餘部駅【兵庫県】(山陰本線。2017年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
兵庫県北部、香美町北西部の日本海沿いに位置する山陰本線の駅で、すぐ東に余部橋梁がある
餘部駅 (あまるべえき。Kutani Station) です。
 
尚、当地の地名や橋梁名は読みが同じ「余部」ですが、駅名の漢字表記は「餘部」です。
これは餘部駅開業時に、同じ兵庫県内を走る姫新線に「余部駅(よべえき)」が存在していたため、重複を避けるため漢字表記が区別されました。
 
そして、当記事では駅を中心に紹介していきます。余部橋梁下からの写真は1枚しかありませんのでご了承下さい。
 
 
駅名
餘部駅 (駅番号なし)
 
所在地
兵庫県美方郡香美町 (旧:城崎郡香住町) 
 
乗車可能路線
JR西日本:山陰本線  
 
隣の駅
豊岡方・京都方……鎧駅   
鳥取方・幡生方……久谷駅   
 
訪問・撮影時
2017年7月
 
 

余部の集落は海沿いの低地にありますが、餘部駅は高台にあるため、餘部駅を利用する場合は山を登る事になります。写真奥の階段や、北側(写真右奥)にある山道を進む事になりますが、いずれも車が通れないため高齢者や足の不自由な方は駅への行き来が負担になります。そんな中、2017年に旧・余部鉄橋の一部を流用した展望施設、『余部鉄橋「空の駅」』の設備として地平と鉄橋上を結ぶ展望エレベーター(愛称:余部スカイタワー)が開業し、このEVを餘部駅のバリアフリー設備として利用可能になり(利用は無料)、餘部駅へのアクセスが格段に向上しました。
左側のPC橋脚が現・余部橋梁で、右側の赤い鉄骨の橋脚が旧・余部鉄橋です。写真奥の高台に餘部駅があります。
また、餘部駅には駅前広場がありませんが、橋梁下の『余部鉄橋「空の駅」公園』が駅前広場の役割を担っていて、後方にある「道の駅あまるべ」には駐車場が設置されています。尚、駅周辺にバス路線は通っていません。
写真は西を望む。右側(北)が日本海方面です。
 
 

こちらはホームへの西側出入口です。西を望む。
集落から続く細道を登ると、右側から出入口に到達します。
手前の線路は『余部鉄橋「空の駅」』の設備で、余部鉄橋時代の旧線を保存していて、現在は通行自由です。後方に東側出入口と旧・余部鉄橋があります。
出入口の先にはスロープがあり、ホームに到達します。正面に見えるのは駅舎(実質的に待合室)です。
 
 

こちらは駅舎です。ホーム上にあり、前述の通り実質的に待合室になっています。
 
 

駅前の様子です。西側出入口より東を望む。駅付近の高台には民家が1軒もありません。
左側の坂を下ると余部の集落ですが、下り切るまで3~4分はかかります。
正面の線路を歩くと旧・余部鉄橋で、鉄橋上にエレベーターが設置されています。
尚、この線路を車いすやベビーカーで通行するのは困難です。少し先にある東側出入口を利用すれば安全に駅とエレベーターの間を移動できます。
 
 

こちらは駅南側の展望台より駅周辺を望む。東を向いて撮影。左側に餘部駅があります。
日本海沿いの谷に余部の集落が広がっていて、余部橋梁はこの谷を跨ぐ形で設置されています。写真奥の谷底には「道の駅あまるべ」があります。集落に商店はほとんどありません。
谷を下るには勾配がきつすぎるので余部鉄橋により谷を通過するルートが選択されました。当初は南側の山間部へ迂回するルートも検討されたようです。
余部橋梁はかなり高い位置を走行します。余部鉄橋時代は絶景を眺められる反面、強風時など危険を伴いました。1986年に列車(ジョイフルトレイン『みやび』)が落下した事故は記憶に新しいです。橋梁下の事故現場には慰霊碑が設置されています。
安全性の向上のため、山側に建設された余部橋梁に2010年に切り替えられ、旧・余部鉄橋は西側の一部を残して撤去されました。残された部分は展望施設『余部鉄橋「空の駅」』として一般開放されました。余部橋梁の左側に『余部鉄橋「空の駅」』があります。奥の塔のような構造物(当時工事中)がエレベーターで、撮影の3ヶ月後の2017年11月に完成しました。
尚、この展望台は駅ホームから直接行く事ができず、一旦山の中腹まで下がり、線路をくぐってから登らなければなりません。
 
 

こちらは東側出入口です。西を望む。
『余部鉄橋「空の駅」』にしか繋がっていません。山麓からの歩道は西側出入口に繋がっています。
東側出入口はバリアフリー対応で、ホームとの間にはスロープが設置されています。後方は旧・余部鉄橋で、エレベーター乗り場があります。
また、正面の旧線跡を進むと前述の西側出入口に到達します。余部鉄橋時代はこの線路が本線で、左側にホームがありました。
 
 

東側出入口前より東を望む。後方に出入口があります。
前方は旧・余部鉄橋で、無料で鉄橋上へ立ち入る事が可能です。鉄橋からの眺めは抜群で、また一部では床がガラス張りになっていてスリルを味わう事ができます。
そして約80m先は行き止まりで、手前左側にエレベーター乗り場があります。EVの稼働時間は6:00~21:30で、始発前から終発後まで動いているので安心です。
行き止まりより先の余部鉄橋は撤去されています。右側には現在線の余部橋梁が並行しています。
 
 

駅舎(待合室)内の様子です。
ベンチ、時刻表、運賃表、運行情報表示モニターがありますが、自動券売機、自動改札機、自動精算機はありません。駅舎外にきっぷ回収箱があります。
そしてベンチには座布団が置かれています。
 
 

駅舎(待合室)の西隣にはトイレ・車いす用トイレがあります(オストメイト設備はありません)。
このクラスの駅で車いす用トイレが設置されているのは珍しいです。
 
 

建植式の駅名標です。電照式ではありませんが、反射素材が使用されています。
JR西日本の標準デザインですが、駅名の文字の間隔が多少離れている福知山支社タイプです。
下部は山陰本線(城崎温泉~米子)のラインカラーである黄緑(鳥取の二十世紀梨をイメージした色)に塗られています。
尚、餘部駅に駅ナンバリングは設定されていません。
 
 

餘部駅は単式ホーム1面1線の地平構造で、東北東~西南西方向にホームが延びています。
番線は設定されておらず、下り浜坂・鳥取方面と上り豊岡・福知山方面が同じホームに発着します。乗り間違いに注意が必要です。
また、余部橋梁への切り替えに際してホームが左側から右側に移設されました。現ホームの右側には旧線跡が一部保存されています。
ホーム有効長は4両分で、ホーム幅は狭く、上屋は全く存在しません。ホーム上には余部鉄橋の鉄骨を利用したベンチ(?)があります。
そしてホーム中ほどに西側出入口と駅舎(待合室)・トイレがあり、京都方の端(後方)に東側出入口があります。
左側には展望台があります。
写真は鳥取方・幡生方を望む。
 
 

こちらはホーム西側より豊岡方・京都方を望む。
西側はホーム幅がとても狭くなっています。
かつては左側に旧線が通っていましたが、こちら側では撤去されています。
 
 

京都方を望む。ホーム端に東側出入口があり、その先は旧・余部鉄橋です。
この先、すぐに余部橋梁を渡ります。眼下には余部の集落や日本海を望めます。橋梁を渡り終える直前に左へ右へカーブして旧線の延長上を走るようになり、余部橋梁を渡り終えると山間部に入り、短いトンネルを2本通ってから於伊呂トンネルをくぐり抜けます。そして右へカーブして短いトンネルを通ると左手に日本海が見えてきて、鎧駅へと至ります。餘部駅ができるまで、余部の住民は谷底の集落から山陰本線に登り、鎧駅まで列車の合間を縫って線路(余部鉄橋とトンネルを含む)を歩いていたそうです。
 
 

幡生方を望む。右側に旧線跡の道床を確認できます。
この先、左へカーブして右手に西川の谷を見て山間部を南西へ走ります。西川の谷には旧・国道178号が並行しています。そして西川を渡り旧・国道178号をアンダーパスすると桃観トンネルに入り、隧道内で新温泉町(旧・浜坂町)に入ります。その後は右へカーブして、トンネルを出るとすぐに久谷駅へと至ります。
 
 
あとがき
私が餘部駅で下車(乗車)したのは2008年、2010年、2017年の計3度です。2008年は旧・余部鉄橋を撮影するために、2010年は新・余部橋梁の渡り初めのため下車しました。そして2017年は兵庫県の全駅を訪問する目的の一環で下車しました(2019年全駅制覇達成)。高台にある小駅で、無人駅です。下から余部橋梁を撮影するのに、かなりの高低差を移動しました。駅前は住居すらありませんが、橋梁下には集落が形成されています。
 
東京からですと東海道新幹線で京都駅まで行き、山陰本線特急『きのさき』に乗り換えて豊岡駅または城崎温泉駅まで行きます(一部時間帯は福知山駅で『こうのとり』に乗換)。そして浜坂方面の普通列車に乗り継いで当駅下車ですが、一部列車は途中の香住駅止まりなので注意が必要です。若干タイトな日程になりますが(最大滞在時間…約4時間半)、日帰り訪問可能です。
一方、大阪からですと大阪駅から福知山線の普通列車乗り継ぎまたは特急『こうのとり』で豊岡駅または城崎温泉駅まで行きます(一部時間帯は福知山駅で『きのさき』に乗換)。そして浜坂方面の普通列車に乗り継いで当駅下車ですが、一部列車は途中の香住駅止まりなので注意が必要です。あるいは播但線特急『はまかぜ』に乗り、豊岡駅・城崎温泉駅・香住駅で普通列車に乗り換えて当駅下車です。特急と普通の接続が良くない場合もありますので、時刻は事前に確認して下さい。距離の割に滞在時間が短くなりますが(最大滞在時間8時間弱)、じゅうぶん日帰り訪問できます。
  
食料・飲料について、駅前にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店は存在しません。但し、余部橋梁下には「道の駅あまるべ」があり、食堂が営業しています(営業時間9:00~18:00)。昼間の訪問を除き、必ず事前に用意して下さい。
 
東京からの到達難易度は高いですが、
山陰本線を乗り鉄される際は、ぜひ一度は餘部駅でも途中下車されてみて下さい!
また、余部橋梁や余部鉄橋「空の駅」をご訪問の際は山陰本線をご利用になり、餘部駅も観察されてみて下さい!
 
(参考:Google地図、Wikipedia)