かわかみりゅうのブログ -275ページ目

PSA検査 前立腺癌疑惑 その3

(前々回、前回からの続きです)

生体検査の結果が出るまでの1週間は生きた心地がしなかった。

空や鳥、雲の流れや夕日を見ては、ため息をつき、涙を流した。
神や仏、先祖や守護霊に常にお祈りした。
思いつくたびに、手の平を合わせて拝んだ。

一日、一日と過ぎていくうちに
どちらの結果が出ても良いように覚悟を決めようと思った。

「もし癌細胞が見つかったら覚悟して徹底的に戦おう!
早く治して、残された人生を活き活きと生きよう」

「もし幸いに癌でなかったら!
こんなにうれしいことはない!!!
仕事もボランティアも思いっきりやろう!
これまで仕事や交友で不義理をしてしまった人たちに
あらためて謝罪と感謝をしながら、有意義な人生を送ろう!
そして何より、妻を大事にしよう。
何処かにおいしいものを食べに行ったり
旅行に行って、二人の時間を大切にしよう!
妻に尽くして、もっともっと笑ってもらえる日を増やそう」
と心に誓った。

一人で部屋にいると、妻への詫び事ばかり考えた。
本当に妻には悪いことをした。
こんな俺と結婚したばかりに不幸になったのではないか。
俺と出会わない方が彼女は幸せだったのではないか・・・。

妻へ申し訳なくて、声を上げて泣いた。
数ヶ月の間に突然に訪れたストレスの連続で
心が壊れかけていたのだと思う・・・

「大丈夫よ。大丈夫!」
何の根拠もないのに、妻がかけてくれる言葉には
ずいぶん慰められた。
本当に大丈夫のような気がしてきた。
この人がそばにいて、無事を願っていてくれる。
何よりその妻の心が私の支えになった。

長い長い一週間だった。
大学病院の待合室に、今度は妻と二人でいた。
私は万一のことを考え、ショックが大きいから
来ない方が良いと言ったのだが、どうしても結果を一緒に聞くのだとついてきた。

再び、予約していた時間から2時間が過ぎた。
待合いの椅子に座っているとき
一瞬だが急に身体が温かくなった。
天井よりもっと高いところから温かいベールが降りてきて
身体中を包んでくれたような気がした。
「先祖が守ってくれている・・・
大丈夫だよと守っていてくれているんだ」
なぜかそう感じられたふしぎな体験だった。

「川上さん」
診察室から名前を呼ぶ声がした。
いよいよ結果発表だ。

椅子から立ち上がったとき、なぜか急にカラ元気が出た。

大好きだったアントニオ猪木や
長州力が気合いを入れて試合に臨むように
胸を叩きながら妻に向かって
「よし!行くぞっ!」っとタンカを切った。

病室に入ると、医者はカルテを見ていた。
暗い声で「川上さん、あ~癌の検査をうけたんですよね」
医者はさらに暗い声で検査結果に目を落としながら
「それで~、8カ所から細胞を取って検査した結果・・・
癌細胞は・・・

見つかりませんでした」

全身の力がへなへなと抜けた・・・

てっきり声のトーンからして癌細胞があったと言うに違いないと感じ
知らず知らす身体中に力が入っていたのだ。

考えてみれば医師も、初めて検査結果を見ているわけで
癌だった場合の事を考えて声のトーンを
落としていたのだと思う。

「ありがとうございましたっっ!!!」

別にこの医師に治療をしてもらって
癌が無くなったというわけではないのに
うれしくてうれしくて大声でお礼を言った。
医師は、私が想像したとおりたぶん前立腺炎を起こして
PSA値が高かったのだろうと言った。
今後は炎症の治療をするようにとつけ加えた。

こうして今年の私の恐ろしい体験は終わった。


〈あとがき〉
今まさに、私と同じようにPSA値が高いと言われ
日々不安でインターネットで情報を検索されている方も
たくさんいらっしゃることでしょう。
心中お察しします。
でも、どうか落ち着いてください。
特にPSA値が4から10の間のグレーゾーンと
呼ばれる数値の場合は、前立腺に何らかの異常があるという
全体を示すもので、決して前立腺癌特有のものではありません。
前立腺炎か、前立腺肥大か、椅子に座りっぱなしだったとか
射精後など色んな原因で値は高くなります。
あなたが前立腺癌である確率は低いのです。


またこれはお医者さんから直接聞きましたが
PSA値が体質的に高めの人がいるそうです。
癌とは関係無しに高い人は高いんだそうです。
またあるお医者さんは、年をとれば男性のほぼ全員の前立腺に
顕微鏡レベルで癌細胞が発見されると言っていました。
長生きする男なら誰でも持つことになる前立腺の癌細胞と
言っても過言ではないようです。
仮に前立腺癌になったとしても、他の癌に比べ
進行が非常に遅いので、前立腺癌で死ぬ前に
寿命で死ぬ人が多いんだそうです。

もちろん年令や身内に前立腺癌の方がいらっしゃる場合など
様々なので一概には言えませんが
どうかPSA値が高いというだけで失望したり
不安になって、心を壊さないでください。

後日談ですが、私は生体検査から3ヶ月後に
再度PSA検査を行った結果、7.86と
依然として高いのに加え、新たに測ったF/T比
(値が低いと癌の疑いが濃い)の結果を合わせると
データ上では、私が前立腺癌である可能性は50%を超えています。
正直、未だとても不安です。
しかし、すでに生体検査を終え、今のところ癌細胞は
発見されなかったという一応の安心も得ています。
私のような場合は、絶対に生体検査が必要だと思いますし
PSA検査や生体検査を積極的に受けた方が
安心を得たり、病気の治療対策が出来る事は確かです。

ただ(医師の判断によってもずいぶん違うそうですが)
PSA値が高いから何でもすぐに生体検査を実施するというやり方は
健康な大半以上の人に肉体的に、そして精神的に
多大な苦痛を負わせるということは大きな問題です。

私はいつか必ず医療番組を制作し、前立腺癌も含め
こうした様々な病理や医療の問題点に
取り組みたいと思っています。
医師の方々と力を合わせて、より良い医療と
人々の健康を探求する番組を作りたいという思いを秘めながら
新年を迎えることにします。

新年がみなさまにとって、健康で本当に佳き年となりますように!

PSA検査 前立腺癌疑惑 その2

(昨日からの続きです)

今回のPSA値は7.36だった。
前回の9.8から減っているものの、依然として
25~30%の確率で癌の可能性がある数値だ。
だが、PSA値は数ヶ月ごとの一定の期間、検査を続けて
数値が上昇するようであれば次に生体検査を行うと
医学書にはあるのだが、いきなり生体検査を勧められるとは・・・。

「先生、絶対癌じゃありません。
生体検査は痛いと聞いていますし、ちょっとまってください」

生体検査は、何日か入院して行うもので
肛門から前立腺に向けて長い針を8本ほど刺し
細胞を取って癌の有無を調べるものだ。

「う~ん、若いと癌の進行が早い場合もあるし
生体検査した方がはっきりするんだけど・・・」

「でも先生、前回より値は下がっていますし
しばらく様子を見てもいいんじゃないでしょうか?」
私は食い下がった。

「癌が進行すると怖いので、定期的にPSA検査と
直腸診をやって様子を見ましょう。
それからインターネットを見て、あれこれ悩むようだったら
生体検査をやった方が早いですからね」
「はい」
診察室を出ようとしたとき
「炎症を起こしていたのかな~」
医者は独り言のようにつぶやいた。

家に帰ると、再びインターネットで色々調べてみた。
PSA値は癌以外にも、前立腺炎でも上昇するとあった。
医者の「炎症を起こしていたのかな~」という言葉が思い出された。
そういえば、前回、別の病院に行った後
トイレに行っても行っても、すぐまた行きたくなる時期があった。
あれが炎症を起こしていた時期ではないだろうか?

前立腺炎について調べた。

「前立腺炎は、排尿時に痛みを感じたり
頻尿や血尿の症状を伴う場合もある。
慢性前立腺炎の場合、会陰部(股)に
何とも言えない不快感があったり
腰や太ももが痛む場合もある」

これだと思った。
まさに頻尿だったし、何とも言えない不快感や
太ももや肛門近くに痛みを感じていた。
椅子に座りっぱなしで作業することが多いので
きっと前立腺が炎症を起こし、PSA値が上がったんだ・・・

だがその反面、こうした症状のいくつかは
前立腺癌の症状とも重複していることが分かると
とたんに絶望感におそわれた。

やっぱり癌かもしれない。
もし癌だったら前立腺を摘出することになる。
男としてダメになるかもしれない。
そんな金銭的余裕もないし
癌が進行したら死ぬかもしれない。

医者が言っていた、インターネットを見て
あれこれ悩む状態におちいり、一人悶々と悩んでいた。
妻には言えなかった。
まだどうなるか分からない恐ろしい病気の
途中経過など口に出せなかった。
子どももまだ学生だし不安な要素はいくつもあった。

自分勝手に、ともかく前立腺炎と決めつけようとした。
医者からもらった薬を全部飲んだので前立腺炎は治ったんだ。
でも数値はゆっくり下がるから未だ高いに違いない。
不安は一刻も早く取り除きたかった。
これまでのことを細かく医者に言って
前立腺線の診断を下してもらおう。
一分一秒でも早く!

金曜日に病院に行ったばかりなのに
土日に悩んだあげく、月曜日には再び病院を訪れていた。

医者に思うことをたて続けにしゃべった。
最初は耳を傾けていた医者も
途中から少しうんざりしたような聞き方に変わっていた。

私がひとしきりしゃべり終わると医者が言った。

「それで?・・・」
「・・・・・
だから、前立腺炎を起こしていたんだと思うんです」
医者は少し怒ったような声で、頭から否定した。
「それは違う。だって尿がキレイなんだから」

この瞬間、もうあきらめた・・・。
もうどうしようもないんだと思った。

医者は冷たく続けた。
「どうします?生体検査受けますか?」

「はい」
私は絶望感に襲われながら、力無く答えた。

前立腺癌の生体検査を受けることを決心してから2日後
私は混雑する大学病院の待合室に一人で座っていた。
生体検査はすぐに実施するというわけではないらしい。
専門医の診察を受け、生体検査の有無を決めるという。

予約した時間が過ぎても名前が呼ばれない。
不安な時が流れる・・・
2時間後、ようやく呼ばれて診察室に入った。
紹介状に目を通した専門医は、前立腺マッサージをして
炎症を起こしているかどうか調べるという。
医者が直腸から指を入れて前立腺を強く押した。
炎症が起きている場合の症状の一つ、激しい痛みを伴った。
が、その後の尿検査の結果、菌は出なかった。
万事休す・・・
前立腺肥大でも前立腺炎でもないので
医者は生体検査を勧めた。

私はついに観念した・・・

ところがいざ検査日を決めようとすると
病院のスケジュールが一杯という。
全部では無いにしろPSA値が高くて生体検査を受ける人が
こんなに順番待ちをしているのか?
この病院だけでこうだから全国では一体どのくらい多くの人たちが
こんなに辛い経験をしているのだろうか?

何とか10日後に検査の予定が組めた。
それ以外の日だと1ヶ月半ほど待つという。
通常は1泊2日で済む検査らしいが、日曜から入院する場合
病院の都合で1泊余分に2泊3日の入院で行うそうだ。
私は、人気のない日曜入院のスケジュールだから
すぐに予約できたのだ。

入院検査までの間、インターネットで前立腺癌患者のブログや
体験記を見ては不安になっていた。
PSA値が高くて生体検査を受け
癌が発見された方のブログは多いのだが
PSA値は高くても、癌ではなかったという方の
ブログは極端に少ない。

癌でなかったことはわざわざブログに書かないのか
それとも癌が確定する人が多いのか・・・。

検査を予約した日の夜、ついに妻に告白した。
「俺、ガンかもしれない・・・」
不安と、すまないという気持ちで話ながら
涙がボロボロこぼれ落ちた。

「ようやく生活も落ち着いてきたのに・・・ひどい!」
妻も、突然のショックに私を責めるほか仕方なかった・・・。

入院予定日まではあっという間に過ぎた。
入院当日は、特にやることもなかった。
オリジナル紙芝居のストーリーや絵を
小型のスケッチブックに書いたりして時間をつぶした。

翌日の午後、いよいよ生体検査が始まった。
検査といえども手術の範ちゅうに入るらしい。
青い手術着に着替え、車いすに乗って
看護師に押されながら手術室へと向かった。
病室で待つ妻に「重病人だよ~。行ってくるね~」と
力無く笑いながら手を振った。
手術室ではベッドに横向きに寝かされた。
手足を前に伸ばし、医師や看護師に
むき出しのおしりを突き出している様は
まるで瀕死の馬が横たえているようだと苦笑した。

若い医師が肛門に太い棒状のものを差し込んだ。
例えるならばボーリングのピンの丸い頭を
差し込まれた様な感触か。
実際にはそんな大きな棒ではなかったらしい。
ゼリー状の麻酔が塗ってあるという。

その後、特大のホッチキスがあればこんな音がするだろうというような
バシャッ、バシャッという大きな音と共に
前立腺に向けて長い針が打ち込まれた。

バシャッ!という音の後、ボーリングのピンの頭を
肛門の中でグリグリ動かし
(クルミ大の前立腺の中で
癌が潜んでいると思われる場所を探っているのだ)
しばらくして、またバシャッと針を打ち込む。
このバシャッ!・・・・・グリグリ・・・・バシャッ!の
間隔が長く恐怖を感じた。

検査は30分ほどかかったであったろうか。
また車いすに乗せられ病室へと戻った。

検査後の尿や便に血が混じるというので
看護師に見せなければいけないという。
慣れない入院生活で便秘気味だったが
夜、ほんの少しだけ出た便を流さずに取っておいて
若い女性の看護師を呼んで来て見せる行為は恥ずかしかった。

2泊3日の入院で行う生体検査費用は
6人部屋使用で国保を使って3万3千円程度だった。

検査結果は一週間後に出るという。

黒か白か、○か×か、その結果はあまりにも違いすぎる。
答えは前立腺癌か、癌でないかの2つに1つだけである。

まるで死刑判決を受けるかのごとく
一週間後の検査発表を待った。

(以下、明日に続きます)

PSA検査 前立腺癌疑惑 その1

今年、私をおそった恐ろしい出来事。
特に自覚症状はないのに、PSA値が高いということで
医者から前立腺癌の疑いを指摘されました。
これまで縁遠いと思っていた「死」を
身近な現実のものとして感じた恐怖・・・。

私が体験した同じ様な状況でお悩みの方に
少しでも役に立てばとブログに書く決心をしました。
一度にはとうてい書ききれないので3回に分けることにします。

〈プロローグ〉
それは今年の4月・・・
突然、これまでにない濃い血尿が出た。

実は、血尿が出たのは初めてではない。
30歳を過ぎた頃、最初の血尿が出た。
とてもビックリしたが、その後は特に何ともなく、数ヶ月が過ぎた。
ある日、尿にまじって小さな石が出た。
血尿は腎臓で出来た結石が尿管を通る際
まわりを傷つけた時の出血が原因だと分かった。

私は腎臓結石が出来やすい体質らしく
その後も数年のサイクルで何度か石が出た。
しかし血尿が出ることはまれだった。
そのほとんどは小さな結石だったからだと思う。

それが4月の血尿はこれまでにない色の濃さと
途切れ途切れながらも数日間の長期に及んだ。
尿の中に赤い糸くずのようなものがまじっていたこともある。
医学書に、大量の出血の場合にそのようなことが起きるとある。

近所の泌尿器科を訪ねた。
症状と結石が出来やすい体質を説明すると
かなり年配の医者はまず腹部のレントゲンを撮った。
その後、ズボンを下げてベッドに仰向けに寝たあと
足を両手で抱えろと言う。
言うとおりにすると何の説明も無しに
いきなり肛門から指を入れてきた。
しばらく中をグリグリと指でいじっていたが
診療が終わっても何も言わない。
今のは何の検査だったのか?
インフォームド・コンセントも何もあったもんじゃない。
(後で分かったのだが、前立腺をさわって
肥大の様子や癌の有無を調べていたのだ)

起きあがると、すぐに血圧を測るという。
何が何だか分からなくて動悸が激しくなっている私の腕に
オバちゃん看護師は血圧計を巻いて空気を入れ始めた。
ところがこの看護師が
「いやー!この人、血圧高い!
空気をたくさん入れても測れない」と大声で騒いだ。
普段から血圧は高めだが、いきなり血の穴に
指を入れられて動揺しないヤツはいないはずだ。
ひどい病院だと思った
その後、検査のために血液を抜いた。

しばらくして現像が上がってきたレントゲンを
見つめながら、医者はパソコンを使ってゆっくりカルテを打ち始めた。
医者は無言でレントゲンの結果を何も教えてくれない。

たまりかねて私は聞いた。
「結石はありましたか?」
医者はレントゲンの真ん中あたりを指し
「右側の腎臓の中にひとつと
右の尿管の中にも大きいのがひとつある」
「自然に出てきますかね?」
「出るでしょう」

腎臓結石や尿管結石は大きいものになると
ひっかかって自然には出てこない。
昔は腹部を切って出していたという。
現在、大きな石は外から衝撃波を当てて
小さく砕いて自然に排泄させるらしい。

私の腎臓に出来た石は自然に出てくるサイズの
ギリギリの大きさにまでになっていた。

この日は尿に血液と蛋白、白血球が認められるということで
化膿止めや石が出やすくなる薬やその他
山ほどの薬をもらって帰宅した。

その直後、小便が急に近くなった。
切迫頻尿というヤツである。
今、トイレに行ったのに、ほんの10分もしないで
またトイレに行きたくなるのだ。
夜はほぼ1時間おきにトイレに起きる。

何かおかしいと思った。
これまでも石が出る寸前には
何とも言えないみょうな感じ(尿道に何かが
詰まっているような感じや睾丸や太ももの痛み
尿が漏れそうな感じなど)がして
トイレに行きたくなることは度々あった。
だが、こんなに切迫した尿意は初めてだった。

一週間後、血液検査の結果を聞きに再び病院を訪ねた。

「石以外は異常なし」という答えを予測していた私に
医者は血液検査報告書を見ながら
「PSAの数値が高い。
普通は4以下なのだが、あなたのは9.8もある」といった。

PSA?
初めて聞く用語は何のことだかさっぱり分からない。
「その数値が高いと、どうなんですか?」
「前立腺癌の疑いがある」

頭を殴られたような衝撃が走った!
目の前が真っ白になり、指先からサーッと音を立てて血がひいた。

「先生・・・、私は癌なんですか?」
「ん~、何とも言えない・・・」

悪夢の始まりだった。

医者は指を折って数えている。
「4,5,6・・・7月にもう一回
PSAを測ってみましょう」

そんな先に?
もし癌だったら手遅れになりやしないか?
そんな先まで不安な気持ちのままでとても過ごせない・・・。

家に帰ると、すぐにインターネットで調べた。
PSAとは何か?

「PSAは前立腺特異抗原のことで別名、前立腺癌の腫瘍マーカー。
前立腺で作られる酵素が血液中に漏れだした量をはかり
前立腺癌の可能性を測定するもの。

PSAの数値は健常者で4.0以下(比較的若い場合は3.0以下が基準)
4.0~10で25~30%に癌が発見される。
10以上で50~80%に癌が発見される」

私のPSA値は9.8でほぼ10だ。
ということは50%の確立で前立腺癌なのか?

不安な気持ちを抑えながら他のデータも急いで調べた。

「PSAは前立腺癌の他、前立腺肥大や前立腺炎
また長時間座りっぱなしの姿勢、長時間自転車に乗ったり
射精の後や直腸診でも高い値になる」

そうか!あの医者がPSAの血液検査の前に
直腸診をしたから値が上がったんだ。
さらにパソコンでビデオ編集する時は長時間座りっぱなしだしな。
癌じゃないよ。絶対癌じゃない!
ひどい病院だった。
一応もらった薬は全部んだ後で
別のもっと若い医者のいるところへ行こうと思った。
万が一に癌だとしても
無口で何も教えてくれない古いタイプの医者には
命を預けられないと思った。

一ヶ月ほど後、電車の駅を2つ離れた病院を訪ねた。
そこの医者は米国留学や医療センターの泌尿器科の講師や
大病院の泌尿器科の部長まで経験している人だった。

これまでのいきさつを話した後、腹部レントゲンに加え
超音波で結石の位置を確認した。
その結果、左右の腎臓に大きめの石がひとつずつあるという。
前の病院と違う結果だ。
一体どうなっているんだ?

ここで、再度PSAの検査をしてもらった。
尿検査では目に見えないほどの出血はあるものの
蛋白などは出ていないので特に薬は出さないという。

一週間後、PSAの検査結果を聞きに病院に行った。
何も問題はないはずだった。

ところが「やっぱり高いですね」と医者は言った。
「川上さんは若いから、念のため
生体検査をしたほうがいいですよ」と付け加えた。

再び体中から血の気がひいた。

悪夢は続いていた・・・
(以下、明日に続きます)