この国の精神 緊急 新型コロナウイルスの感染予測 | 秋 隆三のブログ

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昭和21年 坂口安吾は戦後荒廃のなかで「堕落論」を発表した。混沌とした世情に堕落を見、堕落から人が再生する様を予感した。現代人の思想、精神とは何か。これまで営々と築いてきた思想、精神を振り返りながら考える。

<緊急 感染予想>

 

  新型コロナウイルスの累積感染者数は報道されているが、これからどれだけ広がるかは、誰も予想していない。アメリカではAIを用いた感染者数予想をしているようだが、教師となるデータがいい加減なのでとんでもない予想値になっている。

  

  前回も簡単な予想をしたが、もう少し詳しく予想してみよう。AIなどの面倒くさい予想は抜きにして、いくつかの条件を付けた簡単な計算方法で予測してみることにする。これであれば、条件がきつすぎるとかもっと条件を増やしたらどうかとか、文句も付けやすくなるし、納得できる面もある。

  

  まず、2月9日時点の感染者数を決めなければならない。恐らく、昨年の12月後半から日本にも感染者がいたと思われるが、確認ができないので、大まかに予想が可能な2月9日時点の感染者数を推定する。2月9日の国内で感染が確認されている人数は16人であるが、クルーズ船の感染者数を含めると確認された感染者数は50人程度である。しかし、この時点では既に感染は広まっているはずだが、感染者数を推定するための決め手がない。そこで、エイヤッと、5倍程度として300人が感染したとすることにしよう。推定手法というのはこんなものである。

  

  そこで、感染条件を次のように設定する。

  ①2月10日から3月10日まで感染者数は、2月9日の感染者数300人全員が一人当り4人に感染さ

   せるとしてて1,200人とする。

  ②3月11日からは、感染対策がとられることで一人の感染者が他の人に移す確率が低下し、1ヶ月

   間で2人にうつすとする。つまり感染率200%である。しかし、前々月の感染者の全員が当月に感染

   させるとは考えにくいので、半数の人は隔離され、残りの半数が感染源になると仮定する。例えば、

   3月11日から4月9日までの新規の感染者数は、2月9日までの感染者数300人の半分と2月10

   日から3月10日までの感染者数1,200人の合計の1,350人に一人当り感染数2人を乗じた2,700人とな

   る。この計算を繰り返して毎月の累積感染者数を算出する。

 ③重症化率は月間新規感染者の7%、重症化した患者の致死率を20%として、感染者に対する致死率

   を1.4%とする。

 

  図1は、感染率200%シナリオによる累積感染者数と累積死亡者数をグラフにしたものである。

 

 図1 感染率200%の累積感染者数

 

  この感染率200%シナリオの予測では、3月10日の累積感染者数は1,500人、累積死亡者数は21人となり、4月9日には累積感染者数は4,200人、累積死亡者数は59人となる。6月8日には、感染者数の合計は2万9千人にふくれあがり、死者数は400人に達する。

 

  同じ条件で、毎月の新規感染者数のグラフを作成すると図2のようになる。ただし完治者数は、重症化しなかった割合を93%として計算しており、重症者+死亡者数の割合を7%として計算したものである。

図2 感染率200%の新規感染者数

 

 

  図2からもわかるように、ピークの山などは来ない。新規感染者数は急激に増加するのである。つまり、政府が言っているように、現在の対策によって毎日の感染者数の増加を緩やかにし、ピークの山を低くするというシナリオは、一人の感染者が二人に移すという条件では感染者数が減ることはないということである。

 

  それでは、一人の感染者が一人に移すというシナリオならばどうなるのだろう。3月10日以後は毎月一人の感染者が一人に感染させるとするのである。つまり、感染率100%ということである。図3のようにこの場合にも、4月9日まではやや緩やかな増加であるが、その後は一転して増加に転じる。

 

図3 感染率100%の感染シナリオ

 

  

  感染率を100%未満にまで低下させなければ新規感染者数を減少させることはできないということである。そこで4月10日までは感染率100%として4月11日以後は50%まで低下させたとして計算すると図4のようになり、やっと新規感染者数が減少する。

図4 感染率50%の感染シナリオ

 

  このことは何を意味しているかというと、感染者が何人に感染させるかという感染率(新規感染者数/感染源者数)を、3月から4月にかけては100%としても、4月以後は感染者を全て隔離して感染率を50%に低下させなければ、感染者数を減少させることができないということである。

  

  さらに言えば、感染者が判明した段階で完全隔離し、感染者との接触者を徹底的に追跡して接触者も一定期間隔離するという対策をとらなければ、感染率を50%以下にすることは不可能に近いということである。

  仮にこういった対策が可能であったとした場合、今後1年間の新規感染者数を予測すると図5のようになる。

  感染率50%シナリオによっても1年後の2月に新規感染者数を100人以下とすることは困難である。


図5 感染率50%の今後1年間の新規感染者数の推移

 

 

<感染率50%以下の感染防止対策は可能か?>

 

  新型コロナウイルスが変異しないで人から人へ感染すると仮定すると、感染率を50%以下とするためには厳重な追跡と監視・隔離が必要になる。

  

  中国武漢市のように、900万都市を完全封鎖することは事実上困難であるが、中国は何としても封鎖するという体制を崩していない。感染率が50%以下になったとしても、1年後に残存感染者数が千人以下となることは困難だろうが、千人程度であれば完全隔離が可能になる。

  

  3月6日時点での武漢市の新規感染者数は100人を下回ったという報道である。これが真実ならば、感染率は2%程度まで下がっていることになる。つまり、感染能力のある感染者が4万人とすると感染者400人当り一人に感染させる計算になる。どうみてもこれほどの感染予防対策がとられているとは考えられない。感染の有無を調べるPCR検査が本当に実施されているのかも疑わしい。

  仮に、検査が実施されているとすると、ウイルスそのものが変異して毒性が低下したとしか考えられないのである。

 

  新型コロナウイルスの感染力はインフルエンザウイルスよりもかなり強いと考えられる。マスクをしたり手を洗う、学級閉鎖を行うといった通常の予防策でも、インフルエンザウイルスの感染予防が困難であることを考えると、新型コロナウイルスの感染予防は現状の対策程度では到底困難であると考えられる。

  武漢市のように地域が特定できなければ、都市間移動、都市内移動を止め、自宅待機を徹底せざるを得ない。こんなことは不可能だから、国民一人一人が、ウイルス感染予防に対する自覚をもって対処する以外に方法はないと言えよう。日本国民の国民的精神性が問われるのである。

 

  結論から言えば、新型コロナウイルスが変異して毒性が弱まるか、ワクチン・特効薬が開発されない限り、現在の重症化率・死亡率以下にはならず、感染率も50%以下になることは考えられない。

 

<新型コロナウイルスは変異しているのか?>

 

  新型コロナウイルスの特性、ウイルスの遺伝子変異については現在研究中であるが、あと数週間もすれば状況がわかるはずである。ウイルスの系統がイタリア、イラン、武漢、韓国、日本等で異なるのではないかとも推察できるが、どこからも発表されていないので全くわからない。

 

  ところで、このような未知のウイルスによる世界的な感染症の例は、1918年から1919年に発生したスペイン風邪である。感染者は約5億人以上、死者は5,000万人から1億人に及んだとされ、65歳以上の老人は感染はすれど死亡率が低っかたのに対して、若者の死亡率が高かったのが特徴である。人から人へ感染が進むにしたがい毒性は強まったが、第二波の1919年以後は毒性が急激に低下した。医療も崩壊したため、隔離して重症者が死亡するのを待っていたのが実態だったと思われる。重症者がどんどん死亡していくと重症化する毒性の強いウイルスは死滅する。生き残った人が保有しているウイルスは、毒性の弱いウイルスなので感染しても死亡率は低下する。このようにして、スペイン風邪は終息した。スペイン風邪のウイルスも生命維持の法則に従ったわけである。

 

  新型コロナウイルスの遺伝子解析の論文が発表されているので、何編か見てみた。中国の何とかという新聞ではこれらの研究論文を紹介していたが、ウイルス学者かと疑いたくなるような論文を出して、人為的操作ウイルスではないと主張していた。明らかに、自然発生のウイルスであることを示したい中国政府の意向である。中国以外の研究者の発表論文を調べて見ることにしよう。

 

2020/03/07