになる。隙を見て逃げ出したドゥは何者かが自分をハメようとしていると、自ら濡れ衣を晴らそうと逃亡の旅に。
この一連のやり取りはほとんど意味不明で、のちに浅野は事件の黒幕に雇われてドゥに濡れ衣を着せようとしていたことがわかるのだがこのやり方だと自分の部下にはドゥをハメようとしていたことがわかってしまうから、部下たちもグルなの?と思うけどそんなことは全然説明されなかった。
場面変わってテロリスト二人が子供を人質に大金を要求している。タンクローリーの座席に子供を縛り付けて爆弾のスイッチをもてあそぶ二人組のキャストは斎藤工&吉沢亮。その現場にカメラを片手にフリージャーナリストを名乗って現れたのは大阪府警捜査一課の係長、谷村(福山雅治)。口八丁でテロリストに近づいた福山、華麗に二人を叩きのめして事件解決。斉藤・吉沢の出番はここだけ!まるで『新幹線大爆破』の志穂美悦子ばりの無駄遣い。
谷村は新人の百田(桜庭ななみ)を連れて逃亡するドゥの逮捕に向かう。異常にキャピキャピした女子大生風の桜庭の演技に戸惑ってしまう観客。
上本町駅を逃走し大和川線の工事現場に隠れようとしたドゥを発見した谷村だが、鳩の里(笑)で飛び交う鳩に気を取られた隙に逃げられてしまう。
府警で浅野から「手を出すな」と文句をつけられる谷村は気にせず百田と二人で独自の捜査を開始、現場検証で「お前が被害者の気持ちになれ!」とキャピキャピ桜庭に被害者を憑依させるという捜査なんだかイタコなんだかわけのわからない推理で、事件そのものに不審を抱く。(あんたの捜査手段の方がよっぽど不審だよ)
ドゥは天神製薬の新しい顧問弁護士とひそかにコンタクトを取るが、ほたるまちのお洒落なカフェを殺し屋に襲撃され、顧問弁護士が殺される。さらに現場に駆け付けた谷村と堂島川で水上チェイス。大阪市内でのカーチェイスの許可が下りなかったための苦肉の策らしいが、カーチェイスよりよっぽど迫力のある場面だ。メイキングでは福山自らジェットスキーに跨ってチャン・ハンユーと激しく殴り合う。
必死の思いで逃げ切ったドゥは3年前に天神製薬の企業秘密を盗み出した罪で裁判になり、敗訴した末に自殺した研究員・北川(田中圭)のフィアンセだった真由美(チー・ウェイ)と落ち合い、真由美の実家である牧場に身を隠す。北川は天神製薬で秘密裏に研究されていた人を怪物化させる新薬の開発に関わっていたが危険な薬品だと知らされていなかった北川は薬を無力化する処方コード(?)を真由美に託していた。
牧場が二人の女殺し屋、ドーン(アンジェルス・ウー、ジョン・ウーの娘)とレイン(ハ・ジウォン)率いるバイカー軍団に襲撃される。その現場にやはり颯爽と駆け付けた谷村!彼はドゥを逮捕するが協力して殺し屋たちを撃退。「日本の警察官は拳銃を二丁持てない」「装填した5発しか撃てず、リロードも不可」という日本警察の設定を逆手にとって日本刀を振り回す大アクションを披露する福山。本人のキャリア中でも最大最高のアクションの切れを見せています。手錠をかけられた二人が二人で一丁の銃を撃つ「二人一丁拳銃」も見せて大暴れ。
負傷しながらもドーンを葬った谷村はドゥの無実を晴らそうとする。立場も国籍も違う男たちには友情が芽生えつつあった…
えー「どこが『君よ憤怒の川を渡れ』やねん!」と言いたくなる、まったく別物にされてしまってます。オリジナルでは高倉健演じる主人公が無実の罪を着せられる理由はそれなりに納得がいくんだけど、今回の弁護士役のチャン・ハンユーが濡れ衣着せられる意味はまったくなく、理由も「男女の三角関係のもつれ」というアホらしすぎて笑っちゃうものに。國村準が社長の製薬会社は西成のホームレスを集めてきて人体実験をしていて、使えなくなった人間は捨ててこいとか言ってたので、そんな悪い会社が社長秘書ひとりの死をごまかすのにこんな面倒なことする?ホームレスといっしょにまとめてポイ捨てして終わりだよ。
中国でも「これのどこが『追補』(『君よ~』の中国版タイトル)やねん!」と不評まみれだそうで、一体どうしてこんなことになったのか。スタッフクレジットを見ると脚本家が7人もおり、こりゃあ船頭多くして船山に上るってやつだな。ジョン・ウーはかつて『M:I-2』でトムと二人でカッコイイアクションシーンをいっぱいつくってあとは「このシーンとこのシーンとこのシーンがつながるような脚本にしてくれ」とリライターのロバート・タウンに丸投げしたことがあるのでその時と同じこと繰り返してるね。見栄えのするアクションを考えるあまりにストーリー上の辻褄合わせるのがどうでもよくなってる。
この映画には知り合いが出てるんだけど、その彼も「撮影中脚本が変更されて配役が変わった」と言っていて、辻褄あわせないうえに脚本が変更になるもんだから、それじゃ何一つ話が繋がらないよ!
でもジョン・ウー本人は念願のリメイクができて、意味が分からない冒頭の居酒屋での銃撃戦や、高倉健の『駅 STATION』を彷彿とさせるラストシーンを撮れて楽しそうでしたね。
そういったよくわからない点を差し引いてもアクション面の迫力と美しさは見事で、日本でしかも映画という芸術関係への興味が微塵もない維新政治がはびこる大阪でこの映画が撮られたというのは驚異。それを象徴するような点が大阪で撮影してるのに誰も関西弁を話さないとか、大阪維新と異常に仲がいい吉本興業のタレントが誰も出ていないところ(『ブラック・レイン』以来の海外資本映画の大規模な大阪ロケなのにあんまやる気なさそう。制作発表時に万博誘致のアピールをしていただけ(苦笑)。これだから大阪維新は…)。
無国籍かつ無秩序な大阪を代表するアクション映画の珍傑作として語り継がれるべき作品。
80年代がそのまま戻ってきた『星くず兄弟の新たな伝説』
※この記事は前ブログの過去記事(2018年02月07日)の再録です

1985年に公開された『星くず兄弟の伝説』の33年ぶりとなる続編。35年ぶりに続編がつくられた『ブレードランナー』に44年ぶりの劇場映画となった『劇場版マジンガーZ / INFINITY』といい、何がどうした2018年。ホシキョーまで続編がつくられるとは…
ミュージシャン、近田春夫が「架空の映画のサウンドトラック」として発表したアルバム『星くず兄弟の伝説』(80)がヒットし、じゃあ本当に映画にしてしまおう、ということで当時学生映画の世界で時の人となっていた手塚眞を監督に起用、メインに久保田しんご(現久保田慎吾)と元東京ブラボーの高木一裕(現DJ高木完)、戸川京子、DER ZIBETのISSAY、尾崎紀世彦を迎え、カメオ出演にサンプラザ中野、高野寛、永島慎二、モンキー・パンチ、高橋葉介、石上三登志、景山民夫、高田文夫、中島らも、新井素子、川崎徹、黒沢清、森本レオ、タモリ、前田日明…というサブカル・オールスター総出演。当時のサブカルキッズたちが興奮したことは間違いない。しかし出来上がった映画はあまりにチープでしょぼくて…
その一年前にSF、特撮界の大御所が参加した『さよならジュピター』が期待を背負いながらズッコケた記憶が蘇ったのだ。歴史は繰り返す。
今日の視点で見れば評価できるポイントもあるが(特に星くず兄弟のグルーピーとして登場する戸川京子のかわいらしさときたら、2018年の今でも対抗できる女優はないだろう)、星くず兄弟といえばダメ映画の代表なのだ。そんな星くず兄弟の続編て!しかも主役の星くず兄弟を演じたシンゴとカン役の二人がそのまま年をとって再登場!どういうこと!?
かつて星くず兄弟として脚光を浴びていたシンゴも今やしがないバーのオヤジ。昔の星くず兄弟の映像を見せては「俺は昔スターだった」といったところで若い客からはダセえと罵倒されるだけ。スターの夢をあきらめきれないシンゴは今や人気DJとなった相棒・カンを無理やり連れ去ってリ・エイジングマシンによって若返る。新たな星くず兄弟を演じるのは『仮面ライダーキバ』の音也役、今やってる『仮面ライダービルド』の猿渡役、武田航平と『仮面ライダーオーズ』のアンク役、三浦涼介だ。この二人が『星くず兄弟の伝説』を場末のバーで歌い踊る場面、完璧な星くず兄弟ぶりに興奮するね。演技と歌に関しては久保田慎吾と高木完より上手い!
されど二人の唄は鳴かず飛ばず、なぜダメなんだ?落胆する二人の前に「お前らはロックの魂がない!」と愚痴る老人が現れる。誰あろうキング・オブ・ロック・内田裕也!キーポンロッキン!シェケナベイベェ!二人は裕也さんの教えに従ってロックの魂を探す旅に出る。ISSAYも再登場して前作のファンも懐かしい、チープで、しょぼくて、脈絡のない物語が延々と続く…まったく星くず兄弟の「新たな」伝説ではないですか!
さすがに戸川京子の代わりを務める役者が見つけられなかったので、マリモ風のキャラクターは出てこないけど、それに準じるポジションの荒川ちかが新たな魅力を振りまいている。コケティッシュで、キュートで、気が強めで…
80年代の浮かれている空気を2018年にそのまま持ってきているのは大したもんだ。僕は好きだね!みんなイライラ尖っている今見てみると斬新に受け取れるかも。33年前のことをやり直してるだけなんだけど。
しかし33年前は「おれにはこれしかないんだ、だからこれがいちばんいいんだ!!」ぐらいの気持ちでつくっていた手塚眞が何を日和ったのか、劇中何度も「星くず兄弟の新たな伝説を撮影中の映画監督」として登場、「こんなわけのわからない話の何がいいんですか?」と突っ込ませる場面だけは納得できねえ!何自意識に目覚めたオタクみたいなことしてんの!33年も経ってから!
みんな大人になった『劇場版マジンガーZ / INFINITY』
※ この記事は前ブログの過去記事(2018年01月30日)の再録です

永井豪の画業50周年(!)を記念して製作されたマジンガーZの新作アニメ。なんと74年の『マジンガーZ対暗黒大将軍』以来の映画化。
Dr.ヘル率いる地下帝国との闘いに勝利した兜甲児とその仲間たちは平和な時代を過ごしていた。光子力は完全無公害のエネルギーとして平和利用され、マジンガーZらのロボットたちも博物館で展示され、戦闘メカとしての役割を終えていた。10年が過ぎたとき、突然平和は破られた。Dr.ヘルらは復活し、統合軍のロボットを蹴散らすと世界中に「平和的共存」を宣言する。Dr.ヘルとあしゅら男爵、ブロッケン伯爵の機械獣軍団になすすべもない世界は「戦闘よりも共存」を選ぼうとするが、Dr.ヘルらは富士山で発見された謎の巨大遺跡、インフィニティの力で世界を思うが儘に作り替えようとするのが真の目的であった。この陰謀を止めるべく今や科学者となって戦闘から10年離れていた兜甲児は隠していたマジンガーZに乗り込むのだった。
40年以上も前のアニメの続編をつくると聞いて、一体どういう話にするのかと思ったらシリーズ最終回から10年後、という設定になっていた。とはいえ時代的には2010年代を背景に描かれており、甲児たちがスマホをもっていたりする。10年という時の流れの中で登場人物たちは当然のように大人になり、甲児は科学者になり、弓さやかは新しい光子力研究所の所長に、弓教授は総理大臣に(!)なり、ボスはラーメン屋の大将に。衝撃的なのがみんな大人になったので悟ったようなことを口にし、ロボットが出てくれば昔は自分もマジンガーやアフロダイAに乗って暴れまわってたのに、大人になって責任ある立場に収まった彼らは好き放題できない。さやかは光子力を軍事利用できる立場にないし、弓教授は総理大臣の立場から各所の調整に追われる始末。ボスなんかコクのあるしょうゆラーメンとか作ってんだぜ。そこはコテコテでギトギトの脂っぽいとんこつじゃねーのかよ!!
みんな大人になって責任のある立場になったことで緊急事態に何もできなくなる、というのはかつて子供だったが今は大人になって家庭もつくって責任ある立場になったであろうマジンガーファンには「あぁ~わかるわかる」てなもんだ。「俺も昔は暴れまわってたのにな~」としみじみすること間違いない。まぁ、中には未だに大人になっていない人もいますが…
大人のためのマジンガーZはまさかの全国のお父さんがしみじみとしてしまう湿っぽさもあるけれど、フル装備で出撃する兜甲児とマジンガーZがため込んだストレスを発散せんばかりの大暴れを楽しんでチョーダイ!
あと暗黒大将軍とかをなかったことにしているのだけは納得できないので次回作に期待する。
キラメイジャー各話サブタイトル元ネタ集
毎週日曜朝から大好評放映中の『魔進戦隊キラメイジャー』の各話サブタイトルは東映映画のタイトルのパロディになっているのですが、現在判明中の28話分の元ネタを紹介しよう。
1.魔進誕生!→魔界転生(81)
2.リーダーの証明→人間の証明(77)
3.マンリキ野郎!御意見無用 →トラック野郎・御意見無用(75)
4.亡国のプリンセス →不明※
5.ショベローまかりとおる!→コータローまかりとおる!(84)
6.ツレが5才になりまちて→ツレがうつになりまして(11)
7.トレーニングを君に →ラブ・ストーリーを君に(88)
8.エクスプレス電光石火→ザ・カラテ3電光石火(75)
9.わが青春のかるた道 →わが青春のアルカディア(82)
10.時雨おいかける少女→時をかける少女(83)
11.時がクルリと→鳶がクルリと(05)
12.ワンダードリルの快男児→ファンキーハットの快男児(61)
13.地底大戦争→海底大戦争(66)
14.孤高のエース→孤高のメス(10)
15.きけ、宝路の声→日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声(50)
16.マシュマロワイアル→バトル・ロワイアル(00)
17.洋館の奇石→海燕ジョーの奇跡(84)※1
18.闇落ち→半落ち(04)
19.相棒→相棒(08)
20.あぶないペア→あぶない刑事(87)※2
21.釣れ、ときどき達人→晴れ、ときどき殺人(84)
22.覚悟はいいかそこの魔女→覚悟はいいかそこの女子。(18)
23.マブシーナの母→瞼の母(62)
24.バンドしちゃうぞ!→逮捕しちゃうぞ the MOVIE(99)
25.可愛いあの巫女→可愛いあの娘(65)
26.アローな武器にしてくれ→スローなブギにしてくれ(81)
27.大ピンチランナー→ピンチランナー(00)
28.時雨泣き→時雨の記(98)
各元ネタは筆者の予想によるものなので公式が認定したものではありません。
※ 『亡国のイージス』という予想もあるんですが、『亡国~』って松竹映画なんですよね・・・
※1 『海燕ジョーの奇跡』も松竹映画なんですが、幻に終わった深作欣二監督の東映版という企画が存在していたので、こちらを採用しています。
※2 『ビューティ・ペア 真赤な青春』 (77)というタイトルの映画もあることを紹介しておきます
元ネタ不明のサブタイトルについてわかる人がいたらコメント待ってます
オーケン、ドス竜で培った怪演技再び『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL』
※この記事は前ブログの過去記事(2018年01月24日)の再録です

2019年に生前退位を予定している今上天皇。19年には平成最後の年、平成31年となり平成ライダーも30年10月にスタートするであろう作品が平成最後の作品になるわけです。それに先んじて「平成最終章」と銘打った劇場映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』は文字通りファイナルにふさわしい作品だった。
本作ではゲスト出演としてゴースト、鎧武、フォーゼ、オーズの4ライダーが出演する。ただ出るのではない。ガワではなく、演じている役者本人が登場するのだ。ガワ(スーツ)のライダーは過去作に何度も出演している。しかし役者側がこれだけ大量に出演しているケースは稀だ。『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』(16)にドライブ役の竹内涼真、ウィザード役の白石隼也が出たケースもあるが、今回は4人プラス1人。スケールが違う。
そのうえゲスト出演のライダー全員に固有のサイドストーリーが存在しており、エグゼイド/ビルドの世界観に無理やり当てはめたわけではなく、それぞれの世界が影響しあっているという設定も凝っている。メインの主人公であるエグゼイド、ビルドをサポートするだけの存在ではないというのは過去作に思い入れがあるファンにとってたまらない魅力ではないですか。
中でもオーズ(渡部秀)とアンク(三浦涼介)が本編最終回以来の再会を果たす場面はあまりに劇的で、ファンの涙を誘う。さらに再び別れることになる場面でアンク役を演じた三浦が感極まってしまうシーンはNGテイク寸前の演技で、人外のキャラクターを演じた三浦の外見の変わらなさ(奇跡か!)と相まってシリーズ終了後6年を経てこんな未来が待っているなんて想像もしなかった。ライダーファンを続けていてよかった!
かといって懐古趣味だけに陥ってない面も。ビルドの2号ライダーである万丈龍牙(赤楚衛二)は自分の冤罪を晴らすために戦う男なので、自分を犠牲にしてまで他者のために戦う他のライダーたちが理解できなかったが、彼らとの出会いを経て自分以外の者のために戦うヒーローとして目覚めていくという物語もあり、ビルドファンの新規や一見も満足。ここ数年の歴代キャラを消費するだけの空虚なお祭り騒ぎから一歩抜きんでた、大きなお友達も納得の一本です。
そんな感涙必至の物語を破壊するのが最強の敵、仮面ライダーカイザーを演じる大槻ケンヂ!!一体なんでこの作品のしかも大ボス役にオーケンが起用されたのか理解に苦しむ。オーケンの役は一人二役で体の半分を失った物静かなキャラと、陽気すぎるふざけたキャラ(口癖は「ファンキー!」)でどちらもオーケンのキャラではない。かつて初主演したドス竜の怪演技を完全に再現して世にも奇妙な悪役を演じきってました。
かつて朝の5時に高尾に集合、という呼び出しに耐えられず役者は廃業したオーケン(本作でも朝の7時に呼びされたらしいけど)。東映は一体何を考えて起用したんだ。本当にこれでよかったんですか!?スクラップ&ビルド、壊してばっかですけど本当に大丈夫なの??
