単品の進級促進運動 -8ページ目

眼科対策

プリントに載っていることも載せちゃいましたので長文になっております。
てか臨薬再試になりそうで泣きそう。再試入るなら12/22までになりますように・・・(-人-)

11/29追加編集しました。

<両眼視機能検査>
●チトマス立体視検査・・・偏光レンズの眼鏡を用い、circle test,animal testなどで、絵が浮き上がって見えれば正常
●TNO検査・・・赤緑眼鏡を用いる。正常では、片眼では形態が知覚出来ないが、両眼でみると視野から形態が浮き上がって見える。
●Worth四灯検査・・・赤緑眼鏡を用い、4つの光点(赤、緑x2、白)を注視させ、点が4つに見えれば融像できている。融像が可能かどうか、抑制が働いているか、対応が正常か異常かを検査出来る。

<弱視の分類と治療>
①屈折異常弱視・・・眼鏡や遮蔽法(アイパッチ)
②不同視弱視・・・眼鏡、遮蔽法
③刺激遮断性弱視・・・原疾患の治療、遮蔽法、視能訓練
④斜視弱視・・・斜視手術、プリズムレンズ、遮蔽法、視能訓練

<流行性角結膜炎>
●臨床症状
・ 潜伏期は8~14日。
・ 急に発症し、眼瞼の浮腫、流涙を伴う。
・ 感染力が強いので両側が感染しやすいが、初発眼の方が症状が強い。
・ 耳前リンパ節の腫脹を伴う。
・ 角膜に炎症が及ぶと透明度が低下し、混濁は数年に及ぶことがある。
・ 時に結膜炎が出血性となり、出血性結膜炎(EV70, CA24 変異株による)や咽頭結膜熱との鑑別を要することがある

<咽頭結膜熱>
●臨床症状
・ 発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎にともなう結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂を訴え、3~5日間程度持続する。
・ 眼症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも出現する。
・ 結膜の炎症は下眼瞼結膜に強く、上眼瞼結膜には弱いとされる。
・ 眼に永続的な障害を残すことはない。
・ 頚部特に後頚部のリンパ節の腫脹と圧痛を認めることがある。
・ 潜伏期は5~7日。
・ アデノウイルスの血清型のうち、7型は心肺機能低下、免疫機能低下等の基礎疾患のある人、乳幼児、老人では重篤な症状となり、呼吸障害が進行したり、さらに細菌の二次感染も併発しやすいことがある。

● 検査所見:血清LDH の異常高値、血球減少傾向、ならびに高サイトカイン血症。
・高サイトカイン血症を示唆するフェリチン、β2 ミクログロブリンなどの上昇を伴う場合には、ステロイド剤の適応を含め、早急な対応が必要である。

<角膜ヘルペス>
● 検査
・ 細隙灯顕微鏡で角膜炎の有無を観察(ほぼ診断可能)上皮型では樹枝状角膜炎、実質型では円板状角膜炎
・ ウイルスの証明:蛍光抗体法や、ウイルスのDNAを検出するPCR、ウイルス分離(確定診断)
・ 角膜知覚検査:角膜の表面を綿花の先やナイロン糸の先で触れて知覚低下を確認
・ 血清抗体価

<内因性真菌性眼内炎>
・ 眼の症状が出る前に、ほとんどの症例で全身真菌症による発熱などの全身症状がある。
・ 発熱などが続いたあと、1週間前後で飛蚊症や、霧視などの初期の症状を自覚する。
・ 眼内で炎症が悪化すれば、視力の低下を自覚するようになり、眼の充血・痛みも生じる。
・ この時点でさらに放置すると、高度の視力低下に陥り、恒久的な視機能障害を残します。
・ 一般的に両眼に生じることが多い。

<両耳側半盲>
● 視交叉の障害。
● 下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫
<左同名半盲>
● 右視索、右視放線の障害。
● 脳腫瘍、脳梗塞

<眼窩吹き抜け骨折>
●治療:ほかの部分から骨を採取して移植

<糖尿病性網膜症>
●検査
・ 眼底検査:網膜疾患の基本的検査。定期的な眼底検査が望まれる。日本糖尿病眼学会は定期的眼科通院を促すため、糖尿病眼手帳を配布している。
・ フルオレセイン蛍光眼底造影:フルオレセインを静脈内投与し、撮影する。無血管野の確認、新生血管の確認、病期・治療法の決定に用いる。網膜光凝固術を施行する際にはこの結果を参考することが多い。
●病期
① 単純型網膜症
・ 糖尿病網膜症の初期の状態で、自覚症状はない。
・ 眼底検査で網膜に毛細血管瘤や出血、硬性白斑。
・ 糖尿病の治療(血糖コントロールの改善)と網膜循環改善薬などの内服薬の服用で進行を防ぐ。
・ 初期の単純網膜症なら、血糖コントロールの改善で軽快することもある。
② 前増殖型網膜症
・ 白斑の数が増えると同時に、毛細血管がふさがり大小の血管瘤ができる。
・ また、網膜に血流が届いていない部分ができて、ふくれて形が変形した血管が見られるようになり、出血も大きなものがでてくる。
・ 途中から完全にふさがってしまった毛細血管が増えてくるが、障害は網膜内にとどまる。
・ 自覚症状は、ほとんどの人が感じない。
・ 血糖コントロールの改善とともに、虚血部分の網膜にレーザー光凝固を行い(局所凝固)、増殖網膜症への進行を阻止する。
・ 黄斑浮腫に対しては、レーザー光凝固や硝子体手術を行う。
③ 増殖型網膜症
・ 新生血管が出現するだけでなく、新生血管からの出血も起こる。
・ 新生血管からの出血が硝子体に広がると硝子体出血と飛蚊症、牽引性網膜剥離、血管新生緑内障(隅角に新生血管)をきたす。
・ 黄斑部を除く網膜全体に光凝固を行う(汎網膜凝固)。
・ 新生血管そのものを凝固することもある。
・ 硝子体出血や網膜剥離が起きてしまった場合は、硝子体手術などで視力の回復をめざす。

<白内障手術の手順>
① 手術の準備
② 麻酔
③ 角膜の縁に切開を入れる
④ 水晶体嚢を円く、くりぬく
⑤ 水晶体の中身を、水を使って水晶体嚢から分離させる
⑥ 水晶体の中身を砕いて吸い取る
⑦ 水晶体嚢にこびりついた水晶体の中身のカスを吸い取る
⑧ 眼内レンズを入れる
⑨ 切開を閉じる

<アルカリ外傷>
●合併症
・眼感染症→感染予防(抗生物質の局所・全身投与)
・ぶどう膜炎、腐食性眼炎など→十分な消炎(ステロイド投与)
・結膜侵入→眼表面再建術(角膜移植)

<視神経乳頭異常>
●検査
・ 眼圧検査
・ 眼底検査
・ 視野検査

<網膜色素変性>
・ 遺伝性、杆体細胞障害
・ 臨床症状:進行性の視野狭窄、視力低下、夜盲
・ 臨床検査所見
(1)眼底所見:網膜血管狭小、骨小体様色素沈着、白点状
(2)網膜電図の振幅低下又は消失
(3)蛍光眼底造影所見で網膜色素上皮萎縮による過蛍光
・無色素性網膜色素変性症も存在し、一概に骨小体様色素沈着があるとは限らない。
・ 視野は輪状暗点・求心性視野狭窄を認める。
・ 網膜電図(electroretinography:ERG)のflash ERGにてnon-recordableを示す。

<ドライアイ検査>
●シルマー試験
・ 涙の量を調べる検査のことで、5mm幅の濾紙を下眼瞼に挟み、5分間で濾紙がぬれる長さを測定する。
・ 基礎分泌と反射性分泌の両方を測定。
・ 10mm以上が正常、5mm以下は異常で、ドライアイの可能性が強い。
・ 似た検査に、綿糸を用いる方法もある。
●涙液層(涙膜)破壊時間(BUT)
・ 涙膜の安定性を測定。
・ 目の表面を覆っている涙が、どのくらいの時間で乾燥し始めるかを調べる。
・ 細隙灯顕微鏡で青色光を用いて目の表面を観察すると、涙に混ざった色素が黄色に見える。
・ フルオレセインという色素を点眼し、閉瞼(瞬目)してから開瞼し、まばたきを止めて、しだいに目の表面が乾いて色素が消える部分(ドライスポット)が出現するまでの時間をBUT(Tear Break Up Time)と呼び、10秒以上が正常、5秒以下なら異常でドライアイの可能性が高い。
●生体染色検査
・ 目の表面が非常に乾燥すると、角膜や結膜に障害を起こす。
・ 特殊な色素を点眼して細隙灯顕微鏡で観察すると、障害を生じた部分が染まる。
・ 色素には、前述のフルオレセインや、ローズベンガルという濃いピンク色の色素を用いることもある。
●全身検査
・涙の量が非常に少ない場合や、同時に唾液が少なく口の中が乾くといった症状がある場合は、シェーグレン症候群の可能性があるので、血液検査を行なう必要がある。

<視力発達>
乳児は遠視であり、視力は3~4歳で1.0、5歳頃に虹彩が完成し、視力は6歳でほぼ完成する。視力発達の障害を見逃さないためには、3歳児健診時の視力に注意する。屈折の状態は、「眼軸長」、「角膜曲率」、「水晶体の屈折度」のバランスによって変化し、3歳で眼軸長は成人よりわずかに小さいかほぼ同じにまで成長する。角膜径は2歳で成人並みになる。眼位は生後2ヶ月で正位となり、眼球運動は生後4ヶ月で協調性をもつようになるが外眼筋の完成は3歳頃となる。
視力発達は環境条件と生体側条件に依存する。環境条件としては色鮮やかな絵本や様々な模様・形の玩具などが視力の発達に関わる。このような視性刺激は調節能の発達に非常に重要である。生体側条件としては、先天性の眼疾患や、生後3~6ヶ月頃の視力発達が著しい時期に炎症や外傷など眼の異常、斜視の傾向が見られると、視力の発達の妨げになる。乳児には安易に眼帯をしないことが大切である。

<緑内障性視神経乳頭変化の特徴>
乳頭陥凹と辺縁部のノッチ形成が特徴的である。眼圧により、乳頭部の視神経線維は死滅し、篩状板はひずむ。篩状板のつくりによって上下に陥凹しやすい。眼圧が正常な時でもおこりうる。眼底所見では乳頭部が白く、2重丸のように見える。乳頭血管は垂直に陥入し屈曲している。また視神経の死滅により、視野欠損が生じる。

<緑内障性視野変化>
・全体的沈下(網膜の機能の低下)
・Bjerrum領域の孤立暗点・弓状暗点
・Roenne(レンネ) の鼻側階段(鼻側の視野狭窄)

<急性閉塞隅角緑内障>
● 機序
・ 房水排出部である隅角が比較的短期間にふさがり、房水の排出能が急激に低下することにより眼圧が急激に上昇することで発生する。

● 症状
・ 突如激しい頭痛、目の痛み、腹痛、嘔吐などの症状が出る。
・ 対処が遅れると一晩でも失明の危険がある。
・ 緊急の場合には、外科的手術を必要とすることもある。
● 疫学
・ 中年以降の遠視の女性に好発する。
・ 通常、前房深度が狭くなる夜間~明け方に発症しやすい。
・ 視神経障害を生じると閉塞隅角緑内障となる。

● 所見・検査
・ 典型的には結膜充血,角膜混濁,中等度に散瞳したまま反応のない瞳孔,前房の炎症が認められる。
・ 視力は低下する。
・ 眼圧は通常40~80mmHgである。
・ 角膜浮腫により視神経は観察困難であり,苦痛があるため視野検査は行わない。
● 治療
・ 発作の治療は薬物療法で眼圧を下げた上で手術的治療を行う。
・ 手術は最近ではレーザー手術が主流
・ 眼の状態によっては観血的手術を行うこともある。
・ 通常は他眼も発作を起こしやすい眼なので、治療が一段落したら、他眼の予防手術(レーザー)を行う。
・ 慢性型の場合にはまずレーザーなどで隅角を広げる手術を行い、効果が不十分な場合には薬物や手術治療を選択する。

<原発開放隅角緑内障>
・ 両眼性で、眼圧上昇の原因となる全身異常や眼局所の異常が認められないもの
・ 隅角検査はほぼ正常
・ 治療は眼圧が正常になり、視神経や視野の異常がそれ以上進まないことが目標とされる
・ 薬による治療、レーザー治療[レーザー光線を隅角にあてる治療]、手術の3種類。
・ 最初は薬で治療(眼圧降下、点眼薬)し、薬で不十分な人、薬が使えない人ではレーザー治療や手術(眼圧を下げる)が必要。

<Vogt-小柳-原田病>
● 病因:メラノサイトに対する自己免疫疾患
● 全身症状;吐気、嘔吐、感冒様症状
● 髄膜炎症状;頭痛、頭部知覚異常
● 内耳症状;めまい、耳鳴、感音性難聴
● 眼症状
・ 急激な両眼の視力低下
・ 視神経乳頭の発赤、腫張
・ 多発性の漿液性網膜剥離(急性両眼性ぶどう膜炎)
・ 水晶体の前方移動に伴う遠視化
●病期
①前駆期 :発病の3~7日でみられる
・ 感冒症状、頭痛、発熱などの症状が出現する。
・ 耳鳴、めまいなどの髄膜刺激症状も出現する。
②眼病期
・ 両眼の肉芽腫性ぶどう膜炎および漿液性網膜剥離による視力障害がおこる
・ この際、80%の症例で感音性難聴を合併し、髄液が蛋白細胞解離(蛋白が増加し、細胞の増加なし)。
・ 視神経の発赤腫脹。水晶体の前方移動に伴う遠視化が起こる。
③回復期
・ 数ヶ月後、色素細胞の消失によって皮膚の白斑や、毛髪の白変がみられ、後期には眼底が夕焼け眼底、ダレン・フックス(Dalen-Fuchs)斑を認める。
・ 2次性の緑内障になることもある。

<エタンブトール中毒>
・ 色覚異常や中心暗点以外の視野障害(両耳側半盲など)が現れる
・ 早期に原因薬物を中止、ビタミン製剤(メチコバール、ビタメジンなど)の併用

<レーシック手術の長所>
・ 短い視力回復期間:手術直後から視力回復を感じることができ、手術翌日ならたいてい少なくとも最大矯正視力の70~80%位は回復する。
・ 無痛症手術:目薬点眼痲酔で手術中や手術後の痛症がほとんどない。
・ 手術後角膜混濁、近眼の再発等が非常に少ない。
・ 両目を同時に手術することができるので両目の視力回復期間が短い。
・ 再手術や追加矯正手術が必要な場合にも手術施行が容易い。
<レーシック手術の短所>
・ 角膜切片を作る過程で医者の熟練された技術が必要。
・ レーシック手術は最近はじめられた施術法でまだ長期にわたってのデータが得られていない。
・ もし角膜を削りすぎると遠視となってしまう。
・ 角膜のレーシック手術を受けた部分と、レーシック手術を受けなかった部分を光が通ってくることになり、像が二重に見えることがある。

<未熟児網膜症>
・ 活動期と瘢痕期に分けられる。
・ 線維血管増殖が起こるまでが活動期、それが収縮したあとが瘢痕期
・ それぞれ程度に応じて分類されている。
・ 活動期には網膜光凝固術、冷凍凝固術が行われる。
・ 凝固は無血管帯が標的になる。
・ 瘢痕期の網膜剥離に対しては硝子体手術
●厚労省分類
*活動期(active phase)
【Ⅰ型(比較的緩徐な経過をする群)】
1期(網膜内血管新生期)
・ 後極部:変化(-)
・ 耳側周辺部の網膜血管先端部:異常分岐(分岐↑)、異常な怒張・蛇行、走行異常
・ それより周辺部:無血管領域
2期(境界線形成期)
・ 後極部:血管の怒張・蛇行
・ 耳側周辺部:網膜血管先端部と無血管領域の間の境界が明瞭
3期(硝子体内滲出増殖期)
・ 後極部:血管の怒張・蛇行
・ 硝子体:硝子体内への滲出、血管・支持組織の増殖、硝子体出血(±)
・ 初期:硝子体内への極わずかな滲出・発芽
・ 中期:硝子体内への明らかな滲出・増殖性変化
・ 後期:中期の所見+牽引性変化
4期(部分的網膜剥離期)
・3期の所見+部分的網膜剥離
5期(全網膜剥離期)      

【Ⅱ�型(予後不良の群)】
・ 赤道部より後極側の領域:全周性に未発達血管の先端部の異常吻合・走行異常・出血、網膜血管の著明な蛇行・怒張、出血・滲出性変化
・ それより周辺部:広い無血管領域
・ 急速に網膜剥離へ進展

*瘢痕期
1度:周辺部にのみ瘢痕性変化
2度:牽引乳頭を示す
・ 弱度:黄斑部に変化なし
・ 中等度:黄斑部外方偏位
・ 強度:黄斑部に器質的変化
3度:後極部に束状網膜剥離
4度:部分的な後部水晶体線維増殖
5度:完全な後部水晶体線維増殖

<裂孔原性網膜剥離>
・ 網膜裂孔だけであれば、レーザー治療で網膜剥離への進行が抑えられることもある。
・ すでに網膜剥離が発生してしまった場合、多くは手術が必要で、手術は大きく分けて2つの方法がある。
① 強膜内陥術
・ 眼の外から網膜裂孔に相当する部分にあて物をあてて、さらに孔の周りに熱凝固や冷凍凝固を行って剥離した網膜を剥がれにくくし、必要があれば網膜の下に溜まった水を抜く。
・ 剥がれた網膜を目の中から押さえつけるために、眼内に空気や特殊なガスを注入することがあり、この場合は手術後にうつぶせ安静が必要。
② 硝子体手術
・ 眼の中に細い手術器具を入れ、眼の中から網膜剥離を治療する。
・ この方法では、剥がれた網膜を押さえるために、ほぼ全例で眼の中に空気や特殊なガスを入れる。

<緑内障疫学調査(多治見スタディ)>
● 有病率:40歳以上の5.0%
● 特徴
・ 40歳以上の緑内障患者のうち、89%は潜在患者
・ 診断のある患者では多くが正常眼圧緑内障
・ 年齢とともに有病率が高くなる
・ 失明原因の第1位が緑内障

<白内障術後合併症>
・ 最も多いのは、水晶体嚢の後嚢が手術後1~2年で濁ってくる後発白内障といわれるもの:特殊なレーザーを用いることにより外来で簡単に治療できる
・ 網膜剥離や術後感染性眼内炎など、重篤な合併症が起こることもあるがまれ。
・ 特に、術後感染性眼内炎は、場合によっては失明に至る。
・ 水疱性角膜症:角膜の内皮細胞が手術により減少して角膜混濁を起こし、視力が低下する。
・ 類嚢胞黄班浮腫:手術後の炎症が長く残ると網膜の中心部に浮腫が起こり視力回復が遅れる。特に糖尿病によく見られる。
・ 一過性の高眼圧症:手術後一時的に眼圧が上昇する場合があるが、点滴や内服、点眼薬で正常に戻る。

<ベーチェット病の主症状>
●四徴:口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状
①口腔粘膜の再発生アフタ性潰瘍
・ 境界が鮮明な、皮膚の浅いところに出来る有痛性潰瘍。
・ 口唇粘膜、頬粘膜、舌、更にさらに歯肉などの口腔粘膜に出現。
・ ベーチェット病のほとんどが必ず発症する症状
・ 初発症状として発症することが多い。
・ 10日以内に治ることが多いが再発を繰り返すことが特徴
②皮膚症状
・ 結節性紅斑、皮下の血栓性静脈炎、毛嚢炎様皮疹又は座瘡様皮疹など
・ 下腿伸側・前腕に結節性紅斑様皮疹がみられる
・ 顔、頸、胸部などに発疹
・ 皮下に血栓性静脈炎。
・ 皮膚の被刺激性亢進を反映する所見として針反応が認められる。
・ 針反応:清潔な針を軽く刺したところの皮膚が赤くなり、その赤みが次第に増して48時間後には明らかな発赤や硬結を示し、ときには中心に膿をもったできものにまで成長してしまう反応
・ 採血などの静脈穿刺によって皮下の血栓性静脈炎が誘発されることもある。
③眼症状
・ ぶどう膜炎が主体
・ 炎症が前眼部のみに起こる虹彩毛様体炎型と、後眼部におよぶ網膜ぶどう膜炎型(眼底型)に大別される。
・ 再発性前房蓄膿性虹彩炎は、べーチェット病のみに見られることが多い、特異性の高い所見。
・ 網膜ぶどう膜炎は視力予後に直接関連し、治療の面で重要。
・ 眼症状はベーチェット病の中でも最も重い。
・ ほとんど両眼が侵され、後眼部病変として網膜絡膜炎を起こし、最悪の場合、失明に至る。
④外陰部潰瘍
・ 有痛性の境界が鮮明なアフタ性潰瘍
・ 男性では陰嚢、女性では大小陰唇によく発症する。
・ 男性は、陰嚢、陰茎、亀頭に。女性は大小陰唇、膣粘膜にみられる
・ 痛みを伴うので、ときとして性病と間違われる。

<ベーチェット病の副症状>
●副症状
・ 出現頻度は関節炎以外は少ないが、特に腸管型、血管型、神経型ベーチェット病は生命の危険ともなる脅威であり、充分な警戒が必要。
・ 生命に直接危険をもたらすような症状は、ベーチェット病の中で「特殊病型」に分類されている。
①関節炎
・ 両腕、両足の四肢の大関節に認められることが多く、腫脹、疼痛、発赤が出現。
・ 変形や硬直を認めることはまれ
②副睾丸炎
・ 一過性、再発性の睾丸部の腫脹、圧痛。
・ 出現頻度は全体の6%程度だが、ベーチェット病に特異性が高い。
③消化器病変
・ 回盲部末端から盲腸にかけてが好発部位。
・ 多発性の潰瘍性病変が特徴。
④血管病変
・ 大中血管の炎症性、血栓性閉塞や動脈瘤形成が定型的な血管病変である。
⑤中枢神経病変
・ ベーチェット病症状の中で最も遅発性、男性に多い。
・ 発症から神経症状発現まで、平均五、六年かかることが多く、長い経過が特徴的。
・ 寛解憎悪を繰り返すが、次第に非可逆的な障害が積み重なっていき、重篤な後遺症を残すことが多い。
・ 中枢性運動麻痺と性格変化を中心とした精神症状が多く、髄膜刺激症状や脳幹症状を示すものもある。
・ 特に神経症状が前面に出る病型を「神経ベーチェット」と呼び、難治性で、もっとも予後が不良

<ベーチェット病の合併症>
●眼病変の虹彩毛様体炎や網膜ブドウ膜炎では、白内障や緑内障、網膜剥離などの合併症が高い頻度で起こる。

<アトピー性皮膚炎に伴う眼疾患>
● 眼瞼皮膚炎、角結膜炎、円錐角膜、白内障、網膜剥離など。
● 白内障や網膜剥離は重い視力障害につながる
● 皮膚炎、特に顔の皮膚炎が重症な方に多い。
● 10~30歳台に比較的多く、思春期、成人になるまで皮膚炎が長引いたり、その時期に重症になったりするタイプには注意が必要。

<高血圧症の眼底血管の分類>
・Scheie分類が広く用いられる。
・Keith-Wagner分類は、内科所見を主として眼底所見との相関を考えた分類法で、現在でも尚広く用いられている 
(1)Keith-Wagnerの分類
*眼底所見
+全身所見
【Ⅰ度】
*細動脈の狭細と効果が軽度
+血圧は日中動揺するが、夜間睡眠時は正常
【Ⅱ度】
*細動脈の狭細と効果が強い
+血圧は高く、動揺が少ない。
【Ⅲ度】
*出血、白斑
+心臓・腎臓障害
【Ⅳ度】
*乳頭浮腫
+心臓・腎臓・脳障害


2)Scheieの分類
度:分類
H:高血圧性所見
S:細動脈硬化性所見
第1度
H1/細動脈の狭細が第2枝以下で認められる。
S1/細動脈壁反射の軽度亢進と軽微な動静脈交叉現象
第2度
H2/細動脈の狭細が著明、著しい攣縮を示す口徑不動。
S2/S1の所見が更に著明。
第3度
H3/細動脈の狭細と口径不同が更に著明となり、網膜の出血・ 滲出の何れか、又は両者を伴う。
S3/銅線動脈と更に高度の交叉現象
第4度
H4/上記の第3度の所見に加え、乳頭浮腫が加わる。
S4/銀線動脈

●眼底血管の糖尿病の分類
*Scott分類
Ⅰ(a):毛細血管瘤
Ⅰ(b):大きい静脈の変化-たとえば静脈硬化症、拡張した静脈のコイル状(または結び目状)の変形。
Ⅱ:点状出血。これに点状滲出斑が伴うこともある
Ⅲ(a):大型円状の出血。融合性の滲出斑を伴う。/Ⅲ(b):出血斑と滲出斑はより数を増す
Ⅳ:硝子体出血。
Ⅴ(a):増殖性網膜炎/Ⅴ(b):増殖性網膜炎の血管型
Ⅵ:網膜剥離。著しい変形所見

*福田分類
A1:毛細血管瘤または点状出血
A2:しみ状出血。硬性白斑。
A3:陳旧性の新生血管
A4:陳旧性の硝子体出血
A5:陳旧性の増殖性網膜症
B1:網膜内細小血管異常、軟性白斑、網膜浮腫、線状または火焔状出血
B2:乳頭に直接連絡しない新生血管
B3:乳頭に直接連絡する新生血管
B4:硝子体中に立ち上がる新生血管
B5:糖尿病網膜症に起因する網膜剥離

臨薬対策

プリントに載ってることは書いてません。
もうCYPとか覚えられないんですけど(泣

<非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs,解熱性鎮痛薬)>
● 酸性非ステロイド性消炎鎮痛薬
・ 比較的,COX-2 に対して選択性が高いもの --- エトドラク(ハイペンTM),ジクロフェナク(ボルタレンTM)
・ COX-1 に対して選択性が高いもの --- インドメタシン(インダシンTM),アスピリン(バファリンTM)
●相互作用:血漿タンパク結合率が高い薬物が多い
*抗血液凝固薬(ワルファリン)
・ワルファリンの抗凝血作用が増強され,出血傾向が増強される.
*糖尿病治療薬
・サリチル酸系薬剤が,スルホニルウレア系薬剤(SU剤)、インスリン製剤などの血糖降下作用を増強し,低血糖症状を発現する.
*メトトレキサート
・NSAIDs(ジクロフェナク,インドメタシン,ナプロキセンなど)との併用により,メトトレキサートの血中濃度が上昇し,骨髄抑制,消化性障害,口内炎などのメトトレキサートの副作用が発現する.
*ニューキノロン系抗菌薬
・NSAIDsとの併用により,中枢性痙攣(ニューキノロン系抗菌薬による中枢GABAA受容体の阻害作用がNSAIDs存在下で増強)が生じる事があるので,併用を避ける.
●副作用および投与に対する注意事項
*消化器障害
・NSAIDs の副作用で最も頻度が高い.消化性潰瘍の患者への投与は禁忌.
・ 空腹時の服用を避け,経口投与を避ける(坐剤にする).
・ プロドラッグ化した製剤や,腸溶性製剤など,比較的消化性障害の少ない薬剤を選択する.
・ 消化性潰瘍治療薬,制酸剤などを併用する(テプレノン,アズレン配合剤,H2ブロッカー,プロスタグランジン E1 誘導体のミソプロストールなど
* 腎障害
・ 腎臓中に比較的高濃度で分布し,PGの生合成を抑制.腎血流量の減少や水・電解質代謝に影響し,腎障害を惹起,悪化させることがある.半減期の長いものや腎蓄積性の薬剤に注意(ピラゾロン系薬剤,ピロキシカム,アキサプロジンなど).
・ 腎臓の血流量を下げる。
●喘息患者への投与
・アスピリンに対して過敏性を示す「アスピリン患者」へのNSAIDsの投与は禁忌.
●高齢者への投与
・腎機能が低下している場合が多く,そのような場合、PGが腎機能維持に関与している.腎機能に対して影響の少ない薬剤を選ぶとか,半減期の長い薬剤を避ける.
●各薬剤の分類
1 サリチル酸系:アスピリン(バファリンTM),ジフルサニル(ドロビッドTM)
・薬理作用の特徴:解熱,鎮痛,抗炎症,抗リウマチ作用,尿酸排泄作用,少量で,血小板凝集阻害作用
・副作用:胃障害,めまい,耳鳴り
2 アリール酢酸系:インドメタシン(インダシンTM),ジクロフェナク(ボルタレンTM),スリンダク(クリノリルTM),フェンブフェン(ナパノールTM),エトドラク(ハイペンTM),モフェゾラク(ジイソペインTM)
・薬理作用の特徴:比較的作用が強いが,半減期が短く作用持続時間の短いものがある.
3 フェナム酸系:メフェナム酸(ポンタールTM),フロクタフェニン(イダロンTM)
4 アリルプロピオン酸系:イブプロフェン(ブルフェンTM),ナプロキセン(ナイキサンTM),ケトプロフェン(カピステンTM),ロキソプロフェン(ロキソニンTM)
・薬理作用の特徴:消炎,鎮痛,解熱作用を比較的バランスよく持っている.
5 ピラゾロン系:ケトフェニルブタゾン(ケタゾンTM)
・薬理作用の特徴:解熱作用,鎮痛作用,抗炎症作用(プロスタグランジン生合成阻害),抗リウマチ作用,尿酸排泄作用
・副作用:顆粒白血球減少症,浮腫
6 オキシカム系:ピロキシカム(フェルデンTM),アンピロキシカム(フルカムTM)
・薬理作用の特徴:比較的半減期が長い薬物が多く,1日1回の投与が可能.腎排泄が遅い.

●塩基性非ステロイド性消炎鎮痛薬
1 塩酸チアラミド(ソランタール),塩酸ペンジダミン(リリベン)
◦ 薬理作用の特徴:PG 生合成抑制作用を示さない.作用機序は分かっていない.抗炎症作用が比較的弱く,慢性関節リウマチに対してはあまり効果がない.
●その他(NSAIDs に分類されない解熱鎮痛薬)
1 ピリン系:イソプロピルアンチピリン
2 非ピリン系の解熱鎮痛薬:アセトアミノフェン

<アシクロビル>
●副作用
・ 急性腎不全:だるい、吐き気、むくみ、尿の濁り、血尿、尿が少ない・出ない。
・ 重い精神神経症状:妄想、もうろう状態、混乱・興奮状態、けいれん、意識がうすれる。
・ アナフィラキシー様症状
・ 重い血液成分の異常:発熱、喉の痛み、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や歯肉出血など出血傾向。
・ 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):高熱、ひどい発疹・発赤、唇や口内のただれ、のどが痛い、水ぶくれ、皮がむける、強い痛み、目の充血。
・ 間質性肺炎:から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
・ 呼吸抑制
・ 肝臓の重い症状:だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色。
・ 膵炎:上腹部~背中の強い痛み、吐き気、嘔吐。
・ 下痢、軟便、吐き気、腹痛
・ めまい、ふらつき、眠気、頭痛
・ 発疹、かゆみ

<酢酸プレドニゾロン>
●併用注意
・ バルビツール酸誘導体:代謝が促進され酢酸プレドニゾロンの作用が減弱
・ フェニトイン :代謝が促進され酢酸プレドニゾロンの作用が減弱
・ サリチル酸誘導体:血清中のサリチル酸誘導体の濃度が増加しサリチル酸中毒を起こす
・ 抗凝血剤:抗凝血剤経口糖尿病用剤の作用を減弱させる
・ 経口糖尿病用剤:抗凝血剤経口糖尿病用剤の作用を減弱させる
・ 利尿剤(カリウム保持性利尿剤を除く):低カリウム血症が現れることがある
・ リファンピシン:代謝が促進され酢酸プレドニゾロンの作用が減弱する
・ シクロスポリン:シクロスポリンの血中濃度が上昇する
・ エリスロマイシン:酢酸プレドニゾロンの作用が増強される
・ 非脱分極性筋弛緩剤:筋弛緩作用が減弱または増強される

<アトルバスタチン>
リファンピシン併用→アトルバスタチンの血漿中薬物濃度が低下

<ワーファリン>
● ほぼ完全に肝代謝によって消失する薬剤
● 特に薬理活性の高いS-WF(S体のワーファリン分子) はCYP2C9により代謝される。
● そのターゲットとなる酵素はVKORである
● 両酵素の遺伝子多型がワーファリンの感受性の個人差を規定する原因のひとつ
● 野生型と比較してヘテロ変異型ではS-WFの代謝活性が50%以上低下し、ホモ変異型
では10%程度まで低下する。
● 日本人におけるヘテロ変異型(Ile/Leu359)の頻度は約4%であるが、ホモ変異型は極めて稀
● VKOR は2004年に初めて subunit 1(VKOR complex subunit 1: VKORC1)の塩基配列が報告され、翌年には6カ所の変異型アレルが報告された
● 日本人の8割以上はワーファリンに対する感受性が高いタイプであるが、約6名に1名の頻度で感受性の低いタイプが存在することになる。
● 一方、白人では全く逆でワーファリンに対する感受性が低く、そのためワーファリンの1日あたりの平均投与量が日本人より多くなる。
● この VKOR遺伝子変異のワーファリン応答性への影響は人種を超えて保存されており、日本人の平均的ワーファリン投与量が白人に比べて低いことの良い説明となっている。
● ワーファリンは遺伝的要因による個人の感受性の差異に加えて、併用薬剤や食事内容などの外的要因が、抗凝固作用の発現に大きな影響を与える。
● ワーファリンの効果は毎日摂取する食品中のビタミンK量により影響を受ける。
● 酵素活性欠損者 (poormetabolizer,PM)の頻度には人種差があり,CYP2C19では日本人のおよそ20%が. PMであるのに対して欧米人PMの頻度は5%未満といわれている

<周期性四肢麻痺>
● 低カリウム(K)血性麻痺が多く、日本では甲状腺機能亢進症に伴う場合が多く、男性例が多い。
● アルドステロン症、腎尿細管性アシドーシス、緩下剤(とくに甘草)中毒、バーター症候群などによるものもある。

<漢方薬>
● 六君子湯(りっくんしとう)=慢性胃炎、胃潰瘍
● 葛根湯(かっこんとう)=頭痛、肩こり、感冒症状
● 麦門冬湯(ばくもんどうとう)=気管支炎、咳嗽
● 柿蔕湯(していとう)=しゃっくり
● 大健中湯(だいけんちゅうとう)=便秘症、腸閉塞

<薬物有効血中濃度>
● レボドパ=1~3μg/ml
● カルバマゼピン=4~12μg/ml
● ジゴキシン=~2ng/ml
● フェニトイン=~20μg/ml
● フルニトラゼパム=~50ng/ml

<胎児催奇形性>
● 抗けいれん薬=D
● 免疫抑制薬=C~D

<抗コリンエステラーゼ薬>
*重症筋無力症の対症療法
● 塩化アンベノニウム (マイテラーゼ),
● ジスチグミン臭化物(ウブレチド),
● ピリドスチグミン臭化物(メスチノン)

<筋緊張性ジストロフィー>
● 顔筋、舌筋、手内在筋のミオトニア
● 咬筋・胸鎖乳突筋の筋萎縮(西洋斧顔貌)、側頭筋の筋萎縮(白鳥の頸)、または四肢遠位筋の筋萎縮

<圧迫性・絞扼性神経障害>
● 腓骨神経:drop foot
● 正中神経:前骨間神経症候群、回内筋症候群、手根管症候群
● 橈骨神経:後骨間神経症候群、サタデーナイトパルシー
● 尺骨神経:Guyon管症候群、肘部管症候群
● 坐骨神経:梨状筋症候群
● 脛骨神経:足根管症候群

<ケースコントロール研究計算>
● 相対リスク=オッズ比=治療群(%)/対照群(%)
● 相対リスク減少(低下)=(対照群%—治療群%)/対照群%
● 絶対リスク減少(低下)=対照群%—治療群%
● 治療必要数=1/絶対リスク減少

<新薬開発臨床試験>(臨床試験薬効評価用デザイン)
探索的試験→検証的試験→臨床薬理試験→製造販売後臨床試験

<GCP省令の目的>
この基準GCP省令は、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施(以下「治験」という。)及び製造販売後臨床試験に関する計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する遵守事項を定め、被験者の人権、安全及び福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保することを目的とするものである。

<介入研究(intervention study)と観察研究(observational study)>
介入研究とは、研究者が対象者の食生活デザインに積極的に介入する研究のこと。
疫学研究の方法(研究デザイン)の分類。介入研究では、研究者が積極的に治療法や予防法を行う(介入する)。無作為割付臨床試験はその代表だが、無作為割付を伴わない介入研究も存在する。

<コホート研究>
コホート研究では相対危険度(RR)を出すことで、曝露群と非曝露群でどれくらいリスクが違うかを明らかにする。

<薬剤性パーキンソニズム>
● 抗精神病薬では、クロルプロマジンなどのフェノチアジン系、ハロペリドールなどのブチロフェノン系、スルピリドなどのベンザミド系はいずれもパーキンソニズムを生じやすい

<薬物相互作用>
● ジクロフェナク+L-dopa/ベンゼラシド・・・ジクロフェナクで胃pH低下→L-dopa吸収アップ→副作用(幻覚など)
● オフロキサシン+ピロキシカム・・・比較的安全な組み合わせだが、オフロキサシンは一部の鎮痛薬併用でけいれんが起こる。
● ジアゼパム+フェニトイン・・・フェニトインがCYP3A4を誘導するためジアゼパムの血中濃度が低下するおそれがある。
● シロスタゾール=血小板ホスホジエステラーゼ阻害
● 抗コリン薬+L-dopa・・・抗コリン薬が胃の動きを低下させ、L-dopaの吸収を低下させることがある
● チアプリド+L-dopa・・・チアプリドが抗ドパミン作用をもつため、拮抗して相互に作用を減弱する
● ドネペジル+ピリドスチグミン=両方ともコリンエステラーゼ阻害薬なので、迷走神経刺激作用などコリン刺激作用が増強される可能性がある。
● ソリブジン+フルオロウラシル=ソリブジンの代謝物(ブロモビニルウラシル)がフルオロウラシルの代謝を阻害→フルオロウラシルの血中濃度が上昇→副作用である白血球減少や血小板減少などの重篤な血液障害が生じる

<薬物代謝>
● UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)1A10=エストロゲンと非ステロイド抗炎症薬、テルミサルタンを代謝する。胃腸管に分布する
● UGT1A1(トポテシン代謝酵素)=イリノテカンの副作用に関与する酵素
●CYP2D6で代謝される おもな薬
* 向精神薬
・ アミトリプチリン (トリプタノール)
・ ノルトリプチリン (ノリトレン)
・ イミプラミン (トフラニール)
・ デシプラミン (パ-トフラン)
・ クロミプラミン (アナフラニール)
・ ミアンセリン (テトラミド)
・ マプロチチリン (ルジオミール)
・ フルボキサミン (デプロメール、ルボックス)
・ パロキセチン (パキシル)
・ ハロペリドール (セレネース、リントン)
・ チオリダジン (メレリル)
・ ペルフェナジン (PZC)
・ フルフェナジン (フルメジン)
・ リスペリドン (リスパダール)
* 循環器用剤
・ メキシレチン (メキシチール)
・ プロパフェノン (プロノン)
・ プロプラノール (インデラル)
・ メトプロロール (セロケン)
・ カルテオロール (ミケラン)
* 呼吸器用剤 
・ コデイン
・ デキストロメトルファン(メジコン)
●CYP2D6の働きを阻害する おもな薬
* 抗真菌薬  
・テルビナフィン (ラミシール)
* 向精神薬  
・ フルボキサミン (デプロメール、ルボックス)
・ パロキセチン (パキシル)
* 循環器用剤 
・キニジン (キニジン)
* 消化器用剤 
・ オメプラゾール (オメプラール)
・ シメチジン (タガメット)

<神経疾患>
● もやもや病=成人では脳出血きたしやすい
● MELAS(ミトコンドリア病)=血中乳酸値、ピルビン酸値上昇
● パーキンソン病=ドパミン神経細胞体にレビー小体
● HTLV-1感染者は南予に多い

<細胞死の機序>
● パーキンソン病:線条体に多く存在する神経伝達物質ドーパミンが欠乏して発症する。この欠乏は,ドーパミン神経が壊れて起こる。ドーパミン神経の変性や消失は,神経細胞内のミトコンドリアの機能不全により酸化ストレスが増大することが,その原因の一つといわれている。生理的老化に伴うドパミン細胞死の原因として酸化ストレスが最も重要な役割を果たしている。
* パーキンソン病薬物療法
ドーパミンの補充:Lードーパ剤(単剤・合剤)
アセチルコリン受容体の遮断:抗コリン剤
ドーパミンの放出促進:塩酸アマンタジン 
ドーパミン受容体の刺激:麦角アルカロイド・非麦角アルカロイド
ドパミン分解抑制:塩酸セレギリン
ノルエピネフリンの補充:Lードプス(ドロキシドーパ)
● アルツハイマー病:アルツハイマー病の原因は、脳内にβアミロイド蛋白が蓄積しそれが直接的または間接的に神経細胞を死滅させるためであると言われる。小胞体に存在し細胞内のたんぱく質の形を整える(シャペロン)タンパクであるプレセニリン1(PS1)の遺伝子に変異を生じ、変異タンパクが存在する小胞体では、神経伝達に重要なカルシウムの濃度変化に対応できず機能が低下、不完全なたんぱく質が蓄積して細胞死が起きる。
* アルツハイマー病薬物治療
・ 抑肝散:進行したアルツハイマー型認知症で起こる妄想や、徘徊(はいかい)、暴力などの抑制
・ アセチルコリン分解酵素阻害薬、塩酸ドネペジル(商品名アリセプト):認知改善薬
・ 塩酸メマンチン:中等度・重度アルツハイマー型認知症の改善薬としてEUおよびアメリカで使用されている。日本では臨床試験中。
・ その他、アルツハイマー型認知症に伴い、不眠、易怒性、幻覚、妄想などの「周辺症状」と呼ばれる症状に対して、適宜対症的な薬剤(睡眠導入剤、抗精神病薬、抗てんかん薬、抗うつ薬など)の投与が有効な場合がある。 また、易怒性・切迫感・焦燥感のあるものには、加味温胆湯が有効であるという臨床結果が報告されているなど、漢方薬が有効な場合が少なからずある。
● 脊髄小脳変性症:ポリグルタミン鎖が異常に伸びて、これが神経細胞死を招いたものが多いとされている。α‐シヌクレインの関連もある。
* 脊髄小脳変性症の薬物治療=各種の症状に対する対症療法
・ 一部の疾患では、ヒルトニン(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン;TRH)の筋注または静注により自覚症状がやや改善する。
・ 不随意運動のあるときには、適量のクロナゼパム
・ 筋強剛、無動など錐体外路症状が問題になるときには抗パーキンソン剤が効果的。
・ 自律神経症状にも対症的に薬物投与
● 筋ジストロフィー:筋細胞膜細胞骨格タンパク質であるジストロフィンなどは細胞骨格を安定させているが、その欠損によって筋線維が破壊されやすくなり、多くの筋細胞は壊死に追いやられやすくなる。
* 筋ジストロフィーの薬物治療
・ホルモン剤や抗カルシウム剤などの投与による治療方法が行われているが、特に有効とはされていない

<腎機能障害時の抗菌薬の使い方>
● 常用使用量でよいもの:マクロライド(エリスロマイシン)、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン
● 中等度以上の腎機能障害時:βラクタム(セフェム、ペニシリン:セファレキシン)、ニューキノロン(OFLX:オフロキサシン)、リンコシン、ニューマクロライド
*βラクタム、ニューキノロン(SPFXを除く)はCcrが50ml/分以下の場合、1/2~3/4量にするか使用間隔を2倍にする。
●厳重に使用量を調節:アミノグリコシド(ストレプトマイシン)、グリコペプチド系(バンコマイシン)
a.初回常用量投与後血中半減期ごとに半量を維持量とする。
b.血中半減期の2~3倍の間隔で常用量投与。
c.腎機能正常者と同等の使用間隔で減量して使う。

<妊婦禁忌>
・URL紹介:「妊娠と薬」禁忌薬、薬効別に添付文書、FDA薬剤胎児危険度分類基準、オーストラリア基準、虎ノ門病院の基準の分類が一目で分かるリストをネット上で見ることができる。
http://www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_00top.html
●抗ヒスタミン薬では、ジフェンヒドラミンよりクロルフェニラミンが安全
●アスピリン、センナ、ジルチアゼムなどは妊婦禁忌
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救急対策

救急は直前に勉強する時間がほとんどないので早めに上げときます。
ほぼ全ての内容が載ってます。
非常に大量なので携帯の方はPCから来てもらった方がいいかと思います。

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<体温異常>
●熱中症の種類
病態の違いから4つに大きく分類される。
1.熱失神(heat syncope)
・原因:直射日光の下での長時間行動や高温多湿の室内で起きる。発汗による脱水と末端血管の拡張によって、体全体の血液の循環量が減少した時に発生する。
・症状:突然の意識の消失で発症する。体温は正常であることが多く、発汗が見られ、脈拍は徐脈を呈する。
・治療:輸液と冷却療法を行う。
2.熱疲労 (heat exhaustion)
・原因:多量の発汗に水分・塩分補給が追いつかず、脱水症状になったときに発生する。
・症状:症状は様々で、直腸温は39℃程度まで上昇するが、皮膚は冷たく、発汗が見られる。
・治療:輸液と冷却療法を行う。
3.熱痙攣 (heat cramps)
・原因:大量の発汗後に水分だけを補給して、塩分やミネラルが不足した場合に発生する。
・症状:突然の不随意性有痛性痙攣と硬直で生じる。体温は正常であることが多く、発汗が見られる。
・治療:食塩水の経口投与を行う。
4.熱射病 (heat stroke) 日射病(sun stroke)とも言う
・原因:視床下部の温熱中枢まで障害されたときに、体温調節機能が失われることにより生じる。
・症状:高度の意識障害が生じ、体温が40℃以上まで上昇し、発汗は見られず、皮膚は乾燥している。
・ 治療:緊急入院で速やかに冷却療法を行う。
● 病院で行なう冷却法
・ 体表面にアルコールや温水をスプレーし、その気化熱によって冷却する方法
・ 冷水浴
・ 一定の温度で冷却できるクーリングマットを使う方法
*体腔内からの冷却法
・ 冷水による胃洗浄:「大量」注入は嘔吐・誤嚥を招くので禁忌)
・ 冷水による膀胱洗浄
・ 冷却生理食塩液による胸腔内・腹腔内洗浄
・ 血液を体外に出してから冷却し再度体内に戻しいれる体外循環
*氷嚢を皮膚に押し当てる方法は、皮膚の血管収縮により熱の放散を妨げ、シバリングを招くので勧められない
●労作性熱中症(労作性熱射病)Exertional type:E型
・ 運動選手、筋肉労働者、兵士などが温熱下の激しい運動で発症する。
・ 筋肉運動による熱産生の過剰が主
・ 若年男性に多い
・ 運動強度によっては比較的低温下でも発症
●古典的熱射病(非労作性熱射病)Classical type:C型
・ 乳幼児や高齢者、または循環器疾患や精神疾患を有する人が高温多湿環境にさらされて発症する
・ 夏季の酷暑下,日常生活中に発症。
●偶発性低体温症
・ 何らかの原因で中心体温(直腸温)が35°C以下に低下した病態。
・ 水難事故や冬山登山でも起こるが、一般には飲酒や睡眠薬の服用後に寒冷環境におかれて発症した低体温症。
・ 心電図ではT波逆転,PQ・QR・QTSの延長,種々の不整脈などがみられるが,特徴的なものとしてQRS群の終末に出る陽性動揺はJ波(Osborn波)として有名である。
・ 30℃以下では心筋の被刺激性が著しく高まり致死的な不整脈を発生しやすく,患者の扱いには愛護的な配慮が必要である。
・ 体温が30℃以下になると、ふるえすら起こらなくなり、加速度的に体温は低下する。
・ 体温が低下するにつれて 精神活動、運動能力ともに低下するため、その人本来の能力を発揮できなくなる。なかでも判断力は早い時期から低下する。
*前兆(36.5~35度):意識は正常。手の細かい複雑な動きができない。さむけ、ふるえがはじまる。
*軽症(35~33度):無関心状態、すぐ眠る。歩行よろめく。口ごもる話しぶり。ふるえ最大。(協力的にみえて協力的でない。まともそうに見えてまともでない。)
*中等症(33~30度)
・33~32度:会話がのろい。閉じこもる。逆行性健忘。意思不明。運動失調。
・ 31~30度:錯乱状態。支離滅裂。しだいに応答しなくなる。震え停止。歩行や起立は不可能。
*重症(30度以下)
・30~28度:半昏睡状態。瞳孔散大。心拍、脈拍微弱。呼吸数は半分以
・ 28~25度:昏睡状態。心室細動。
・ 25度以下:腱反射消失。仮死状態。
・ 20度以下:脳波消失。心停止。
*16度:救命しえた成人の偶発性低体温症の最低体温。
*15.2度:救命しえた新生児の偶発性低体温症の最低体温(66分間水没していた)。
● 復温方法
・保温、体表加温、中枢加温の3つの方法がある。積極的に行うか消極的に行うかの判断が必要。
*保温:毛布寝袋などで熱の放散を防ぐ方法で、低体温症全ての患者に行うことができる。
*体表加温:温水欲、電気毛布、自動保温マットレスなどを用い、積極的に加温する方法。
*中枢加温:主に医療機関で行う身体内部から加温する方法である。
・中心静脈への急速加温輸液:急速復温では末梢血管拡張により冷たい血液が急激に心に還流し心室細動を発生させる危険性(after drop)があるが、slow rewarmingでは死亡率は45%以上であるため、急速復温が優先される。
*積極的加温/消極的加温
・軽度の一次性偶発体温では消極的体外式加温法
・ 慢性で高度の低体温には四肢の加温は控える←核心体温の低下、血管が拡張に応じた心拍出量が得られずrewarming shockの危険性。
・ 核心体温32℃未満、循環動態不安定、新生児、高齢者、中枢神経障害、二次性偶発性低体温が疑われるときは積極的加温法。
*死亡確認は原則として核心温度を30℃以上にしてから行う

<災害医療>
●静岡方式トリアージ
・クラッシュ症候群の心配からSTART方式の一番最初に、2時間以上の圧迫があるかどうかが加えられている。
1.2時間以上の圧迫がある→赤タッグ
2.呼びかけに反応するか:ない→赤タッグ
3.呼吸の確認 
・ない→気道確保→ない→黒タッグ
・ある→30回/分以上、もしくは10回/分未満→赤タッグ(脈拍での判断でも可)
4.爪を押してから血色が戻る時間:2秒以上→赤タッグ
5.手を開閉する、目を開閉するなどの言葉に正確に応える:ない→赤タッグ
6.自力で移動できる
・できない→黄タッグ 
・できる→緑タッグ
●タッグの色の意味
*黒 (Black Tag) カテゴリー0 :死亡、もしくは救命に現況以上の救命資機材・人員を必要とし救命不可能なもの。
*赤 (Red Tag) カテゴリーI :生命に関わる重篤な状態で一刻も早い処置が必要で救命の可能性があるもの。
*黄 (Yellow Tag) カテゴリーII :今すぐに生命に関わる重篤な状態ではないが、早期に処置が必要なもの。
*緑 (Green Tag) カテゴリーIII :救急での搬送の必要がない軽症なもの。
●START法
・ 救助者に対し傷病者の数が特に多い場合に対し、判定基準を出来るだけ客観的かつ簡素にした物がSTART法 (Simple triage and rapid treatment) である。具体的には以下のようになる。
1. 歩けるか?
・ 歩ける→緑→状態の悪化がないか絶えず観察
・ 歩けない→2.へ
2.呼吸をしているか?
・ 気道確保なしで十分な呼吸が出来る→黄
・ 気道確保がなければ呼吸できない→赤
・ 気道確保をしても、呼吸がない→黒
・ 呼吸はあるが頻呼吸(30回/分以上)→赤
・ 徐呼吸である→3.へ
3.ショック症状はないか?
・ ショックの兆候がある→赤
・ ショックの兆候無し→黄

<中毒>
● アセトアミノフェン中毒
・ 摂取から数時間以内に胃腸炎,および1~3日後に肝毒性を引き起こしうる
・ AST,ALTが上昇することがあり,中毒が重度の場合には,ビリルビンおよびINRも上昇することがある。
・ 腎不全および膵炎を来す場合もあり,時に肝不全を伴わないことがある。
・ 5日後以降,肝毒性は消失するか,または致死的となりうる多臓器不全に進行する。
・ アセトアミノフェンが消化管に残存する可能性がある場合は,活性炭を投与する。
・ N-アセチルシステインはアセトアミノフェン中毒に対する解毒剤(拮抗薬)である。N-アセチルシステインはグルタチオン前駆体であり,肝臓のグルタチオン貯蔵の増加およびおそらくその他の機序によってアセトアミノフェン毒性を低減する。
・ 急性毒性では,アセトアミノフェン摂取量または血清中濃度に基づき肝毒性の可能性がある場合にN-アセチルシステインを投与する。これは,アセトアミノフェン摂取後8時間以内に投与した場合に,最も有効である。
●一酸化炭素中毒:
・ 空気中に一酸化炭素が酸素の1/200あったら、その濃度は0.1%(1000ppm)。 この場合、 酸素と一酸化炭素は半分ずつヘモグロビンを分け合う: Hb-CO/(HB-CO + HB-O2) = 0.5 ( 50%)
・ 1時間の暴露では、500ppmで症状が現れはじめ、1000ppmでは顕著な症状、1500ppmで死に至るとされている。
・ 高い濃度の一酸化炭素を吸った場合には、自覚症状を覚えることなく急速に昏睡に陥る。
・ 治療は酸素吸入
・ 純酸素を吸入しても呼吸が不十分な場合は高圧タンク内で酸素を吸入する高圧酸素療法が必要となる。
・ 脳細胞(特に大脳基底核)への直接的な障害作用がある。
・ 淡蒼球の壊死や脱髄疾患には高圧酸素療法やTRH療法。
● 塩素ガス中毒
・ 曝露により、眼、鼻、口の灼熱間、流涙、鼻漏、悪心・嘔吐、頭痛、めまい、. 失神、皮膚炎を生じる。
・ 咳、窒息、胸骨下痛、低酸素血症、肺炎、気管支痙攣、肺水腫. が起きることもある。
・ 3.5ppmでは臭気を感じ、15ppmでは目・呼吸器の刺激作用、咳、窒息感がおこり、50ppmでは1時間以内の暴露で胸部の疼痛、喀血、肺水腫をおこす。100ppmでは瞬間的に呼吸困難になり、脈拍減少、チアノーゼ、咽頭痙攣がおこり、ショックとなる。1000ppm以上では即死。
● 有機リン系殺虫剤
・ ドイツのバイエル社によって1940年前後に開発された。
・ 典型的な酵素毒であり、体内のコリンエステラーゼとの間に共有結合を作り、その活性を特異的かつ不可逆的に阻害し、体内にアセチルコリンの蓄積をもたらす。
・ その結果として、コリン作動性の症状が現れる。(口渇は抗コリン作用。)
・ 特異的拮抗剤として、硫酸アトロピンと2-PAM(2-pyridine aldoxime methiodide:一般名プラリドキシムヨウ化メチル)がある。
・ 2-PAMはリン酸化AChEのリン酸基と結合し,自らがリン酸化されてAChEからリン酸基を脱離させる.
・ しかし,リン酸化AChEのリン酸基は時間の経過とともにアルキル基を遊離し,イオン化するため2-PAMと反応しなくなるため早期から投与を開始しないと十分な効果を期待できない.
・ 2-PAMの50%致死量は100mg/kgのオーダーなので不必要に大量使用してはならない
● ふぐ中毒 ふぐ毒(テトロドトキシン):呼吸筋麻痺(呼吸抑制・呼吸困難)、しびれ(口唇、手足)、めまい、脱力感、頭痛、言語障害、腹痛、下痢、嘔吐。 重症では意識障害、昏睡、運動麻痺、低体温、血圧低下になり死亡
● サリチル酸中毒:乳酸やケト酸などの産生を増加させる。サリチル酸は呼吸中枢に作用して過呼吸を起こす
●灯油は絶対に吐かせてはいけない。吐かせてしまうと吐物が気道に入って、誤嚥による重症の出血性肺炎を引き起こす。
● 嘔吐に対処するには,左側臥位とする.中毒では,胃内の毒物が腸へ流出するのを妨げるため,側臥位をとる場合は原則として左向きがよい.
●睡眠導入薬大量服用
・ 処置:胃洗浄、活性炭による吸着、フルマゼニルの投与
・ 症状:呼吸中枢抑制、気道狭窄→呼吸性アシドーシス
●胃洗浄
・ 毒物を経口的に摂取したのち1時間以内で,大量服毒の疑いがあるか,毒性の高い物質を摂取した症例に胃洗浄の適応がある
・ 胃洗浄は,中毒患者ではルーチンに行われるべきではない.実験モデルでは,除去率は安定しておらず,時間とともに除去率は低下する.
・ また,胃洗浄によって臨床転帰を変える証拠はない.
・ したがって,胃洗浄は生命にかかわる可能性がある量を摂取していて,かつ毒物摂取後1時間以内でないかぎり考慮すべきではない
・ 胃洗浄洗浄液:水は38度程度に温めておく。液温が低いと消化管の蠕動運動が亢進して胃内容が腸へ流入しやすい。また低体温の危険も増す。温水には塊を形成した薬剤を溶かしやすい利点がある。
● 緩下剤(cathartics)
・ 多くの臨床医が経口中毒患者で投与しているが,単独投与で臨床的転帰を改善するという臨床対照研究はない.
・ 中毒治療では,活性炭と結合した中毒物質の腸内滞在時間を短くするために,活性炭とともに使用することを推奨する.
・ 急性中毒では,塩類下剤と糖類下剤(ソルビトール)が使用されるが,近年は,その効果からソルビトールが多用されている

<外傷>
●Primary Survey で治療が必要な病態と診断方法
・ 気道閉塞→身体所見
・ Flail chest→身体所見, 胸部エックス線撮影
・ 開放性気胸→身体所見, 胸部エックス線撮影
・ 緊張性気胸→身体所見, 胸部エックス線撮影
・ 大量血胸→身体所見, 胸部エックス線撮影, FAST
・ 心タンポナーデ→身体所見, FAST
●頚髄損傷→上肢にも麻痺を生じる。
●1~3腰椎横突起骨折では(腎)損傷がありえる
●右8~9肋骨骨折では(肝)損傷がありえる
●左7~9肋骨骨折では(脾)損傷がありえる
●恥骨・坐骨骨折では(尿道)損傷がありえる
●骨盤骨折
*概念
・大量の後腹膜出血や重篤な合併損傷を伴うことが多く死亡率が高い
・前方部の損傷のみでは機能障害を残すことは少なく、骨折に伴う下部尿路系損傷の合併が問題となる
・骨盤後方部の破綻は骨盤輪の安定性に大きく影響し、出血性ショック、神経損傷を呈しやすい(仙腸関節解離は骨盤後方部の破綻であり、不安定型骨盤骨折。)
*分類
1.安定型骨折:骨盤輪の破綻がない。ほとんどは保存的治療で治癒する
2.不安定型骨折:骨盤輪の破綻。大量の後腹膜出血を生じやすい
・回旋不安定型は創外固定のみで治療されることが多い
・回旋・垂直方向不安定型は創外固定のみでの治療は困難
3.寛骨臼骨折
*診断
・ショック状態や不安定型骨折が視診上疑われる患者は、正面単純X線による診断を優先
・バイタルサインが安定していれば、骨盤入口撮影、骨盤出口撮影を行う
・寛骨臼骨折の治療方針決定にはCTが不可欠
*急性期治療
・後腹膜出血の止血
・骨折した骨盤を整復・固定: 開大した小骨盤腔を狭小化
・帯、シーツによる緊縛、ショックパンツ: 前後圧迫型の緊縛
・創外固定: 回旋不安定型の固定
・経カテーテル動脈塞栓術: 輸液、輸血でショック状態が改善されないとき

<熱傷>
●熱傷の処置
・ 服は脱がせず、そのまま水をかけること。無理に脱がそうとすると損傷が酷くなる。
・ 水疱(水ぶくれ)は破らないこと。破ると感染を起こしやすくなる。
・ 乳幼児や老人は低体温を起こしやすいため、冷やしすぎに注意。ひととおり冷やしたらすぐに病院へ搬送する。
・ 気道熱傷のおそれがある場合は、息ができなくなってからでは手遅れになってしまうので、直ちに救急搬送を依頼する。
・ 電撃傷などで心肺停止状態にある場合は心肺蘇生が最優先される。冷却は二の次。
● 熱傷面積
・ I度熱傷は含めない。
・ II・III度熱傷で計測する。
・ 単位は%BSA。BSA:body surface area
●症状
II度:水疱、発赤、腫れ、湿潤。強い痛み、灼熱感、知覚鈍麻
III度:壊死、炭化、乾燥、白い。無痛、知覚なし
●III度熱傷の治療
・ デブリードマン(壊死組織を除去する)が第一選択
・ 広範囲であれば植皮の適応となるが、小範囲であれば湿潤環境で保護し周囲からの上皮化を待ってもよい。
・ 全周性のIII度熱傷には減張切開をおこなう。
・ 感染防止のため強力な外用抗菌剤を塗布し、時期を見て皮膚移植を行う
●感染予防
・ 広範囲熱傷で種々カテーテルの留置を余儀なくされる患者、気道熱傷患者では、広域スペクトラムを有し、腎、肝、造血器障害性の低い抗生物質を経静脈的に 2∼4g/日用いる。
・ 受傷早期熱傷創からの分離菌では皮膚の常在菌である S. epidermidis, Methicillin-susceptible S.aureus (MSSA), Corynebacterium 属などのグラム陽性菌が多く、ABPC, CET, CTM などを投与。
・ 感染予防の目的で第 3 世代セフェム剤、アミノ配糖体系薬剤を使用することは、耐性菌による感染を増加させるため好ましくない

<循環器>
●カテコラミン薬
イソプロテレノル:β1受容体に作用するがα作用も有する。
ドブタミン:β1受容体選択的
●市民による早期除細動(Public Access Defibrillation:略称PAD)システム
・倒れた者のすぐ隣に居合わせた一般市民(バイスタンダー)が、「AED」を使用して直ちに除細動(心臓への電気ショック)を行うこと。
・電気ショックが完了すると、ただちに心臓マッサージを開始する。心肺蘇生法を再開して2分経ったら、AEDが自動的に心電図の解析を再び行う。以後は、心電図の解析、電気ショック、心肺蘇生法の再開の手順を、約2分おきに繰り返す。
・電極パッドは心臓がパッドの間に挟まれるように貼ればよいが、胸骨右側と左側胸部が一般的。埋め込み式ペースメーカーや除細動器装着の患者にも使用できるが、そこから3センチメートル程度離して電極パッドを貼る。
・電気ショックの成功率は成功の可能性が1分ごとに7~10%低下する。
・ 電気的除細動 defibrillation:瞬間的に直流電流を通電させることで心筋細胞全体を同時に脱分極させ、洞調律に回復させる処置である。 心室細動、無脈性心室頻拍、不安定な多形性心室頻拍では同期電気ショックではなく、非同期の高エネルギー電気ショックを用いるべきである。
・ cardioversion : 同期装置でR波を検出しつつ、心筋受攻期を避けて通電するものをいう。通電量は疾患によって25~100[J]まで様々 である。 心房細動・心房粗動をはじめ発作性上室性頻拍などが主な適応となる。 なおR波非同期の電気的除細動は defibrillation という。
● 循環のサイン
・ 気道確保、呼気吹き込み式人工呼吸を2回行った後に、呼吸運動、咳、その他の体の動き等の有無を10秒以内に観察する。これらの徴候が全くなければ、循環のサインが無い心停止の状態と判断して、直ちに心臓マッサージを行う
・ 末梢における循環のサインは、爪もしくは指を血色が無くなるまで絞り、手を離してから血色が戻るまでの時間で判断する。概ね2秒以上かかっている場合、末梢循環不全が起きていると解釈する。
●救命の鎖(Chain of Survival)
*成人の救命の連鎖
1. Early Access→早期通報(119番など救急への通報)
2. Early CPR→早期心肺蘇生
3. Early Defibrillation→早期除細動
4. Early Advance Care→早期病院搬送(救急隊員への引継ぎ)
*小児の救命の連鎖
1. Prevention→予防
2. Early CPR→早期心肺蘇生
3. Early Access→早期通報
4. Early Advance Care→早期病院搬送(救急隊員への引継ぎ)
*成人と小児で順番が異なるのは、小児の方がより早期CPRに反応しやすいため(成人の心停止の多くは心臓に原因があり、小児では呼吸器に原因があることが多い)。
●特定行為
・心肺停止状態の傷病者に対して行う救急救命士による救急救命処置のこと。
・特定行為を行う際にはオンラインメディカルコントロールにより、指導医またはメディカルコントロール医師(MC医)の指示を得なければならない。(救急救命士法第44条)
1. 静脈路確保:乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液
2. 器具を用いた気道確保:食道閉鎖式エアウェイ(食道を閉鎖することで気道を確保するチューブ、またはラリンゲアルマスクを用いた気道確保。該当行為認定取得者による気管挿管(2004年より)
3. 薬剤投与:「薬剤投与認定」取得者によるアドレナリン(エピネフリン)投与(2006年法改定より)
4. 半自動除細動器による除細動

<ショック>
●旧厚生省DIC診断基準と欠点
1) 基礎疾患の存在:礎疾患のないDICは存在しないのに、基礎疾患の存在にスコアをつけるのはおかしい。
2)出血症状・臓器症状の存在:出血症状や臓器症状は、進行したDICでみられる所見であるにもかかわらず、これらの臨床症状の存在によりスコアをつけるのは、DICの早期診断に不向き
3)血小板数の低下
4)FDPの上昇:FDPは、敗血症/重症感染症に合併したDICででは上昇が経度であるため、旧厚生省DIC診断基準では、敗血症/重症感染症に合併したDICの早期診断に不向きである。
5)フィブリノゲンの低下:フィブリノゲンは、敗血症/重症感染症に合併したDICでは低下することはほとんどない。フィブリノゲンは炎症によりむしろ上昇することも多い。
6)プロトロンビン時間(PT)の延長:プロトロンビン時間(PT)は、DICのみならず、肝不全やビタミンK欠乏症で容易に延長するため、DICに特異的ではない。そのようなマーカーをDIC診断に用いるのは不適当である。
●ショック指数=脈拍数/血圧
ショック指数  循環血液量の減少
0.5      なし
1.0      23%
1.5      33%
2.0      43%
●循環血液量減少性ショック→まずは補液
●血液分布不均衡性ショック:アナフィラキシー、敗血症性、神経原性
● 心外閉塞性ショック:心タンポナーデ、緊張性気胸
●心タンポナーデによるショック
・従来まで心原性ショックに位置づけられていたが、最近の分類(病態による分類)では心外閉塞性・拘束性ショックを呈する疾患となっている。
・ 心外閉塞・拘束性ショックは心血管系回路内の何らかの閉塞が原因で生じる。心タンポナーデでは、心原性ショックと類似した所見が見られる。
・ 心収縮力が低下し、十分な心拍出量とならないため、血液は停滞する。よって、CVPは上昇する。
・ 心タンポナーデショックでは、循環血液量の減少はなく、左心の収縮力低下により肺水腫が生じやすい状態である。
●敗血症性ショックの臨床症状
*初期
・高心拍出状態
・ 悪寒戦慄、発熱、暖かく湿った皮膚、チアノーゼ、精神錯乱などが特徴的。
・ 循環動態は、心拍出量の増加と末梢血管抵抗の低下がみられる(CI=4~5/分程度、TPR≦700のことが多い)。
*末期
・低心拍出状態
・ 冷たい湿った皮膚、乏尿、チアノーゼなど重症心原性ショックの症状と同じ。
・ CVP(PCWP)は上昇、心拍出量は低下、末梢血管抵抗は上昇する。この状態になった時は、数時間内外で死の転帰をとることが多い。
●心原性ショック:最大の原因疾患は広範囲急性心筋梗塞症で、壊死量が左室心筋の40%を越すと心原性ショックをきたす

<神経>
● 高齢者に起こる昏迷
・原因:薬の中毒反応、ナトリウム濃度の上昇による脱水、感染症。
・検査:血液中の糖、ナトリウム、アルコール、酸素、二酸化炭素などの濃度。
●鉤ヘルニアによる動眼神経麻痺 :血腫の拡大によって側頭葉の鉤が中脳を圧迫し、特に動眼神経核が障害されやすい。 病側の瞳孔が散大し、瞳孔不同 anisocornia を招く。
● 脊髄損傷:首の部分の障害では上下肢麻痺(四肢麻痺)となり、胸以下の障害では両下肢麻痺(対麻痺)になる。
● 衝撃部の反対側に生じる脳挫傷が反衝損傷
● クッシング現象:頭蓋内圧亢進に伴う徴候で、血圧の上昇、脈圧の増加、徐脈が生じる。
●切迫するD :重篤な頭部外傷を疑うという意味。意識状態・脳機能の評価を行う。
・ 搬入後のグラスゴー・コーマ・スケールで2点以上の低下
・ グラスゴー・コーマ・スケールの合計が8点以下
・ 瞳孔不同やクッシング現象がある
のいずれかの徴候がある場合、「切迫するD(Dysfunction of central nervous system)がある」状態と呼び、ABCが安定し次第、脳に対する検査・治療を最優先に行う。
●GCS
GCS
>反応/評点
●開眼(E)Eye Opening
・自発的に開眼する(spontaneous)/4
・呼びかけにより開眼(to speech)/3
・痛み刺激により開眼する(to pain)/2
・全く開眼しない(nil)/1
●最良言語反応(V)Best Verbel Response
・見当識あり(orientated)/5
・混乱した会話(confused conversation)/4
・混乱した言葉(inappropriate words)/3
・理解不明の音声(incomprehensible sounds)/2
・全くなし(nil)/1
●最良運動反応(M)Best Motor Respponse
・命令に従う(obeys)/6
・疼痛部へ(localises)/5
・逃避する(withdraws)/4
・異常屈曲(abnormal flexion)/3
・伸展する(extends)/2
・全くなし(nil)/1
*3つの項目のスコアの合計で評価する

<呼吸器>
● 上気道狭窄症状:
① 吸気時の雑音や喘鳴,
② 臥位での呼吸困難の悪化,
③ 呼吸リズムに一致しない呼吸困難,
④ 気管支拡張剤に反応しない喘鳴,
⑤ 肺の虚脱,
⑥ 胸部レントゲン写真が正常にもかかわらず持続する咳嗽や血痰
⑦ チアノーゼ,呼吸補助筋の使用、いびき
●エアウェイ:気道閉塞がある場合挿入する。
● 食道気管コンビチューブ
・ 盲目的に挿入し、本来は食道に、本体が入ることを想定して作られている救命救急のために考えられたデバイス。救急救命士に広く使用されている。
・ 喉頭展開をせずに行う。ほとんどの場合は食道に入り、1番目のチューブで換気が可能。運良く気管に入ったら、2番目のチューブで換気する。
・ 食道の裂傷の報告があり、食道静脈瘤の患者などには禁忌とされている。
・ 重積発作を生じた気管支喘息の患者に用いても、十分な換気が出来なかったという報告もある。
●ヘモグロビンの酸素解離曲線
*酸素解離曲線に影響する因子(右シフト要因)
・温度:温度が上昇すると結合-解離平衡は解離側に傾くから、酸素親和性は低下する(右へシフト)
・pH:pHが酸性に傾くと酸素親和性が低下する(右へシフト)
・CO2分圧:CO2分圧が増すと、pHは一定でも酸素親和性が低下する。これは、ヘモグロビンのN末
のα-NH2にCO2が結合してcarbaminohemoglobinを作るためである(右へシフト)
*2,3DPG
・赤血球で生産される酸素解離曲線移動の調節物質。
・たとえば高地に住んでいる人や慢性呼吸不全患者など、長い間低酸素血症に陥ってる人では 2,3DPG が 増加して酸素解離曲線が右シフトしており、組織に酸素を与えやすい状態になっている。
・貧血の人も 2,3DPG の作用によって酸素解離曲線が右方に移動している。
・保存血では2,3DPG が減少している。→輸血をするとヘモグロビンが増えて運ばれる酸素の量は増えるが、 保存血を大量に使うと 2.3DPG が減少しているので酸素解離曲線を左方に移動することになり、 組織に酸素を与えにくくする可能性がある。
●バッグ-バルブ-マスク Bag-Valve-Mask(いわゆるアンビュバッグ)
・自動的に膨張する弾力のあるバッグに酸素が流入する。
・一方向性のバルブ(弁)がマスク(透明なしっかりしたマスクがよい)とバッグの間に接続されている。
・病院内では最もよく用いられる換気補助のための器具である。
・患者の頭側に立ち、気道確保をして、左手で下顎を把持しながら右手でバッグをもんで換気する(EC法)。
・バルブには気管内挿管チューブの接続が可能である。
・バッグ-バルブ-マスクの欠点としては 一人で行うときには気道確保が困難で一回換気量が少なくなりがちである。これを補うために手の小さい人は、2人でバッグ-バルブ-マスクを使った方がよい。(1人はマスクの固定、もう一人はバッグをもむ)
・また余裕があれば 輪状軟骨を軽く押して食道に空気が入らないようにすると良い。
●動脈血酸素分圧(PaO2)
・若年健康者でほぼ100Torr(mmHg)、老年健康者で約80Torr。
・健康者の動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)は、40Torr前後に維持される。
・酸素解離曲線より、SaO2 90%はPaO2 60mmHg、SaO2 60%は30mmHgに相当する。これを3・6・9の法則という。それ以外にSaO2 97.5%はPaO2 100mmHg、SaO2 75%はPaO2 40mmHg、SaO2 30%はPaO2 20mmHgを覚えておくと便利。
● 鼻腔カニューラによる酸素吸入
・ 酸素流量1リットル毎分につき吸気酸素濃度は約4%づつ上昇する。
・ 大気を吸入するときの吸気酸素濃度は21パーセント。
・ 3L/minなら、吸気酸素濃度は21+3x4=33(%)
● 酸素供給量
・ 動脈血酸素含量が
CaO2 (mL/dL)=[1.39 (ml/g) x Hg (g/dL)x SaO2]+[0.0031 (mL/dL/torr) x PaO2 (torr)]
と表されるときに酸素運搬量は
DO2 (mL/min)=Q (dL/min) x CaO2
となる。(Hg:ヘモグロビン, SaO2:動脈血ヘモグロビン酸素飽和度, Q:心拍出量)
・ DO2 = CO × CaO2 ≃ CO × SaO2 × Hb
与式は PaO2 のかかわる部分を省いているが、細胞への酸素供給を考える場合には、PaO2 を見る必要はなく、むしろ動脈血酸素飽和度、Hb、心拍出量の 3 者を見ればよい。
●破傷風:喉頭けいれんによる呼吸障害
●換気障害と酸素化障害の違い
1.換気障害
・肺胞と大気中の間のガスの移動ができない状態で、酸素を肺胞に取り込めず二酸化炭素を肺胞から排泄できない状態。
・原因疾患にはCOPD(慢性肺気腫など)・重症肺結 核後遺症・中枢神経性急性薬物中毒などがある
2.酸素化障害
・低酸素状態で二酸化炭素は正常が減少。
・急性の酸素化不全は、主にシャントやシャント様効果の増大によって起こる。
・原因疾患には慢性間質性肺炎・肺胞淡泊症・成人呼 吸窮迫症候群など
3.混合型障害
・換気障害と酸素化障害が合併したもの。
*慢性呼吸不全:低酸素血症をきたすもの(I型呼吸不全)と、これに高炭酸ガス血症が加わるもの(Ⅱ型呼吸不全)がある。
1.炭酸ガス蓄積を伴わない低酸素血症(Ⅰ型呼吸不全)
①換気血流比不均等分布:肺の血流に見合うだけの換気が行われない部分が存在するため、肺動脈と肺静脈の間に一種のシャント(短絡)効果が現れることによる。急性では肺炎、気胸、肺塞栓症などがこれに相当し、慢性では肺気腫、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症などが主としてこのタイプの呼吸不全を示す。
②拡散障害:肺でのガス交換は肺胞中のガスと肺胞を取り巻く毛細血管血(ガスがへモグロビンに結合した状態で存在)との間で行われ、これを拡散という。両者を隔てている組織を肺胞間質というが、肺胞間質の病変のためにガス交換が障害されるものは肺胞─毛細管ブロックと呼ばれ、拡散障害の代表的な機序。急性ではオウム病、カリニ肺炎、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)、過敏性肺臓炎などが、慢性では特発性間質性肺炎、肺線維症、塵肺症などがこれに相当する。肺胞間質の病変の他に、肺胞気と毛細管血との接触面積が減少した場合にも拡散障害をきたす。肺気腫がこれに当たります。
2.高炭酸ガス血症を伴う低酸素血症(Ⅱ型呼吸不全)
・これは肺胞低換気(ガス交換に有効な換気量が減少すること)が原因となる。
・肺胞低換気をもたらすものは、肺結核後遺障害や脊柱側湾後湾症、高度の肥満などの拘束性障害(肺の拡張が制限され肺活量が減少すること)が代表的。
・他に、脳の病変や、ギランバレー症候群、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症のような神経・筋疾患など、呼吸中枢や呼吸筋の障害によって引き起こされるものも含まれる。
・また進行した肺気腫や、びまん性汎細気管支炎、喘息発作重積状態などの高度の閉塞性障害(気管支狭窄のため、主に呼気が制限される換気障害)でも肺胞低換気をきたす。

●過換気症候群:PCO2の低下は脳血流の減少をもたらす。

<酸・塩基>
● 乳酸リンゲル液
・効能・効果:循環血液量減少時の細胞外液の補給、循環血液量減少時の細胞外液の補正、組織間液減少時の細胞外液の補給、組織間液減少時の細胞外液の補正、代謝性アシドーシスの補正
・ 類似薬リンゲル液の塩素は血漿より約 50mEq/L と多く含んでいるが、乳酸リンゲルは血漿濃度にほぼ等しい。 よって輸液による塩素過剰を防ぐ。
・ 組成:
Na:130mEq/L
K:4mEq/L
Ca:3mEq/L
Cl:109mEq/L
●3号液
・ 維持液。通常の状態で必要とされる電解質をバランスよく含む製剤。食事がとれない場合の維持輸液に用いられる。ソリタT3号®など。
・ 基本的に尿など体が排出するような水分の組成にあわせて作られている。すなわち3号液では基礎輸液の理論をそのまま輸液量として用いることができるという特徴がある。そのわかりやすさのため、維持輸液としては現場で最もよく使われる。
●アニオンギャップAGが増加する代謝性アシドーシス
・腎不全
・糖尿病性ケトアシドーシス
・乳酸アシドーシス
・出血性ショック・急性心不全(慢性の急性増悪)(乳酸が増加、重炭酸が減少)
・飢餓(ケトアシドーシス):絶食が始まると筋肉のグリコーゲンは分解されて乳酸に代謝され、再度、筋肉エネルギーとして利用される。(乳酸が血中に放出されることはないので乳酸アシドーシスとはならない)
*ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓など心血管系、肺機能に高度の障害のある患者およびその他の低酸素血症を伴いやすい状態では、嫌気的解糖が亢進して乳酸産生が増加し、また循環不全により肝での乳酸処理能が低下する。
*KUSSMAL:糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症、サリチル酸中毒、敗血症、メタノール、アルコール中毒、アスピリン中毒、乳酸アシドーシス
●AG正常の代謝性アシドーシス
・腸管からのHCO3喪失:下痢、膵全摘術後、膵液嚢、尿管結腸瘻、麻痺性イレウス
・腎からのHCO3喪失:尿細管性アシドーシス、Fanconi症候群、原発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、先天性副腎皮質過形成、低アルドステロン症、Addison病、呼吸性アルカローシスに対する代償、ダイアモックス投与
・酸の負荷:アミノ酸輸液など
●高カリウム血症:細胞内の水素イオンと細胞外のKイオンが交換されて、代謝性アシドーシスとなっていることが多い。血液ガス分析で強度のアシドーシスが認められる場合は、重曹(メイロン:炭酸水素ナトリウム)を投与してアシドーシスを改善させる。これにより細胞外水素イオン濃度が下がるので細胞内水素イオンが細胞外に移行しやすくなる。それによってKイオンが交換で細胞内に入ってくる。
*G―I(グルコース・インスリン)療法は、5%グルコース液と速効性インスリンを持続投与するものである。インスリンがブドウ糖を細胞内に取り込ませる際にカリウムを一緒に細胞内へ移動させる作用を利用している。陽イオン交換樹脂を経直腸的に投与することで腸液中カリウムを除去する方法もある。
●呼吸性アルカローシスの代償:腎臓が分担すべき負荷をこなし,腎機能が代償性に低下する.すなわち,不足するH+の排泄を減少させ,血しょう中のH+量が増大する。