大江戸物語#江戸性語”九浅一深” | 春夏秋冬✦浪漫百景

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歌と画像で綴る心ときめく東京千夜一夜物語

江戸で使われていた「性語」を紹介。

江戸時代と現代の違いを楽しめる発見があります。

 

九浅三深(きゅうせんさんしん・くせんさんしん)

 深浅法(しんせんほう)のひとつである。陰茎を九回深く、三回浅く、抜き差しするということ。

九浅三深のほか、一深九浅(いっしんきゅうせん)、

九浅一深(きゅうせんいっしん・くせんいっしん)もある。

 深浅法とは、性交時の挿入した陰茎の動かし方である。

要するに、やみくもにピストン運動するのではなく、

膣内を浅く、深く、緩急をつけて前後させねばならないという教え。

 

①春本『番枕陸之翠』(勝川春章、安永五年頃)

 宵のころ、約束した女は内気そうだった。ところが、男が上からのしかかり、

遠慮なしに九浅三深、右三左三、上六下九の秘術を尽くして戦えば、

下に手練(てだれ)の受け答え、宵の言葉に引き換えて、

十八になる娘とはさらに覚えぬ巧者な仕打ち、

 

 要するに、男は緩急をつけ、巧みに抜き差しをしたのであろう。

下から応じる女も、とても十八歳とは思えぬほど巧みだった。

春宮秘戯図巻  勝川春章肉筆 

②春本『艶本婦多津枕』(渓斎英泉、文政六年頃)

ふたりは、女上位の茶臼で始めた。

下には手練の九浅一深、
「ああ、もう、たまらぬ」
 といえば、
「ああ、どうも」
 と、抱き締める。

男は下から、九浅一深を実行した。

 

 

③春本『泉湯新話』(歌川国貞、文政十年)

 女が男に、上になってくれと言う。

「上にのっておくれ」と言うをきっかけに、上に乗っかり、両の手を女の腰に回して、

ぐいと抜いては深く突き、また口元をちょこちょこちょこ、

九浅一深、秘術を尽くして突きまわすに、女は今は絶え入るばかり、

 九浅三深ではなく、九浅一深である。

 

 

④春本『絵本花乃香』(西川祐信)

 男が後家を誘惑した。

男はさしもの手練(てだれ)にて、九浅三深の秘術をおこなえば、女はとんと余念なく、
「ああ、もう、主に別れてから久しゅうせぬゆえか、ようて、ようて」

 後家は久しぶりの房事を堪能している。

 

西川祐信 「春宵秘戯図巻」 【場面替】

 

⑤春本『仮枕浮名の仇波』(歌川国政、安政元年)

 女のよがりように、男も我慢できなくなり、

男も今にこらえきれず、総身の力をいちずに入れ、高腰にスカリ、

スカリと三浅九深の秘術を尽くし、突っ込むにぞ、

 九浅三深ではなく、三浅九深であり、浅いと深いの回数が逆になっている。

 

仮枕浮名之仇浪(恋岱淫士慕々山人(仮名垣魯文)作 二代歌川国貞

 

 

やみくもなピストンではなく、浅く、深く、緩急をつけて

「あんた、もう堪忍しておくれ」