伊勢川口駅【三重県】(名松線。2021年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
三重県中部、津市南西部に位置する白山地区の東部にある名松線の駅で、駅南側に集落が、駅北側に田園風景が広がっており、戦前は津市街とを結んでいたナローゲージの中勢鉄道線との接続駅であった、、
伊勢川口駅 (いせかわぐちえき。Ise-kawaguchi Station) です。
  
  
駅名  
伊勢川口駅 (駅番号なし) 
 
所在地  
三重県津市 (旧・一志郡白山町)  
 
乗車可能路線  
JR東海:名松線  
 
隣の駅  
松阪方…………伊勢大井駅  
伊勢奥津方……関ノ宮駅  
 
訪問・撮影時  
2021年8月  
 
 

 

伊勢川口駅は地平駅で、南側のみに階段出入口があります。スロープはなく、バリアフリー非対応です。車いすで伊勢川口駅をご利用の場合は事前にJR東海へお問い合わせ下さい。
北側から伊勢川口駅を利用するには、約170m東または約380m西の踏切を渡って南側へ回る必要があります。
以前は階段出入口の手前に1931年に完成した古い木造駅舎が鎮座していましたが、老朽化と合理化のため2016年前後に解体され、代替としてホームに屋根付きの待合所が設置されました(密室構造ではない)。また、駅舎跡地の左寄りには保線用の詰所が設置されています。左側には保線基地があります。
伊勢川口駅には駅前広場がありませんが、旧駅舎が解体されてスペースが生まれたため、結果として駅舎跡地の一部が駅前広場のように利用されていて、自動車がUターン可能になっています。
ちなみに駅前に路線バスは乗り入れておらず、約200m南の県道15号線沿いにバス停留所が設けられています。
写真は2枚とも北方向を望む。
 
 

 

駅前です。上写真はホームより、下写真は出入口前より、いずれも南を望む。
南(奥)へ延びる駅前通り沿いには住宅が建ち並んでいますが、かつては通り沿いに商店が複数存在したと思われます。
駅前通りを200mほど進むと東西方向に延びる県道15号線に突き当たります。県道15号線沿いに集落が形成されています。田園も混在しています。
約2km南の山中には大規模な選手権も開催されるココパリゾートクラブ白山ビレッジゴルフコースがあり、ホテルも併設されています。まぁ、名松線でゴルフ場へアクセスする人は皆無と思いますが…。
 
 

駅前です。ホームより北を望む。
駅北側は田園風景が広がっており、集落も混在しています。
また、約500m北を雲出川(くもずがわ)が西から東へ流れています。
そして、雲出川の対岸、伊勢川口駅から約2.5km北には近鉄大阪線の大三駅(おおみつえき)があります。乗換には適しません(一志駅~川合高岡駅が便利)。
 
 

解体された駅舎の代替として2016年に設置されたホーム上の待合室です。伊勢奥津方を望む。
伊勢川口駅は無人駅で、インターホンすらありません。
自動改札機や自動券売機は未設置で、改札設備は左側の柱に掛けられているきっぷ回収箱のみです。
ちなみに名松線では『TOICA』などのICカードを利用できませんのでご注意下さい。
伊勢川口駅では車内収受方式が採用されているため、ワンマン列車の場合、乗車時は車内の整理券を受け取り、降車時は運転士に運賃を支払います(またはきっぷを渡します)。車掌乗務列車の場合は車掌からきっぷをお求め下さい。
待合室にはベンチが設置されていて、壁面には時刻表、運賃表(名松線内のみ)、啓発ポスターが掲示されています。
尚、伊勢川口駅および駅前にトイレ・売店・コンビニはありません。1km圏内にもありませんのでご注意下さい。駅前に飲料自動販売機はあります。
 
 

建植式駅名標です。電照式ではありません。
JR東海・在来線の標準デザインで、国鉄タイプと同じく所在地も併記されています。
アルファベット部分にはJR東海のコーポレートカラーであるオレンジが塗られています。
名松線に駅ナンバリングは導入されていません。
尚、現在の所在地は津市ですが、2005年12月31日までは一志郡白山町でした。
合併して津市になってから駅名標が更新されています。
 
 

 

伊勢川口駅は単式ホーム1面1線の地平構造で、東北東~西南西方向にホームが延びています。
 
番線番号は設定されておらず、下り伊勢奥津行き、上り松阪方面とも同じホームに発着しますので、乗り間違いに注意が必要です。
尚、開業当初は2面2線でしたが、北側のホームと線路は撤去され、棒線化されました。駅前後で不自然なカーブを描く配線に交換設備があった頃の痕跡が残っています。
撤去された線路跡は空地になっており、古レールが置かれています。また、さらに右側にあったホーム跡(一部)や、以前接続していた中勢鉄道(1943年廃止)の駅設備跡は駅北側の側道やゲートボール場に転用されていると思われます。痕跡は見られません。
 
ホーム有効長は5両分と、名松線の駅では長い方です。名松線内には2両分のホーム長しかない駅も多数あります。ホーム幅はやや狭いですが、名松線の駅としては広い方です。ホーム床面が雑草に覆われています。
上屋は設置されておらず、待合室および待合室から張り出した屋根でしか雨をしのげません(異常気象時を除く)。雨天時の乗降は傘が必要です。
ホーム中ほどには出入口の階段があり、階段の伊勢奥津方(奥)には待合室があります。ベンチは待合室内にしかありません。
 
写真は2枚とも伊勢奥津方を望む。
 
 

 

また、伊勢奥津方のホーム南側には保線用側線が1線あり、私の訪問時は保線車両が留置されていました。
貨物用側線を転用したと思われますが、この側線は名松線で唯一の現役の側線だそうです(Wikipediaより)。
上写真はホームより、下写真は駅外出入口西側より、いずれも伊勢奥津方を望む。
 
 

こちらは松阪方を望む。前方に待合室があり、その先の右側に出入口の階段があります。
手前右側には保線用側線があり、左側には交換設備跡の空地や、跡地を転用したと思われる道路などが見られます。
 
 

 

ホーム東端部より松阪方を望む。
すぐ先で左へカーブする線形は以前交換設備があった名残です(両開き分岐器があったと思われます)。
この先、左右に山並みを遠望しつつ田園風景の中を東北東へ走りますが、戦前は中勢鉄道線が徐々に左へ離れていきました。農地が区画整理されたため、中勢鉄道線の廃線跡の痕跡は見られませんが…。しばらく走ると右へカーブして東へ進路を変え、右から山並みが、左から雲出川がそれぞれ接近し、一時的に断崖区間を走るようになります。しかし、すぐに断崖区間を抜けると山と雲出川が遠ざかり、県道15号線をアンダーパスします。その後は右手に集落を見つつ右へカーブして進路を南東に変えると伊勢大井駅へと至ります。
 
 

 

 

ホーム西端部より伊勢奥津方を望む。前方には壁のように連なる布引山地の山並みを望めます。
以前はホーム端のフェンスの先にもホームが延びていた可能性がありますが、雑草に覆われており確認ができませんでした。
また、その雑草地帯の先で左から保線用側線が合流します。さらに先には交換設備跡のカーブが確認できます。
この先、山あいに開けた盆地の田園風景の中を西南西へ走り、やがて左へカーブして進路を南南東に変えます。雲出川は離れた右側を流れています。そして右手に津市役所白山総合支所が見えてくると、程なくして関ノ宮駅へと至ります。  
 
 
あとがき  
私が伊勢川口駅で下車(乗車)したのは2021年の1度きりです。名松線に乗って訪問しました。かつて中勢鉄道線が接続していた駅にしてはホーム1面1線、駅舎なしと、簡素な設備だったことに驚きを隠せませんでした。駅から少し離れた南側に集落があり、私が訪問した際は3名が松阪方面列車を待っていました。名松線でも比較的乗降客が多い駅で(それでも20人ほどですが)、中勢鉄道がここを目指したのも頷けました。
 
東京からですと東海道新幹線で名古屋駅まで行き、紀勢本線特急『南紀』に乗り換えて松阪駅で下車します(名古屋~松阪は近鉄名伊特急でアクセスしてもOKです)。さらに名松線(行先不問。家城行きもOK)に乗り継いで当駅下車です。名松線の本数が少ないので、事前に時刻をご確認下さい。若干タイトな日程になりますが、日帰り訪問可能です(最大滞在時間:6時間半少々)。
一方、大阪からですと大阪難波駅or大阪上本町駅or鶴橋駅から近鉄の阪伊特急に乗って松阪駅まで行き、名松線に乗り継げば当駅に到達できます。また、近鉄特急や急行と普通を乗り継いで大阪線の川合高岡駅で下車し、至近距離にある名松線の一志駅まで徒歩移動して乗り継ぐ事も可能です(時刻は要確認)。じゅうぶん日帰り訪問可能です(最大滞在時間:11時間半少々)。
  
食料・飲料について、駅前にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店は全くありません。1km圏内にスーパーもありません。必ず事前に用意して下さい。
  
東京、大阪とも到達難易度が高いですが、名松線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は伊勢川口駅でも途中下車してみて下さい!
 
(参考:Google地図、Wikipedia)