あっけにとられるほどよく喋るのは昔からだったけれど
大人になって
だんだんと頭の中できっちりと考え出された会話を続けられると時々腹立たしかった
迷いも打算もなくただ馬鹿みたいに笑い転げて
怒って喧嘩して怒鳴りあってそれでも楽しかっただけの幼い日
そんな頃から何があろうとけして逸らされない強い視線はそのまま
よくまわる頭の中もその舌先も多分
仲間のことばかりに使われることが多いから余計
追いつけないその男の影を自分はいつも追いかけながら一足後ろを生きている
ちっとも不満じゃないけれど悔しくないといったら嘘になる
自分とは正反対なそいつ
無神経な無遠慮な
そんな立ち位置でこっそりと全てを支えているなんて
守られて在るのだなんてことに気づいているから
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