PSA検査 前立腺癌疑惑 その2
(昨日からの続きです)
今回のPSA値は7.36だった。
前回の9.8から減っているものの、依然として
25~30%の確率で癌の可能性がある数値だ。
だが、PSA値は数ヶ月ごとの一定の期間、検査を続けて
数値が上昇するようであれば次に生体検査を行うと
医学書にはあるのだが、いきなり生体検査を勧められるとは・・・。
「先生、絶対癌じゃありません。
生体検査は痛いと聞いていますし、ちょっとまってください」
生体検査は、何日か入院して行うもので
肛門から前立腺に向けて長い針を8本ほど刺し
細胞を取って癌の有無を調べるものだ。
「う~ん、若いと癌の進行が早い場合もあるし
生体検査した方がはっきりするんだけど・・・」
「でも先生、前回より値は下がっていますし
しばらく様子を見てもいいんじゃないでしょうか?」
私は食い下がった。
「癌が進行すると怖いので、定期的にPSA検査と
直腸診をやって様子を見ましょう。
それからインターネットを見て、あれこれ悩むようだったら
生体検査をやった方が早いですからね」
「はい」
診察室を出ようとしたとき
「炎症を起こしていたのかな~」
医者は独り言のようにつぶやいた。
家に帰ると、再びインターネットで色々調べてみた。
PSA値は癌以外にも、前立腺炎でも上昇するとあった。
医者の「炎症を起こしていたのかな~」という言葉が思い出された。
そういえば、前回、別の病院に行った後
トイレに行っても行っても、すぐまた行きたくなる時期があった。
あれが炎症を起こしていた時期ではないだろうか?
前立腺炎について調べた。
「前立腺炎は、排尿時に痛みを感じたり
頻尿や血尿の症状を伴う場合もある。
慢性前立腺炎の場合、会陰部(股)に
何とも言えない不快感があったり
腰や太ももが痛む場合もある」
これだと思った。
まさに頻尿だったし、何とも言えない不快感や
太ももや肛門近くに痛みを感じていた。
椅子に座りっぱなしで作業することが多いので
きっと前立腺が炎症を起こし、PSA値が上がったんだ・・・
だがその反面、こうした症状のいくつかは
前立腺癌の症状とも重複していることが分かると
とたんに絶望感におそわれた。
やっぱり癌かもしれない。
もし癌だったら前立腺を摘出することになる。
男としてダメになるかもしれない。
そんな金銭的余裕もないし
癌が進行したら死ぬかもしれない。
医者が言っていた、インターネットを見て
あれこれ悩む状態におちいり、一人悶々と悩んでいた。
妻には言えなかった。
まだどうなるか分からない恐ろしい病気の
途中経過など口に出せなかった。
子どももまだ学生だし不安な要素はいくつもあった。
自分勝手に、ともかく前立腺炎と決めつけようとした。
医者からもらった薬を全部飲んだので前立腺炎は治ったんだ。
でも数値はゆっくり下がるから未だ高いに違いない。
不安は一刻も早く取り除きたかった。
これまでのことを細かく医者に言って
前立腺線の診断を下してもらおう。
一分一秒でも早く!
金曜日に病院に行ったばかりなのに
土日に悩んだあげく、月曜日には再び病院を訪れていた。
医者に思うことをたて続けにしゃべった。
最初は耳を傾けていた医者も
途中から少しうんざりしたような聞き方に変わっていた。
私がひとしきりしゃべり終わると医者が言った。
「それで?・・・」
「・・・・・
だから、前立腺炎を起こしていたんだと思うんです」
医者は少し怒ったような声で、頭から否定した。
「それは違う。だって尿がキレイなんだから」
この瞬間、もうあきらめた・・・。
もうどうしようもないんだと思った。
医者は冷たく続けた。
「どうします?生体検査受けますか?」
「はい」
私は絶望感に襲われながら、力無く答えた。
前立腺癌の生体検査を受けることを決心してから2日後
私は混雑する大学病院の待合室に一人で座っていた。
生体検査はすぐに実施するというわけではないらしい。
専門医の診察を受け、生体検査の有無を決めるという。
予約した時間が過ぎても名前が呼ばれない。
不安な時が流れる・・・
2時間後、ようやく呼ばれて診察室に入った。
紹介状に目を通した専門医は、前立腺マッサージをして
炎症を起こしているかどうか調べるという。
医者が直腸から指を入れて前立腺を強く押した。
炎症が起きている場合の症状の一つ、激しい痛みを伴った。
が、その後の尿検査の結果、菌は出なかった。
万事休す・・・
前立腺肥大でも前立腺炎でもないので
医者は生体検査を勧めた。
私はついに観念した・・・
ところがいざ検査日を決めようとすると
病院のスケジュールが一杯という。
全部では無いにしろPSA値が高くて生体検査を受ける人が
こんなに順番待ちをしているのか?
この病院だけでこうだから全国では一体どのくらい多くの人たちが
こんなに辛い経験をしているのだろうか?
何とか10日後に検査の予定が組めた。
それ以外の日だと1ヶ月半ほど待つという。
通常は1泊2日で済む検査らしいが、日曜から入院する場合
病院の都合で1泊余分に2泊3日の入院で行うそうだ。
私は、人気のない日曜入院のスケジュールだから
すぐに予約できたのだ。
入院検査までの間、インターネットで前立腺癌患者のブログや
体験記を見ては不安になっていた。
PSA値が高くて生体検査を受け
癌が発見された方のブログは多いのだが
PSA値は高くても、癌ではなかったという方の
ブログは極端に少ない。
癌でなかったことはわざわざブログに書かないのか
それとも癌が確定する人が多いのか・・・。
検査を予約した日の夜、ついに妻に告白した。
「俺、ガンかもしれない・・・」
不安と、すまないという気持ちで話ながら
涙がボロボロこぼれ落ちた。
「ようやく生活も落ち着いてきたのに・・・ひどい!」
妻も、突然のショックに私を責めるほか仕方なかった・・・。
入院予定日まではあっという間に過ぎた。
入院当日は、特にやることもなかった。
オリジナル紙芝居のストーリーや絵を
小型のスケッチブックに書いたりして時間をつぶした。
翌日の午後、いよいよ生体検査が始まった。
検査といえども手術の範ちゅうに入るらしい。
青い手術着に着替え、車いすに乗って
看護師に押されながら手術室へと向かった。
病室で待つ妻に「重病人だよ~。行ってくるね~」と
力無く笑いながら手を振った。
手術室ではベッドに横向きに寝かされた。
手足を前に伸ばし、医師や看護師に
むき出しのおしりを突き出している様は
まるで瀕死の馬が横たえているようだと苦笑した。
若い医師が肛門に太い棒状のものを差し込んだ。
例えるならばボーリングのピンの丸い頭を
差し込まれた様な感触か。
実際にはそんな大きな棒ではなかったらしい。
ゼリー状の麻酔が塗ってあるという。
その後、特大のホッチキスがあればこんな音がするだろうというような
バシャッ、バシャッという大きな音と共に
前立腺に向けて長い針が打ち込まれた。
バシャッ!という音の後、ボーリングのピンの頭を
肛門の中でグリグリ動かし
(クルミ大の前立腺の中で
癌が潜んでいると思われる場所を探っているのだ)
しばらくして、またバシャッと針を打ち込む。
このバシャッ!・・・・・グリグリ・・・・バシャッ!の
間隔が長く恐怖を感じた。
検査は30分ほどかかったであったろうか。
また車いすに乗せられ病室へと戻った。
検査後の尿や便に血が混じるというので
看護師に見せなければいけないという。
慣れない入院生活で便秘気味だったが
夜、ほんの少しだけ出た便を流さずに取っておいて
若い女性の看護師を呼んで来て見せる行為は恥ずかしかった。
2泊3日の入院で行う生体検査費用は
6人部屋使用で国保を使って3万3千円程度だった。
検査結果は一週間後に出るという。
黒か白か、○か×か、その結果はあまりにも違いすぎる。
答えは前立腺癌か、癌でないかの2つに1つだけである。
まるで死刑判決を受けるかのごとく
一週間後の検査発表を待った。
(以下、明日に続きます)
今回のPSA値は7.36だった。
前回の9.8から減っているものの、依然として
25~30%の確率で癌の可能性がある数値だ。
だが、PSA値は数ヶ月ごとの一定の期間、検査を続けて
数値が上昇するようであれば次に生体検査を行うと
医学書にはあるのだが、いきなり生体検査を勧められるとは・・・。
「先生、絶対癌じゃありません。
生体検査は痛いと聞いていますし、ちょっとまってください」
生体検査は、何日か入院して行うもので
肛門から前立腺に向けて長い針を8本ほど刺し
細胞を取って癌の有無を調べるものだ。
「う~ん、若いと癌の進行が早い場合もあるし
生体検査した方がはっきりするんだけど・・・」
「でも先生、前回より値は下がっていますし
しばらく様子を見てもいいんじゃないでしょうか?」
私は食い下がった。
「癌が進行すると怖いので、定期的にPSA検査と
直腸診をやって様子を見ましょう。
それからインターネットを見て、あれこれ悩むようだったら
生体検査をやった方が早いですからね」
「はい」
診察室を出ようとしたとき
「炎症を起こしていたのかな~」
医者は独り言のようにつぶやいた。
家に帰ると、再びインターネットで色々調べてみた。
PSA値は癌以外にも、前立腺炎でも上昇するとあった。
医者の「炎症を起こしていたのかな~」という言葉が思い出された。
そういえば、前回、別の病院に行った後
トイレに行っても行っても、すぐまた行きたくなる時期があった。
あれが炎症を起こしていた時期ではないだろうか?
前立腺炎について調べた。
「前立腺炎は、排尿時に痛みを感じたり
頻尿や血尿の症状を伴う場合もある。
慢性前立腺炎の場合、会陰部(股)に
何とも言えない不快感があったり
腰や太ももが痛む場合もある」
これだと思った。
まさに頻尿だったし、何とも言えない不快感や
太ももや肛門近くに痛みを感じていた。
椅子に座りっぱなしで作業することが多いので
きっと前立腺が炎症を起こし、PSA値が上がったんだ・・・
だがその反面、こうした症状のいくつかは
前立腺癌の症状とも重複していることが分かると
とたんに絶望感におそわれた。
やっぱり癌かもしれない。
もし癌だったら前立腺を摘出することになる。
男としてダメになるかもしれない。
そんな金銭的余裕もないし
癌が進行したら死ぬかもしれない。
医者が言っていた、インターネットを見て
あれこれ悩む状態におちいり、一人悶々と悩んでいた。
妻には言えなかった。
まだどうなるか分からない恐ろしい病気の
途中経過など口に出せなかった。
子どももまだ学生だし不安な要素はいくつもあった。
自分勝手に、ともかく前立腺炎と決めつけようとした。
医者からもらった薬を全部飲んだので前立腺炎は治ったんだ。
でも数値はゆっくり下がるから未だ高いに違いない。
不安は一刻も早く取り除きたかった。
これまでのことを細かく医者に言って
前立腺線の診断を下してもらおう。
一分一秒でも早く!
金曜日に病院に行ったばかりなのに
土日に悩んだあげく、月曜日には再び病院を訪れていた。
医者に思うことをたて続けにしゃべった。
最初は耳を傾けていた医者も
途中から少しうんざりしたような聞き方に変わっていた。
私がひとしきりしゃべり終わると医者が言った。
「それで?・・・」
「・・・・・
だから、前立腺炎を起こしていたんだと思うんです」
医者は少し怒ったような声で、頭から否定した。
「それは違う。だって尿がキレイなんだから」
この瞬間、もうあきらめた・・・。
もうどうしようもないんだと思った。
医者は冷たく続けた。
「どうします?生体検査受けますか?」
「はい」
私は絶望感に襲われながら、力無く答えた。
前立腺癌の生体検査を受けることを決心してから2日後
私は混雑する大学病院の待合室に一人で座っていた。
生体検査はすぐに実施するというわけではないらしい。
専門医の診察を受け、生体検査の有無を決めるという。
予約した時間が過ぎても名前が呼ばれない。
不安な時が流れる・・・
2時間後、ようやく呼ばれて診察室に入った。
紹介状に目を通した専門医は、前立腺マッサージをして
炎症を起こしているかどうか調べるという。
医者が直腸から指を入れて前立腺を強く押した。
炎症が起きている場合の症状の一つ、激しい痛みを伴った。
が、その後の尿検査の結果、菌は出なかった。
万事休す・・・
前立腺肥大でも前立腺炎でもないので
医者は生体検査を勧めた。
私はついに観念した・・・
ところがいざ検査日を決めようとすると
病院のスケジュールが一杯という。
全部では無いにしろPSA値が高くて生体検査を受ける人が
こんなに順番待ちをしているのか?
この病院だけでこうだから全国では一体どのくらい多くの人たちが
こんなに辛い経験をしているのだろうか?
何とか10日後に検査の予定が組めた。
それ以外の日だと1ヶ月半ほど待つという。
通常は1泊2日で済む検査らしいが、日曜から入院する場合
病院の都合で1泊余分に2泊3日の入院で行うそうだ。
私は、人気のない日曜入院のスケジュールだから
すぐに予約できたのだ。
入院検査までの間、インターネットで前立腺癌患者のブログや
体験記を見ては不安になっていた。
PSA値が高くて生体検査を受け
癌が発見された方のブログは多いのだが
PSA値は高くても、癌ではなかったという方の
ブログは極端に少ない。
癌でなかったことはわざわざブログに書かないのか
それとも癌が確定する人が多いのか・・・。
検査を予約した日の夜、ついに妻に告白した。
「俺、ガンかもしれない・・・」
不安と、すまないという気持ちで話ながら
涙がボロボロこぼれ落ちた。
「ようやく生活も落ち着いてきたのに・・・ひどい!」
妻も、突然のショックに私を責めるほか仕方なかった・・・。
入院予定日まではあっという間に過ぎた。
入院当日は、特にやることもなかった。
オリジナル紙芝居のストーリーや絵を
小型のスケッチブックに書いたりして時間をつぶした。
翌日の午後、いよいよ生体検査が始まった。
検査といえども手術の範ちゅうに入るらしい。
青い手術着に着替え、車いすに乗って
看護師に押されながら手術室へと向かった。
病室で待つ妻に「重病人だよ~。行ってくるね~」と
力無く笑いながら手を振った。
手術室ではベッドに横向きに寝かされた。
手足を前に伸ばし、医師や看護師に
むき出しのおしりを突き出している様は
まるで瀕死の馬が横たえているようだと苦笑した。
若い医師が肛門に太い棒状のものを差し込んだ。
例えるならばボーリングのピンの丸い頭を
差し込まれた様な感触か。
実際にはそんな大きな棒ではなかったらしい。
ゼリー状の麻酔が塗ってあるという。
その後、特大のホッチキスがあればこんな音がするだろうというような
バシャッ、バシャッという大きな音と共に
前立腺に向けて長い針が打ち込まれた。
バシャッ!という音の後、ボーリングのピンの頭を
肛門の中でグリグリ動かし
(クルミ大の前立腺の中で
癌が潜んでいると思われる場所を探っているのだ)
しばらくして、またバシャッと針を打ち込む。
このバシャッ!・・・・・グリグリ・・・・バシャッ!の
間隔が長く恐怖を感じた。
検査は30分ほどかかったであったろうか。
また車いすに乗せられ病室へと戻った。
検査後の尿や便に血が混じるというので
看護師に見せなければいけないという。
慣れない入院生活で便秘気味だったが
夜、ほんの少しだけ出た便を流さずに取っておいて
若い女性の看護師を呼んで来て見せる行為は恥ずかしかった。
2泊3日の入院で行う生体検査費用は
6人部屋使用で国保を使って3万3千円程度だった。
検査結果は一週間後に出るという。
黒か白か、○か×か、その結果はあまりにも違いすぎる。
答えは前立腺癌か、癌でないかの2つに1つだけである。
まるで死刑判決を受けるかのごとく
一週間後の検査発表を待った。
(以下、明日に続きます)