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明日を見つめて~野上 薫の告白⑤

『お嬢さん・・・・・お嬢さん・・・・・・』誰かが私を揺すり起こそうとしている。私は起きようと意識の目覚めを試みるが、心と身体がバラバラに機能して思うようにならない。そうしている内にも優しく揺らされているその揺れが心地よく、意識が更なる眠りの深みへと落ちようとしている。


声の主はなかなか起きない私に痺れを切らせたのか・・・・言葉を変えて私の耳元にハッキリと聞き取れる声で一言 『お客さん、家に着きましたよ』 と告げた。
その瞬間!!!!私の脳が突然活性化したように働き出し、「バチッッッッッ!!!!!!」と音がしているんじゃないかと思うくらいの勢いで瞼が開き、瞬発的に身体を前に起こした。
そうだ・・・・私はタクシーに乗っていたんだ。いつ寝てしまったのかも全く分からない状態で辺りを見渡すと、そこは大久保通り入口の交差点を越えて環七を少し先に行った所の沿道で、タクシーは目的地に着いた合図の如く降りる側のドアが開いていて、私に優しく手を添えている運転手のその先に私の自宅のマンションが薄暗い夜の景色と一緒に映って見えた。


フラフラではあったものの着いてしまった以上は降りるしかない。まだまどろみの中にいたかった身体をゆっくりと動かし、酔いで思うように動かない手で財布から1000円札一枚を取り出して運転手に手渡した。運転手は助手席のドアを開け、上半身を車内に入れて器用にお釣りを取り出すと、私に向かって硬貨を1枚1枚数えながら手渡し、それから手を取ってゆっくりと車内から降ろしてくれ、最後に『おやすみなさい』 と一言添えて走り去って行った。


タクシーのテールランプが見えなくなるまで見送ってから私は自分の部屋のあるマンションに向き直り、アルコールが残っている口を開けて深く息を漏らし、目の前の視界がフラフラと揺れている中、自分の身体もフラ・・・・・フラ・・・・・と左右に振られながら10メートルほど先に見えるマンションの入り口に向かって歩き出した。
通りの歩道から路地に入り一歩・・・また一歩と歩を進める。家に無事に戻って来れた事に安堵し、部屋に戻ったら何も考えずにベッドに入ろう・・・・・・ただそれだけに集中している自分がいる。
そして本当にあと数メートルで入り口という手前で後ろから大きな声で呼び止められた。
『咲耶!』
私を源氏名で鋭く呼ぶ声に反射的に振り返ると、そこには<帰ったはずのあいつ>が右手に缶ビールが入ったビニール袋を持って立っていた。


振り返ったまま動けないでいる私にあいつが近づいてくる。距離が縮む毎に私の鼓動がドンドン早くなっていき、それと同時に頭の中が酔いと現状のヤバさにパニックを起こし、血の気が引いていく感覚が全身に伝わってくる。
そして私の目の前で立ち止まり、酒臭い息を吹き付け・・・・・・そして含み笑いをするように唇を厭らしく歪ませてから 『驚いて動けないか?フッ、まぁいいや。さ、お前の部屋で飲み直そうか?』 と濁りのある声で私に話しかけてきた。


まさか後をつけて来ていたなんて考えもしておらず、驚きのあまり声が出ない。それでもあいつはそういう事はお構いなしに私の身体に触れ、元々の進行方向へ向き直らせると 『家に帰るんだろ?』 と私の耳元で言い、軽く背中を押した。
<絶体絶命>って言葉が頭の中でグルグルを回りだし、逃げる術もなく従う以外に選択肢が浮かばないこの状況を自分だけの力では抜け出せられなかった。
諦めて歩き出すと、缶ビールのぶつかる音やビニール袋が擦れる音をさせながらあいつも後についてきた。私は・・・・・<こういう時に現れてくれる救いの神やヒーローなんてやっぱりいないんだ>と心の中で呟きながら残り数メートルを歩き、そしてマンションの入り口の前で一度立ち止まって振り返った。<もしかしたら夢か幻かもしれない>・・・・・・・・・そんな巧い話はない。やはり当然のような態度で私の後ろにあいつはいて、振り返った私を冷たく・残忍で・おまけに厭らしい目つきで見ながら「入れ」 と合図をするように顎を前にしゃくって見せた。


それに促されるように前に向き直り、諦めきった心を引きずる様にマンションへ一歩足を踏み入れようと思った瞬間・・・・・『おい、おっさん!!!!』 という怒気のこもった声が後ろから聞こえ、その声に入りかけた足が踏みとどまった。



≪続く≫


明日を見つめて~野上 薫の告白④

<あの時、私はひどく酔っ払っていた>・・・・のではなくて、「ひどく酔わされていた」という方が正しいと思う。高校卒業と同時に一人暮らしを始め、当時19歳でメディア関連の専門学生だった私は、大して飲めもしないくせに生活資金がほしいが為だけでキャバクラ嬢のアルバイトをしていた。
部屋は大久保通りから環七に出たすぐそばにあるマンションの5階の部屋で、小さなキッチンも含めたワンルームのユニットバス付き。家賃は月々8万5千円。親の仕送りがあったが、そんなものは家賃の足しになるかならないかの程度だった。それでも学費は全額出してくれていたので、今思えば本当に有難い話だったとつくづく感じている。
キャバクラは<夜遅い仕事>と言うこともあって、終わったらなるべく早く家に帰って寝たいという気持ちが強く、だけどあまりそういうのが表立ってはいけないと考え、普段通学の時に使っていた東京メトロ丸の内線の東高円寺駅の方ではなく、滅多に使わないJR線の高円寺駅に程近いお店を選んで入店した。


お店では<咲耶(サクヤ)>という源氏名を名乗り、基本的にメインではなくヘルプ嬢として働いていたので、割と気楽な位置だったのだが、その日に限ってメイン嬢の出勤数が少なく、追い討ちを掛けるように客足が良い感じに絶えず、延々と満席御礼の時間帯が続いた。
おまけに・・・・・嫌な事は続くもので、普段からあまり良く思っていない客・・・・と言っても私の指名客ではないので、そんな事言うのは失礼かもしれないけど、とにかくそいつの出現によって私は冒頭に書いたように<ひどく酔わされた>・・・・・・・・という流れなのだ。


そいつは40半ばの中年サラリーマンで、月に2、3度ほどやってくる感じのまぁまぁな感じの常連客といっても過言ではない奴だけど、酒癖と女に対する手癖が悪く、時折手に負えなくてなってしまう事もあるちょっとした曲者の一面がある困った人物で、それでもって一番困るのは、私をヘルプで推してくれているメインの中でもトップ3に入る奈津芽(ナツメ)という先輩を指名していたという事実だ。
私もあいつが来客した際に、何度かヘルプで短時間接客をしたことがあるけど、とにかく平気で強い酒を飲ますわ、ちょっと油断した隙に身体に触れてくるわ、酔ったフリして抱き付こうとしてくるわで、どうにもこうにも振り回されてばかりだった。
当然今日も<奈津芽先輩>を指名するのが目に見えていたけど、生憎お休みでいないからそれで素直に帰ると思っていたところが、何といつもヘルプに付いている私を指名してきた。
『え?なにそれ??』
頭の中が『?』でいっぱいになってはいたものの、指名された以上は付くしか道はなく、覚悟を決めてあいつが待つ席へ黒服のお兄さんと共に向かった・・・・もちろん待っていたのは地獄ですよ。


気が済めば帰るだろうと踏んだ私が馬鹿だった・・・・・気が済むどころか延々と酒を飲み、斯くいう私も普段口にするお酒よりも強めの酒を飲まされ続け、そして当然のように身体に触れてくる。帰るどころか延長、延長と続き、まさかこのまま朝まで居続けるの!?なんて事が頭を過った。
その結果・・・・遂に私がダウンしてしまい、退店時間の1時間前に早退する羽目になった。通常だと早退でも(1人だとしても夜道の心配の為)自宅送りがあるはずが、その日に限ってそれがしてもらえない事態が発生してしまい、仕方なくタクシーを呼んでもらって1人で乗って帰る事になってしまった。ただ私の頑張りがあいつに通じたのか(?)私のダウンをきっかけにして精算を済ませて帰っていったのだ。正直、それはそれで良かったと素直に思った。
もう何も考えられないくらいフラフラになりながらタクシーに乗り、ほとんどすぐそこだと言ってもいいほどの住所を伝えて『すみません・・・お願いします』と最後に付け加えると、自分の娘に優しく言うような感じで『ええ、大丈夫ですよ・・・構いませんから』と返答が帰ってきた。
静かに走り出したタクシーのシートにもたれ、僅か5、6分程度の距離であるにも拘らず、目をつむった拍子に深い穴の闇の底へ放り込まれたように、私の意識や視界が真っ暗な状態となって眠りへと落ちていった。



≪続く≫


明日を見つめて~野上 薫の告白③

化粧室から出ると如何にも「キャバクラ嬢しています」といった毳々しい様相にハイトーン系な茶髪の女性2人組が、カウンター席に座って目の前のバーテンダーとお酒を飲みながら、あーでもないこーでもない何て会話をしている姿が目に入ってきた。
それは私たちの席の真反対側で、化粧室の前からだと分からなかったが結構大きな声で、静かに飲みたかった私たちにとっては非常に不愉快な印象があり、当然のように他の3人は表情には出ていなくとも、口元へ運んだグラス越しに、苛立ちにも似た感情を込めた眼で何度か彼女たちを睨み付けていた。
私はといえば・・・・化粧室での<あのキーワード>が頭の中に残っていて、その彼女たちの姿に昔の自分を重ね合わせていた。


真っ赤なチュニックブラウスに白のロングカーディガンを合わせ、下はボリュームのあるレースを基調にした黒のショートパンツ。そのショートパンツから伸びる真っ白な素足の先に金のベルトラインとクリアウェッジ(透明の靴底)のハイヒール・サンダルを足の指に引っ掛けた服装の子が左側で、多分ここに来る前にも飲んでいたのだろう・・・・明らかに酔った感じの彼女がバーテンダーに「あーでもない・・・・・」なんて会話をしては絡んでいるようだ。方や右側の子はといえば、全体的にスパンコールが散りばめられた白銀のキャミソールに、光沢のある淡いベージュ色のテーラードジャケットを羽織り、下はぴっちりとしたタイトな黒のバンテージミニスカート。それに7分丈の黒色のレギンスで合わせ、足先は黒だろうか?ダークブラウンだろうか?そんな色合いのシルエットが美しいパンプスで揃えている。
その彼女は逆に酔って絡もうとしている子の話に耳を傾けつつも、周りの迷惑も考えて何とか宥めようと四苦八苦しているようだ。


バーテンダーはどうかというと、こういった事には慣れているんだろう・・・・やはり余裕の表情をして軽く相槌を打ったり、柔らかで穏やかな印象を感じさせる微笑を浮かべては、絡んでくる左側の彼女を上手にあしらっている様に見える。そんな三者三様の姿のその先にある窓から美しい芝・六本木方面の夜景が広がっている。
まだサラリーマンが残っているであろうフロアの白い明かりが疎らに見える高いビルの群れ。そのビルとビルの隙間を縫うように入り組んだ首都高速のオレンジ色の街灯。そのオレンジ色の曲線を走り抜ける車の赤いテールランプ。一際高く天に向かって伸びる東京タワーと、距離を置いて並ぶ金持ちの巣窟・六本木ヒルズ・・・・・・・・それはまるで<生きた絵画>と言っても過言ではない芸術作品だ。


しかし私の脳裏にはその芸術作品ではなく<昔、見ていた新宿の景色>が甦っていて、バーテンダーに絡む彼女を見つめながらゆっくりと自分にとって今日一番のお酒として頼んだ、高級ウィスキー(名前がよく分からないけど・・・・)のジンジャー割りを口元に運ぶ。唇がロックアイスに触れ、その冷たさと一緒に流れ込むお酒が口の中に広がってくる。口から喉へかけてウィスキー特有の強いアルコールの刺激とジンジャーエール(?)の鋭い香りが炭酸と一緒に弾けて頭の裏で火花となり、やがて閃きと同時に小さく爆発したような感覚が、徐々に酔った身体ごと私の意識を記憶の世界へと誘ってゆく。



≪続く≫


明日を見つめて~野上 薫の告白②

スタジオから程近い居酒屋スタイルの和風料理屋さんに入り、奥の座敷で食事も兼ねた「お疲れさん会」が始まった。席はそれとなく「お互いに話したい人同士」だったり、または私のマネージャーのように「送り迎えの関係でお酒が飲めない人同士」であったりとある程度グループ分けがなされ、その中でそれぞれが出てくるコース料理や単品のおつまみに手を伸ばしては、今日の撮影の事やそれとは全く別のプライベートの事、別件で一緒にやる予定の仕事の事など各々の話題について語り合いながら飲んだり食べたりと、昼間の撮影の緊張感から開放され、好きなようにくつろいでいる様子だ。


食事兼お疲れさん会は1時間半ほどで終わり、私と同じ方向のスタイリストさん2人とモデルの子一人が、私のマネージャーが運転する車に便乗し、場所を変えて2次会へとなだれ込む形になった。そのお店は私の住んでいるマンションに程近い所にあるバーで、隠れ家としても有名らしく時折だけどテレビでよく見る某有名俳優を筆頭にその他多くの著名人も足を運んでいるそうな・・・・・・・しかし噂だけかと思いきや私も何度か有名どころのアナウンサーや女優さんなど数人を見かけた事がある。
マネージャーとはお店が入っている雑居ビルの前で別れ、彼の運転する車のテールランプを見送ってから中に入り、エレベーターを使ってお店がある8階まで昇った。


お店の中はブラックライトが点されており、全体的に薄暗く落ち着いた感じになっている。入り口を入った左手側にバー・カウンターとカウンター席があり、中央に何席か2、3人掛け用のテーブル席、そして中央のテーブル席を挟む形でカウンターとは反対側にソファー席がある。ソファーの席は5、6人のグループで3、4組分程度だろうか。
そしてそして・・・・・・入り口正面奥には黒いカーテンの仕切りがあって、V I Pのみ入れる特別ルームが広がっているらしい。私はまだ入った事はないけど、前に2度ほど如何にも金持ちという見たままの男女があのカーテンの仕切りの奥へ消えていったのを見た事がある。


2次会とは言ったものの、特に飲み足りなかった訳でもなく、かと言ってまだ語り合いたかった訳でもなかった。単に帰りが同じ方向で、同じように今日一日の<撮影~食事>までの間にあった興奮や緊張をこの静かな場所で沈静させ、本当の意味で『お疲れ様・・・・』となりたかっただけで、私も含めて4人とも全く別の種類の各々が一番好きなお酒を頼み、それを口に運んでは静かに目を閉じる者もいれば、深く長い深呼吸をする者もいた。


一度化粧室へ行くのに席を立つ。立った拍子に少しばかり身体がフラついたので「少し(酔いが)回ってるな」と心の中で呟き、そのフラつき加減を真似てワザとらしい千鳥足で化粧室へと向かった。
化粧室に入って鏡に映った自分の顔を見ると<酔い>とは正反対の<素面>の青ざめたような白い顔の自分が映っていた。驚きとか戸惑いといった動揺はなかったが、何だか「以前にも同じような事があったなぁ」と、奥底の記憶から過去の自分が顔を覗かせ始めていた。
目を閉じるとお酒の力で意識が遠くに持っていかれるような感覚に襲われてくるが、その感覚の中で自分の確かな記憶が昔の時間を呼び覚ましていく。
<あの時、私はひどく酔っ払っていた>
キーワードが頭の中で自然と浮かび上がると同時に意識も戻ってきたようで、ゆっくりと閉じていた目を開けるとやはり・・・・鏡には<素面>の青ざめたような白い自分の顔が映っていた。


<続く>


明日を見つめて~野上 薫の告白①

それほど昔でもないけど、あの頃住んでいた部屋から見えた新宿の夜景が、私の脳裏からいまだに離れない。別に深い思い入れがある訳でもなんでもないんだけど、あの頃の自分に今の姿を重ね合わせるとどうにも不思議な感じがする。昔も今も私はワタシだけど、でも確かに運命の分かれ道が目の前に立ち塞がり、そして私は自分の意思でその一方を選んだ。
・・・・・そして、今の私がいる。


色彩豊かな七色のバックシートを背にポーズを取った私に向けて幾度もカメラのフラッシュが焚かれる。まだ4月だというのに<季節の先取りを>と目論むファッション雑誌の撮影で、早くもカットソーよろしく。シースルーのような網目の羽織りもヨイショ。・・・・とばかりに夏ファッションのオンパレード。
私の肌が鳥肌でとんでもない事になっているなどお構いなしに強弱バラエティに風が吹きつけるわ、はたまた高い位置から太陽光を模したスポットライトが照りつけるわで、頭も身体もビックリしている。
でも条件反射とでもいうのだろうか?
いざ「スタート」と声が掛かって撮影始まってしまうと、そういった考えが混在している中でも思わずポーズを決め、ニコッと魅せる為の笑顔を作っている自分がいる。


次々と今年の夏の新作として発表されるアレコレを着ては撮影し、撮り終わったらすぐに着替えて次の服の撮影と目紛るしく振り回されている。着替えは本当に短い時間で、裏に捌けたらすぐ着ていた服を剥ぎ取られ、次の服に着せ替えられ、表に急ぎ足で出る途中に服の乱れを直しては再度カメラを向けられ、ポーズを求められる。駆け足のような現場ではあるが、仕事として考えてみると嫌な気はこれっぽちもない。それはきっと私だけじゃなく、他のモデルの子もスタッフの人たちも一様に同じだと思う。
撮りは一人だったり、はたまた2、3人で仲良く並んだり、はしゃぎ合ったりとバリエーションも豊富で明るい雰囲気の中で行程が進んでいる。


私の名は野上 薫・・・・・・23歳。
ひょんな事から芸能界に入ってしまい、最初は何となく歌手としてデビューはしたものの飛ばず鳴かずであっという間に歌から足を洗ったが、幸か不幸か?デビューの時から<スタイルの良さ>だけは定評があって、歌は駄目だったけどこうしてモデルに転身(?)して今も見られる側の人間で居られている。
そのひょんな出来事や頭(最初)に書いた<新宿の夜景>も含めてちょっぴり思い出話でも・・・・・・・・・って私一人で何勝手に語ってるんだろう????
ま、とりあえず適当に寝転がりながらとか好きな様に見ててください・・・・きっと思い出話(物語)も適当に進んでいくはずだから。


・・・・・・・・あっという間に今日一日分の撮影行程がすべて終了し、後片付けも含めた残りの作業も完全に終わってスタジオから出た頃にはもう夜の8時を回っていた。
スタジオ入りがたしか朝の8時半から9時の間くらいだったから、ほぼ12時間近く缶詰状態で撮影を続けていた事になる。まぁこの位なら普通の感じだし、私たちみたいな<素材>であったり<補助>の部分であったりする人間はこれで解放されるからまだマシだと思う。カメラマンや雑誌編者といったコアの部分の人は今日の撮影分をチェックし、更に雑誌に使える絵を選出しなければならない為、また別のスタジオかもしくは誰も居なくなったオフィスでの作業が待っている。
私たち<素材&補助>組は一足先に今日一日の終わりと明日の為に、食事も兼ねた「お疲れさん会」と称して軽く一杯させて頂きますね。


≪続く≫