ジュリアンは、かつて付き合っていて、その後親友になったマイケルから「結婚する」と連絡を受け、ショックを受ける。
マイケルとは「28歳になっても独身だったら、結婚しよう」と約束していたから。
しかしマイケルは、20歳の大学生、キムと結婚するという。
まだ彼のことが好きだと自分の気持ちに気づいたジュリアンは、
友人でゲイのジョージの力を借り、2人を別れさせようとするが……。
ネタバレしてます。
ジュリアン役がジュリア・ロバーツ、キム(キミー)役がキャメロン・ディアスで、90年代はこの方たちを映画でよく観たな、と懐かしくなった。
これ、ジャンルはラブコメなんでしょうけど、
私は「女って怖い」というホラー要素を感じたのですが。
昔の「いつか結婚しよう」なんて口約束、しょせんは口約束。
それをそのまま鵜呑みにして、すでに婚約、結婚式も決まっているマイケルを「奪い取りたい」と必死になり、嫉妬するのはどうかと。
でも、マイケルだって、結婚すると決めてるのに、ジュリアンが
忘れられなかった。最後のほうで、キムと亀裂が入ってしまい、
結婚式があと6時間後で始まるのに、キムとは「終わった」とジュリアンに言うマイケル。
結局、ジュリアンが身を引き、いままでのことをなんとか水に流して、マイケルはキムと結婚式を挙げる。
マイケルの婚約者、キムは20歳の大学生。
車の運転は、スピード出しすぎ。嬉しくて興奮すると、テンション上がってちょっとおかしいときもある。
私が気になったのは、彼女の二面性。おそらくマイケルは気づいていない。
ブライズメイドは、花嫁の友達がやるもの。婚約者の元カノでもあるジュリアンに、初対面のジュリアンにブライズメイドを頼み、「友達になれそう」とやけにガンガン距離を縮めようとしてくるキム。
この時点で、違和感があった。
人前で(ここがポイント)、ジュリアンの印象が悪くなるようなことを言う。しかも、それがキムなりに攻撃している、ってことに、その場にいる人たちは気づかない。気づくのはジュリアンだけ。
キムの二面性は、男性が気づくことは永遠にないでしょう。
あなたのまわりにもいませんか?
好きな人の前では、その人好みのいい人。でも、その人がいないときは本性を出す。ほかの人がその「裏の顔」に気づかないので、タチが悪いな。
結局、マイケルにとっては、キムはずっとかわいい婚約者で、
自分を愛してると思っていたんじゃないだろうか。
実は、水面下で「女の戦い」が起きていたとは知らず。
最後は結婚式を挙げ、夫婦になったマイケルとキム。そのあと、はたして幸せな生活が待っているのか。
キム、束縛強そうだよなぁ。マイケルに仲のいい女友達ができても、「浮気される」って思いそう。
結婚式のあと、その先は映画に出てこないので、どうなったのかはわからないけど。
4人の中で、一番まともだったのはジョージ。
彼のすごいところは、自分と関係ないことなのに、電話がかかってくれば(ジュリアンの声が大きいので、声が漏れて、その場にいた他の人たちに聞こえてしまう)対応する。
その場にいないのに、安楽椅子探偵のように、ジュリアンに解決策を伝える。アドバイスは的確だし、冷静沈着。
わざわざ飛行機に乗って、ジュリアンのいるところまで駆けつけてくれたり。
マイケルに告白できなかったジュリアンのために、ジュリアンと結婚する相手だと嘘をつき、そのままつき続け、見事な演技で
周囲の人たちを欺くジョージ。
キムの家族とのランチの席で、おそらく、ジョージがその場ででっちあげた創作の「2人の出会い」話をする。これが即興とは思えないほど、クオリティの高い物語。
乗り気になったのか、「 I Say A Little Prayer」を歌ったら、
一人、また一人と歌いだし、店内で誰かがピアノを弾き、まわりにいたお客さんたちまでみんなで歌う。大合唱。
この歌、有名だったの? ミュージカルのように広がっていく歌。店の奥にる、カニの手袋?つけてる女性店員2人も左右に両手を振ってるし。なんだなんだ、何が起きた。笑
キムは隣にいるマイケルにキスするし、ジュリアンはこの状況に一人戸惑うものの、何も言えず。歌とともに、ラブラブな幸福感も広がる。
ジョージ、ゲイじゃなかったら女性にモテるだろうな。一方的に話すジュリアンの話をちゃんと最後まで聞くし。
ジュリアンがしたことって、2人の仲を引き裂いて、自分と結婚すればマイケルは「幸せなのよ!」と言っていたけど、本当は自分が臆病だったと気づく。
マイケルへの、しなくていいおせっかい(会社のパソコンから、キムの父親になりすまし、メールでマイケルの仕事をクビになるようにする。ダメだって)
キムの父親が富豪で、父親の会社に入れば、マイケルのいまの編集者の仕事より収入がいいから、という、ジュリアンとしては親切心のつもりなんだろうか。
マイケルはキムに電話をかけ、一人ホテルの部屋を出て、ドアの前でタバコを吸うジュリアン。
ドアが開き、後ろにタバコ持ったまま倒れる。
キムが「クレイジーだ」と言うほど、2人はケンカになり、婚約破棄しそうになった。
ジュリアンがマイケルに告白し、キスしたところを見てしまったキム。走っていくキムを追いかけるマイケル、それをあとから追いかけるジュリアン。
駅のベンチに座るマイケルの前にしゃがみこみ、自分がしたあのなりすましメールのことを告白。怒るマイケル。そりゃそうなるよ。
「私は、腐れ女ね。それより、もっと悪いわね。いいことは、何一つやらないばい菌だわ」
「もっと悪い。ばい菌を、どこにでもまき散らし、腐れ女を、ますます腐らせる膿だ。…でも一方では、感謝してるよ。それほどまで僕を」
正面から伝えたら、ちゃんと伝わった。親友の関係、壊れてしまうんじゃないかと思ったけど、良かった。……けど。
キムを野球場の女子トイレで見つけたジュリアン。ケンカになる。
「シカゴへきて、よくも友達面(づら)してくれたわね。だからブライドメイドにしたんじゃないの!」
友達面? キムがまず、ジュリアンに「友達になれそう」とかなんとかって言ってなかった?
「誰が頼んだのよ!」
(途中、省略して)
「信用してるふりしてただけで一秒も気を許さなかった」
とジュリアンに言われてキム、
「正解だったわ!」
おお、やっと裏の顔を出したな。
「もち正解だったけど、私なんかした?!」
「(大声で)彼にキスした!」
その場に居合わせた女性たち、ギャラリーに。
「あたしの両親のうちで!! あたしの結婚式の日に!!」
ギャラリーから非難の視線を浴びるジュリアン。
みんなキムの味方かよ。
「私…」
「黙って! 私は彼を愛してるんだから、たとえ死んでもわたさないわよ。二枚舌の、(ジュリアンの髪を手ではじいて)いかれ茶髪め、あばずれなんかに!」
この、ヒステリックに叫ぶキムが、ヤンデレになってて怖い。
ギャラリーから拍手が。柄悪いな、このギャラリー。
それでも、黙ってと言われても、黙らないのがジュリアン。
「さあ、もう十分でしょ、静かにしてー。キスはしたわよ。口説こうともした。
……でもふられた。彼は私じゃなく、あなたを愛してるの」
冷静に、大人の対応でマイケルとキムを元に戻そうとするジュリアン。
うーん、ジュリアンもキムも、それぞれにヤバいところがある人なんだよな。どちらにも感情移入、しにくい。
この映画、ときどき「イタい」と思わせるシーンがあって。
1つは、後半の、ダビデ像の氷の彫刻をなめて舌がはりついた、という変なハプニング。なめたのは下半身で、ドライヤーの熱風ではがそうとする。それをカメラで撮る人が。
いまだったら、スマホで撮られて、最悪インスタにアップされる。これは恥ずかしすぎる。
それともう1つは、キムがエレベーターを止めた後に降りたら、アマンダとサマンサが、ジュリアンを見るなり近寄ってきて
アマンダ「私たち未婚組は」
などと、初対面のジュリアンを2人ではさんで交互に話しかけてくる。結婚式で、自分たちの好みの人を探すつもり。
さらに、「キムはバージンなのよ」と、言わなくていいことをジュリアンに言う。
2人も矢継ぎ早に話し、相手の話を聞く気がない。
短いシーンなのに、なんでこの2人が未婚なのか、わかったような気がする。脚本家さん、すごい。笑
ちなみに、キムの結婚式のブーケトスで、本気でブーケを狙う女性たちがいた。
はたから見ると、本気でブーケを手に入れようとする女は、かなり怖い。
ブーケを受け取った女性は、次の花嫁になれる、というけど、あんなひょう変した姿を見て、男性はどう思うのか。笑
マイケルの結婚式。スピーチをするジュリアン。
ただ、マイケルが言っていた、「(キムとの)2人の思い出の曲がない」に対する返事のように、ジュリアンが「貸した」曲。
一瞬、あって顔になったから、おそらくこれは、マイケルとジュリアンの思い出の曲なんだよね。その歌詞が切ない。
結婚式は無事に終わる。
最後にちょっとだけハグして、参列者の人混みの中を去っていくマイケル。
そんなことするなよ。ジュリアンにとってはつらい状況なのに。
失恋したけど、最後にスーツ着てわざわざ披露宴の会場まで来てくれたジョージ。(ジョージにとっては、他人の結婚式なのに)
2人はダンスを踊る。
男女の友情は、心変わりする誰かさんとは違って、ずっと揺らがなかった。
親友のために行動してくれる、こんな素敵な親友がいる。それはそれで、ジュリアンは十分幸せだと思う。