吉田類さんの背中 | サト_fleetの港

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ブログで取り上げる話題はノンセクションです。
広く浅く、幅広いジャンルから、その時々に感じたことを “おとなの絵日記” のように綴っていきます。

BS-TBSで、毎週月曜夜9時から放送の『吉田類の酒場放浪記』。
いまや同チャンネル一番の人気番組だそうだ。



酒場ライターの吉田類さんが、
各地の居酒屋を飲み歩いて、酒を語り、肴を語るこの番組、
2003年から放送されているのだが、私が観るようになったのは2004年半ば頃からだったと思う。
最初は現在の時間帯ではなく、平日午前中に放送されていた『グッドライフ』という番組の中の一つのコーナーだった。(毎回15分×1本)

その頃、私の仕事のシフトは早番と遅番に別れており、出勤の遅い遅番の朝に、たまたまこの番組に出会った。

今でこそ、吉田類さんは有名人だが、
当時は、ほとんど存じ上げていなかった。
だから最初は、
得体の知れないオッサン(失礼)が、庶民的な居酒屋で一杯飲んだあと、俳句を詠んで店をあとにするという内容に、
「なんだこれは!?」
と思ったものだ。

※最初 吉田さんは帽子を被っていなかった。
(2004年10月)


しかし、
風変わりというか何というか、
その内容に、他の食リポ番組にはないシュールさを感じ、
いつしか心をつかまれていった。

やがて、2008年頃から独立した番組となった『酒場放浪記』は、夜の時間帯に移ってきた。
2012年からは、姉妹番組の『おんな酒場放浪記』も誕生し、これも人気番組となった。

酒豪の女性たちが、回ごとに入れ替わりで登場する『おんな酒場放浪記』も見ごたえはあるが、
やはり本家『酒場放浪記』をしのぐことはできないと思った。

なんといっても、吉田さんのあの独特のキャラクターは、余人をもって代え難いものがある。
番組中でも、酔いがまわってくると他のご常連の席に “乱入” し、
あつかましくも、肴のおすそわけをねだったりする。
ふつうなら、怒られるところだが、吉田さんだとそれが許されてしまう。



あの、ちょっと天然で憎めない性格が、吉田類さんを、ただの大酒飲みと明確に区分し、
愛すべき酔っぱらいのキャラクターとして成立させているのだ。



さて、酒場ライターとか、酒場詩人と紹介されることが多い吉田さんだが、
若い頃は、画家の修業として欧米を放浪、パリを拠点に活動していたこともある。
後に帰国してイラストレーターに転身し、
1990年代から、酒をテーマにした執筆活動を始めたという。

現在、独身で一人暮らしの吉田さん。
番組のロケ以外でも、毎日 居酒屋めぐりは欠かさないようだが、
これも、孤独を癒す手段なのかもしれない。

お気に入りの酒場をはしごする吉田さんの背中に、
見果てぬ夢と男のロマンを追い求めて放浪するドン・キホーテの幻影を見る思いがする。



【追記】
『酒場放浪記』のエンディングで流れる曲は、
エイモス・ミルバーンが歌う
“One Scotch, One Burbon, One Beer”
“Bad, Bad, Whiskey”
“Just One More Drink”
の3曲の中から、毎回1曲が使用されている。