中井侍駅【長野県】(飯田線。2021年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
長野県南部、天龍村南部の天竜川沿い山間部に位置する飯田線の駅で、秘境駅に数えられるものの車でも到達可能な駅ですが、駅自体は秘境駅の雰囲気を醸し出している、長野県最南端の駅、
中井侍駅 (なかいさむらいえき。Nakaisamurai Station) です。
 
  
駅名  
中井侍駅 (駅番号なし) 
 
所在地  
長野県下伊那郡天龍村     
 
乗車可能路線  
JR東海:飯田線  
 
隣の駅  
豊橋方……小和田駅 (静岡県)  
辰野方……伊那小沢駅  
 
訪問・撮影時  
2021年7月
 
 

 

中井侍駅は天竜川左岸(東側)の断崖にある地平駅です。標高289mで、山奥の風景とは裏腹に意外と標高が低いです。
駅舎はなく、ホームの豊橋方(南側)と辰野方(北側)にそれぞれ出入口があるのみです。出入口はいずれもホームの東側にあります。ホーム西側は天竜川です。
 
写真は辰野方にある北側出入口です。いずれも北西を望む。
駅に向かって東側から下り坂の1車線道路が延びており、車道としては駅手前で行き止まりになります。この部分には広い用地があり(駅前広場に該当)、乗用車は切り返す事でUターン可能です。
行き止まりの先は歩道で、坂を下るとホームに到達します(下写真)。坂道には階段はなく、出入口も車いすが何とか通れそうな幅ですが、坂がきつくて手すりがありませんので、車いすの場合は介助が必要です。
尚、当駅付近を通るバス路線は存在しません。
 
 

北口駅前です。辰野方のホーム端より南東を望む。
出入口から先は上り坂になっており、写真奥に自動車転回場があります。北口駅前は民家が1軒もなく、商店もありません。
 
 

北口を出て東~北東への坂道を200mほど登ると中井侍の集落に到達します。写真は北を望む。
集落付近では段々状に茶畑が広がっており、民家が点在する形です。集落に商店は見られません。
道路はヘアピンカーブを描いて高度を稼いでいますが、この道路は自動車が通行可能です。
また、この集落や茶畑の直下を飯田線のトンネルが南北方向に通っています。
 
 

中井侍の集落より南西を望む。道路を写真奥の方向へ下ると中井侍駅に到達します。
斜面には茶畑が広がっています。ちゃんと手入れされており、中井侍で生活している人々がいますので、秘境という感じはさほどしないです。
写真奥の崖下には天竜川が流れており、川沿いのある程度高い場所に中井侍駅があります。
また、中井侍地区は長野県の最南端に近い場所にあるため、長野県内でも比較的温暖で、南隣の静岡県とさほど変わらない風景が広がっています。
 
 

 

こちらは豊橋方にある南側出入口です。
林道から分岐した自動車が通行できない通路を下ると中井侍駅に到達します。
駅前広場やそれに準ずる施設はありません。
民家の脇を下って(上写真)、突き当たりを右へ曲がってスロープを下るとホームに到達します(下写真)。
駅への通路に階段が一切なく、車いすが通行可能ですが、勾配がきつく、手すりがない箇所もありますので、介助が必要になります。
また、上写真右側の民家では5月~7月の土休日などに地元の茶葉を使用したお茶を500円試飲し放題で提供する「緑茶カフェ 茶むらい」がオープンします。新型コロナウイルスの影響で営業が続いているかどうかは不明ですが…。
 
 

南口駅前です。南を望む。左後方の坂下にホームがあります。
左側には民家が2軒あり、通路沿いには前述の「緑茶カフェ 茶むらい」を期間限定で営業する民家があります。
また、民家の裏手の斜面には長野県では滅多に見られないヤシ科の木が植えられています。温暖ゆえに植樹されたと思われます。
奥の山中に延びる上り坂を進むと、飯田線に並行して南北方向に延びる林道に出ます。
 
 

南口から林道に出て、150mほど北東へ進みました。東を望む。後方が南口方面です。
正面の斜面には中井侍の集落があり、茶畑も少しだけ見えます。
写真左側の崖下には中井侍駅があります。
また、この林道を100mほど前へ進むと分岐点があり、左下(西)への道路をさらに100mほど進む(坂を下る)と、北口に到達します。また、分岐点から右前方への坂を登ると100m少々で中井侍の集落に到達します。
そして、この林道を通れば南口と北口の間を移動可能で、駅前を一周できます。一周約500mで、次の列車の待ち時間が長い場合は散策されてみてはいかがでしょうか?
 
 

ホームより撮影。
駅の西側を天竜川が流れています。対岸は山間部で、駅付近には民家が見えませんが、駅からかなり北の川沿いに数軒の民家があります。
中井侍駅近くに天竜川を渡る橋がないため、その集落の最寄駅は中井侍駅ではなく北隣の伊那小沢駅になります。
 
 

ホーム中ほどにある待合室です。辰野方を望む。右が南口、左が北口です。
中井侍駅に駅舎はなく、改札機能も写真左側の待合室側壁に設置されているきっぷ回収箱のみです。自動券売機や自動改札機、乗車駅証明書発行機はありません。
待合室にはベンチがあり、左端には駅ノートを収納するボックスが置かれています。
壁面には時刻表と運賃表が掲示されています。
ちなみに中井侍駅では車内収受方式が採用されていて、乗車後すぐに車掌からきっぷを購入し、下車時はホームに出た車掌にきっぷを渡します。尚、飯田線の中部天竜~天竜峡は超閑散区間ですが、自然災害などのリスクが高い区間であるためワンマン運転は行われておらず、全列車に車掌が乗務しています。
尚、中井侍駅にトイレはありません。必ず当駅に来るまでに乗車列車で済ませておいて下さい。
そして駅周辺に売店・商店・コンビニは一切なく、飲料自動販売機もありません。下車後に運行トラブルが発生して電車が来なくなるケースもあり得ますので、必ず事前に飲料や食料(非常食)を用意して下さい!
 
 

建植式駅名標です。電照式ではありません。
JR東海・在来線の標準デザインで、国鉄タイプと同じく所在地も併記されています。
アルファベット部分にはJR東海のコーポレートカラーであるオレンジが塗られています。
駅ナンバリングは導入されていません。
尚、1936年の開業時は駅の読みが「なかいざむらい」でしたが、1943年の国有化と同時に「なかいさむらい」へと変更されました。
 
 

 

中井侍駅は単式ホーム1面1線の地平構造で、概ね西南西~東北東方向にホームが延びています。ホームはカーブを描いています。
番線は設定されておらず、下り飯田・辰野方面、上り中部天竜・豊橋方面とも同一ホームに発着しますので、乗り間違いに注意が必要です。一度乗り間違えたらエラい事になります。
ホーム有効長はギリギリ4両分で、ホーム幅は非常に狭いです。特急『伊那路』が通過しますので、注意が必要です。
尚、臨時急行『飯田線秘境駅号』は当駅に停車します。
上屋は設置されておらず、雨天時は待合室で待機して下さい。
ベンチは待合室内に設置されています。手前の豊橋方に南口があり、奥の辰野方に北口があります。
豊橋寄りのホーム右側には民家があります。左側の崖下を天竜川が手前方向へ流れています。
写真は2枚とも辰野方を望む。
 
 

 

こちらは豊橋方を望む。後方に北口があります。
手前の辰野方は崖の法面が迫っており、ホーム幅が非常に狭く感じます。
ホーム中ほどに待合室があり、手前の壁面にはきっぷ回収箱が掛けられています。
右側の崖下を天竜川が奥方向へ流れています。
下写真奥の左側に南口があります。
 
 

 

豊橋方を望む。ホーム端の手前に南口があります。
この先、右側を流れる天竜川に沿って山間部を南西へ走りますが、木々に遮られてなかなか天竜川を望めません。やがて左へカーブするとトンネル連続区間になり、深い山奥を南へ進むと河内川を渡り、静岡県浜松市天竜区に入ります。その後もトンネルが続き、進路を南西に変えてトンネルを抜けると秘境駅である小和田駅(こわだえき)へと至ります。
 
 

 

辰野方を望む。ホーム端の右側には北口があります。
この先、すぐに沢を渡って観音山トンネルに入りますが、昔は左側の天竜川寄りを走っていました。なぜ付け替えられたか不明です。現トンネル左側に旧線の坑口がありますが、木々に覆われて見えません。現在線は左へカーブしながら中井侍の集落や茶畑の下を通り、観音山トンネルを出ると旧線跡が左から合流します。その後も天竜川に沿ってトンネル区間が続き、左へカーブすると天竜川沿いに設置されている伊那小沢駅へと至ります。2面2線で、列車交換が行われる駅です。こちらも秘境駅として認知度が上がっているようです。1日平均乗車人員は中井侍駅を下回ります。
 
 
あとがき  
私が中井侍駅で下車(乗車)したのは2021年の1度きりです。飯田線を乗り鉄した際に下車しました。秘境駅としても有名で、私の他に3人の旅行客が下車しました。ホームは1面1線で駅舎はありません。駅前にも民家がありますが、少し離れた高所には小さな集落があり、茶畑も見られました。駅の西側には天竜川が流れています。
 
東京からですと東海道新幹線で豊橋駅まで行き、飯田線の普通列車に乗り換えて当駅下車です。尚、中井侍駅周辺は県境の過疎地域であり、運行している列車自体が少ないですので事前に時刻をご確認下さい。若干タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間:6時間少々)。
一方、大阪からですと新大阪駅から東海道新幹線で豊橋駅まで行き、飯田線の普通列車に乗り換えて当駅下車です。尚、名古屋~豊橋は東海道本線の快速系列車で移動した方が早い場合があります。じゅうぶん日帰り訪問可能です(最大滞在時間:8時間少々)。
(飛行機でのアクセスは考慮していません)
 
食料・飲料について、当然ながら駅前および周辺にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店は一切ありません。飲料自動販売機もありません。必ず事前に用意して下さい!
 
東京、大阪とも到達難易度が高いですが、飯田線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は中井侍駅でも途中下車されてみて下さい!
 
(参考:JOINのHP、アメブロ「廃鉄の処女Ⅱ」、Google地図、Wikipedia)