報道によると、声優の増山江威子さんが5月20日に肺炎のため亡くなったことが3日にわかったという。
88歳だった。
私はこの訃報を、たまたま聴いていたラジオのニュースで知ったのだが、正直言ってショックだった。
増山さんの出演作品は多いが、増山さんといえば『ルパン三世』の峰不二子を忘れてはならないだろう。
増山さんが峰不二子の声を担当することになった『ルパン三世』第2シリーズ (1977-1980年) を観て、私は驚いた覚えがある。
それまで増山さんは、
『天才バカボン』のママや『一休さん』の母上さま、『草原の少女ローラ』のお母さんなど、母親の役が印象に残っていただけに、
ルパンを翻弄する峰不二子の妖艶さが驚きだったのだ。
おそらく、
峰不二子は、それまでの “子供向け” と思われていたアニメの世界に、
日本で初めて本格的に “色っぽさ” を武器に登場したキャラクターではないだろうか。
どんな役の声もこなせるところが、プロの声優さんのすごいところなのだが、
そんな増山さんの不二子も、最初の評判はあまり芳しくなかったという。
『ルパン三世』ファンには、第1シリーズ (1971-1972年) で不二子を演じた二階堂有希子さんのイメージが根付いており、
すぐには増山さんの声になじめなかったようだ。
これは、どのアニメ番組、どの声優さんにも言えることで、
登場人物の声がかわると、どうしても拒絶反応を示す視聴者はいるものだ。
しかし、回を重ねるごとに増山さんの不二子の声は定着していき、
以後長きにわたってこの役は増山さんが演じることになった。
(2010年テレビスペシャル『ルパン三世 the Last Job』まで)
というわけで、
永遠に年を取らないアニメキャラクターのように、
増山江威子さんもアニメファンの記憶に永遠に残るだろう。
謹んでお悔やみ申し上げたい。