PSA検査 前立腺癌疑惑 その3 | かわかみりゅうのブログ

PSA検査 前立腺癌疑惑 その3

(前々回、前回からの続きです)

生体検査の結果が出るまでの1週間は生きた心地がしなかった。

空や鳥、雲の流れや夕日を見ては、ため息をつき、涙を流した。
神や仏、先祖や守護霊に常にお祈りした。
思いつくたびに、手の平を合わせて拝んだ。

一日、一日と過ぎていくうちに
どちらの結果が出ても良いように覚悟を決めようと思った。

「もし癌細胞が見つかったら覚悟して徹底的に戦おう!
早く治して、残された人生を活き活きと生きよう」

「もし幸いに癌でなかったら!
こんなにうれしいことはない!!!
仕事もボランティアも思いっきりやろう!
これまで仕事や交友で不義理をしてしまった人たちに
あらためて謝罪と感謝をしながら、有意義な人生を送ろう!
そして何より、妻を大事にしよう。
何処かにおいしいものを食べに行ったり
旅行に行って、二人の時間を大切にしよう!
妻に尽くして、もっともっと笑ってもらえる日を増やそう」
と心に誓った。

一人で部屋にいると、妻への詫び事ばかり考えた。
本当に妻には悪いことをした。
こんな俺と結婚したばかりに不幸になったのではないか。
俺と出会わない方が彼女は幸せだったのではないか・・・。

妻へ申し訳なくて、声を上げて泣いた。
数ヶ月の間に突然に訪れたストレスの連続で
心が壊れかけていたのだと思う・・・

「大丈夫よ。大丈夫!」
何の根拠もないのに、妻がかけてくれる言葉には
ずいぶん慰められた。
本当に大丈夫のような気がしてきた。
この人がそばにいて、無事を願っていてくれる。
何よりその妻の心が私の支えになった。

長い長い一週間だった。
大学病院の待合室に、今度は妻と二人でいた。
私は万一のことを考え、ショックが大きいから
来ない方が良いと言ったのだが、どうしても結果を一緒に聞くのだとついてきた。

再び、予約していた時間から2時間が過ぎた。
待合いの椅子に座っているとき
一瞬だが急に身体が温かくなった。
天井よりもっと高いところから温かいベールが降りてきて
身体中を包んでくれたような気がした。
「先祖が守ってくれている・・・
大丈夫だよと守っていてくれているんだ」
なぜかそう感じられたふしぎな体験だった。

「川上さん」
診察室から名前を呼ぶ声がした。
いよいよ結果発表だ。

椅子から立ち上がったとき、なぜか急にカラ元気が出た。

大好きだったアントニオ猪木や
長州力が気合いを入れて試合に臨むように
胸を叩きながら妻に向かって
「よし!行くぞっ!」っとタンカを切った。

病室に入ると、医者はカルテを見ていた。
暗い声で「川上さん、あ~癌の検査をうけたんですよね」
医者はさらに暗い声で検査結果に目を落としながら
「それで~、8カ所から細胞を取って検査した結果・・・
癌細胞は・・・

見つかりませんでした」

全身の力がへなへなと抜けた・・・

てっきり声のトーンからして癌細胞があったと言うに違いないと感じ
知らず知らす身体中に力が入っていたのだ。

考えてみれば医師も、初めて検査結果を見ているわけで
癌だった場合の事を考えて声のトーンを
落としていたのだと思う。

「ありがとうございましたっっ!!!」

別にこの医師に治療をしてもらって
癌が無くなったというわけではないのに
うれしくてうれしくて大声でお礼を言った。
医師は、私が想像したとおりたぶん前立腺炎を起こして
PSA値が高かったのだろうと言った。
今後は炎症の治療をするようにとつけ加えた。

こうして今年の私の恐ろしい体験は終わった。


〈あとがき〉
今まさに、私と同じようにPSA値が高いと言われ
日々不安でインターネットで情報を検索されている方も
たくさんいらっしゃることでしょう。
心中お察しします。
でも、どうか落ち着いてください。
特にPSA値が4から10の間のグレーゾーンと
呼ばれる数値の場合は、前立腺に何らかの異常があるという
全体を示すもので、決して前立腺癌特有のものではありません。
前立腺炎か、前立腺肥大か、椅子に座りっぱなしだったとか
射精後など色んな原因で値は高くなります。
あなたが前立腺癌である確率は低いのです。


またこれはお医者さんから直接聞きましたが
PSA値が体質的に高めの人がいるそうです。
癌とは関係無しに高い人は高いんだそうです。
またあるお医者さんは、年をとれば男性のほぼ全員の前立腺に
顕微鏡レベルで癌細胞が発見されると言っていました。
長生きする男なら誰でも持つことになる前立腺の癌細胞と
言っても過言ではないようです。
仮に前立腺癌になったとしても、他の癌に比べ
進行が非常に遅いので、前立腺癌で死ぬ前に
寿命で死ぬ人が多いんだそうです。

もちろん年令や身内に前立腺癌の方がいらっしゃる場合など
様々なので一概には言えませんが
どうかPSA値が高いというだけで失望したり
不安になって、心を壊さないでください。

後日談ですが、私は生体検査から3ヶ月後に
再度PSA検査を行った結果、7.86と
依然として高いのに加え、新たに測ったF/T比
(値が低いと癌の疑いが濃い)の結果を合わせると
データ上では、私が前立腺癌である可能性は50%を超えています。
正直、未だとても不安です。
しかし、すでに生体検査を終え、今のところ癌細胞は
発見されなかったという一応の安心も得ています。
私のような場合は、絶対に生体検査が必要だと思いますし
PSA検査や生体検査を積極的に受けた方が
安心を得たり、病気の治療対策が出来る事は確かです。

ただ(医師の判断によってもずいぶん違うそうですが)
PSA値が高いから何でもすぐに生体検査を実施するというやり方は
健康な大半以上の人に肉体的に、そして精神的に
多大な苦痛を負わせるということは大きな問題です。

私はいつか必ず医療番組を制作し、前立腺癌も含め
こうした様々な病理や医療の問題点に
取り組みたいと思っています。
医師の方々と力を合わせて、より良い医療と
人々の健康を探求する番組を作りたいという思いを秘めながら
新年を迎えることにします。

新年がみなさまにとって、健康で本当に佳き年となりますように!