どろろ | 想像と好奇心でできている

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国を手に入れ、天下統一、我が血筋を絶やさぬため、
と我が子の体を魔物に48ヶ所あげてしまった父親。
それによって生まれた男、百鬼丸。体を取り戻そうと戦っていたとき、
男のふりをする盗っ人、どろろと出会う。
二人は体を取り戻す妖怪退治の旅に出る。

以下、ネタバレしてます。

映画館で見ました。
久しぶりに強烈なのを観たな、という感想です。
私は「生の痛み」と「親子の絆」がテーマだと思いました。
良かったです。ただし、私は原作の漫画「どろろ」を読んでいません。
ただし、手塚治虫氏の考える「命」をテーマにした漫画はいくつか読んでいて、
それが映画の中にも感じられたので。

例えば、体をつくりあげていくシーン。
戦で亡くなった子供の体を元の体に合わせて、まるで料理のように人間をつくっていくんですが、
こういうシーンが出てくる漫画を読みました。ちなみに「火の鳥」です。
手塚氏の漫画にはハズレなんてないと思ってるので、
それをちゃんと映画に入れてるなら、まず問題なし。

ただ、最初にも言いましたが、私は原作の漫画を読んでいないわけです。
「どろろ」を観たあるブロガーさんは、原作の漫画を見ていて、
その漫画の世界の空気があまり映画にはなく、
アクション満載のエンターテイメントな映画になってしまい、
手塚氏のメッセージが薄れてしまっていた、と書かれていました。

日本人は着物とか、刀とか、日本家屋とか、桜とか、そういうものがすっと入ってくる気がしました。DNAに刻まれてるんですかね。
でも、ダイジェストのシーンで使われてる曲が、
なぜかスペインのフラメンコでも始まりそうな曲だったのは、ちょっとなぁ。
(一ヶ所だけ、そこはちょっとでもいいから
日本の楽器を使った音楽流してほしかったなぁ。
それ以外はまあ、合ってるかな、いいかな、と思えたので)

柴咲さんの声が映画館に響くほど元気いっぱいで、
ときには啖呵を切るどろろ。
今までの柴咲さんのイメージが吹っ飛びますよ。
それはつまり、実力のある女優さんということなんでしょう。
妻夫木さんは、体が元に戻るときの痛そうなシーンと、
最後の弟との一対一の戦いが印象に残ってます。

一番好きなのは、声帯が戻ってきて、「どろろどろろどろろー!」と
自分の声で百鬼丸が名前を叫ぶシーン。
大雨の中、泥になった地面のうえに寝っ転がって、
二人が全身全霊で喜んでるシーンです。

脇役だと、百鬼丸とどろろが出会うシーンに出てきた劇団ひとりさん、
ネイチャーじゃなくて飯屋のおじさんの寺門ジモンさんが。
蛾の妖怪役の土屋アンナさんは、、ちょっと違和感があったなぁ。
男をたぶらかす役(漫画「封神演義」で言ったら妲己みたいな)は似合わないと思う。
しかも出てる時間が短かったし。「さくらん」で観よう。

最後は両親という犠牲がありながらも、兄である百鬼丸と弟が和解。
父親と弟の刀によって、
父親と同じようにおでこに十字の傷ができた百鬼丸と、
両親の復讐をやめたことで、女として目覚めてしまった(母親が亡くなったあとに手に入れた短刀を捨てる。百鬼丸に守ってもらうことにした、という意思表示?)どろろ。
あと半分、24ヶ所の体を取り戻す旅に出て、終わり。

最後に字幕で「あと二十四箇所」って出たぐらいですから、
これは続編やるのかな。
でももしやるとしたら、私の中ではかなり高いハードルがありますこれを上回るようなものにしてほしいです。
重いテーマなのに、胸に重く残らない。途中でたまにジーンとさせるけど、
余韻はそんなに残らない。シリアスよりアクションがメイン。そんな映画でした。
2時間あったのに最後まで飽きなかったのも良かったです。