モリトモ・ペーパーズとは規模が違い過ぎるな『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
※この記事は前ブログの過去記事(2018年04月16日)の再録です

1971年、泥沼化する一方のベトナム戦争を分析した国防総省の機密文書、“ペンタゴン・ペーパーズ”をスクープしたニューヨーク・タイムズ、そして追随したワシントン・ポストの記者たちの奮闘を描く。
ベトナム戦線に同行したアナリストのダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)は「戦線は悪化している」と報告するが、それを聞いた国防長官のロバート・マクナマラ(ブルース・グリーンウッド)はマスコミに「戦線は好転している」と正反対のことをいう。政府の方針を疑問に思ったエルズバーグは7000ページからなるベトナム戦線の分析・報告書“ペンタゴン・ペーパーズ”のすべてをコピーし、密かに持ち出す。
コピーは大手新聞社のニューヨーク・タイムズに持ち込まれ半年に渡って分析される。タイムズは「世紀のスクープ」としてペンタゴン・ペーパーズを取り上げる。終わりの見えないベトナム戦争に疲れ果て反戦運動が高まり続けるアメリカ国内には衝撃が走る(当然)。しかしニクソン大統領(当時)は「機密漏洩だ!タイムズに圧力をかけろ!」と部下に電話で命令を飛ばす。映画の中で使われている音声はなんと本物のニクソン大統領の肉声(!)。
結果、タイムズは「最高裁の判断にゆだねる」として途中で記事を差し止める。タイムズのスクープに臍を噛む思いだったワシントン・ポストの編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は自分たちがこのスクープを後追いし、ベトナム戦争の真実を伝えるのだ、とペンタゴン・ペーパーズのコピーをなんとか手に入れようとする。そんな折、ポスト編集部にヒッピー風の恰好をした女性が靴箱を持って現れ、箱を手渡して去っていく。その中にはペンタゴン・ペーパーズのコピーの一部が…この人が何者なのか、映画の中の登場人物でなくても気になるが、その正体は映画の後半で明かされる(まさかこんな人が…というオチで驚く)。
コピーを入手したブラッドリーと記者たちは数日で後追いのスクープをしようとするが、折しも株式上場を果たしたばかりのポスト上層部らはタイムズが圧力に屈しかけているのを見た上に、ニュースソースが同じとなればタイムズ同様、自分たちも国家機密漏洩罪になるのでは?と記事を掲載することにストップをかけようとする。ブラッドリーらと上層部、顧問弁護士らの意見はぶつかりあい、掲載するか否かはワシントン・ポスト社主であるキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)の判断にゆだねられる。
グラハムは前社主である夫のフィリップの自殺を経て社主になるのだが、それまでは単なる新聞社のお嬢様で、新聞のことなど何もわからないし、新聞社の人間として政府の高官らや大統領ともプライベートの付き合いがある身分。マクナマラ長官とは普段からランチに同席するような仲だったりする。ポストがペンタゴン・ペーパーズをスクープすることは友人・知人を敵に回すことになるのだ。プライベートの付き合いを取るか、それとも合衆国憲法修正第一条に則って国民の知るべき権利のためにこのスクープを掲載するのか?
スピルバーグ監督は新作『レディ・プレーヤー1』の撮影後にこの企画に取り掛かり、わずか9か月ほどで企画・撮影・完成となり、アメリカでは2017年12月に限定公開、翌年1月に拡大公開。こんな突貫作業になったのはトランプ大統領下のアメリカでマスメディアを「フェイクニュース」呼ばわりし、萎縮する報道に「ビビらずに真実を報道しよう、ペンタゴン・ペーパーズを報道したタイムズとポストを見習おうよ!」と喝を入れるためだったという。
今、この映画を一番楽しめるのは日本人であることは間違いない。日本でも今、モリトモ・ペーパーズ問題が大きく報道されているが(なんというベストタイミング!)、多くのメディアがビビッてしまい、まともに報道できないではないか。本家に比べてあまりにも規模が小さすぎるけれど、日本のマスメディアもぜひ戦って欲しい。
政府に媚びを売るのが報道ではない、報道は国民の知るべき権利のためにあるのだというメッセージ、そして男性優位社会の中でまともに声をあげられなかったキャサリン・グラハムら女性たちが勇気を振り絞って戦う姿こそが正義というテーマははベトナム戦争の時代であろうが、2018年であろうが、不変のものだ。
こういうのが見たかった『映画プリキュアスーパースターズ!』
※この記事は前ブログの過去記事(2018年04月11日)の再録です

プリキュア15周年、そして歴代プリキュアが参戦するクロスオーバー作品も10周年という記念尽くし作品。はぐたんを連れてキャンプ(ゆるキャン!?)に出かけたHUGプリの3人+ハムスターは世界を嘘だらけにしようとする怪物・ウソバーッカ(CV:北村一輝)に襲われ、さあや(CV:本泉莉奈)とほまれ(CV:小倉唯)を攫われてしまう。ウソバーッカはさらにキラプリ、まほプリも攫ってしまってめちょっく!(めちゃショック、の意)残されたメンバーは、はな/キュアエール(CV:引坂理絵)、宇佐美いちか/キュアホイップ(CV:美山加恋)、朝比奈みらい/キュアミラクル(CV:高橋李依)というオールピンクな面子のみ。はなは過去に不思議な世界で出会った少年クローバー(CV:小野賢章、『北京原人』の子供原人役でおなじみ)と交わした約束を守ることができなかったことを思い出して…
例年、クロスオーバー作品では先輩プリキュアが大量に登場して何が何だかわからないレベルの大混戦になってしまうのですが今作は直近3作品からの出演に止め、総勢12人の出演に。おかげで各キャラクターの個性を生かしたエピソードが強調されることに。例えば捕まってしまったプリキュアたちがなんとかして脱出しようとするのだが、方針を巡ってちょっとした口論に。そのやりとりの中で剣城あきら/キュアショコラ(CV:森なな子)がいつものノリで必要以上に顔を近づけるので壁ドン扱いされたり、まほプリが襲われた時にリコ/キュアマジカル(CV:堀江由衣)が身を挺してみらいを逃がそうとするんだけど、その時セリフを交わさずにアイコンタクトだけでみらいに意思を伝えて、受け取るみらいもアイコンタクトだけで応じるという目と目で通じ合うみらリコの関係性を表す名場面・・・っ!!
プリキュア視聴者の大きなお友達が劇場でうんうん、と深く頷いたのであった。こういうところが見たいんだよな!!無理やりに先輩プリキュアいっぱい出さなくていいから!
湊くん!全部私のせいだ!
※この記事は前ブログの過去記事(2018年04月06日)の再録です
『仮面ライダー鎧武』の仮面ライダーデューク/戦極凌馬役などで知られる俳優の青木玄徳さんが強制わいせつ致傷で逮捕されてしまいました。
仮面ライダー出演俳優が逮捕 青木玄徳容疑者 強制わいせつ致傷の疑いで
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/04/06/0011138509.shtml
青木玄徳容疑者は逃走も 現場にプロモーション用資料を落とし発覚
http://news.livedoor.com/article/detail/14541000/
産経の記事によると
>同署によると、青木容疑者は現場周辺の飲食店で午前1時ごろまで1人で飲酒。店を出た後、30分ほどの間に4人の女性に次々と抱きつく姿が防犯カメラに映っていた。
酔った勢いでは済まされないレベルの行為。本人は罪を認めて鎧武の戦極凌馬のように「全部私のせいだ!」と供述したそうです(嘘つけ)。

彼は今年公開される実写『パタリロ!』のバンコラン役担当なんですが、このまま降板してしまうのか気になるところ。この日青木玄徳のスタッフ公式Twitterアカウント(以前までの事務所を退所して、この4月からフリーランスになった)が開設されたのですが、その一時間後に本人逮捕でアカウント削除。展開が早いなあ。最近の仮面ライダーみたい。
鎧武では黒幕としてあらゆる人間を苦しめて視聴者と登場人物を絶望のどん底に突き落としてましたが、実際の生活で一般人女性を絶望させてどうするんだ…
ノン子さんのベストアルバム
80年代を駆け抜け、いまだ人気の衰えぬ人気声優、日髙のり子さんの歌手デビュー40周年を記念したベストアルバムが発売決定。
ジャケットデザインはもちろんあだち充先生だ!
発売日は2020年12月2日。これは日髙さんがアイドルとしてデビューした『初恋サンシャイン』のリリース日12月1日に合わせてのものである(その前に「いとうのりこ」名義で1月21日にアニメ『ふたごのモンチッチ』の主題歌を出している)。
今回のベストアルバムはCBSソニー、キャニオンレコード、アイドル時代や人気が定着した時代からのセレクトと『タッチ』の楽曲カバー、『らんま1/2』『ふしぎの海のナディア』他のアニメキャラソンの二枚組仕様。
モンチッチやデビュー曲、新録音を含む全40曲にはカルト的な人気を誇る『ウルティマ-瞳のナイフ-』も入っているのでマニア垂涎。女房を質に入れてでも買え!(化石語)
全収録曲はここで確認しよう!
https://www.ponycanyon.co.jp/music/PCCG000001953
これは怪獣映画だ『シェイプ・オブ・ウォーター』
※この記事は前ブログの過去記事(2018年04月04日)の再録です

第90回アカデミー賞、作品賞と監督賞の両方を受賞した瞬間、世界中の怪獣映画オタクが涙したという…
メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督は子供の頃テレビや映画館で見たモンスター映画に夢中になり映画作りの道を目指した。その彼の最新作は半魚人と人間の女性の恋愛についての映画だ。ジャンル分けをするならば恋愛映画、ファンタジーということになるが、この作品は間違いなく怪獣映画なのである。
冷戦時代のアメリカ。航空宇宙研究センターという施設で清掃員として働く聾唖の女性、イライザ(サリー・ホーキンス)はアパートの隣室の住人である画家の老人ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)、職場の黒人女性ゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)以外に話し相手もいない、職場と自宅の往復を繰り返す退屈な日々を送っていた。
センターにソ連から亡命してきたホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)が巨大なタンクを運び込み、「俺はトイレでは用を足す前しか手を洗わない。手を二度洗う男は根性なしだ!」とのたまう傲岸不遜な軍人ストリックランド(マイケル・シャノン)が指を切る大けがをし、イライザとゼルダは急遽部屋を清掃するよう命令される。イライザはその部屋でタンクの中にいる半魚人を見つける。ここは航空宇宙研究センターの名を隠れ蓑にした秘密研究施設だったのだ。
神秘的な外見に心奪われたイライザはその後も隙を見ては部屋に忍び込み、エサとしてゆで卵を差し出し、手話を通じて半魚人と心を通わせていく。半魚人とは人間の言葉で会話などできないが、イライザだって口が聞けないから何も問題はない。
やがて半魚人の処遇をめぐり、ロケットに載せて宇宙飛行士の代わりに宇宙へ送り込めと提案するホフステトラー(半魚人は鰓呼吸できるから、この謎を解き明かせばソ連との宇宙開発戦争に勝てる!というわけ)と手っ取り早く生体解剖すればいい、と主張するストリックランドの両者はぶつかりあう。結局ストリックランドの案を採用することになるのだが、それをこっそり聞いたイライザはジャイルズに半魚人を救う手伝いをしてほしいと頼み込む。人間ではない生き物なのに?と二の足を踏むジャイルズ。だがイライザが手話で「彼を助けなければ私たちだって人間じゃないわ」と言われ、救出を決意する。
救出作戦が決行され、イライザは偶然居合わせたゼルダの助けを借りて半魚人を運び出そうとするが、ホフステトラーと鉢合わせしてしまう。しかしホフステトラーは「半魚人を入れる水槽には塩分を絶やすな」とアドバイスし、逃亡の手助けをする。ホフステトラーはソ連のスパイで、上官からアメリカが半魚人の秘密を解き明かす前に殺せと命令されていたが、殺すことに反対してイライザたちに半魚人を託すことに。
無事イライザのアパートのバスタブに半魚人を匿うことに成功したのだが、こっそり抜け出した半魚人がジャイルズの部屋で飼っている猫をボリボリ食ったりするんだよな。なにしろ肉食だから(笑)。「この子たちは友達なんだから食べちゃだめだ!」と怒られてシュンとする半魚人が可愛い。
イライザは風呂場を目張りして部屋中を水で浸して半魚人と―結ばれる。恋人もおらず仕事前の自慰行為を日課にしているような中年女性が初めて異性(?)と結ばれる場面の美しさときたら!半魚人の勃起のメカニズムもきちんと説明されてるんですよね!スゴイ映画だ!
デル・トロ監督は子供の頃に見た『大アマゾンの半魚人』(1954)がお気に入りで、『大アマゾン~』はアメリカの探検隊がアマゾンの奥地で見つけたギルマン(半魚人)を捕獲して見世物にしようとする。ギルマンは探検隊紅一点の女性に恋し、攫おうとするが探検隊の反撃を受けて死んでしまう。モンスター映画として公開された『大アマゾン~』は異形の怪物の恐怖を描いているが、デル・トロ監督はこれを美しい愛の物語として解釈し、ギルマンと人間の女性が結ばれる話を想像したという。そのうえで『美女と野獣』風の物語にし、「『美女と野獣』はどうして野獣が最後に人間の王子に戻るんだ?純愛だというなら野獣の姿のまま愛せばいいじゃないか」という長年の疑問をぶつけた。この映画の半魚人は半魚人のままなのだ!
なので、これはどう考えても半魚人の映画だ。恋愛映画だ、ファンタジー映画だのと甘い言葉では済まされない。どこからどう見ても完璧な怪獣、モンスター映画なのだ。そんな映画がアカデミー賞の作品賞を取ったりしたのは本当に奇跡というしかない。

