今回の【駅】シリーズは、
三重県南勢・伊勢志摩地方の中心都市である伊勢市の中心市街地に位置する参宮線の駅で、伊勢市の代表駅、北側には近鉄山田線の伊勢市駅が併設されていて、現在も近鉄と改札口や改札内コンコースを共用している、
伊勢市駅 (いせしえき。Iseshi Station) です。
尚、当記事ではJR線の伊勢市駅およ南口側のみを取り扱います。
近鉄電車の伊勢市駅および北口側につきましては、後日近鉄線・伊勢市駅の記事をUPして紹介予定です。ご了承下さい。
駅名
伊勢市駅 (近鉄との共同使用駅。南口はJR東海が管理。駅番号なし)
所在地
三重県伊勢市
乗車可能路線
JR東海:参宮線
隣の駅
多気方……山田上口駅
鳥羽方……五十鈴ケ丘駅
乗換可能駅
近畿日本鉄道:山田線……伊勢市駅まで徒歩3分
訪問・撮影時
2021年8月
駅概要
駅形態……………地平駅(JR駅は1897年開業。近鉄駅は1930年開業)。
駅舎………………南北に有(南口はJR管理、北口は近鉄管理)。
出入口……………南北にあり。通り抜けは入場券が必要。
南北間の移動は約220m西or約380m東の踏切へ迂回。
バリアフリー……○(南北とも出入口に段差なし。改札内跨線橋はエレベーター併設)。
点字ブロック……各出入口~各改札~各ホームに設置。
駅前広場…………○(南北ともロータリー・タクシー乗り場有。バス停は南口のみ)。
以前は国鉄が、現在はJR東海が管理する南口です。北東を望む。正面口に相当します。
1950年に改築された一部2階建て駅舎で、右側には平屋建て部分が延びています(下写真)。
その割に駅舎が綺麗なのは、2012年にリニューアルされたからです。
伊勢神宮がある伊勢市の玄関口に相応しい貫禄のある駅舎です。
南口駅前です。北西を望む。右手に駅舎があります。
広い駅前広場が整備されており、中央に歩行者用のスペースがあります。
西側(前方)にはバスターミナルとタクシー乗り場のロータリーがあり、東側には一般車用の送迎スペースがあります。
バスターミナルはロータリーと、正面に見えるビル(ホテル三交インと伊勢市の公共施設などが入居する再開発ビル)の前の道路沿いに分散して設けられています・
三交インや再開発ビルの位置にはかつて三重交通が運営していた三交百貨店がありました。
南口駅前です。南東を望む。左手に駅舎があります。
正面に一般車送迎スペースがあり、後方にロータリーがあります。
南東約600mには、近鉄における伊勢市の代表駅である宇治山田駅があります。
南口駅前です。南西を望む。後方に駅舎があります。
前方には鳥居があり、奥に向けて外宮参道が延びています。参道沿いには商店街が形成されています。
また、鳥居の先の両側には大手スーパー「ジャスコ」の店舗(ビル)がありましたが、閉店されてビルが解体され、跡地には2013年、宿泊・温浴・商業の複合施設「伊勢外宮参道 伊勢神泉」が開業しました(Wikipediaの本文を引用)。
参道を450mほど進むと、伊勢神宮外宮に到達します。お伊勢参りは外宮→内宮の順に参拝するのが正しい順番とされています。
外宮の正式名称は豊受大神宮です。
南口駅前です。駅前広場北西端より南西を望む。左手に駅前広場と駅舎があります。
道路を渡って右側に三交イン、再開発ビルと一部のバス停留所があります。
また、左前方のビルは「伊勢外宮参道 伊勢神泉」です。
伊勢市駅南口周辺は伊勢市の中心市街地で、商店や飲食店が多いですが、他の地方都市と同様に空洞化が進行して閑散としています。
奥に延びる大通り(県道37号線)を通っても外宮へ行けます。
尚、この大通りは毎年11月初旬に開催される全日本大学駅伝のコースになっています。
南口1階にある「JR改札口」です。北東を望む。
こちらの南口はJR東海が管理していますが、近鉄だけを利用する場合も入出場が可能です。
駅員配置………有人駅(駅長配置駅かつ管理駅)。
自動改札機……あり(3通路)。
ICカード………近鉄線のみ利用可能(『PiTaPa』エリア内)。
JR線はエリア外なのでICカードは利用できません。
幅広通路………あり(一番右の自動改札通路)。
有人通路………あり(窓口に面した右端通路。点字ブロック設置)。
窓口……………あり(改札窓口、右手前の『JR全線きっぷうりば(みどりの窓口)』)。
自動券売機……あり(改札口の右手前。JR線のみ。ICチャージ不可
近鉄線の窓口と自動券売機は左側にあり)。
自動精算機……なし(近鉄用ICチャージ機を設置。紙のきっぷの精算は改札窓口へ)。
トイレ…………改札内1番線(多機能トイレ併設)。
改札外設備……ベンチ・飲料自動販売機・コインロッカー。
売店……………左前方改札外に「ギフトキヨスク」の店舗あり。
コンビニ………なし(南口の約200m南に「ファミリーマート」有)。
そして改札の先は1番線ホームで、2番線・3番線、近鉄線ホーム、北口へは左側にある跨線橋を利用して下さい。エレベーターも併設されていて、伊勢市駅はバリアフリーに対応しています。
また、右側にも跨線橋がありますが、そちらは2・3番線としか繋がっておらず、しかも階段のみです。
こちらは南口駅舎1階にある近鉄線きっぷうりばです。北西を望む。
左が出入口、右がJR改札口です。
手前から自動券売機(ICチャージ可)、インターホン付き特急券・定期券発売機(JR東海のサポートつき指定席券売機に相当)、出札窓口(特急券や定期券も購入可能)、赤福売店の順に配置されていて、南口から近鉄に乗る場合も不自由ありません。
一方、北口からJRに乗る場合は、北口にJRの自動券売機やきっぷうりばが無く、きっぷが無い場合は窓口で駅員に申し出た上で乗車駅証明書を受け取る必要があります。
右手には「ギフトキヨスク」があり、右奥には伊勢市駅観光案内所があります。
1番線に設置の吊下式駅名標です。電照式で、バックライトは蛍光灯です。
JR東海・在来線の標準デザインで、国鉄タイプと同じく駅所在地も併記されています。
アルファベット部分にはJR東海のコーポレートカラーであるオレンジが塗られています。
尚、参宮線に駅ナンバリングは導入されていません。
駅構造……地平駅(北西~南東方向)。
配線………単式ホーム1面・島式ホーム1面の計2面3線。
駅舎に面した左の単式ホーム(南)は1番線は上り本線で多気・津・名古屋方面、右の島式ホーム(北)は左が2番線(下り本線)で二見浦・鳥羽方面、右が3番線(上下副本線)で主に上下線の当駅始発・終着列車が発着します。
3番線の右(北)には旧・伊勢車両区の留置線が複数あり、さらに北側には近鉄山田線の4番線・5番線ホームがあります。
1番線ホームから見て2・3番線ホームは多気方(奥)にずれています。
ホーム有効長……1番線9両分、2・3番線8両分。
ホームドア………なし。
ホーム幅…………全体的に広いですが、1番線の鳥羽方(手前側)は狭いです。
上屋(屋根)………1番線は多気方の5両分、2・3番線は鳥羽方の6両分。
ホーム上設備……ベンチ(各ホーム)、待合室(2・3番線のみ。空調の有無は不明)。
ホーム上設備……トイレ・多機能トイレ(1番線のみ)。
1番線に面して南口(JR改札口)があります。
鳥羽方の跨線橋(階段のみ)はJR線専用で、1番線と2・3番線のみを結んでいます。
多気方の跨線橋(階段・EV併設)は1番線~2・3番線間はもとより近鉄線ホームや北口(近鉄改札口)にも行けます。近鉄線とは改札内を共用していて、極端に言えばJRのきっぷを持っていれば近鉄線ホームヘ行くことが可能です(但し近鉄電車に乗るには近鉄の乗車券が必要です)。
写真は3枚とも1番線より多気方を望む。
2枚目と3枚目は1番線より、1枚目と4枚目は2番線より、いずれも鳥羽方を望む。右から1番線~3番線の順です。
近鉄線が開業するまでは名実ともに伊勢神宮への玄関口だったため、その名残でホームはとても広いです。
上屋は支柱に古レールが使用されています(2・3番線は木造も混在)。
3番線と近鉄線ホームの間には、車両基地だった旧・伊勢車両区があり、かつてはキハ40系などが配置されていましたが、2016年に名古屋車両区と美濃太田車両区に統合される形で廃止され、跡地には留置線が残されて夜間滞泊などに使用されています。
しかし、線路が撤去された跡もあり、広い用地を持て余し気味です。
伊勢車両区があった2000年代後半には、2013年の伊勢神宮式年遷宮にあたり、地元ではこの車両区を廃止の上で駐車場に転用して多客対応すれば…という話も出たそうです。まぁ、デッドスペースが多い現状を見ると、2033年の式年遷宮の際には同じような話が出かねません…。
2枚とも3番線より、上写真は鳥羽方を、下写真は北東(近鉄線ホーム方)を望む。
南口・JRホームと近鉄ホーム・北口を結ぶ東側跨線橋は旧・伊勢車両区を乗り越すため、距離が長くなっています。
3番線より鳥羽方を望む。
1番線より多気方を望む。
ホーム端付近に近鉄線ホームや北口とを結ぶ東側跨線橋とエレベーターのりばがあります。
2・3番線ホームはもう少し先まで延びています。
また、1番線終端部の左側には貨物側線跡と思われる空地と、貨物ホームのような構造物が確認できます。
そして、左前方には三交百貨店跡の再開発ビルがあります。
この先、市街地の中を右へカーブして進路を北北西に変えると右から旧・伊勢車両区の出入庫線が合流し、連れて右から近鉄山田線の電化複線が寄り添います。その後すぐに左へカーブして市街地の中を西へ走ります。しばらくするとこちらが左へカーブ、そして近鉄線が右へカーブして両路線が分かれ、右手の住宅の間から近鉄線の宮町駅が少しだけ見えます。その後も市街地の中を西南西へ走り続けると右カーブが始まり、山田上口駅へと至ります。
1番線より鳥羽方を望む。
ホームの鳥羽寄りにJR線専用の西側跨線橋(階段のみ)があり、その少し先に2・3番線ホームの終端部が、かなり先には1番線ホームの終端部があります。
また、左前方には保線用側線が見えます。
この先、左へカーブするとすぐに伊勢市駅から右へカーブを切った近鉄山田線をアンダークロスします。その後は住宅街の中を東北東へ走りますが、勢田川を渡ると沿線に田園の割合が増え、やがてローカルな田園風景の中を走るようになると五十鈴ヶ丘駅へと至ります。
あとがき
下車(乗車)時・・・2002年、2021年。
伊勢市駅は近鉄の方が利用機会が多く、JRは通過利用ばかりです。JR線は2面3線で、北側にある近鉄駅との間に旧・伊勢車両区の留置線が多数あり、運転上の拠点駅となっています。そのため、津駅や松阪駅とは違い、JR駅と近鉄駅が少し離れているものの、改札内は共用しています。JR線の駅舎は南口側で、古いながらもリニューアルされている2階建ての立派な駅舎を構えていますが、残念ながら乗降客は近鉄に軍配が上がります。おそらく名古屋方面や鳥羽方面はJRもある程度頑張っていると思うのですが、大阪・京都・奈良方面は近鉄の独壇場でしょうね…。名古屋以西が同じJR旅客会社だったら三重県南部~京都・奈良・大阪方面ももっと力を入れていたと思いますが…。駅前は伊勢市の中心市街地ですが、駅前にあったジャスコや三交百貨店は閉店・解体され、再開発されているものの空洞化が進行して、閑散としてしまっています…。
鉄路のみで
東京から・・・当日到達可、日帰り往復可。新幹線で名古屋へ。快速『みえ』に乗換。
大阪から・・・当日到達可、日帰り往復可。近鉄阪伊特急に乗り伊勢市下車すぐ。
食料・飲料 (500m以内)
コンビニ・・・・・・あり (南口の約200m南に「ファミリーマート」有)
飲食チェーン店・・・あり (最寄店舗は南口の約150m南「和食さと」)
東京・大阪ともさほど到達難易度が高くありません。
参宮線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は伊勢市駅でも途中下車してみて下さい!
そして、お伊勢参りの際はぜひ参宮線をご利用になり、伊勢市駅も観察してみて下さい!
(参考:JR東海のHP、近鉄のHP、さいきの駅舎訪問、Google地図、地理院地図、Wikipedia)