talk show -14ページ目

トシノセのキブン

talk show-アリ
アリの行進を見た
なにか、聞こえるぞ
しゃがんで、耳をかたむけてみる
アリ;イソガシ、イソガシ、トシコシ、イソガシ・・・ショック!
アリまで、年越しの準備で気が急いている




でも・・・


ネコヤナギはゆっくりと、春まちの準備をしているよtalk show-ねこやなぎ







talk show-そら




ソラのくもも、ゆっくりと、流れているよ














終末の唄_033

♯08

 不思議な娘がいるらしい。シャンプーを使って、こころの汚れをきれいに洗い流してくれる、という。
 わたしは、どうしても、その娘に会わなければならない。一刻も早く――。


 マスクの男は身体全体をアンテナにして、あらゆる噂に耳をそばだてて、どんな小さな手がかりをもこつこつとかき集め、それらを総合的に解析し、やっとここまでたどり着くことができた。
 この街の外れの山の中に、その娘がいるクリニックはあるらしい。

 マスクの男はG市駅で電車を降りたあと、改札を抜けて、駅前のターミナルに出た。
 そこに立って、彼はゆっくりと街並みを眺めてみた。
 その街はとりたてて目立ったところのない、どこにでもあるようなごくありふれた街に見えた。印象が薄すぎて、注意しなければ気づかずに通り過ぎてしまいそうな、そんな街だった。
 小さなターミナルにも、とくに変わったものは何ひとつ見当たらなかった。
 地味なイタチ色の路線バスと、白いタクシーが数台停車していて、置き忘れられたような電話ボックスと、小さなコンビニエンスストアがあるだけだ。
 線路を隔てた緑色のネットフェンス際には、無数の自転車が雑然と放置してある。数羽の鳩が植え込みに潜り、くぐもった鳴き声を漏らしながら、何かをしきりについばんでいる。近くの高校の男子学生が、数人でふざけあって歩いている。
 そして覆い被さるようにどんよりとした灰色の雲が、その街の上にたれ込めていた。

 マスクの男はコンビニエンスストアに入った。
 店の中には、若いアルバイト風の女店員がひとりいるだけで、ほかに客はいなかった。彼女は商品の補充に忙しく、いらっしゃいませと言ったきり男のことには無関心のようだった。
 何かの音楽が流れている。最近よく聞く曲だ。というより、耳にし過ぎて、四六時中頭の中で通奏低音のように鳴り響いている曲だ。
 けれども男はその曲について、何もしらない。
 店の奥の天井の隅に防犯用のミラーがある。そのひん曲がった世界の中に、自分の姿が映っている。黒いウィンドブレイカーを着て、そのフードを頭にすっぽりと被り、大きなマスクをしている。じつに奇妙な姿だ。
 マスクの男は一瞬目を伏せたあと、青いカゴを手に取って、そしてその中にG市の市街地図と、新聞と、ドーナッツと、テトラパックのコーヒー牛乳を入れ、レジに向かったのだった。

 コンビニエンスストアを出たあと、男はバスターミナルの四番のバスのりばへと向かった。
 バスのりばにある行き先を示すプレートには、「アラン山行き」とだけ書かれてある。クリニックのことはどこにも書かれてはいない。
 時刻表を見る。次のバスは十三時四五分発だ。まだ少し時間がある。
 マスクの男はそれまでベンチに座り、バスがくるのを待つことにした。

To be continued.

 

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終末の唄_032

 クリニックに着いてバスを降り、いつものように受付へいくと、チェン先生の午後の診察は今日は休診になった、と言われた。

「あなたのご自宅に電話をしたんだけれど、連絡がとれなくって」

 当然だ。ぼくはいままでかをりと会って、映画を観て、ランチをとっていたのだから。(携帯電話は、この病気になってから解約してしまったし)。

「チェン先生の代わりにだれかほかの先生――ってわけにもいかないしね」

 それも、当然だ。これは取り替えがきくという性質の話ではない。
 診察が休診になるなんてことは、これがはじめてのことだった。だからぼくは受付の事務員に休診の理由を訊いてみた。

「じつは、チェン先生はいま、ある患者さんのところにいらしているのよ」
 
 とても肌の色が白く、大きな瞳をしたその事務員の女性は眉を少しだけひそめて、そう言った。

「その患者さんは――そうね、もうわりに長くここに通っているんだけれど――、いわゆるオーバードーズなの」

「オーバードーズ」とぼくは繰り返した。

「彼女――ああ、その患者さんはまだ若い女の子なんだけれどね、これまでにも何度も薬を飲み過ぎて、死にかけたことがあるの。
 幸い運良く、いつも発見が早くて命拾いしていたんだけれど、こんどは違うの」

「何が違ったんですか?」

「彼女が、どこにもいないのよ。姿を消したの。昨夜から。死期を悟ったネコが自分の死に場所を探してひとしれず姿を消すみたいに、彼女もどこかでひとりで静かに死のうとしているんじゃないかって、いまみんなで必死に捜索しているの。
 それで、警察のひとが、チェン先生なら彼女の行方を探す手がかりについて、何かこころ当たりがあるんじゃないかって、ここに捜索の協力を要請してきたのよ」

「そうだったんですか。大変なんだ。チェン先生」

「そう。大変なの。実際、こんなことにいちいち巻き込まれていたら、身体がいくつあっても足りないわよね」

 その事務員は尖った顎を常に上げ気味にして話す。それがどこか、キリンに似ている
 そういえば、このキリン顔の事務員とは、こことは違うどこかで、以前に会ったことがあると、ずっと考えていたのだけれど、それがどこだかいまわかった。
 ぼくが夢遊殺人事件に遭遇した日に、路上でブルーのチケットをぼくに手渡したひと、に似ているんだ

「そうですよね。大変ですよね。ぼくらみたいなのばかり相手にしているんだから、チェン先生は」

「あ、いえ、決してそういう意味で言ったんじゃないのよ? 勘違いしないでよね?」

 彼女は大きな瞳をさらに大きくしてあわてて、言った。

「わかってます。大丈夫ですよ、気にしていませんから」

 そう言うと、ぼくは再びクリニックの前のバス停へいき、ベンチに座って山を降りるバスがくるのを待った。
 クランケのために奔走するチェン先生のことを、ぼんやりと思いながら――。

To be continued.

 

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