正しくおそれる | サト_fleetの港

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ブログで取り上げる話題はノンセクションです。
広く浅く、幅広いジャンルから、その時々に感じたことを “おとなの絵日記” のように綴っていきます。


気がつけば、今年も半分過ぎようとしている。
いつも思うことだが、なんて時間が経つのが早いのだろう。
今年は元日に能登半島地震があったせいか、なおさら早く感じる。
私はあれ以来、また大きな地震が起こるのではないかと、戦々恐々として日々を送っている。

緊急地震速報のアラーム音と「大地震、大地震」という警告音声には、すっかりトラウマになってしまった。


(イメージ)


6月3日にも、元日の地震から5ヵ月ちょっとしか経っていないというのに、
同じ地域を震源とする震度5強の地震があり、またもや緊急地震速報が鳴り響いた。
この地震は元日の地震の余震ではなく、その時動いた活断層に近い別の断層が動いたため発生したらしい。
元日の大きな地震が、他の活断層を刺激して地震を誘発したのだという。
新たな地震が起こりやすくなっているということか。
おそろしい、おそろしい、本当におそろしい・・・。
だが、おそれてばかりはいられない。
ことの本質を見極め、正しくおそれなければならない。

能登半島地震は、活断層が上下方向に動いた逆断層型の地震だったことがわかっている。
この地震による地殻変動で、輪島など能登の外浦地域の海岸線が最大4m 隆起し、

海底だった部分が陸地になった場所が広範囲に出現した。

そのため、これまで都道府県別の面積ランキングが35位だった石川県が、

その上位の福井県を僅差で抜いて34位になったという、嘘のような本当の話がある。

あらためて、とてつもなく規模の大きい地震だったことがうかがえる。


※地盤の隆起により海岸線が200mほど沖に後退 (浜の部分の陸地が増えた)
(産経ニュースより) 


 

(東京新聞web版より)


この現象は能登半島の形を見れば理解できる。
日本海に突き出た能登半島は佐渡ヶ島方向に伸びている。
推定100万年以上前から、このあたりの地形は逆断層の隆起によって徐々に形成されてきたのだ。
ということは、これからも隆起が続くということになる。
ただ、それがどれくらいのスパンで起こるかはわからない。


能登地方の被害は非常に甚大なものだが、

震源地の珠洲は能登半島の先端にある。
そこから、石川県の県庁所在地 金沢まで直線距離で約120㎞。
かなり離れているが、金沢でも震度5強を観測し、
金沢城の石垣が一部崩れたり、山手の住宅が倒壊するなどの被害が出た。
21世紀美術館も、天井のガラス板が落下し、安全確認のためしばらく休館していた。



さらに、石川県の南の端にあり福井県と境を接する加賀市は、

県内では震源地から一番遠く、珠洲から直線距離で約160㎞ 離れている。

160㎞という距離を東京起点で当てはめてみると、
西は静岡市、東は犬吠埼沖、北は宇都宮市を越えて那須高原、南は太平洋に出て新島・式根島付近に達する。
これだけ離れていながら、加賀市の震度も5強だった。
市内温泉地の観光ホテルが二次避難場所となり、被災者の人たちを受け入れているのがよく報道されていたが、
この地も被害がなかったわけではない。
加賀市の被害状況は次の通り。(調査中含む)

住宅被害(棟)
・全壊14
・半壊49
・一部破損1,935
非住宅被害(棟)
・公共建物45
・その他22
また、
市道1ヵ所通行止め、道路陥没等多数あり (順次修繕中)。

となっている。


※以上、6月11日時点集計値。 
 (加賀市HPより)


普通だったら、これだけでニュースになるレベルの被害だ。

石川県内で無傷だった市町はほとんどないと思われる。

倒壊した建物がなくても、ブロック塀の倒壊や道路の陥没、屋根瓦の破損など、

なんらかの被害が出ている。

これらの被害の修理が本格化すると、発生するのが資材と作業員の不足だ。

知り合いの建築業界の人の話では、

瓦屋さんの瓦の供給が追いつかず、新築中の家の屋根が葺 (ふ) けない事態になっているという。



能登の被害が大きすぎて、他の地域の被害はほとんど報道されないが、

石川県のみならず、富山県、新潟県、福井県など、地震で被害を受けた地域は広域におよぶ。

不安を煽るわけではないが、地震学者の人の説では、

今回動いた活断層の “割れ残り” (動いていない断層) が、

西は能登半島志賀町沖から、東は佐渡ヶ島沖にかけて残っているという。

これが動けば、再び元日の地震規模の地震が発生する可能性がある。


現在、被災地の復旧作業が続いている。

しかし、これで地震が終わったのではなく、いつまた起こるかわかないということを肝に銘じて、

可能な限りの対策をしていきたいものだ。