エスパルス創設時から応戦してきましたが、今シーズンは良い意味でも悪い意味でも特別でした。
会社が次々と繰り出す営業戦略は素晴らしく、負けたとはいえ国立競技場も楽しませてもらえました。
営業成績も良かったのではないでしょうか。
まさにプロの仕事を社長やスタッフの方々はしてくれたのだと思います。
そして二度とないようにと願っていたJ2降格。
今年は、J1のプロとしては物足りない試合はありました。
プロとアマチュアの違いは、試合観戦(放映)の対価として金銭が発生するか否かです。
プロである以上、「試合」にビジネスとしての価値を生み出すことは必須です。
降格があるサッカーでは、勝利=価値と言えます。
ただ、ファンが求めているのは勝利だけではありません。
勝ち試合だけを見たいのなら、毎年、優勝争いをしそうなチームを応援すれば良いのです。
今年のエスパルスのようなチームを応援するのであれば、J1で負け試合、引き分けの試合をどう観るのかが大事になります。
プロであれば試合を見せて対価としての金銭を取るのですから、負けや引き分けになるのであれば、過程だけでも売り物にしなければなりません。
ところが、今年は1点をリードしたとたん弱気の雰囲気が出てきて、追いつかれたり、逆転されたりする試合が多かったです。
同じ引き分けでも、ホーム鳥栖戦のような内容ならファンは「試合」を買います。
でも、ダービーを筆頭にアディショナルタイムに慌てるプレー続出で追いつかれてしまうと、試合終了のホイッスルが鳴ったときに呆然とするしかありません。
これが、選手個人の能力や固定したミスに起因するのであれば、その解決は容易でしょう。
でも、アディショナルタイムでの失点を特定の個人のせいにすることは難しかったと思います。
2016年にJ2で過ごしたシーズンは過酷でした。
どのチームもJ1から降格してきたチームに対しては、格上とみて他の試合より集中して戦ってきます。
ほんの少しバイタルで油断しただけで、スーパーミドルシュートを決められた試合もたくさんありました。
その結果、勝てない試合が続き、アウェイの松本戦で敗れたときには、一時はJ1昇格を諦める気持ちすらわいてきました。
その後、C大阪戦での白崎選手のスーパーゴールからの9連勝(でしたっけ?)で、ようやく2位に滑り込んだのです。
おぼろげな記憶では、最終節の徳島戦に負けたら、3位の松本と入れ替わって昇格できなかったのではなかったでしょうか。
オレンジに染まったポカリスエットスタジアムで、テセ選手から金子選手へと繋いでのゴールに歓喜したのは一生忘れられません。
ちなみにそのシーズン1位を独走していると思われた札幌ですら、J1昇格が見え始めてから負けがこんできて、最後はエスパルスとそれほど勝ち点の差がなくなってしまったと記憶しています。
そんな厳しい中、素晴らしい闘志を見せてくれた2016年のエスパルス戦士たちには今でも感謝の気持ちを持っています。
J2でも試合の対価を払う価値のあるプロの姿でした。
J2の選手たちは厳しい環境の中反骨精神が強く、気持ちの面ではJ1の選手のそれを上回っていると思います。
今日のプレーオフを戦った熊本にもそれを十分に見せつけられました。
この熊本に勝てるのでしょうか?
J3をぶっちぎりで上がってきたいわきFCに勝てるのでしょうか?
天皇杯を制した甲府に勝てるのでしょうか?
そんな厳しい敵が21チームもいて、その全てに気持ちで上回れるのでしょうか?
1年でJ1に復帰するのであれば、土壇場で慌てない、感情的にならない、いつもと同じ質の高いプレーができるチームに仕上げるという大改革が必要です。
誰かを入れ替えるという簡単な方法ではなく。
希望は「膿を出し切る」と山室社長が発言していたことです。
ファンには分かりませんが、「膿」を特定できるのなら、解決もできるでしょう。
後は2015年に降格したときの合言葉。
「選手が一人も欠けることなくJ1に戻ってこよう」
実際、移籍する選手を最小限に抑えて、残ってくれた選手たちが約束通り1年でJ1に戻してくれました。
選手の残留が最大の補強。
これからのフロントの活躍にも期待したいです。