薄暗い照明と喧騒
話し声すら聞き取れないほどのボリュウムで流れる音楽に身を任せる男と女
ただ強いアルコールの力を借りて今夜一夜限りのあったかい腕を確保しようと躍起になっている
阿呆らしいなんて思って覚めた眼で眺めていたって結局はこっちも同様で
淋しい夜をどうやって埋めようかあの頃は考えてばかりいた
朝になれば虚しいだけだなんて知っているのに
それ以上に独り寝のベッドは寒くて
誰もいない夜は明かりすら消すこともできず朝の光の中ようやく眠りにつく
そんなことを繰り返していた
今夜も淡い照明の下
きついアルコールと煙草の煙に巻かれて
ぼんやりと次に熱くしてくれるものを探してはいるけれど
もう一人のベッドは怖くない
見捨てることなく差し伸べられる手がある
同じように傷ついて苦しんでいる同胞がいる
薄闇の中、傷を舐めあうだけだってかまわない
生まれつき光のあたる場所では生きられない
そんな存在もあるのだと
いくつもいくつも諦めては悟った
そんな奴らはけして
この目の前から消えたりはしないから
―――――――――――――――――――――――――――――――――