小和田駅【静岡県】(飯田線。2021年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】シリーズは、
静岡県北西部、浜松市天竜区北西端の天竜川沿い山間部に位置する飯田線の駅で、天竜川の対岸は愛知県ですが、すぐ北には長野県が迫る3県境の近くにある駅、また1993年の現・天皇陛下と現・皇后陛下のご結婚の際、皇后雅子さまの旧姓が「小和田(おわだ)」と読みは違うものの表記が同一である事から、多くの人が訪問した駅ですが、今はひっそりとしていて、トップクラスの秘境駅として名を馳せている、
小和田駅 (こわだえき。Kowada Station) です。
  
  
駅名  
小和田駅 (駅番号なし) 
 
所在地  
静岡県浜松市天竜区 (旧・磐田郡水窪町)  
 
乗車可能路線  
JR東海:飯田線  
 
隣の駅  
豊橋方……大嵐駅  
辰野方……中井侍駅 (長野県)   
  
訪問・撮影時  
2021年1月  
 
 
駅概要  
駅形態……………地平駅。
駅舎………………あり(おそらく1936年の開業時以来のものと思われます)。
出入口……………駅北側のみ。南側は山林です。
バリアフリー……非対応(駅前道路と駅舎~ホーム間に階段あり)。
駅前広場…………なし(交通広場はありませんが駅舎の前に広いスペースはあります)。
 
 

 

駅舎です。東を望む。
駅舎は崖下から舗装された細い道路(後方に延びています。自動車通行不可)を登り切った所にあります。
駅舎は木造平屋建てで、建物資産標は確認できませんでしたが、戦前の1936年の開業以来ずっと使用され続けていると思われます。
出入口には扉がありますが、ホーム側の出入口に扉がありませんので、雨風を完全にしのぐことはできません。
出入口の右手には来訪者が使用できる杖が置かれており、左手には廃車同然のバイクが放置されています。
尚、駅前に自動車で乗り入れることはできません(バイクも不可)。当然、駅近くを走るバス路線も存在しません。
 
 

 

駅前です。西を望む。後方に駅舎があります。
上写真右手には「三県境界駅」の標識があります。
また、上写真前方の線路沿いが下写真の撮影地点で、崖下に向かって下り坂になっています。舗装されていますが、自動車は通行できません。途中に階段があります。
下写真奥、下り坂の先には階段があります。階段を下ると右側に集落跡があり、正面の廃屋跡(?)には東屋(あずまや)があります。
 
 

こちらが東屋です。西を望む。後方に小和田駅があり、右が集落跡方向です。
住宅跡と思われる場所に東屋があります。
ベンチが2脚あり、背もたれには「愛」と「お二人の幸せを呼ぶ椅子」が書かれています。
天皇・皇后両陛下のご結婚にちなんで小和田駅が恋愛成就の聖地になり、当時の旧・水窪町が募集して小和田駅で1組が挙式した際に設置されたそうです。
現在は休憩や風雨回避に使用できます。テーブルはありません。
 
 

東屋前で右へ曲がると廃屋を確認できます。北を望む。右手坂上に小和田駅があります。
この付近には数軒の家屋が存在したようですが、現存しているのは2軒で、全て空家です。階段の右側の家屋は原形を保っていますが、階段左側の家屋は倒壊してしまっています。
右の家屋の手前で右折すると、現在住民がいる塩沢集落方面です。角には「塩沢まで1時間」と書かれた道標があります。
塩沢集落は直線距離で小和田駅から約1.4km東北東にありますが、山道を歩かねばならず、クネクネ道で上り坂が続くため、到達するのに徒歩1時間ほどかかります。
また、このまま前方へ直進すると天竜川方面です。
 
 

こちらは崖下より前述の集落跡を望む。左奥の坂上に小和田駅があり、後方を天竜川が流れています。
集落は斜面に形成されていました。自動車で到達できないため、廃れていったのでしょうか…。
 
 

ホームより北を望む。
眼下に天竜川(佐久間湖)が流れています。奥が上流側、手前が下流側です。駅北側で蛇行しています。
駅がある手前側が静岡県で、対岸が愛知県ですが、蛇行内側に山が突き出ている部分を境に奥側が長野県になります。
また、川の手前側も写真奥の高い山は長野県になります。
尚、佐久間ダム建設前の天竜川はもっと川幅が狭く、谷底に集落や道路が存在していたそうです。その頃は対岸の愛知県豊根村(当時の富山村)との行き来が楽だったようですが、佐久間ダム建設により対岸との行き来が困難になりました。近くの橋は下流側が大嵐駅前、上流側が中井侍駅の約1.2km南西で、いずれも遠いです。
 
 

 

駅舎内です。出入口より上写真は東を、下写真は南を望む。
 
駅員配置………なし(1984年より無人駅)。
自動改札機……なし(無人駅なのでそのまま入場して下さい)。
ICカード………利用不可(エリア外。ICエリア内から乗り越しの場合は全区間現金精算になります)。
出札窓口………あり(無人化により閉鎖されています)。
自動券売機……なし(車内で車掌からお買い求め下さい)。
自動精算機……なし(車内精算になります。乗車中に車掌へ申し出て下さい)。
トイレ…………なし(駅訪問時は下車前の列車内で済ませておいて下さい。駅近くに公衆便所なし)。 
その他設備……ベンチ、机、駅ノート。
売店……………なし(飲料自動販売機すらありません)。  
コンビニ………なし。
 
窓口には前述の当駅で結婚式を挙げたカップルの写真が掲示されています。
右側には電話マークがありますが、小和田駅に公衆電話・インターホンの類いはありません。スマホの電波が届くかどうかの確認は忘れました…。
尚、小和田駅にトイレはありませんので要注意です。
 
そして元改札口を通り、左へ曲がるとホームです。ホーム手前に階段がああります。
直進方向には2008年まで使用していた反対側ホームとを結んでいた構内踏切跡が残っています。
 
 

こちらはホーム側より駅舎を望む。北を向いて撮影。
右がホーム方面、後方が構内踏切跡です。
駅舎への出入口横にはきっぷ回収箱が設置されています。
出入口上部には「いらっしゃいませ」と書かれた歓迎の看板があり、その上には当駅で挙式した際に運行された団体列車(?)に掲げられていたと思われるヘッドマークが飾られています。
 
 

駅舎を通り抜けると写真の地点に出ます。東を望む。
左(写真前方)へ曲がって駅舎脇を通り、階段を登るとホームです。

スロープは無く、バリアフリー非対応となっています。
また、右手には構内踏切跡が残っています。
 
 

建植式駅名標です。電照式ではありません。
JR東海・在来線の標準デザインで、国鉄タイプと同じく所在地も併記されています。
この駅名標は、旧所在地の磐田郡水窪町が平成の大合併により浜松市天竜区になった後に取り替えられています。
アルファベット部分にはJR東海のコーポレートカラーであるオレンジが塗られています。
尚、飯田線において、豊川駅より北(辰野方)の各駅では駅ナンバリングが導入されていません。
また、左には「恋成就駅小和田」と書かれた標柱があります。
 
 

こちらはホームの辰野寄りに設置されている標柱です。
小和田駅の所在地は静岡県ですが、駅から左前方の愛知県、右前方の長野県を確認できるため、実際に小和田駅は県境に掛かっていないものの、三県境界駅として有名です。
 
 

 

駅構造……地平駅(西南西~東北東方向)。
配線………単式ホーム1面1線(棒線駅)。かつては相対式ホーム2面2線の交換可能駅でした。
 
番線は設定されておらず、下り辰野方面、上り豊橋方面とも同じホームに発着しますので、乗り間違いに注意が必要です。
かつては現ホームが1番線で下り辰野方面、左(南)にあった旧2番線が上り豊橋方面だったと思われます。
旧2番線はホームが残っていますが、立入はできません。レールは撤去され、辰野方(手前側)の線路敷にはバラストが積まれています。
 
ホーム有効長……3両分。
ホームドア………なし。
ホーム幅…………全体的にやや狭く、両端は非常に狭いです。通過列車にご注意下さい。
上屋(屋根)………なし。雨天時は列車の到着を気にしながら駅舎内でお待ち下さい。 
ホーム上設備……なし(ベンチは駅舎内のみ)。
 
また、奥の豊橋方の端に駅舎があり、ホーム端手前にある階段で連絡しています。
  
写真は2枚とも豊橋方を望む。
 
 

 

2枚とも辰野方を望む。右には旧2番線ホームが見えます。
ホームの豊橋方の端は20m車3両編成の停車に対応させるため後から延伸したと思われます。そのためホーム幅が極端に狭いです。
左手に駅舎とを結ぶ階段があります。
 
 

 

 

 

4枚とも豊橋方を望む。
豊橋方の端の右側に駅舎があり、ホーム端手前にある階段で連絡しています。
ホーム端の先には駅舎と左側の旧2番線ホームを結んでいた構内踏切跡が確認できますが、線路敷部分はほぼ撤去されています。
また、ホーム端の先で右へ分岐する側線があり、その先の右手に貨物ホーム跡らしき構造物を確認できます。かつては貨物側線だったと思われますが、現在は保線用側線として使用されているようです。
 
この先、すぐトンネルに入り、右側を流れる天竜川(佐久間湖)に沿って断崖を南西方向へ走り、難読駅名である大嵐駅(おおぞれえき)へと至ります。大嵐駅までの間は明かり区間よりトンネル区間の方が長いです。また、大嵐駅西側には天竜川に架かる橋があり、渡ると愛知県豊根村へ入ります。
 
 

 

2枚とも辰野方を望む。
この先、左側を流れる天竜川(佐久間湖)の流れに沿って蛇行しながらトンネル区間主体で断崖を北上します。しばらくして河内川を渡ると長野県天龍村に変わり、引き続き天竜川沿いをトンネル主体で走ります。そして進路を北東に変えるとトンネルがなくなり、天竜川に沿って断崖区間を走ると長野県最南端の駅である中井侍駅へと至ります。中井侍駅も秘境駅として有名です。
 
 
あとがき  
私が小和田駅で下車(乗車)したのは2021年の1度きりです。飯田線を乗り鉄した際に下車しました。同業者の下車があるかどうか気になりましたが、運良く(?)訪問時に小和田駅にいたのは私だけでしたw 1面1線の棒線駅で、古びた駅舎が現存しています。当然、無人駅です。近くには廃屋跡があるのみで、民家がありませんでした。現在、最も近い民家は山道を40~50分ほど登った所にある塩沢集落との事です。また、天竜川が駅の近くを流れていますが、小和田駅付近に橋が架かっていないため、対岸へ行くには1駅南の大嵐駅が便利です。
 
東京からですと東海道新幹線で豊橋駅まで行き、飯田線の普通列車(天竜峡以遠行き)に乗り換えて当駅下車です。列車本数は少ないですが、極端に少ないという訳ではありません。若干タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です。
一方、大阪からですと東海道新幹線で豊橋駅まで行き、以降は上記のルートで到達できます(名古屋駅から在来線利用でもOKです)。名古屋~豊橋はJR在来線、名鉄名古屋本線を利用してもOKです。名鉄経由の場合は豊川線の豊川稲荷駅からJR線の豊川駅へ乗り換えてもOKです。じゅうぶん日帰り訪問可能です。
 
食料・飲料について、駅前にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店は一切ありません。飲料自動販売機もありません。必ず事前に用意して下さい。
 
東京、大阪とも到達難易度がやや高いですが、飯田線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は小和田駅でも途中下車してみて下さい!
  
(参考:JR東海のHP、Google地図、Wikipedia)